[report, WS100] 100マイルレースの難しさとアメリカのトレイルランニング・コミュニティの底力を実感・Western States Endurance Run, 2012を完走(その4)

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6月23日土曜日の午前五時(日本時間同日午後九時)にスタートしたWestern Stetes Endurance Run()。 これまでは標高2000mを超えるところを走っていたが、29.7マイル(47.8キロ)地点のRobinson Flatを過ぎて、コースはCraigのセクション分けでは2番目のセクションNew Trailへと入る。

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  • セクション2:New Trail – Robinson to Dusty(38.0マイル地点<61.2キロ地点>)– a little up then 8 miles of down, eat, drink
(走りやすいトレイル)
38.0マイル(61.2キロ)のDusty Cornersまでのこのパートは比較的最近までコースが年によって変更されていたパートとのことで、概ね走りやすいダウンヒルのパートだ。Robinson Flatから少し上ると広場のように広々したLittle Bald Mountainに出る。そこからは緩やかなダウンヒル。途中で焼け焦げた跡が生々しい切り株、トレイルを通すためにチェーンソーで切断された丸太などが現れる。2008年のWS100は山火事のために中止されているが、その時の山火事の跡なのかもしれない。
気持ちよく下れるダウンヒルだが、足を温存するためにあまり無理に飛ばさない。途中で視界が開けたトレイルやコルを通るが、霧が濃くて景色はみえない。
5マイルほどで幅広い未舗装の林道に出ると、34.4マイル(55.4キロ)地点のMiller’s Defeatのエイド。クルーが入れないので静かなエイドだが、ここでもエイドのスタッフをされていた日本人の女性に応援の声をかけていただく。このエイドの奥では大きな焚き火があって体を温めたくなるが先へと進む。
そのままダウンヒルが続き、樹林帯の中の快適なダブルトラックを走る。標高も下がり、天気も回復して日差しも届くようになってきた。映画UnbreakableではGeoff、Tony、Kilianが3人で話しながら走っていたシーンで登場するパートだ。
(Dusty Corners<38.0マイル(61.2キロ)地点>到着、1:06pm)
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38.0マイル(61.2キロ)地点、標高1564mのDusty Cornersには1:06pmに到着。24時間完走ペースの12:55pmからは少し遅れている。ここはクルーが入れるエイドでややにぎやかなこともあって、元気に手を振りながらエイドに入る。天気もよくなってきたので、ここでようやくウィンドジャケットを脱ぎ、当初予定していたタンクシャツ姿となる。

  • セクション3:The Canyons – Dusty to Foresthill(62.0マイル地点<99.8キロ地点>)– fun beautiful terrain, drink, douse, stay cool
(暑さを感じなかったキャニオン)

Dusty Cornersからこのレースで最もタフなCanyonsのセクションへと向かう。43.8マイル(70.5キロ)地点のLast Chanceまでは比較的走りやすい5マイル。

Last Chanceからいよいよ最も急なDeadwood Canyonへと下る。最初はダブルトラックの林道だが、ある程度降りたところで左へとそれて、Unbreakableでも登場するシングルトラックの下りへ。急なスイッチバックの下り。脚に衝撃がかからないように慎重に下りていくが長い下りはやはり脚に応える。Kilianはここでジャンプしながら駆け下りていたがとてもマネはできない。

谷底が近づくと、UnbreakableではKilianがあまりの渇きに直に口をつけて水を飲んでいた小さな沢も現れるが、決して暑いという感じはしない。木陰に入るとひんやりと感じるほどだ。木製のつり橋が現れるとそこが谷底、登り返すことになる。

次のエイドは標高1219mにあるDevil’s Thumb。そこまでの登りは確か500mほどだったと思う。このレースの中で最も急な登りがスイッチバックで続く。UnbreakableではここでGeoffが駆け上がっていくTonyとKilianに遅れを取りはじめた場所だ。登りではあるが、長いダウンヒルが続いたあとでは登りの方が脚を休めることができていいと感じるほど。早くはないがリズムよく登っていく。この当たりでは前後に時々ランナーの姿が見える。

エイドが近づいてくると、スタッフの方がエイドの手前からランナーの姿をみるたびにナンバーを叫んでエイドに伝えている。

47.8マイル(76.9キロ)地点、Devil’s Thumbのエイドに到着するとすぐに体重計に載るように促される。Robinson Flat、Last Chanceに続いて3つ目。金曜日に図った体重からは0.5キロくらい多い状態で、この天候では脱水を起こすことは考えにくい。補給をしながらスタッフの方がこの後のコースについて解説してくれる。ここでも日本人のスタッフの方がおられて、是非にということでPBJのサンドイッチをビニール袋に入れて出発。途中の登りで食べる。

