宮原、吉住、松本、高村の4人が日本選手権チャンピオンに・Zao Skyrunning 2016 リザルト

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Zao-Skyrunning-logo静かな温泉街が日本のスカイランニングの中心となった週末でした。週末の9月3日土曜日、4日日曜日に山形市の蔵王温泉でZao Skyrunningが開催されました。土曜日には距離4.7kmで標高差900mを一気に駆け上がるバーティカルレース、日曜日には蔵王連峰・刈田岳の馬の背までを往復する距離22km / 1450mD+のスカイレースが行われ、この二つのレースは2016年スカイランニング日本選手権のそれぞれVKカテゴリー、SKYカテゴリーのレースとして全国から有力アスリートが集結。その結果、バーティカルレースで宮原徹 / Toru Miyahara(滝ヶ原自衛隊)、吉住友里 / Yuri Yoshizumiがそれぞれ男女で優勝。スカイレースでは松本翔 / Sho Matsumoto(日税ビジネス)と高村貴子 / Takako Takamuraが優勝。4人が今年の日本選手権チャンピオンとなりました。

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(写真・下りで転倒しながらも最後に挽回してスカイレースで優勝した松本翔。Photo by Koichi Iwasa / DogsorCaravan.com)

バーティカルレースは宮原徹、吉住友里が勝利

Skyrunner_Series_Japan_logo土曜日の午後に開催されたバーティカルレースは蔵王温泉の温泉街(870m)から地蔵岳(1736m)まで、4.6kmで標高差900mを駆け上がるレース。強い日差しの中で30秒ごとに選手がスタートする形式で行われました。

男子で優勝したのは、宮原徹 / Toru Miyaharaで37分06秒で地蔵山頂にフィニッシュ。所属する滝ヶ原自衛隊の駅伝チームのエースとして富士登山駅伝での優勝に貢献している宮原は、最近は登りのみの力が問われるバーティカル・キロメーターを中心に出場しています。昨年の日本選手権(上田VK)に続いて今年の日本選手権も優勝して、チャンピオンの座を守りました。宮原は2週間前にアメリカ・コロラドで開催の伝統ある山岳レース、Pikes Peak Ascentに出場して帰国したばかり。この日もスタート直後はやや体が重い感じで、照りつける日差しに頭が少しボーっとしたといいますが、王者の地位を譲ることはありませんでした。2位には新牛込崇史 / Takashi Shinushigomeが38分18秒、3位に柳澤隼人 / Hayato Yanagisawaが40分35秒と、滝ヶ原自衛隊のチームメイト3人がトップ3を独占する活躍を見せました。今年の上田VKで5位だった新牛込は宮原と1分12秒差での2位。スタートが30秒後だった宮原が新牛込に追いついてからも、新牛込はしばらく先を譲らず宮原と並走。「今日の新牛込はいい走りをしたと思う」と宮原も振り返っていました。4位にはロードマラソンで活躍するトップ市民ランナーとして知られ、富士登山競走で二連覇中の松本翔 / Sho Matsumoto、5位はこちらもバーティカルのスペシャリストで7月の世界選手権日本代表の渡辺良治 / Ryoji Watanabeが入りました。

 

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Zao Skyrunningのバーティカルレースで優勝した宮原徹 / Toru MIyaharaが地蔵岳山頂直下を駆け上がる。

 

女子のレースでは、今年5月の上田VKで初挑戦ながら圧倒的なタイムで優勝している吉住友里 / Yuri Yoshizumiが出場。3週間前に脚に痛みが出てから走るトレーニングは控えているという中での今回のレースでしたが、スタートしてからは次第にスピードを上げ、結局47分4秒で優勝。2位の石田正子 / Masako Ishidaに3分40秒という大差で今回もその実力を見せつけました。2位の石田正子はクロスカントリースキーでワールドカップ3位(2009年)やオリンピック出場経験を持つアスリートでスカイランニングは初挑戦でした。3位には高村貴子 / Takako Takamuraが入りました。

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バーティカルレースで女子優勝の吉住友里 / Yuri Yoshizumiがスタート直後に酢川温泉神社の参道を登る。

スカイレースは松本翔、高村貴子が優勝、波乱の展開も

22km / 1450mD+のスカイレースは蔵王温泉をスタートし、馬の背を経て刈田岳までの往復コースで開催されました。午前9時にスタートすると、前半から松本翔 / Sho Matsumotoが単独でリード。樹氷高原駅(5.7km)では松本が33分で通過してから1分で吉原稔 / Minoru Yoshihara、さらに1分で藤飛翔 / Tsubasa Fujiが続き、トップから3分後に和田優一 / Yuichi Wada牛田美樹 / Miki Ushida秋元佑介 / Yusuke Akimoto名取将大 / Masahiro Natoriが続きます。登りの地蔵山頂駅(7.7km)でも松本が48分でトップ通過。このまま松本がトップを守るかに見えました。

