[DC] 記事紹介・昨年「グランド・スラム」を達成したイアン・シャーマンとニック・クラークのインタビュー

Nick-Clark-and-KI

昨年、グランド・スラムを達成したイアン・シャーマン/Ian Sharmanニック・クラーク/Nick Clark。2人がグランド・スラムの経験とウルトラ/トレイルランニングの今後について答えるインタビュー記事が米・UltraRunning誌で公開されています。

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グランド・スラム/Grand Slumは同じ一年のシーズンにアメリカで開催される4つの100マイルレース(Western StatesVermontWasatchLeadville)に出場するというもの。これまで288人がシーズン中に4レースを完走し、4レースのタイム合計の記録は昨年2013年のイアン・シャーマンの69:49:38。

このインタビューでは、昨年のグランド・スラムに挑戦する2人がシーズン中に感じたこと、シーズン中に2人が互いを励まし合ったこと、ウルトラ/トレイルランニングがスピードを競う競技となりつつあることについて感じること、などについて2人が聞いています。

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2013年でGrand Slumの初戦、Western Statesを完走した翌日のNick Clark(左)。Photo by Koichi Iwasa / DogsorCaravan.com

ここでは、そのインタビューから今後のウルトラ/トレイルランニングのあり方について2人が考えることについて、一部をご紹介します。インタビューの聞き手はウエスタン・ステイツで昨年9位で理学療法士でもあるジョー・ウーハン/Joe Uhanです。

グランド・スラムを経験して、ウルトラランニングの競技としてのあり方は(もし変わるとすれば)どんなふうに変わっていくと思いましたか?

シャーマン:グランド・スラムでは誰かと一緒に走ると自分を追い込めることを実感しましたね。ニックも僕もお互いに競い合うことで速く走れたと思います。僕はウルトラランニングのマニアなので、速いランナーがレースをしているのを見るのが好きなんですね。このスポーツを最近始めたとても速いランナーがたくさんいて名前を挙げだしたらきりがないくらいです。iRunFar.comでレースを「観戦」するのがとても楽しくて、自分ももっときついところまでやりたい、もっと賢いレースをしたいと思います。だからレースがより実力がある選手を広く海外から集めることには大賛成です。ウルトラランニングは今とても盛り上がってきていますが、それでも好きな時に地元の堅苦しくないレースに出ることもできます(私はサンフランシスコ近郊に住んでいるので恵まれています)。

このスポーツをもっと盛り上げるために二つのことができると思います。一つは有力選手がライバルとして息詰まるほどのレースをすること。エリー・グリーンウッドと全盛期のアン・トレイソンが一緒に走ったらどんなだろうと思いませんか?二つ目は他のスポーツでもあるように、ランナーのチーム同士の競争をファンがサポートできること。それもシューズメーカー同士の対決である必要はないですよね。いくつかのレースの結果をもとに得られたポイントでチームの勝負を決めるとか。

クラーク:今、ウルトラランニングはいいところに来ていると思いますね。レベルの高い競争が期待できるレースの機会がたくさんありますから。それにしても、個人的には有力なランナーを集めようとするレースが多くなりすぎていて、主催者の希望を叶えるだけの選手層やファンの関心が集められないのではないか、ということが気になりますね。特に女性ランナーについてそんな気がします。ウエスタン・ステイツがその歴史の持つ強みゆえに多くの有力選手を集めるのは素晴らしいことだと思います。あと、有力選手を集めるためにお金をちらつかせたりして盛り上げようとするような動きがあるのも、まあ悪くないと思います。ウェスタン・ステイツのようなレースをみれば、レベルの高いランナーを揃えて注目を集めることで必要な資金をスポンサーから得ているのがわかります。特段高額の賞金を用意する必要なないんです。前年のトップ10の選手に翌年も出場権を与える(出場を「保障」するのではなくて)のはいいことです。ウェスタン・ステイツには守るべき伝統があってそれはいいことだと思いますが、新しい世代のランナーはそういう歴史や伝統は気にしなくなるでしょうし、ロードのレースに比べて金銭的な報酬やどれだけ認知が得られるか、を気にするようになるのではないでしょうか。

こうしたバランスを取るのは容易ではないですね。レースに選手をあつめるだけではなくて、伝統あるレースはウルトラランニングの根元にある考え方を守る義務があるわけですから。アウトドアでの自発的な奉仕精神とか、コミュティのつながりとか、古い考えですがランナー同士で競うのではなくてコースと向き合うこと、といった考え方です。

このインタビューは下のサイトで読むことができます。

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