1200キロを走ったお遍路の20日間・井上聡の四国八十八箇所通し打ちレポート

Sponsored link

【追記・この記事でご紹介した『ラー』こと青春スポーツ店長・井上聡さんの四国八十八箇所お遍路通し打ちの体験記が電子書籍『四国遍路激走1227km 一人旅』として出版されました。以下のリンクから一部のタチ読みや購入ができますのでぜひご覧ください。2016.08.03】

【編者より:四国の弘法大師ゆかりの88カ所の寺院は「四国八十八箇所」と総称され、それを巡礼して歩くことはお遍路と呼ばれています。

今年のゴールデンウィークに、このお遍路で88カ所すべてを「通し打ち」(途中で中断せずに毎日連続して巡礼を続けること)したのが井上聡さんです。しかもこの巡礼のための移動手段は徒歩のみで、その大半は走って移動。全行程1227kmを19日21時間35分で踏破(「結願」)したこのお遍路も一種のFKT(Fastest Know Time、最速走破記録)への挑戦だったといえるでしょう。

井上聡さんは「足ツーRUN」など、トレイルランナー、ウルトラランナーには話題のサプリメントで知られる「青春スポーツ」の店長であり、自身も様々なレースにチャレンジするランナーです。その井上さんから今回の四国お遍路「通し打ち」のレポートを寄稿していただきました。】

2015年11月に半月板損傷の大けがをして5ヶ月間リハビリの毎日。3月頃にはまずまず走れるようになり、1000kmオーバーの旅ランを目論んで九州を候補に挙げた。しかし、3月の熊本地震により断念。以前から興味があった四国遍路の通し打ちに方向転換。

ヒザが完治しておらず、足摺岬辺りまで行ければ良しと軽い気持ちで徳島に乗り込んだ。オーバー1000kmは自身3度目。ゴールデンウィークの連休を使って「順打ち」(1番札所から順にお参りする)でスタート。徳島~高知~愛媛~香川(四国八十八カ所)巡拝の旅。四国八十八カ所の霊場にて朱印・墨書きを頂きながらの「ノンサポート一人旅」だ。

Day 1・4月29日(金)

AM11:25、スタート。晴れ、18℃。1~10番札所を巡拝し、行程は40km(1番・霊山寺<鳴門市>〜10番・切幡寺<阿波市>)。

th_Satoshi-Inoue-Ohenro-2016-items-for-ohenro

お遍路のためのグッズ。

フラットなので5時間で巡拝完了。徳島は順打ちするビギナーが多い。徳島人はビギナーがへんろ道(古道・旧道・山道)から外れないように丁寧に教えてくれた。この晩は「へんろ小屋」に無料で宿泊した。しかし、シュラフが結露して夜中に目が覚め、翌日から宿に泊まる作戦に変更。よって「素泊まり節約へんろ旅」に軌道修正。外食禁止!体調を考え、夕食はすべてスーパーにて調達と決めた。

Day 2・4月30日(土)

晴れ、21℃。11~17番を巡拝、52km(11番・藤井寺<吉野川市>〜17番・井戸寺<徳島市>)。

th_Satoshi-Inoue-Ohenro-2016-Day2-11th

12番・焼山寺にて。

「へんろころがし」と呼ばれる難所を通過。だが、難所どころかさわやかなトレイルで感動した。一般の「歩きヘンロジン」はへんろ道を避けることを知った。12番の焼山寺から17番の井戸寺はピーカンで苦しんだ。宿の予約電話で「11番からうちまではムリですよ」といわれたが、PM17:30に到着。店主驚きの顔がオモロかった(笑)。余計な荷物は室戸の宿に送った。素泊まり&夕食はスーパーにて調達。

Day 3・5月1日(日)

晴れ、24℃。18~22番を巡拝、68km(18番・恩山寺<小松島市>〜22番・平等寺<阿南市>)。

20~21番のへんろ道をクリアして一気に太平洋まで走った。宿の予約電話で「今日来るんですか?18番から当日うちに来た人は誰もいないですよ。多分ムリだと思いますよ」といわれたが、到着すると店主驚いて「伝説ですわ」って(笑)。

この日、7巡目の先達さんに会った。いまだに遍路旅に満足出来ず巡拝されてるそうだ。大広間に一人、ラッキーな宿に泊まれてうれしかった!素泊まり&夕食はスーパーにて調達。

Day 4・5月2日(月)

晴れ、23℃。23番・薬王寺<海部郡美波町>を巡拝、88km。

まだ四国遍路がどんなものか理解できてなかった。ただただ、がむしゃらにピーカンの海岸線を走った。こんな距離走ったら翌日にダメージ残るのも知らずに。

道中、車が止まってフード・ドリンクを差し出し「ネットで見ました!頑張ってください!」と予期せぬお接待!めっちゃ嬉しかった(多謝&深謝!)

