[DC] Strava・プライバシー保護機能と坂登りタイムトライアルでランナーが交流しやすいランとバイクのSNS

年末年始はトレイルランナーにとっても来年に向けたモチベーションが高まる時期。日々のランニングを記録して月間のランニングの距離に目標を設定したり、今年の毎月のランニングの記録を振り返る人も大いに違いない。

こうした記録を取るのに様々なギアやネット上のサービスがあるが、最近使い始めたStravaは今まで気になっていたことを解決し、トレイルランナーの交流を促す機能があることが目を引いた。これは2013年にブレイクするサービスとなりそうだ。

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以下、このの注目すべき機能を紹介したい。

ランニングの記録を取るインターネットのサービス

毎日のランニングの距離や時間を記録して毎月の走行距離を記録する。最近はなどでランニングのコース、さらに心拍データまで記録してパソコンからインターネット上に保存できるランニングウォッチが安価なものから入手できるようになってきた。さらに普及が進むiPhoneやAndroidなどスマートフォンのGPS機能を活用して、スマートフォンをこうしたランニングウォッチとして活用できるようになってきた。さらにそこにやFacebookと連携させることでトレーニングの記録を仲間と共有できるようにもなってきた。

当方もGarminのForunnerシリーズを使い始めた頃からGarmin Connectにトレーニングの記録をアップロードしてきた。今年登場したSuunto Ambitを使い始めてからはMovescount.comにアップロードしている。かつては日本初のランニングSNSの老舗、JogNoteにコツコツと毎回データを手で入力していたこともあった。当方は使っていないが、GarminなどのGPS機能のついたランニングウォッチは大振りでデータの転送も安定してできないことがあることからこれを好まず、スマートフォンを使うRunKeeperRunmeterなどのアプリを活用するランナーもいるだろう。

しかし、これらのサービスには一長一短があり、何となくもどかしさを感じていた。

やはりスマートフォンだけでしかログが取れないのは不満、GarminやSuuntoのGPS機能を使いたい

ランニング中に距離や標高が確認しやすく、電池切れの心配をしなくて済むのはスマートフォンにはないGarminやSuuntoの利点。特にレースのときはスマートフォンの電池の残量を気にしながら走りたくない。

FacebookやTwitterとの連携は結構だが、大したメリットも感じられずプライバシーも気になる

ネット上にアカウントを作ってそこに毎回のランニングの記録を載せるサービスがFacebookやTwitterなどのSNSと相性がいいのは容易に想像がつく。自分が走った記録を他人にみせて何が楽しいのか、というランナーも多いだろうが、SNSに自分のランニングの記録を書き込んだり、仲間の記録をみたりすることでお互いのモチベーションが高まることもある。

しかし、当方が使ってきたサービスではSNSに書き込むメリットがあまり感じられなかった。自分が走る近所のコースや時々出かけるトレイルで見知らぬ誰かが走った記録がみられても、毎日の自分の記録との関連づけが明示されないのであまり関心を持てない。

さらにSNSにトレーニングの記録を書き込む時に気になるのがプライバシーの問題だ。これらのサービスにアップロードした自分のランニングの記録を自分以外の誰かが閲覧可能な状態にするということは、日頃自分が自宅から走り始めて帰宅するまでのルートを人目にさらすことになり、自宅の位置を人に知らせてしまう。仮に、ランニングの記録のうち地図上のルートを隠すとすると、閲覧する側としてはわざわざその記録をみる関心が薄れてしまう。

自宅などの周囲は人目に触れさせない適度なプライバシー保護がランナーの交流を促進しそうなStrava

上記のランニングのSNSのもどかしさを解決しているのがStravaだ。Stravaはアメリカ・サンフランシスコの企業が運営しているサービスで、主にランニングとサイクリングのエクササイズのログをアップロードできるSNSサービスだ。日本のサイクリストの間でもGarminのサイクルコンピューターとの相性の良さやスマートフォンアプリの使い勝手がよくなってきたことから、2012年の夏頃から話題になっている模様。

ここでは実際にStravaを使ってみた印象をスクリーンショットをみながら紹介したい。

  1. サインアップ(アカウント作成)とログイン
  2. Stravaのトップページ。サインアップ(アカウント作成)はFacebookのアカウントで簡単にできるが、独自にIDとパスワードを設定することもできる。

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  3. ダッシュボード
  4. ログインすると表示されるダッシュボード。自分のランニングの記録のほか、自分が「フォロー」しているユーザーのランニングの記録もFacebookのライムラインと同じような形式で表示される。この種のランニングSNSと同じように年単位、月単位など様々な形で自分のランニングの記録を整理して表示する機能もある。

