[DC] 相馬剛さんを意識して快走・原良和/Yoshikazu Haraさんの信越五岳 2014 Shinetsu Five Mountains Trail 110km レースレポート

【編者より:9月14日(日)に開催された信越五岳トレイルランニングレース/SHINETSU FIVE MOUNTAINS TRAIL 110kmで大会記録で優勝した/Yoshikazu Hara( OneOne)さんにレースレポートを寄稿していただきました。レースについての当サイトのリザルト記事はこちらからご覧下さい。追記2014.9.18 原さんと相馬さんのエピソードを追記しました。】

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信越五岳レースの展開

序盤

スタートして山田琢也選手が前に行かれましたが、自分もすっと先頭に立ちました。2年前は歩いたゲレンデもあまり歩かず走りました。スキー場を後にして、林道に入ってからは私と廣岡隆二選手、山田選手の3人が縦に並ぶ感じで進みました。集団ですすむのが嫌だったのでオーバーペースとは思いつつリズムを上げて単独走に持ち込み、1A(18.5km)へ。

スタートから約30分、まだらおの湯付近を走る原良和、山田琢也、廣岡隆二。Photo by Koichi Iwasa of DogsorCaravan.com

スタートから約30分、まだらおの湯付近を走る原良和、山田琢也、廣岡隆二。 by Koichi Iwasa of DogsorCaravan.com

しかしその後の斑尾山の登りでも山田選手は見える範囲でついて来られました。山頂で1時間46分くらい、一服して絶景を楽しみつつ、時間差を確認して下ります。テクニカルなところはゆっくり、真っ直ぐなゲレンデの下りはハイスピードで飛ばしました。2A(23.9km)には2時間1分ほどで到着。すごい応援の方の数で驚きつつ、元気をもらいます。

袴岳の登りはややきついので頑張り過ぎないように歩きましたが、下りに入ってからは再度ペースアップ。後続と差が空いたことを期待しつつ、3A(38.5km)に3時間20分で到着。しかし、私がエイドを出るときに山田さんが入ってこられ、ちょっと驚きました。再度気合いを入れ直しました!

中盤

気をとりなおして関川沿いへ出発。例年は一番暑くてきついところですが、今年は気温も20℃少し、直射日光もあったりなかったりで、本当に気候に恵まれました。だらだらとした登りを一定のリズムで走り通します。

私設エイドあたりで家族とペーサーの中野さんが来ていて、「オーバーペース違うか?」といわれましたが、気持ちよく走っていたので軽く受け流し、そのまま行きました。再び山に入って黒姫高原を目指します。ややきつい登りが終わるとエイドまで下り基調。4A / 黒姫高原(51.5km)通過が4時間29分、想定が4時間40分だったので10分早くなりました。

4A 黒姫高原を出て林道へと向かう原良和。想定より10分早いタイム。Photo by Koichi Iwasa of DogsorCaravan.com

4A 黒姫高原を出て林道へと向かう原良和。想定より10分早いタイム。Photo by Koichi Iwasa of DogsorCaravan.com

そこからはまたまた林道の登りです。走ろうと思えば全部走れますが、疲れも出てくるので傾斜がきついところは歩きも入れて標高1300m近くまで我慢の登りが続きます。下りに入ったと思ったら、西野発電所のスイッチバックの登り。かなりきついのですが、どこまでかが見えているので頑張れます。笹ヶ峰に入ると再び牧場の横などなだらかな区間です。市民ランナーも練習されている間をキロ4分~5分以内で疾走できました。

5A / 乙見湖(66.6km)には5時間を切って入れました。想定は5時間15分だったので15分早くなりました。ペーサーの中野さんと合流して進みます。ここからは今年7月末に試走していてコースのイメージがしっかり出来ていたこともプラスに働きました。自分が後ろに付き、ペースメークしていただきました。3連休の中日ということでハイカーの方もたくさんおられました。迷惑にならないよう、早めに挨拶して存在に気づいて頂き「すいません」と言いつつパスしていきます。

これまで60km走ってきた人間とスタートしたばかりの人間で一番違うのが登りのスピードです。私は呼吸も上がり、きつい登りはもちろん、緩やかな登りも歩きそうになりますが、中野さんは容赦なく先に進み、自分は仕方なく追いかけるという感じです。ただ、平坦な林道や下りはほぼ同じペースか私がやや速いくらいで行けました。

終盤

6A / 大橋(81.0km)には7時間21分。想定が7時間40分でしたので19分早くなりました。そこから8A / 戸隠スキー場(92.3km)はロードを含めたなだらかな区間です。足も残っていたのでちょっと早いですが優勝を確信していました。

不安としては左胸の痛みが強くなっていたこと。咳や深呼吸をすると左胸の上のあたりが痛くなっていました。このレース中、転倒はしましたが、胸をぶつけてもいないのに何故?レース中は原因がわかりませんでした。呼吸をやや浅くして咳も最小限にして走り続けました。

