[DC] 新年を迎えて・2014年のトレイルランニングを当サイト記事で振り返る

年は2015年に改まりました。当サイトでは先日、2014年の日本トレイルランナー・オブ・ザ・イヤーを発表したばかりですが、当サイトの取材活動を通じて、昨年一年間のトレイルランニング・シーンを振り返ってみたいと思います。

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ことし、2015年のトレイルランニングは国内では関東甲信越以外の地方も含めて一層魅力あるイベントが登場しそうです。海外ではこのスポーツの組織化に伴いシリーズ戦開催を始めとするスポーツの深化が進みそうで、これに連動する動きも国内で現れるでしょう。スポーツとしての深化には、競技としての広がりだけでなく、ファイストパッキングやハイキングといった楽しみ方と重なる形で、より多くの人がこのスポーツを楽しむ動きもあります。それに伴い、シューズやウェア、バックパックといったギアについてもより幅広い製品に注目が広がるでしょう。

当サイトはトレイルランニングに関して様々な話題をお伝えしつつ、現地からのレース速報や新イベント、シューズなどのギアについてのタイムリーなニュース、当サイトの独自のネットワークを駆使したインタビュー、イベントなどをお届けしていきます。どうぞよろしくお願いいたします。

2014年のトレイルランニングを当サイト記事で振り返る

1–3月

今年初開催のUltra-Trail World Tourの開幕戦となったVibram HK100では奥宮俊祐さんが7位に。

日本のウルトラランナー、永田務さんがアメリカの100マイルレースに挑戦して2位となったのも1月でした。

1月1日には新しい挑戦を始める原良和さんへのロングインタビューをお届けしました。原さんからはその後も折に触れて、レースレポートなど寄稿していただいています。

原良和/Yoshikazu Hara

原良和/Yoshikazu Haraさん

トレイルランニングとルールやマナーについても話題となることの多かった一年でしたが、3月には鎌倉市でトレイルランニングを規制する陳情が市議会で可決されたことが話題となりました。

4月

ウルトラトレイル・マウントフジ/Ultra Trail Mt. Fujiは今年が3回目の開催。優勝したフランソワ・デンヌ、ヌリア・ピカスをはじめとする世界のトップ選手が集結した、世界のトレイルランニング界のビッグイベントとなりました。当サイトもiRunFarをサポートし、海外のトレイルランニングメディアでもUTMFは注目を集めました。しかし、振り返って日本国内で考えてみると、海外で注目されているほどの勢いは感じられないような気がしたのも事実でした。それは、日本の選手が上位に入らなかったから、というだけの理由ではないように思えます。

UTMF 2014 Start

今年2014年4月25日にスタートしたウルトラトレイル・マウントフジ/Ultra-Trail Mt. Fuji。Photo courtesy of Ultra-Trail Mt. Fuji / Kaz Nagayasu

UTMFが終わった後、富士河口湖では「トレイルランニングの未来を考える全国会議」が開催。当サイトは事務局としてお手伝いしました。2014年はトレイルランニングの競技団体作りの話題が表面化してきた一年でしたが、コミュニティの中には様々な思惑のずれがあり、それを互いに認識するコミュニケーションが必要、と感じる次第です。ただ、時間の猶予はあまりないとも感じます。

レースではハセツネ30kが開催され、当サイトも取材。2014年からハセツネ30kへの参加が秋のハセツネ・カップ優先枠入りの事実上の条件となりました。優勝は上田瑠偉さんと大石由美子さんでした。ハセツネ30kの会場である秋川リバーシオはハセツネ・カップのそれより雰囲気がいいな、と感じます。

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ハセツネ30kで男子の表彰台に上った上田瑠偉(中央)、大瀬和文(左)、牛田美樹(右)。

 

5月

5月の連休中にはフランスで行われたニボレ・リバードを取材。前年の神流マウンテンラン&ウォークを制した大石由美子さん、近藤敬仁さんに同行しました。このレースで近藤さんは優勝しましたが、終盤にかけて猛烈に加速するレース展開はお見事でした。ハイレベルなレースですが、ローカルで和やかな雰囲気もあるレースでした。

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ニボレ・リバードで優勝した近藤敬仁。

同じく5月には道志村トレイルレースも取材。御正体山をはじめとするタフで雰囲気のあるトレイル、比較的アクセスしやすいエイド、といった要素からすればもっと注目を集めてもいいイベントだと改めて感じました。フィニッシュ地点で振舞われるクレソンうどんがオススメです。

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6月

国内のレースではスパトレイルスリーピークス八ヶ岳トレイルを取材。スパトレイルは比較的走りやすいスピードの問われるコースや野反湖周辺の見晴らしのいいパートなどは日本で珍しいという印象を受けました。80km(50マイル)というのは世界では標準的なコース長ですが日本にはまだ少なくその点でも貴重な存在。初めての開催のせいか、フィニッシュ地点に人が少なかったのがちょっと残念。あと、せっかくなら草津温泉の中心部をコースか会場に組み入れられたら、ビジュアル面でもアピールできるのに、とも。

スパトレイルで優勝した小林慶太。

スパトレイルで優勝した小林慶太。

スリーピークスは2014年が二回目の大会ですが、トレイルランニングのコミュニティと深く繋がっている主催者チームのいろんな狙いが随所にちりばめられていて、人気の理由がわかった気がします。大会会場周辺はリゾート地で宿泊施設や観光施設もたくさんあるので、もっとトレイルランニングのイベントが開催されるといいかも、と思いました。