    Strava 2
  5. ランニングの記録のアップロード
  6. 右上の”Upload Activity”から自分のランニングの記録をアップロードできる。ランニングウォッチではGarminのみがサポートされている。Garmin Connectで用いているのと同じ転送方法とブラウザーのプラグインがインストールされている状態なら、下のように自分の手持ちのGarminのギアが表示される。

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    GPSログのファイルを直接アップロードすることもできる。対応しているのはgpx, tcx, json, fitの各形式で、25MBまで。25個のファイルを一回でアップロードできる。Suunto AmbitなどのデータもGPSログをファイルでダウンロードしてアップロードすることができる。

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    GPSログがない場合も距離やタイムなどを手入力することもできる。

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    今回はGarmin Fenixからデータをアップロード。このFenixについてもレビューしたいが、Suunto Ambitのライバルとして登場したFenixは画面の解像度が低いことやあまりに多機能でGarminのForerunnerシリーズと操作性が大きく異なるという欠点はあるが、細かい機能設定が単体で行うことができ、4桁の距離表示が可能(例えば42.19kmと表示できる。Ambitでは42.1kmと3桁しか表示できない)など、従来のGarmin Forerunnerシリーズになれてきたユーザーには魅力的だ。このStravaとの連携でFenixのAmbitに対する魅力は相対的に増すと思う。

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    アップロードが完了するとログに名前をつけたり、メモを残せるほか履いていたシューズを登録できるのが面白い。他のユーザーが登録済みのシューズを選ぶこともできるし、自分で新しく登録することもできる。手持ちのシューズの通算走行距離をカウントして引退時期を決めることもできる。また、ジムのトレッドミルで走ったことを記録するチェック欄もある。

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  7. トレーニングログのビュー
  8. アップロードしたランニング記録は下のように表示される。Googleマップ上にルートが表示され、右側にラップなど。この画面の下に高低図や心拍のグラフが表示される。

    Strava 8

    右側のカラムに表示されるラップの一覧。Actual Paceは実際のペース(分/キロ)、GAPとあるのは実際のペースを標高の変化がないフラットな路面を走ったと想定して換算した数字。こうした標高差に着目したデータが多いのがトレイルランナー、そして自転車の人には受け入れられそうだ。無論、単位のマイル表示への切り替えなども設定可能。

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    Analysisのタブに切り替えると、そのランニングのペースがどの程度のレベルかが表示される。ここではフルのベストタイム(当方の場合3時間5分)を設定して、それに対してどの程度のペースで走ったかが表示されている。一番軽度のZone 1(フルマラソン5時間6分以上のペース)が全体の46%、一番強度があるZone 5(フルマラソン3時間23分以内ペース)が3%だったことがわかる。

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    Heart Rateのタブ。こちらはおなじみの心拍数での5段階のゾーンについて、全体のトレーニングに占めた時間の割合が示される。Strava独自のSufferスコアでそのトレーニングの強度が示されている(これは有料会員のみに表示される)。

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    Googleマップの下に表示される高低図。登り坂にシャドーがかかっているあたりが坂にこだわるトレイルランナー向き。

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    タブを切り替えると高低図に心拍数やペースを重ねて表示することができる。カーソルを重ねることで地図上のどの地点でペースや心拍数がどの程度だったかみることができる。

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    その下には、400m, 1/2mile, 1kなどなど主な距離についてそのトレーニングでベストのタイムが表示され、それが過去の自分のトレーニングのタイムと比べて上位3番目以内だろ左側にメダルが表示される。これでモチベーションが上がることもありそう。

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  9. 自動的にみんなでタイムトライアルができる”Segment”設定機能
  10. さらにその下には”Segment”の記録が表示される。これはStravaの最も面白い機能の一つで、自分が走ったコースの中で登り坂を自動的に探し出し、その区間を”Segment”として自動的に登録。その区間のタイムやペースを表示する。同じ区間を次に走るとそのタイムもそのSegmentについて記録が蓄積されて見比べることもできる。さらに、自分以外のユーザーが同じSegmentを走ってログをStravaに残すとそのタイムも蓄積されて自分のタイムと比較できる。

    つまり、ある坂道について知らないうちに自分自身、さらには他のユーザーとタイムトライアルをしてその結果を見ることができるのだ。このあたりのトレイルランナーが好みそうな機能。無論、自動的に設定されるSegmentを削除することもできるし、設定されるSegmentを自分にしか見えないプライベートモードに設定することも可能だ。

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    自動的に設定されたSegmentを開いたところ。逗子市小坪の大谷戸公園あたりから披露山公園までの1.4km、標高差90m、平均斜度6.5%の坂だ。

