[DC] 生きることはリスクを取ること・キリアンのSummits of My Lifeの一年目の成果をまとめたドキュメンタリーフィルム、”A Fine Line”が公開

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/キリアン・ジョルネが今年から2015年までの冒険の計画、“Summits of My Life”の今年の成果をまとめたドキュメンタリーフィルム、”A Fine Line”が完成し、日本時間の昨夜12月19日に公開された。

現在、以下の”Summits of My Life”のウェブサイトからDVD版(19.9ユーロ)とダウンロード版(6.95ユーロ)が購入できる。当サイト・岩佐もダウンロード版(英語版)を購入して52分38秒のビデオを早速視聴した。購入はPaypalのアカウントがあれば簡単で、動画のサイズは1.8GBほどだ。予告編の動画も以下のように公開されている。

(追記 現在ダウンロード版の1.8GBのファイルに拡張子がついていないため、ただダウンロードしただけではダブルクリックしても視聴できないようです。その場合、ファイル名に拡張子「.m4v」を追加すると視聴できます。2012/12/20 20:43 その後、拡張子がつくようになりました。)

Summits of my life – The film
DVD版は19.9ユーロ、ダウンロード版は6.95ユーロで購入できる。

 

A Fine Line official trailer. from Summits of My Life on Vimeo.

Kilian Jornet(キリアン・ジョルネ、25歳、スペイン・カタルーニャ出身)といえば、UTMBで3度優勝するなど目下世界最強のトレイルランナー。短距離でも100マイルでも、テクニカルな山岳レースでも走れる林道のようなレースでも、出場すれば優勝候補の筆頭に挙がる現在世界最強のトレイルランナーだ。冬は山岳スキーの選手としてスキーで山を登って滑り降りる競技で活躍している。

キリアンが”Summits of My Life”の計画を公表したのは今年5月末。山岳スキー選手らしく、モンブランをスキーで登り下りしたり、世界の主要峰の最速登頂をねらうほか、2015年には世界最高峰・エベレストを目指すという。その詳細は当サイトの以下の記事をご参照下さい。

[project] Kilian、世界の高峰に挑む。プロジェクト”Summits of My Life” | DogsorCaravan.com

フィルムはキリアンの母・Nuriaさんや姉・Nailaさんが語る幼少期のキリアンが家族で7時間ものハイキングをしていた話に始まる。そしてスキーを担いでアルプスの雪の付いた岩峰をよじ登る姿。美しい雪の尾根を走る姿、息を飲む急坂を滑降する姿が続く。そして5月のカナリア諸島の火山島でのトレイルランニングレース、Transvulcaniaで世界のトップランナーと一緒に走る。

そしてキリアンは6月に計画していたコンタミンからモンブランのピークを経てシャンペに至る65キロをスキーで縦走する最初のプロジェクトにチャレンジする。このモンブラン・クロッシングで、パートナーとして同行していた世界選手権を3度優勝している山岳スキーヤー・Stephane Brosseが滑落事故で命を落とす。キリアンが出場を予定していたアメリカのレース、Western Statesの前週のことだ。
World Champion Ski Mountaineer Stéphane Brosse Suffers Fatal Fall on Mont Blanc

このフィルムではStephaneの死については直接語られることはない。しかし、キリアンとStephaneが一緒にトレーニングし、計画を練る様子や、モンブランで吹雪にさらされる様子が登場する。

このフィルムの中でキリアンは次のように語る。「安全で守られていることが幸せな人生か?リスクを冒して挑戦する時、人の気持ちは踊る。それが生きているということじゃないか?幸せと死は背中合わせ。リスクを取ることこそが生きること。」

Stephaneは生前に撮影されたシーンで話す。「幸せがどこにあるかって?家族に囲まれて子供と遊ぶことも幸せ。山に登って吹雪の中で岩をよじ登るのも幸せなこと。幸せなんてどこにでもあるじゃないか。」

Stephaneを失った後もキリアンはチャレンジを止めない。9月には独りで”Summits of My Life”の二つめのプロジェクトに挑戦する。イタリア・クールマイユールからイノミナータ山稜を登ってモンブランに登頂し、シャモニーへ。42キロを8時間37分で完走する。

フィルムは美しくも険しい雪と岩の世界が続く。キリアンのリラックスした素顔も登場し、トレイルランニングの若きアイドルのチャーミングなビデオとして観ることもできる。

しかし、キリアンという天賦の才能を得たマウンテン・アスリートが何を思って山に向かうのか。なぜ常人には不可能で危険極まりない冒険を止めないのか。これらの問いへのキリアン、Stephaneの上の答えを、視聴者はどう受け止めるか。常人には理解不能な荒唐無稽な命知らずの愚か者と笑うこともできる。しかし、ただ日々の暮らしをおくる常人も実は隠れたリスクに囲まれて生きている。景気の動向、とどまることを知らない情報のデジタル化、無惨に人の命を奪う犯罪や事故。どんなに身を守り、安全で穏やかな暮らしを送ろうとも、実はモンブランの岩峰に雪を踏みしめながら登ってスキーで降りるのと変わりないくらいリスクを背負って生きているのかもしれない。

だとすれば、今日一日をどう生きるか。明日のために何をするか。キリアンほどではないにせよ、きついトレイルランニングにあえて好んで挑戦するランナーなら、そんな問いから逃れられないはずだ。

英語版はキリアンをはじめ、登場人物が話すカタルーニャ語、スペイン語、フランス語にはすべて英語の字幕がつくため、内容は追いやすい。年末年始のビデオ鑑賞にいかがだろうか。Kilian’s Questのビデオシリーズでキリアンの姿を追い続けているSébastien Montaz監督の作品で52分38秒。

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