宿到着はPM21:30になってしまった。翌日から80kmオーバーは止めると誓った。室戸岬にはスーパー、コンビニがなく、やむなくこの旅で唯一の外食へ。素泊まり。

Day 5・5月3日(火)

晴れのち豪雨、20℃。24~27番を巡拝、52km(24番・最御崎寺(ほつみさきじ)<室戸市>〜27番・神峯寺(こうのみねじ)<安芸郡安田町>))。本日、スタートからの累計が300kmを超えた。

昨日ムリな移動が祟り、起床はAM5:30。27番巡拝後に風速18mの雨嵐に見舞われる。ずぶ濡れになって30件の宿に電話したが、どこも満員。仕方なくコインランドリーで仮眠した。先が思いやられた一日だった。夕食はコンビニにて調達。

Day 6・5月4日(水)

晴れ、27℃。28~32番を巡拝、67km(28番・大日寺<香南市>〜32番・禅師峰寺<南国市>)。

コインランドリーをAM1:30に出て南国市を目指した。29番にはAM7:00到着。この日は一転してドピーカン(涙)。

th_Satoshi-Inoue-Ohenro-2016-Day6-29th

29番・国分寺にて。

睡眠不足により桂浜の宿にPM4:00と早めにチェックイン。しかし、ここでの宿泊は避けてもう5km進むべきだった。昼間の暑さのせいか夜の焼酎を残す。カラダは炭酸を要求していた。素泊まり&夕食はスーパーにて調達。

Day 7・5月5日(木)

晴れ、28℃。33~36番を巡拝、68kmを進み、スタートから400km地点を通過(33番・雪蹊寺<高知市>〜36番・青龍寺<土佐市>)。

朝5時から行動開始で札所巡拝がスムーズにできた。イタリア人の男性「ヘンロジン」と出会った。「通し打ちの予定」と言っていた。

th_Satoshi-Inoue-Ohenro-2016-Day7-35th

35番・清瀧寺にて

この日もピーカン地獄(涙)。スカイラインは眺め良いがアップダウン激しい(汗)。素泊まり&夕食はスーパーにて調達。

Day 8・5月6日(金)

雨、18℃。37番(岩本寺<高岡郡四万十町>)巡拝、45km。

th_Satoshi-Inoue-Ohenro-2016-Day8-Henro-Trail

へんろ道のコース案内

37番~38番の間が85km離れているため37番だけの巡拝。朝から雨と連休明けで「ヘンロジン」は皆無、この日会ったのは一人だけ。「歩きヘンロジン」はほんま少ない。宿に乾燥機がなく困った。素泊まり&夕食はスーパーにて調達。

Day 9・5月7日(土)

晴れ、25℃。本日は札所なし。行程は65kmで500km地点を通過。

38番(足摺岬)までのつなぎの移動日。海岸線をモクモクと走った。四万十に泊まりたかったがガマンしてスルーした。この日はピーカン地獄(涙)。足摺岬から打戻りの「ヘンロジン」数人とすれ違う。

宿ではへんろ道解説と朝におにぎりを頂いた(多謝&深謝!)。素泊まり&夕食はコンビニにて調達。

Day 10・5月8日(日)

晴れ、22℃。38番(金剛福寺<土佐清水市>)を打戻り、67km。600km地点を通過。

起床時、右ヒザ激痛で中断の危機。痛み止めと湿布服用でスタート。念願の足摺岬までたどり着けて自分に感動した。ここまで走行距離600キロあたりで全行程の中間あたり。

th_Satoshi-Inoue-Ohenro-2016-Day10-Ashizuri

足摺岬にて。

足摺岬から打戻りの「ヘンロジン」と出会いが多かった。打戻りは海から山へ。選んだ宿は農村エリアでスーパー無し(汗)。手前3kmのヘンロ小屋でカップ焼きそばのお接待(多謝&深謝!)。宿には缶ビール(¥200)が置いてあり5本飲んだ(笑)。宿の店主に誘われ料理をサービスして頂き、一緒に飲んだ楽しい夜だった。おまけに遍路マップもいただいた。最高なお接待に感動した!宿に恵まれた幸せな一夜。素泊まりで夕食は宿のサービスとヘンロ小屋(多謝&深謝!)。

Day 11・5月9日(月)

雨、19℃。39~40番巡拝(39番・延光寺<宿毛市>〜40番・観自在寺<南宇和郡愛南町>)、53km。

朝から激しい雨(涙)。40番で打ち止め。雨にうんざり。40番まで「ヘンロジン」とは誰一人会うことなく、無言の行に。素泊まり&夕食はスーパーにて調達。宿のお母さんにミカン・バナナのお接待(多謝&深謝!)。

