[DC] キリアン、ジュリアン、鏑木毅などが揃って今週末開催・アメリカ屈指の山岳レース、ハードロック/Hardrock Hundred Mile Endurance Run 2014 #HR100

今週末、7月11日金曜日午前6時(日本時間同日午後9時)にアメリカ・コロラド州南部のサン・フアン山脈を舞台にハードロック100 / Hardrock Hundred Mile Endurance Runがスタートします。100マイルのコースは平均で標高3300mを超え、最高で4280m、累積獲得高度は10,360mに達し、アメリカでも最もハードな山岳レースとして知られます。出場者が抽選で140人に限られるこのレースに今年はキリアン・ジョルネ/Kilian Jornetティモシー・オルソン/Timothy Olson、そして日本の鏑木毅/Tsuyoshi Kaburakiなど世界の有力選手が参加。世界のトレイルランニング界から注目を集めています。

 

どんなレース?

hardrock-home2レースはサンフアン山脈の中心に位置し、かつて鉱業で栄えた町・シルバートン/Slivertonをスタート/フィニッシュする周回コースで開催されるHardrock 100が初めて開催されたのは1992年。42人のランナーのうち18人がフィニッシュ。男子は伝説のウルトラランナー、Dave Hortonが32時間34分、女子はNancy Hamiltonが45時間47分でフィニッシュしたことから始まりました。以来、残雪の多かった1995年と森林火災のあった2002年に中止されたのを除いて毎年7月上旬に開催され、今年が21回目の開催となります。

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コースの概要

時計回りのコースは標高約2800mのシルバートン/Slivertonをスタートするとまず西へ。オスカー峠/Oscar Pass(21マイル)など標高3600-4000mにある3つのコース上のピークを経て、テルユライド/Telluride(27.8マイル)へ。ここではクルー(個別のランナーにサポートをする人)によるサポートが受けられるほか、ドロップバッグをおくことができます。

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ハードロック100のコース概要図。MapMyRunより。

ここから再び標高4000m近いヴァージニアス峠/Virginias Pass(32マイル)を登ると、一気に次の大きなエイドステーションのあるユアレイ/Ouray(43.9マイル/標高2400m)へと下ります。このユアレイからはペーサーを伴って走ることができます。トップ選手の到着は午後2時(8時間)すぎの見込みです。

2014 runners manual pdf

ハードロック100の高低図。14000フィート=4267m、9000フィート=2743m。大会ウェブサイトより。

後半は再び一気に登り返して標高3950m付近のエンジニア山/Engeneer Mountainのピーク直下(52マイル)へ。グロース・ガルーチ/Grouse Gulch(58.4マイル)のエイドを経由してコース最高地点のハンディス・ピーク/Handies Peak(4282m、64マイル)へ。シャーマン/Sherman(71.9マイル)、カニンガム・ガルーチ/Cunningham Gulch(91.2マイル)のエイドを経て、シルバートン/Slivertonへと戻ります。フィニッシュ地点に置かれた、近くの鉱山から採れた大きな岩に描かれた羊の頭にキスをしてフィニッシュします。エイドステーションは途中に13ヶ所、うち6ヶ所にドロップバッグが置け、5ヶ所でクルーのサポートを受けることができます。

コースは時計回りと反時計回りで毎年交代で開催されます。大会記録は男子はカイル・スカッグス/Kyle Skaggsの23時間23分30秒(2008年、時計回り)、女子はダイアナ・フィンケル/Diana Finkelの27時間18分24秒(2009年、反時計回り)。ちなみに反時計回りの男子大会記録はセバスチャン・セニョー/Sebastien Chaigneau(24時間25分50秒、2013年)、時計回りの女子大会記録はダイアナ・フィンケル/Diana Finkel(28時間32分06秒、2010年)となっています。

大会ウェブサイトによれば、「このコースは長距離のトレイルランニングレースでは『大学院レベル』となっている」(This course offers a graduate level challenge for endurance runs.)とうたっています。

まれに見る有力選手が揃う今年のハードロック

このようなハードな山岳コースで知られるハードロックですが、出場者数は140人に限られ、主催者と参加者、ボランティアなどが一緒になって作る、形式張らないイベントとして開催されてきました。参加に当たっては独自の抽選方法をとっているため、必ずしもエリート選手を集めた選手権大会とはならない仕組みがとられています(詳しくは下の記事を参照)。

