[report] Vallorcineを通過、フィニッシュが近いと思ってがんばる・UTMB2011 Part 8

最終回まであと少し。まだ続きます。

(Trientのエイドで体勢を整え、疲労しながらも気力は充実)

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長く大きなエイドがなかった後の朝のTrientのエイドでは積極的に補給。まずはハイドレーションバッグにタブレットを入れてから水を補給。ここでも簡単なフランス語を使ったら、地元の人らしいおじいさんは「フランス語を話す日本人は珍しいね」とのこと。ちなみに「Eau, s'il vous plait.」で水を入れてくれるし、これくらいで止めてほしい、と思ったら「C'est bon.」。あとは笑顔で「Merci.」以上が当方の知るフランス語の全て。

パターン通り、パスタ入りスープにバゲット輪切りを浸しながら食べる。他のエイドよりも多めに食べる。そしてバナナ、オレンジを食べあさり、最後にコーラとガス入りの水で締める。少し余裕が出てきたのか、スタッフに「もうこれから先、初めて聞くコース変更はないよね」と冗談で聞いてみた(英語)。ここまで来れば、絶対まで行けるよ、と励まされてエイドを午前9時19分に出発。約20分のエイド滞在だった。

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(朝のトレイルは光にあふれ、そして暑い)

TrientからはCatogneまで標高差700mの登り。トレイル自体に難しいところはないが、登りはじめはスイッチバックしながらで傾斜が強い。

朝でまだ寒いかと思ったが、今日は天気がよくて日差しが強い。林道に上がったところで立ち止まり、防水のプルオーバーを脱ぎ、中の長袖シャツ、防寒用の耳当て付きヘッドバンドも外し、昨日も着ていた半袖シャツといつもの白のヘッドバンドに替える。同じところで着替えていたフィンランドのランナーに「日本でも仲間とトレーニングしているのかい?」と話しかけられた。当方の下りでの歩幅を小さくした足温存の走法が気になったらしい。できるだけ足を後半まで残そうと思ってやってるんだというと、なるほどといっていた。彼を見送ってから荷物を整えて再度スタート。

特に難しいところもない登りだが、登るにつれて背の高い木が少なくなって日差しを強く感じる。1900mを越えたあたりにあるLes Tseppesの山小屋が見え始めると登りは緩やかになり、大きく左に巻き込むと日陰になって走れるトレイルが現れる。あまりスピードは出ないが、ジョギングくらいのペースで進んでいると少しずつランナーを追い抜くことになる。疲れてはいるが、フィニッシュが近づいてきたことを意識して元気が出てきた気がする。

途中でCatogneのチェックポイントがあり、その先からは下り基調。ケーブルカーの下をくぐるあたりから周囲の緑が濃くなるが一方でトレイルは幅は広いが岩がゴロゴロとしていて走りにくい。長く走ってきた足で集中力を欠くと転んだり捻挫したりしそうだ。ここでもピッチを小さく、リズムを早めて早足で下りていく。標高1260mのVallorcineまで下りるのだが、意外とこの下りは長い。ここでも何人か追い抜いたが、その一人が先ほどTrientのエイドであったキャットさん。痛めた膝にはこのような段差のある岩が多いダウンヒルは辛いだろう。「先に行くよ」と声をかけたが、相当悔しそうだ。最後のVallorcineへと下るスキー場のような斜面が辛いが、長くはない。線路を渡るあたりから応援の歓声。こちらも大げさに応えながら、最後の大きなエイドに到着。

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(フィニッシュまではあとちょっと!と思ったが。。)

Vallorcineのエイド到着は午前11時45分。もう36時間は過ぎてしまった。ここからもレース前にアナウンスされていたコース変更があった区間で、オリジナルのコースよりは走りやすいはず。ならば後はもうひとがんばりだ。そんな気分で補給はジェルのみ、コーラを一杯もらうだけ。フィニッシュを意識して、トレッキングポールやグローブを片付けた。息つく間もなく、午前11時47分にエイドを出る。

ここからしばらく、Col des Montetsまではオリジナルのコースと同じ。線路沿いの緩やかな登り。走れそうだがやはりきつい。時折走りを挟むが歩きで進む。周囲の住人の方やハイキング中の方も多く、たくさん声をかけられて返事をするのが大変なほど。

4キロほど進んでCol des Montetsに到着、今年はここを登らなくていいのかと思うと、正直助かったと思った。でもやっぱりオリジナルのコースのも経験したい。

ここから先は変更後のコース、しかし2007年以前のUTMBで使われていたコースだという。道路沿いだが下り基調の気持ちのいいトレイルを少し進むとArgentiereの街に出てくる。ここにも小さなテントが置かれていてコーラなどが飲めるが、素通り。一旦ロードに出て、観光客で賑やかなロードを走る。

このあたりで写真を撮られたので、その前後だけ走るふりをした。

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街から次第に離れると、コースは線路沿いのトレイルに。アップダウンこそ少ないがガレ場といった方がよさそうな岩がゴロゴロしたトレイルだ。山登りに比べれば走れるだろうが、後はロードか遊歩道で楽に行けると思っていたのは期待はずれだった。

時々前のランナーをとらえてゆっくりと抜き、前からやってくるハイカーに挨拶。トレイルランをしている人もいた。

そんなふうに進んでいると後ろから声をかけられた。Vallorcineの手前で抜いたキャットさんがペースを上げて追いついてきたのだ。ここまで自分も決して遅くないペースだと思っていたが、あれからかなりペースを上げてきたのだ。「フィニッシュまでガチンコ勝負しましょう!」といわれたのだが、これほどのガッツを見せつけられて、ここまで進んできた足でレースをする気にはなれない。「さすがの頑張り、先に行ってよ」と譲るしかなかった。こだわりなのか、無限の体力なのか、このガッツには恐れ入った。

コースはアルブ川のすぐそばとなった。このまま川沿いに進んでChamonixか、もう少しだな。と思っていたら、あれ、コースサインは登りだ。

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