サハラマラソン Marathon des Sables 2017 プレビュー #MdS #UTWT

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サハラ砂漠の荒野の中、7日間にわたって必要な食料と装備を背負って計250kmを走る。今年も第32回サハラマラソン Marathon des Sables(MdS)が4月7日金曜日から17日月曜日にかけて、北アフリカのモロッコで開催されます。Ultra-Trail World Tourの第4戦となるこの究極のウルトラマラソンには、今年も日本から51人が選手として参加します。当サイト・DogsorCaravan.comは今回初めて現地に入り、大会日程を通じて大会を現地で取材します。サハラ砂漠での通信状況は場所と時間が限られますが、時折現地から大会の模様をレポートする予定です。


(写真・サハラマラソンのスタートの様子。Photo courtesy of

サハラマラソンとはどんな大会?

Marathon-des-Sables-logo-square1984年、当時28歳のパトリック・バウアー Patrick Bauerがサハラ砂漠を走破するアドベンチャーに成功します。食料や寝袋などを全て背負ったひとり旅で、走った距離は350kmを12日間におよぶ挑戦でした。自らの足で進み、食事を用意して寝る。見渡す限り広がる砂漠でこれ以上ないシンプルな日々を過すことの素晴らしさを経験した若者は、2年後の1986年には自身の経験を基に23人の参加者を集めて最初のサハラマラソンを開催します。

以来、今日までに約2万人がこの大会に参加し、32回目となる今回も1296人がこの究極のウルトラマラソンに参加します。参加者を国別にみると、一番多いのはイギリス(全体の32%)で、フランス(23%)、スペイン(4.5%)と続き、4番目は日本(4%、51人)。最年少はイギリスからの16歳、最年長の男性はフランス・コルシカからの80歳で今回は5回目の完走を目指します。女性の最年長は72歳のドイツ人。60歳でマラソン、67歳でウルトラマラソンを初めて完走して以来、マラソンを26回、ウルトラマラソンを63回完走しているという遅咲きのアスリートです。

1300人近くの参加者は普段の生活から切り離され、見渡す限り何もないサハラ砂漠で1週間を過ごします。多くの参加者にとって、サハラマラソンに参加することは単なるウルトラマラソンのレースを超え、自然の中で自分を見直す貴重な体験になるといいます。そして、参加者同士はその体験を共有することで国籍や言葉を超えた一体感を感じることになるといいます。とりわけ、一日を終えて一つのテントの下で一緒に過ごす8人の仲間とは生涯の友となることも少なくないとのこと。

サハラマラソンに参加するならこんなことに気をつけよう

当サイトもランニング、とりわけウルトラマラソンやトレイルランニングを始めた頃からサハラマラソン(MdS)に参加するという仲間が時々現れ、その体験を聞くたびにその強烈さに驚かされました。大会のまとめた資料から、サハラマラソンに参加する場合の豆知識をいくつか紹介しましょう。