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コース前半のゲレンデの登りをトップで走る松本翔 / Sho Matsumoto。

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3位の藤飛翔 / Tsubasa Fuji。

波乱が起きたのは馬の背を経て刈田岳(11km)で折り返して復路に入ってから。熊野岳からのややガレた下りで松本翔が転倒。大きなケガにはならなかったものの、胸を地面に、頭を石にぶつけてしまいます。松本は再び走り始めますが、この間に吉原に先頭を譲ることになり、下りの地蔵山頂駅(14.2km)では2分遅れの2位で到着。この先の蔵王山麓駅(19.6km)までにトレイルの下りに慣れた藤に先を越され、松本は3位に後退します。しかしここからの残り2kmあまりで松本がその実力を発揮。標高差150mほどのゲレンデの登りで一気に藤、吉原をとらえて抜き去り、そのまま蔵王温泉に駆け下りてフィニッシュ。最終盤に見事に挽回して優勝し、2016年日本選手権チャンピオンとなりました。今回の出場者の中ではエリートマラソンランナーとして抜群のスピードの持ち主である松本としては、登りで後続に差をつけて下りでそれを守るというシナリオが途中の転倒で崩れることになりました。しかしマラソンランナーとしての松本の実力とプライドが、残り2kmでの逆転劇に繋がりました。

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復路の地蔵山頂駅(14.2km)にトップであらわた吉原稔 / Minoru Yoshihara。

2位の吉原稔は松本と1分11秒差で2位。今年は奥三河パワートレイル70kで2位となり、10月のIAUトレイル世界選手権に日本代表として出場します。3位には早大生の藤飛翔。4位に牛田美樹、5位に和田優一、6位に西澤誠二 / Seiji Nishizawaと続いたあと、6位に韓国のJinwan Kimが入りました。今回、韓国から実力あるランナーが参加する中でトップ10に入る活躍でした。

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女子のレースは終始、高村貴子 / Takako Takamuraがリードし、桑原絵理 / Eri Kuwabaraが追うという展開。高村は先月のユース世界選手権・Gran Sasso Skyraceで2位となって世界にその実力を示したばかりですが、まだその疲労も残る様子。登りでは苦しそうな表情で、追う桑原との差は1分ほど。しかし、下りに入ってからはペースを上げて、結局2位の桑原に11分近い差をつけての圧勝でした。ユース世界選手権を経て、レースでみせる粘り強さが増したように感じられました。3位には韓国のSooji Parkが入る快挙、優勝した高村から15分差でした。4位に昨年の日本選手権チャンピオンの長谷川香奈子 / Kanako Hasegawa、5位に折戸小百合 / Sayuri Orito、6位に岩楯志帆 / Shiho Iwadateが続きました。

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終盤に大きくリードを広げて高村貴子 / Takako Takamuraがスカイレースで優勝。

桑原絵理は今回2位。福島をベースにロードレース、マラソンで活躍。スカイランニングでは今年の経ケ岳で4位。7月の志賀高原マウンテントレイルで2位などの成績。

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今回、韓国から実力あるランナーが参加する中で、Sooji Parkが女子3位に入る快挙。

このほか、今回のZao Skyrunningでは中学生、高校生を対象にしたユーススカイレース、小学生を対象にしたジュニアスカイレース、下りを中心にしたファンレースなどのイベントも開催され、様々な人たちが蔵王温泉と蔵王の山を楽しみました。

蔵王温泉の雰囲気が楽しい日本らしいスカイランニングレース、来年はアジア選手権としての開催に期待

今回のZao Skyrunningは2016年のスカイランニング日本選手権(VKカテゴリー、SKYカテゴリー)として開催されました(ULTRAカテゴリーの志賀高原エクストリームトレイルは10月22日開催)。この週末にVKでは宮原徹、吉住友里、SKYで松本翔、高村貴子が日本チャンピオンとなり、今年12月2日〜4日に香港で開催されるスカイランニングアジア選手権・MSIG Lantau VK, 50の日本代表に内定基準を満たしました。

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スカイレースの日本選手権チャンピオンとなった松本翔 Sho Matsumoto(右)と高村貴子 Takako Takamura。