しかし、そんなハードロックがなぜか今年2014年は様々な天の配在によって、世界各地から有力選手を集めるイベントとなりました。おなじみのアメリカのトレイルランニングウェブサイト、iRunFarの選手紹介を参考に今年の有力選手をみてみましょう。

男子

これまでの実績や最近のレース等の結果からみて、上位を走りそうなのはキリアン・ジョルネ/Kilian Jornetセバスチャン・セニョー/Sebastien Chaigneauジュリアン・ショリエ/Julien Chorierティモシー・オルソン/Timothy Olsonダコタ・ジョーンズ/Dakota Jonesの5人でしょう。

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キリアン/Kilian Jornet

ご存知キリアンは今シーズンは5月のTransvulcaniaで2位、同じ5月のZagama-Aizkorriで優勝、ハードロック二週前のSkyrunning世界選手権でMarathon (42k)Verticalで優勝。100マイルのレースは昨年10月のレユニオン/Grand Raid Reunion以来です。これまで何度か抽選に外れてようやく得たチャンスに向けて、調整していることがうかがえます。

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セバスチャン/Seb Chaigneau

セバスチャンは昨年より難易度が高いといわれる反時計回りコースでコース新記録で優勝。今年も上位を走ることが期待できそうです。今シーズンは3月のTransgrancanariaとUTMFで期待されつつもリタイアという結果が続いているので、このレースでの会心の走りをみたいところ。

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ジュリアン/Julien Chorier

日本のファンにとってもUTMFでの活躍でおなじみのジュリアンはこのハードロックは2011年に出場して優勝(25時間17分)。今シーズンはTransgrancanariaで2位でした。

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ティモシー・オルソンは2012年と2013年にウェスタン・ステイツを連覇して世界に知れ渡ったトップランナー。欧州でも昨年のUTMBで4位、今年3月のTransgrancanariaで3位など、欧州勢とわたり合うレースも経験しています。

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ダコタ/Dakota Jones

ダコタ・ジョーンズは2012年にハセツネを大会新記録(当時)で優勝したことで日本のファンに知られていますが、このハードロックが開催されるコロラド州が彼の出身地。ハードロックのボランティアを経験したことがきっかけでトレイルランニングを始めたという彼は2011年にこの大会で2位、2012年に3位となっています。となれば今回はさらに上位を目指してもおかしくないはず。数週間前からシルバートンに入って試走と調整を続けているといいます。

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ジョー・グラント / Joe Grant

さらに上位に続く名前としては、ジェフ・ブラウニング/Jeff Browningアダム・キャンベル/Adam Campbellジャレド・キャンベル/Jared Campbellジョー・グラント/Joe Grant、そして鏑木毅/Tsuyoshi Kaburaki。アダム・キャンベルは2012年の第一回UTMFで2位、ジョー・グラントは今年2014年UTMFで13位と日本でも活躍しています。

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鏑木毅 / Tsuyoshi Kaburaki

日本から参加の鏑木毅は、このハードロックの存在は自身がトレイルランニングを始めてまもない頃から聞いていて、憧れてはいたものの参加するには遠い存在だと考えていたとのこと。昨シーズンからは長年苦しんでいた足の痛みから開放され、昨年6月のBighorn 100で優勝。今シーズンはこのハードロックが自身の目標とするレースで順調に調整が進んでいる模様です。

女子

140人の参加者に占める女子ランナーの数は18人。その中で注目は、このレースの経験豊富なダイアナ・フィンケル/Diana Finkelダーシー・ピシュー/Darcy Piceu。ダイアナは専らこのハードロックだけに出場しているランナーで、女子大会記録の保持者。2010年には90マイル地点まで男子も含めた全体のトップを走っていたこともあります。2012年、2013年は序盤をリードしつつも体調を崩してリタイア。今年はどんな走りをみせるか。ダーシーは2012年、2013年にそれぞれ29:09と29:54でそれぞれ優勝しています。

参考

昨年のレースの動画

Get Ready For S4 EP06 – Hardrock 100 / Hundred Mile Endurance Run – Race Report – YouTube

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