Devil’s Thumbからは次のキャニオンへと下りていくが、特段急なところも目立った登り返しもなく快適なダウンヒルの5マイル。しかし、標高差で800m近い下り。だんだんこのあたりから長い下りが足に堪える感じがしてくる。しかし、特に大きなケガや故障はない。
52.9マイル(85.1キロ)地点のEl Dorado Creekのエイドには4:22pmに到着。24時間完走の標準タイムは4:20pm。ここでも、例年と比べると非常に涼しいという話しを聞く。華氏で20度は違うという。後でわかったが、今年はこの涼しさのおかげか、コースレコードの更新ラッシュ、24時間以内完走は3桁の人数、完走率も例年に比べて高い、という非常に恵まれたコンディションだったのだ。
El Dorado Creekからは今度はMichigan Bluffへの登り返し。3マイルで500mほどの標高差を登るが、極端に急なところはなく、テクニカルなところもない。ひたすらパワーハイクで登る。長い下りの後はこうした登りの方が楽だと感じる。Craigのアドバイスではこうした登り、特にあまり急でない登りでは、積極的に走ることはないので歩きながら補給することを勧めている。エイドで少しスナックやサンドイッチ、ジェルを取ってビニール袋に入れておき、登りながら食べる、その分エイドでの滞在は減らすというイメージだろう。
しかし当方はなかなかそのように器用に補給することができなかった。思えばこのあたりから少しお腹が空いた感覚が続いていたのにエイドについても十分補給できず(食べ物がのどを通りにくい)、そのまま出発してしまうことが続いてしまっていた。
(Michigan Bluff<55.7マイル(89.6キロ)地点>到着、5:20pm)
Michigan Bluffへの到着は24時間完走ペースと同じ5:20pm。ここはバスでクルーが入ってこれることもあり、人が多くてにぎやかなエイドステーション。小さなドロップバッグを置いていたので受け取る。まだ暗くなるまで時間があるがここでバイザーを外してBuffのようなチューブを頭に着け、ヘッドライト(Petzl / MYO RXP)を装着。濡れたウィンドジャケットを乾いたものに替える。
エイドでは小学生くらいの小さな子供たちがコーラや7-upなどの飲物のサービスをしている。
ここで、カリフォルニア在住という日本人のご夫妻にお目にかかった。こちらでトレイルランニングを楽しんでおられるとのこと。こちらのご夫妻からトップはTim Olsonだという話を聞いた。
休んでいたくなるが、程ほどにして出発。補給はしたつもりにはなっているが、食べやすいスイカやメロンを少し口にした程度で、手持ちのジェルが減っていない。まだはっきりした自覚症状はないが、補給不足気味の状況に手を打たないまま出発してしまった。
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Michigan Bluffからはしばらく幅が広くよく整地された林道を走ったあと、最後のキャニオン、Volcano creekへと下っていく。これまでのキャニオンに比べればさほど深くないが、下りは一歩一歩の衝撃が脚に響いてだんだん辛くなってくる。ところどころ、石に躓きそうになるテクニカルなところも出てくる。

Volcano creekの沢を渡り、上り返していくと、Bath Roadのエイドステーション(60.6マイル<97.5キロ>)。ここからは舗装路を2.5キロほど走ってForesthillへ向かう。ロードの登りがきついが、この先のForesthillのエイドからペーサーがつけられるため、ペーサーがこの当たりから自分のランナーを待ち受けている。そんな中にレース前に知り合ったにぎやかなRoxanaもいて、声援を受ける。

途中から真っ直ぐの舗装路沿いのトレイルを走る。走るとはいっても足を一歩一歩前に進めているだけでジョギングのようなものだ。あとでUnbreakableを見返したとき、このパートをTonyやKilianは明らかに走っていた。あと60キロを残した100キロ地点であんなふうに走ることができることに改めて驚愕。

(Foresthill<62.0マイル(99.8キロ)地点>到着、6:48pm)

MCのアナウンスに迎えられて62.0マイル(99.8キロ)地点のForesthillのエイドに到着。6:48pmで24時間完走ペースの6:45pmから大きく遅れてはいない。ここは交通のアクセスもよく、ここからペーサーをつけることが可能になるポイントであることもあって、全てのエイドの中で最もにぎやかなエイドステーションだ。

ここで再びサブリナさんに会う。ドロップバッグを持ってきてくださった。ここでシューズをNB / MT110からMontrail / Bajadaに、ソックスをDrymaxをHyper ThinからLite Trail Runningに替える。特にMT110でトラブルがあったわけではないが、ここからの38マイルに備えて少し気分を切替えようと思った。まもなく日も落ちるので、防寒対策を取ったほうがよいと考えて薄手のfinetrackのジップ付き長袖シャツに着替え、その上から薄いウィンドジャケットを着る

サブリナさんに調子を聞かれて、いいですよ、悪くない、と答える。しかし、実際はなんだか胃の調子が変だ。エイドでの食べ物を食べようとすると腹の奥から少し吐き気がする。ジェルを口にするが飲み込もうとするとこれも吐き気。パケットからをジェルを半分ほど残して食べるのを止める。とりあえず果物と飲物で腹を満たす。ここまでのエイドで元気一杯だった当方ももはやグロッキーな状態だ。

もっと休んでいたいが座っていたところで調子は上がらない。鞭打ってスタート。エイドを出るとMichigan Bluffでお目にかかった日本人のご夫妻。手を振って写真を撮ってもらいながらしばらくロードを走って再びトレイルへ。

Craigの解説によれば、Foresthillからの残り38マイルはそれまでのパートに比べて比較的走りやすく、レースの結果にこだわるならここからをどれだけ走れるかが重要。ここまでの62マイル(約100キロ)はいわばここからの38マイル(60キロ)のレースを始めるまでのプレリュードのようなものだ。当方もこのアドバイスに従って、オーバーペースとならないよう、登りは無理に走らず、下りはストライドを小さくして脚を守ってきたつもりだ。

確かに、レースはここから始まった。今までにない苦しく長い夜の間、当方は自らの無力を呪い、思いがけないサポートに助けられることになる。

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