Photo courtesy of Marathon des Sables

  • 全部走らなくても、あるいは全部歩いても完走できる:合計で250kmという距離に圧倒されますが、制限時間をいっぱい使うと合計で83時間となり、これは時速3kmという歩くスピードです。実際、全体の1割ほどの参加者は歩いて完走(完歩)を目指すとのこと。もちろん、歩いたからといって決して楽な挑戦ではないでしょう。なお、優勝争いをするアスリートは18時間前後で完走するので、そのペースはフルマラソンをサブ3のペースで走り続けることになります。
  • 砂漠の日中の気温は30℃くらい、日差しを遮るものがないところでは45℃に達することも:サハラマラソンの写真をみると参加者が長袖シャツにタイツという出で立ちなのは日差しから身を守るため。
  • 砂は選手を苦しめる:写真では美しく滑らかな紋様を描く砂漠の砂ですが、そこを走ろうとすれば足元は沈み込みます。そして細かい砂の粒は口や鼻、耳だけでなく、背中のバックパックにも侵入します。
  • コースはマーキングされているのだが:コースは大会によってしっかりマーキングがされていますが、コンパスで方向を確認しながら進むことが必要。さらに風の強い日にはコースマーキングが見づらくなるといいます。参加選手にはGPSと衛星通信で自分の場所を発信するSPOTの端末が渡され、大会本部は選手を所在を常時確認しています。
  • 食べ物は自分で携行するものだけ:サハラマラソンの大きな特徴は7日間の大会期間中に必要な食料は全て自分で用意してそれを背負って走るということ。大会側では一日あたり最低2,000kカロリー以上の食料を携帯することを求めています。ほとんどの食料はドライフードとなります。一方水は大会から毎日、朝、エイド、夜と支給されますが、その量は一日あたり12リットルと決まっています。ちなみにガス缶は現地に移動するための飛行機に持ち込めないので、大会で火を使う場合は固形アルコール燃料や砂漠に落ちている木の枝を使うそうです。
  • 寝るのは持参の寝袋で:ステージレースで疲労回復のための睡眠は重要。そのための寝袋やマットもレース中に持ち運ぶ装備の一つです。夜の気温は平均14℃ですがモロッコ風のテントは風が床を吹き抜けるため防寒対策も必要。
  • 足のマメに要注意:大会開催中に一番多い体のトラブルは足にできるマメ。シューズやソックスだけでなく、砂がシューズに入らないようにゲイターも用意します。マメができてしまった場合には、自分で処置するよりも大会の医療スタッフの処置を受けるのがおすすめ、とのことです。

コースと日程

サハラマラソン(MdS)のコースは毎年少しずつ異なり、コースマップが配布されるのは大会参加者が現地に入ってから。大会資料では今年予定されているコースが次のように説明されています。

Photo courtesy of Marathon des Sables

  • 4月7日金曜日:大会参加者のためのチャーター便でパリからモロッコへ移動。
  • 4月8日土曜日:装備チェックやブリーフィングなど。
  • サハラマラソン(MdS)のコース全体のイメージ図。

    4月9日日曜日:ステージ1・砂丘を走る比較的フラットなコース。フィニッシュにかけてゆるやかな登り。ペースが上がりがちですが、まだ初日なので抑えて。

  • 4月10日月曜日:ステージ2・距離が長く厳しい一日になります。砂の中を進む時間が長い上、谷底から大きな登りがあり、そこから急坂を駆け下りてフィニッシュ。
  • 4月11日火曜日:ステージ3・距離は短めながら、大きな登りでスタートしてアップダウンが連続します。一部には岩がちのテクニカルなセクションも。本格的な砂漠がいよいよ目の前に現れます、
  • 4月12日水曜日〜13日木曜日:ステージ4・最も距離が長くサハラマラソンで最大の難関となるステージ。この日は大半のランナーは午前8時15分にスタートし、トップの男子50人と女子5人は3時間後の午前11時15分にスタートします。砂に足を取られるセクション、足元の不安定なセクションが現れるので要注意。急坂の山の登り下りが連続する一日です。行動時間が長いので日中の暑さと夜間の寒さの両方に備える必要があります。
  • 4月14日金曜日:ステージ5・この日は42kmのコースで、スタートは大半のランナーが午前7時、上位200人のエリート選手は午前8時30分にスタートします。最初に砂丘を越えると足元は走りやすい路面となりますが、直射日光にさらされる時間が長くなるので暑さ対策が必要です。この日を終えればいよいよ完走が目の前です。
  • 4月15日土曜日:ステージ6・計時はあるもののレースの順位には影響しないチャリティ・ステージ。ただし、完走者となるためには必ず参加しなければなりません。レースで優勝した選手から最終ランナーまで参加した全てのランナーがお互いの健闘を讃えあう1日となります。
  • 4月16日日曜日:この日は自由に過ごせる一日で、翌日17日月曜日にチャーター機でパリへと戻ります。

当サイトも、現地からサハラマラソンの模様をお伝えします。

当サイトでは今回初めてサハラマラソン(MdS)の模様を現地からレポートします。参加者の皆さんと一緒に上記の日程で現地に入り、各ステージのキャンプサイトに滞在して取材します。現地ではインターネットへ接続できる機会が限られるためリアルタイムでのレポートは難しいと思われますが、臨場感あふれる情報をお届けしていきます。

今回の有力選手

サハラマラソンはUltra-Trail World Tourの第4戦となっており、UTMB®︎とともに年間ランキングのためのポイントが大きく加算されるボーナス・レーベルのレースの一つです。有力選手を見てみましょう。