各地に温泉の近くを会場とするトレイルランニングやスカイランニングのレースは少なくありませんが、このZao Skyrunningのように温泉街のど真ん中にスタート、フィニッシュゲートが設けられるという大会は他に聞きません。温泉の匂いが漂う中、神社の鳥居をくぐり、旅館や土産物屋の前を駆け抜けてフィニッシュするという情緒溢れる大会です。コースはスキーゲレンデの登りが少々登りづらいという声もありましたが、地蔵岳から刈田岳は見晴らしがよく、天気がよければ御釜(火山湖)の眺めも楽しめる、ダイナミックな山岳コースとなっているのが魅力です。

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Zao Skyrunningのフィニッシュラインは蔵王温泉の温泉街の中心に位置する。

来年のZao Skyrunningはスカイランニングアジア選手権に立候補しているところです。今回の大会の成功を受けて、この蔵王温泉が世界各国からスカイランナーが集まる交流の場となるとともに、ハイレベルなレースが展開されることに期待が高まります。

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蔵王温泉の山側に位置する酢川温泉神社の参道の階段を駆け下りてフィニッシュ。

Zao Skyrunning 2016・バーティカルレース リザルト

大会全体のリザルトはこちらから。

男子

  1. 宮原徹 Toru Miyahara(滝ヶ原自衛隊) 37:06(優勝インタビューはこちら
  2. 新牛込崇史 Takashi Shinushigome (滝ヶ原自衛隊) 38:18
  3. 柳澤隼人 Hayato Yanagisawa (滝ヶ原自衛隊) 40:35
  4. 松本翔 Sho Matsumoto 41:05
  5. 渡辺良治 Ryoji Watanabe 41:46
  6. 牛田美樹 Miki Ushida(inov-8) 42:37
  7. 和田優一 Yuichi Wada 42:44
  8. 佐々木侑一 Yuichi Sasaki 44:06
  9. 中島崇晴 Takaharu Nakajima 44:34
  10. 吉原稔 Minoru Yoshihara(Tecnica) 45:14
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女子

  1. 吉住友里 Yuri Yoshizumi 47:04(優勝インタビューはこちら
  2. 石田正子 Masako Ishida 50:44
  3. 高村貴子 Takako Takamura 54:09
  4. 須藤吉仕子 Kishiko Suto 1:00:09
  5. 大松知恵 Chie Ohmatsu 1:01:00
  6. Boyoung Jang 1:02:01
  7. 岩楯志帆 Shiho Iwadate(Dynafit) 1:03:01
  8. 山田幸子 Sachiko Yamada 1:05:56
  9. 池田華子 Kako Ikeda 1:06:51
  10. 涌井瑞保 Mizuho Wakui 1:11:39
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バーティカルレース優勝の宮原徹、吉住友里がチャンピオンジャージを着て、今年人気のあのポーズをきめた。

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フィニッシュで健闘を讃え合うバーティカルレースの女子選手。左から2位の石田正子、6位のBoyoung Jang、優勝の吉住友里、3位の高村貴子。

Zao Skyrunning 2016・スカイレース(22km) リザルト

大会全体のリザルトはこちらから。

男子

  1. 松本翔 Sho Matsumoto 2:03:17(優勝インタビューはこちら
  2. 吉原稔 Minoru Yoshihara(Tecnica) 2:04:28
  3. 藤飛翔 Tsubasa Fuji 2:05:34
  4. 牛田美樹 Miki Ushida(inov-8) 2:06:03
  5. 和田優一 Yuichi Wada 2:06:36
  6. 西澤誠二 Seiji Nishizawa 2:07:52
  7. Jinwan Kim(Salomon Korea) 2:11:01
  8. 小山真一 Shinichi Koyama(第1空挺団) 2:11:33
  9. 秋元佑介 Yusuke Akimoto (第1空挺団) 2:12:43
  10. 吉田岳生 Takeo Yoshida 2:12:09
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スカイレース男子の表彰台。左から2位の吉原稔、優勝の松本翔(代理の松本大)、3位の藤飛翔。

女子

  1. 高村貴子 Takako Takamura 2:32:08(優勝インタビューはこちら
  2. 桑原絵理 Eri Kuwabara 2:42:59
  3. Sooji Park (Salomon Korea) 2:47:58
  4. 長谷川香奈子 Kanako Hasegawa(Dynafit) 2:51:12
  5. 折戸小百合 Sayuri Orito 2:53:03
  6. 岩楯志帆 Shiho Iwadate (Dynafit) 2:56:59
  7. 大松知恵 Chie Ohmatsu 2:57:51
  8. 林絵里 Eri Hayashi 3:00:31
  9. Boyoung Jang 3:03:00
  10. 池田華子 Kako Ikeda 3:07:23
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スカイレースの女子表彰台。左から2位の桑原絵理、優勝の高村貴子、3位のSooji Park。

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