スリーピークスをフィニッシュした小川壮太。

スリーピークスをフィニッシュした小川壮太。

そして月末にはフランス・シャモニーで行われたモンブラン・マラソン。2014年はスカイランニング世界選手権に指定されて、ひときわ注目を集め、日本からも多くのスカイランナーが参加。KM Verticalではキリアンらに続いて宮原徹さんが5位で表彰台に。80kmのレースはテクニカルな岩場や雪渓のトラバースも現れる本格的な山岳コース。マラソンは悪天候でコースが変更されましたが、中盤まで10人あまりのランナーがロードのフルマラソンのように集団で猛スピードで駆け抜けていく様子にレベルの高さを実感。モンブランというとUTMBが日本では有名ですが、UTMBとは違う魅力がこのイベントにあります。2015年は日本からの参加も少ないようで少々残念。

80km du Mont Blancでトップのルイスを追うフランソワ・デンヌとマイク・ウルフ。

80km du Mont Blancでトップのルイスを追うフランソワ・デンヌとマイク・ウルフ。

7月

当サイトは鏑木毅さんのサポートのため、アメリカのHardrock 100へ。アメリカでも最もタフな100マイルトレイルレースの一つともいわれますが、コースのスケールの大きさには驚かされました。スタート、フィニッシュのコロラド州・シルバートンも自然のど真ん中にある町で今まで経験したことのないアメリカをみました。

日本に戻ってからは富士登山競走へ。他のどのレースよりもライブ速報の労力がかかりますが、当サイトをご覧いただいている方に手伝っていただき、より内容のあるものと出来ました。優勝は松本大さんとRuth Croftさん。このイベントも運営のスタイルを少し工夫するだけでもっと注目される可能性を感じます。

富士登山競走でフィニッシュまであとわずかの松本大。

富士登山競走でフィニッシュまであとわずかの松本大。

7月はスイスで行われたEiger Ultra Trailに出場した相馬剛さんがレース後にマッターホルンで遭難。その一報は富士登山競走の取材中に聞くこととなりました。

8月

8月はTJARが開催されました。当サイトではプロ・フォトグラファーに皆さんにご提供いただいた写真を通じて、連日状況をお伝えしました。当サイトの記事も他のどのトレイルランニングのレースにも増して多くの方にご覧いただき、関心の高さが伺えました。2014年はスタート、フィニッシュの魚津市、静岡市にも多くの人が集まり、特に優勝した望月将悟さんを迎えた静岡市・大浜海岸は大きな賑わいをみせました。

3回目のトランスジャパンアルプスレース優勝の望月将悟。Photo by Sho Fujimaki.

3回目のトランスジャパンアルプスレース優勝の望月将悟。Photo by Sho Fujimaki.

当サイト岩佐はアメリカの100マイルレース、カスケード・クレストにチャレンジしましたが、敢えなく制限時間切れで完走できず。ランナーとしては不甲斐ない結果となりました。

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アメリカの二つのイベントがUTMBワールドシリーズに、4月のコロラド州、9月のバージニア州

9月

当サイトとして初めて信越五岳トレイルランニングレースをライブ速報しました。関東方面からは遠い道のりでしたが、美しいコースで、フィニッシュ地点の飯綱高原にはランナーの仲間がたくさんフィニッシャーを迎えている様子は他のレースにはない魅力があります。

今年の信越五岳を走る西城克俊。

今年の信越五岳を走る西城克俊。

当サイトのご意見番、稲葉実さんが北アルプスで滑落したとの一報は信越五岳の閉会式の最中に聞くこととなりました。

10月

ハセツネ・カップのライブ速報は今年が3回目となりました。コース上でアクセスできるポイントが限られるなど、取材するのが悩ましいレースですが、今回も有志の皆様に献身的にご協力いただいたおかげで、タイムリーに情報と写真をお届けすることができました。女子はエイミー・スプロストンさんが優勝、男子は上田瑠偉さんが7時間切り目前となるタイムで圧勝。

2014 Hasetsune Start

ハセツネが五日市中学校をスタート。

10月下旬には当サイトも協力したTrails In Motion Film Festivalの日本における上映イベントが厚木市でのイベントで開催されました。

11月

11月になると、来シーズンに向けた動きが早くも話題になり始めました。UTMFは2015年は9月の開催となることを発表。UTMBは12年におよんだThe North Faceとのパートナーシップを解消してColumbiaを新しいパートナーに。UTWT、ISFも2015年のシリーズの概要を発表しました。

UTMBに関連しては、資格レースとなるには大会側からの審査を依頼する必要がある新しい手続きとなったことから、日本の資格レースが例年より少なくなる、という一件を当サイトがレポートしました。

カタールで開催されたIAU100km世界選手権では、前月にハセツネで来日していたマックス・キングが優勝。北米の歴代記録を更新する快挙でした。

12月

レースでは、原良和さんが台湾で行われたSoochow International Ultramarathonで24時間走の日本記録を更新して優勝。

来季に向けた話題としては、ウェスタン・ステイツ、ハードロックの抽選といった話題のほか、当サイトも協力しているTrails In Motion Film FestivalがTrails In Motion 3として来シーズンも各地で上映イベントを行うことが発表されました。

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DC Weekly 2022年4月26日 UTMF、Panyagolosa、Canyons by UTMB®︎、MIUT/100km世界新記録、DEEP JAPAN 100、VJC

さらに今年、日本のトレイルランニングコミュニティで注目を集めてきた鎌倉でのトレイルランニングに規制が検討されている問題に関連して「鎌倉トレイル協議会」が自主的にルールとガイドラインを発表しています。

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