Day 12・5月10日(火)

晴れのち豪雨、23℃。41~42番巡拝(41番・龍光寺<宇和島市>〜42番・佛木寺<宇和島市>)、56kmで700km地点を通過。

AM11:00から激しい雨。足に大量のマメができて痛い!雨はシューズ乾燥に時間がかかるのでツラい(涙)。素泊まり、手持ち食材で済ませる。

th_Satoshi-Inoue-Ohenro-2016-Day12-Rain

猛烈な雨風の中を進む。

Day 13・5月11日(水)

晴れ、24℃。43番(明石寺・めいせきじ<西予市>)を巡拝。65km。

前夜、うっかりシューズの乾燥を忘れていて、朝になって慌ててドライヤーをかける。昨夜、手持ちの食料を食べ尽くしたので、ハンガーノック気味で15キロ先を目指した。

43番巡拝後、峠で加速して午前中に40キロ走った。44番は78キロ先なのでムチを入れて距離を稼いだ。猫だらけで悪臭漂う宿に参った(涙)。素泊まり&夕食はスーパーにて調達。

Day 14・5月12日(木)

晴れ、25℃。44~47番巡拝(44番・大寶寺<上浮穴郡久万高原町>〜47番・八坂寺<松山市>)、62km。800km地点通過。

難所の44~45番は予想以上に時間かかった。へんろ道にヘビ出没(汗)。荷物発送にも時間費やしイライラMAXに。

ピーカン地獄だったが後半にへんろ道下り8キロで元気回復。ラスト30分にダッシュで2ヶ所巡拝できた。足はすり傷・マメなどでボロボロ。素泊まり&夕食はスーパーにて調達。

Day 15・5月13日(金)

晴れ、27℃。48~53番巡拝(48番・西林寺<松山市>〜53番・圓明寺<松山市>)、50km。

狭い車道の松山市内。騒音&排ガスに苦しめられた。地図見てるばっかりで中々進めずイライラ。この日も強烈なピーカン(涙)。

53番を打った後はついに瀬戸内海に到達!自分の足でここまで来たかと感動した。宿からはキレイな夕日見ながらビール!宿のランドリーで会った歩き遍路オジサン(横浜)には笑った。なんとGパンでへんろやってるらしい(爆)。「へんろ道は蛇いるから怖い」って都会住まいの人は軟弱に感じた。もっとも自分のようにトレイルランでお遍路をする人もいないと思うけれども。

へんろ道には「歩きヘンロジン」皆無の理由がようわかった。どうもアップダウンと蛇は苦手らしい(笑)。空気澄んでて、涼しいし、湧き水もあるけど避ける(笑)。素泊まり&夕食はスーパーにて調達。

Day 16・5月14日(土)

晴れ、27℃。54~63番を巡拝(54番・延命寺<今治市>〜63番・吉祥寺<西条市>)、65km。900km地点を通過。

60番は抜かして9ヶ所巡拝ラッシュ!この日も暑くて参ったが根性ふりしぼって前進!4kmほどのコースロストにも耐えた(笑)。17時まで、ラストの1時間で3ヶ所巡拝(滝汗)。

th_Satoshi-Inoue-Ohenro-2016-Day16-59th

59番・国分寺にて。

ビールが最高にうまかったが宿のTVは映らない(笑)。つぶしたマメが痛くてだましだましで走った(涙)。素泊まり&夕食はスーパーにて調達。

Day 17・5月15日(日)

晴れ、28℃。60番(横峰寺<西条市>)、64番(前神寺<西条市>)を巡拝、73km。

朝4:30行動開始で片道15km、標高差750mの60番へ向かった。激しい上りに気絶寸前。往復5時間で始末したが難儀な山寺だった。下りは右ヒザに負荷かかりツラかった(涙)。

th_Satoshi-Inoue-Ohenro-2016-Day17-uphill

急坂を登る。

64番から65番までは50kmあるので手前まで移動。ピーカンの車道をガマンしてPM18:00まで走った(滝汗)。この日、讃岐の手前まで移動したのでカウントダウンの雰囲気!早く終わらせて結願したいと思った夜だった。

旅で唯一のビジネスホテル。洋室は狭いからリラックスできないし、ランドリーが別フロアというのもジャマくさい。日本人はやっぱ和室が一番と感じた。素泊まり&夕食はスーパーにて調達。

Day 18・5月16日(月)

晴れのち豪雨、25℃。65番~70番巡拝(65番・三角寺<四国中央市>〜70番・本山寺<三豊市>)。57km。1000km地点を通過。

難所の65番巡拝後、下りのトレイルでどしゃ降りでずぶ濡れ。69番の納経所では待たされて寒さに震えた。大雨にガマンできなくてへんろ18日目にして菅笠を購入。菅笠の必要性がようやくわかった。