8A 戸隠スキー場での原良和。しかめっ面は胸の痛みのせい?実はUTMBで転倒した際に肋骨を折っていたとのこと。Photo by Koichi Iwasa of DogsorCaravan.com

8A 戸隠スキー場での原良和。しかめっ面は胸の痛みのせい?実はUTMBで転倒した際に肋骨を折っていたとのこと。Photo by Koichi Iwasa of DogsorCaravan.com

8A / 戸隠スキー場(92.3km)の最終サポートエイドは8時間25分で通過。想定は8時間45分。ここで用意していたHOKA / Huakaに履き替えました。ソックスも替え、リフレッシュして菓子パン、コーラなど栄養もしっかり補給して再出発。10時間30分切りが明確に視野に入っていました。

8A 戸隠スキー場でHOKA / Huakaに履き替える。Photo by Koichi Iwasa of DogsorCaravan.com

8A 戸隠スキー場でHOKA / Huakaに履き替える。Photo by Koichi Iwasa of DogsorCaravan.com

瑪瑙山の登りも無難に終え、ゲレンデの下り、トレイルの下りもしっかり併走していました。しかし、100kmの少し手前でアクシデント発生。時計を見て約40分おきには栄養をとっていたのですが、両手足が痺れて走れなくなりました。

中野さんに歩いてもらい、塩飴、ジェルを流し込み復活を待ちます。100kmあたりで何とか復活でき、最後の下り、林道に入りました。林道もキロ5分を切って走れました。最後の3、4kmは中野さんのハムストリングがきつくなりペースを落としましたが、(ここまできて大学の先輩をおいていくことは出来ません)なんとかペースをキープして歓喜のゴールへ。

最終盤となる飯縄山登山道を下りる原良和。Photo by Koichi Iwasa of DogsorCaravan.com

最終盤となる飯縄山登山道を下りる原良和。Photo by Koichi Iwasa of DogsorCaravan.com

結果は10時間17分17秒。これまでの記録を48分40秒更新しました。

この信越五岳はすばらしい運営やコース設定、前夜祭~表彰式という3日間を通して楽しめるすばらしいイベント(お祭り)です。本当に有り難うございました。完璧なサポートして頂いた妻、息子、ペーサーの中野茂暢さんにも感謝しています。

ペーサーの中野茂暢さんと一緒にフィニッシュした原良和。Photo by Koichi Iwasa of DogsorCaravan.com

ペーサーの中野茂暢さんと一緒にフィニッシュした原良和。Photo by Koichi Iwasa of DogsorCaravan.com

最後に想定タイムの根拠

どうして10時間45分を目標にしたのか。一応、根拠がありました。私と相馬剛さんのレースタイムの比較です。

  • 相馬剛さん 野辺山100km 7時間41分16秒  信越五岳11時間5分57秒
  • 私     野辺山100km 2012年7時間14分22秒 2014年7時間28分38秒

比例計算すると信越五岳は10時間27分~47分が可能かもしれないと考えました。もちろん気候や路面の影響は大きいのですが、今年はコンディションも望外に良くさらに上回ることも想定していました。自分の2012年の信越五岳はラップをとっていませんが、2013年のHPのラップを参考にどうすれば10時間45分で行けるか計算して腕に書いていました。

これも読む
Speedgoat Mountain Races by UTMB リザルト・東京五輪メダリストやトレイル初挑戦の選手が活躍

今回の大幅な大会記録を相馬剛さんに捧げ、筆を置きたいと思います。

【追記 2014.9.18 編者註・表彰式でのスピーチの中で原さんは、相馬剛さんとは信越五岳や野辺山ウルトラマラソンでのお互いの活躍をきっかけに連絡を取り合うようになり、近く一緒に走ろうとやりとりをしていた、というエピソードを話しています。】

今回の信越五岳での装備

【編者より:商品名の後のリンクは当サイトがご参考までに加えたもので、サイズ、カラー等は実際に原さんが使用したものとは異なることがあります。】

プロフィール:原 良和(はらよしかず) 1972年8月生まれ。京都大学で陸上部に所属してランナーとしてのキャリアをスタート。卒業後も医師として働きながらトレーニングを重ね、フルマラソンの他、ウルトラマラソンやトレイルランニングでも活躍。トレイルレースに初挑戦の2010年ハセツネ30kでは28位。2012年サロマ湖100kmウルトラマラソン6時間33分32秒は同年世界ランキング3位。2013年はで優勝したほか、12月の台湾・東呉大学24時間走(Soochow International Ultramarathon)を273.65kmで優勝。2014年からHOKA OneOneのサポートアスリートとして、ランニングにより力を入れている。1児の父。

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