Photo courtesy of Marathon des Sables

Women / 女性

昨年のサハラマラソン(MdS)で優勝したのはロシアのナタリア・セディカ Natalia Sedykhでしたが、今年のMdSへの出場は見送っています。

  • ナタリー・マクレア Nathalie Mauclair(フランス):昨年のMdSで2位。2015年のUTMB優勝やレユニオン・Diagonale des Fousで2回優勝など、フランスの長距離トレイルレースのトップ・アスリートです。今回の優勝候補の筆頭といえます。
  • フェルナンダ・マシェール Fernanda Maciel(ブラジル):UTWTのシリーズ戦では常に上位に入り、日本のファンにもUTMFでおなじみです。昨年のMdSでは3位で、今年はナタリーとのレースを展開することになりそうです。
  • エリザベト・バーンズ Elisabet Barnes(スウェーデン):一昨年2015年のMdSのチャンピオンで、最近は世界各地のマルチデイのステージレースで活躍しています。ステージレースの経験がものをいうならば一歩有利でしょう。
  • エミリー・ルコント Emilie Lecomte(フランス):今回初めてのMdSへの挑戦ですが、レユニオン・Diagonale des Fousで優勝した経験があり、昨年のアメリカのステージレース、Grand To Grand Ultraではバーンズを制して優勝しています。
  • アジサ・ラジ Aziza Raji(モロッコ):モロッコの地元のランナーで昨年のMdSでは5位。
  • メラニー・ルセ Mélanie Rousset(フランス):今年2月のTransgrancanariaで3位。UTMBやレユニオン・Diagonale des Fousでも上位に入っています。今回MdSに初出場。
  • ナヒラ・ヘルナンデス Nahila Hernandez San Juan(メキシコ):2009年のMdSで8位、2013年のBadwater 135(アメリカ)で5位。
  • マリー・イブ・トゥルーデル Marie Eve Trudel(カナダ):2015年のGrand To Grand Ultraで4位。

Men / 男性

  • ラシッド・エル・モラビティ Rachid El Morabity(モロッコ):2011年にMdSで優勝したのち、2014年から昨年まで現在三連覇中のMdSのスターです。現在35歳で今年も優勝の筆頭候補です。昨年はUTMBの55kmのレース・OCCでグザビエ・テベナールに次いで2位でした。
  • サミール・アクダー Samir Akhdar(モロッコ):MdSの上位常連で、2015年には4位となっています。
  • アリザ・エル・アカド Aliza El Akad(モロッコ):こちらもMdSの上位常連、過去7回の完走は全て5位以内でした。
  • アンディ・サイモンズ Andy Symonds(イギリス、フランス在住):スカイランニングやUTWTのレースでおなじみです。MdSは初挑戦ですが、欧州勢がどこまでモロッコのトップ選手たちに迫れるかに注目です。
  • ダミアン・ホール Damian Hall(イギリス):昨年のUTMBで19位。ステージレースではコスタリカのCoastal Challengeで今年2月に5位。このほかイギリスの超長距離レース、the Spineで2014年4位、2015年3位でした。
  • アブデルカデル・エル・ムアジズ Abdelkader El Mouaziz(モロッコ):モロッコのアスリートですが、こちらはマラソンのPRが2時間6分、1999年と2001年のロンドンマラソンで優勝というスピードランナー。MdSでも2位になった経験を持っています。
  • ミゲル・カポ・ソレル Miguel Capo Soler(スペイン):2013年のMdSで3位。
  • ルカ・パピ Luca Papi(フランス):UTWTのレースでは毎回活躍している選手で、最近では2月のTransgrancanariaの265kmのレースで優勝しています。MdSは今回初めての登場です。
  • マルコ・オルモ Marco Olmo(イタリア):2006年に58歳でUTMB優勝、そして翌年にも優勝して二連覇というレジェンド。MdSにも何度も出場していて、68歳になった今回もサハラ砂漠に立ちます。

なお、日本からは鏑木毅 Tsuyoshi Kaburakiがエントリーしていましたが、その後のコンディションを見極めて、今回のMdS出場を見送っています。

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