70番に向かう河川敷では強風も伴いさらにカラダが冷えた。心が折れそうになり半泣きで何とか70番にたどり着いた。納経所ではアメちゃんお接待と宿の案内までして頂いた(感謝)素泊まり&夕食はスーパーにて調達。

Day 19・5月17日(火)

晴れ、25℃。71~81番巡拝(71番・弥谷寺・いやだにじ<三豊市>〜81番・白峯寺<坂出市>)。63km。

朝一発目の71番は530段の山寺とは全く知らず度肝を抜かれた。へんろ地図に記載なく巡拝終了まで30分かかった(汗)。75番の善通寺で、送っておいた荷物を受け取り、郵便局で自宅へ最後の発送。ピーカン地獄に耐え79番まで巡拝、80番にPM15:30(残り90分)に到着。90分あれば81番に行けると思ったが、納経所で団体の後になった。

結局、PM15:45(残り75分)で7kmの峠越えに挑戦した。ここまで累計1000kmは越えてるのに急にレース並みのペースに(滝汗)。しんどいけど上りも走って81番を目指した。逆打ちヘンロジンにすれ違うと「間に合いますか?」と聞いたりもした。泣きたくなるような激坂を上り切って下り4kmは限界までスピード上げて駆け下りた!

結果、15秒前に納経所へすべり込みセーフ(滝汗)。無事に巡拝を終了したけどもマジでやりすぎた。今回のへんろ旅で一番苦しかった札所区間だった。

このようなことがあると早朝からの行動に後悔が残る。あそこでゆっくりしてたからとか、コンビニ休憩が長すぎたとか。この日、ここまでムリせんでもよかったが、挑戦好きな性格が災いした(笑)。この日は11札所に巡拝!素泊まり&夕食はスーパーにて調達。

Day 20・5月18日(水)

晴れ、27℃。82~87番巡拝(82番・根香寺・ねごろじ<高松市>〜87番・長尾寺<さぬき市>)。57km。

この日で結願と思ったが甘くなかった。84~85番の屋島(源平合戦)八栗の上りで時間かかり結願断念。この日、3月に家を出て2ヶ月も巡拝しているヘンロジンに会った(笑)。

th_Satoshi-Inoue-Ohenro-2016-Day20-lastmiles

最後の88番を直前にして。

結願前夜は87番エリアの宿に!木村ファミリーから凄まじいお接待に仰天!さらに夜には友人たちが激励にわざわざ来てくれて感激した!この日も強烈なピーカン地獄(滝汗)。明日でへんろが終わると思うと複雑な心境だった。素泊まり&夕食はスーパーにて調達。

Day 21・5/19(木)

88番・大窪寺<さぬき市>で結願!行程は14km。

th_Satoshi-Inoue-Ohenro-2016-Day20-88th

88番・大窪寺で結願。

今回の総走行距離は1227km、スタートから結願までは19日21時間35分だった。

八十八箇所をすべて巡礼すると「結願」となる。

八十八箇所をすべて巡礼すると「結願」となる。

th_Satoshi-Inoue-Ohenro-2016-certificate-from-Koyasan

高野山奥の院(和歌山)のお礼参りで「満願」となる。

th_Satoshi-Inoue-Ohenro-2016-certificate-from-toji

さらに東寺(京都市)にお参りすることで「成満」となる。

(装備品)

以下、計6.5kgが今回の旅の装備。

  • アルティメイトディレクション30L
  • ナイキレボリューション3(28cm)
  • ファイントラック(メッシュスキン上下)
  • ドライパンツ(ユニクロ)
  • カジュアルソックス
  • メディカルセット(テーピング・痛み止めなど)
  • ポンチョ
  • デジカメ
  • 充電器(GPS・スマホなど)
  • へんろグッズ(納経帳・数珠など)
  • iPad
  • レインパンツ
  • シュラフ・マット
  • ゴアテックスの上下(モンベル)
  • ダウンジャケット(パタゴニア)
  • ウィンドブレーカー
th_Satoshi-Inoue-Ohenro-2016-seishun-products

青春スポーツのサプリメントはトレイルランナー、ウルトラランナーの間でも評判。今回のお遍路の旅を支えた。

井上聡
プロフィール:井上聡(いのうえさとし)青春スポーツ店長。1964年11月生まれ、大阪府豊中市在住。2012年、友達に誘われウルトラマラソン100kmに挑戦。初挑戦で初完走。その後、佐渡島一周206km・萩往還250km・川の道520km・トランスエゾ1100km・本州縦断1521km・UTMF・信越五岳・ハセツネなどトレランと超ウルトラマラソンのレースに数回出場。海外レースに興味なく国内のジャーニーランにのめり込んでいる。
Sponsored link