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    このSegmentの現在の記録保持者は当方(当方しかここを走った記録をStravaに登録していないので)。誰かがここを走ってStravaに登録するとその記録との比較が表示されたりする。さらに性別や年代別、体重別の順位まで表示できる機能まである。タイムトライアル大会ができそうだ。

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    さらに自動設定されるSegmentの他に自分で好みの区間をSegmentに設定することができる。登り坂でなくても自由に設定可能だ。下のように自分の走った区間について始点と終点を自由に選べる。

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    当方が設定したSegment。上記の自動設定されたSegmentのうち、披露山公園入口の交差点から公園までを選択したもの。

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    自分でSegmentを設定しようとすると、区間が重なるSegmentがすでにStravaに登録されている場合に、注意を促してくれる。このあたりも細かい配慮が行き届く。

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    登録されたSegment。距離0.8km、標高差76m、平均斜度9.4%の登り坂。当方の記録は4:39。

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    ちなみに当方が登録した鎌倉市西御門の通称「鎌倉の激坂」。距離は170mほど、標高差は46m、平均斜度は26.6%。当方の記録は1:34。

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  11. 自宅や勤務先の場所が推測できないようにする適度なプライバシー保護機能
  12. Stravaが持つ他の同種のランニングSNSにない機能が、適度なプライバシー保護機能。設定は自分のアカウントの”Setting”→”Privacy”で行う。

    まずは一般的なプライバシーモードの設定。デフォルトでは自分のアカウントやトレーニング記録は他のStravaにログインしているユーザーから閲覧可能で、フォローも受けることができる。プライバシー強化モードでは他のログインしているユーザーによるフォローは許可制になり、許可されたユーザーのみに自分のトレーニング記録が閲覧可能になる。

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    さらに、自宅や勤務先など、任意の場所について半径500m-1kくらいでのトレーニングのルートを自分以外のユーザーに見えないようにする機能が付いている。この機能により、自分がどのあたりで走ったかは人に見せつつも、自分の自宅や勤務先、学校、通っているジムなどの場所を特定できないようにすることができる。

    見えないようにする場所は、Stravaがトレーニングの記録から自動的に設定してくれるほか、自分で複数の場所を設定することができる。日本語で住所を入力して設定できる。ただし、この見えないようにするゾーンに含まれる”Segment”についてはそこで走っても記録を残すことができないことに注意。

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    この任意の場所を人に見せない機能のイメージ。下のように自分にはみせたくないゾーンのルートも表示されるが、他のユーザーにはみせたくないゾーンのルートは表示されない。Stravaのブログより。

    この機能が付くことによって、自分のトレーニングログを安心してFacebookに投稿して人に晒せる、という人もいるのではないだろうか。

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  13. スマートフォンのStravaアプリでランニングの記録を取ってアップロードすることも可能
  14. 下はiPhoneのStravaアプリの画面。iPhoneのGPS機能を使って同様のログを取ることができる。Androidにも同機能のアプリがある。同種のスマートフォンアプリは上述のようにいろいろあるが、GarminのGPS機能付きランニングウォッチとスムーズに併用できるアプリは少ない。スマートフォン単体では心拍のデータが記録できないが、Wahoo Fitness 心拍計 Blue HRを使えば、iPhoneのBluetooth機能を使って心拍データを記録することができる。

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以上、Stravaの機能について紹介した。当方もこの種のウェブサービスやスマートフォン・アプリを全て試したわけではないが、このStravaは仲間や見知らぬユーザーと知らないうちにタイムトライアルができるSegment機能や、自宅などの場所をほどよく隠すプライバシー機能などが目新しい。かゆいところに手が届いたと感じるランナーも多いのではないだろうか。これでSuuntoなど他のメーカーのGPS機能付きウォッチにも対応したら最強だろう。また、Garminはこれほど高機能なアプリが登場するとGarmin Connectの存在価値が薄れてしまうのではないだろうか。

新年を迎えるにあたり、Stravaでランニングやサイクリングのモチベーションを高め、仲間とのほどよい交流を増やしてはいかがだろうか。利用は無料。

有料プランは週単位の目標設定、Segment等の順位表示で年齢別体重別などの細かい区分、心拍数とその分析スコアの表示、ペースに基づく運動強度のゾーン表示、ルートのGPSログをGPX形式でダウンロード可能、などの機能が追加されて年間59ドル、月6ドル。ご関心ある方は、有料プランに変更すると3ヶ月間無料で有料プランの期間が追加される特典があるインビテーションを当サイトから差し上げることが可能。こちらからメールでご連絡ください。


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