現地レポート その6・サハラマラソン Marathon des Sables 2017 ステージ4

Marathon-des-Sables-logo-square1週間のイベントも佳境を迎えています。サハラマラソン Marathon des Sables(MDS)は12日水曜日に日程で最長となる86.2kmのステージ4がスタート。レースで上位を争うアスリートにとっては、結果に最も大きく影響するステージです。完走を目指す選手たちにとってもこれまでの3つのステージの疲労が残るところで、夜を徹しての行動という最も厳しいステージになります。この記事ではまもなく制限時間(35時間)を迎えるレースの模様をご紹介するとともに、日本からの参加者の皆さんの様子を写真で紹介します。当サイトではUltra-Trail World Tourの第4戦であるMDSの全日程にわたって、選手とともに移動しながら同行取材。随時現地から大会の模様をレポートしています。

大会開催中は大会ウェブサイトでGPS端末からリアルタイムに届く各選手の所在地をウェブサイト上で確認できたり、ビブ番号を指定して書き込むとメッセージが選手に届く(紙に印刷して配布)ようになっています。また、各ステージのフィニッシュラインにはライブカメラが設置されていて、フィニッシュの様子をインターネットで見ることができます。

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(写真・砂漠の中に岩山がある。多様な顔をみせるサハラ砂漠がMDSの舞台。Photo by Koichi Iwasa / DogsorCaravan.com)

4月12日水曜日 – 13日木曜日:ステージ4

今年のサハラマラソンは合計237kmの距離を6つのステージ(最終ステージは順位に影響しないものの参加必須のチャリティステージの7.7km)からなり、4月12日水曜日にスタートするステージ4は86kmと最長の距離。制限時間は35時間となっています。コースは序盤に砂漠の山越えや稜線歩きが配置され、後半は見渡す限り広がる砂丘の間を進んでいくことになります。スタートは午前8時15分で大半の参加選手はコース上を一昼夜にわたって進み、翌日13日木曜日にフィニッシュすることになります。このため全部で7箇所のチェックポイントのうち、56kmのCP5に設けられたテントで仮眠する選手も少なくありません。一方、ステージ3までで男子上位50人、女子5人のランナーは一般ランナーがスタートしてから3時間後の午前11時15分にスタート。これらの選手はスタート当日の夜のうちにステージをフィニッシュすることになります。

ステージ4のスタート。

男子のレースはラシッド・エルモラビティ Racid El Morabity(モロッコ)、サラメ・アラクラ Salameh Alaqra(ヨルダン)、 アブデルカデル・エルムアジズ Abdelkader EL MOUAZIZ (モロッコ)、トーマス・エバンス Thomas EVANS (イギリス)の4人が集団でレースをリードします。47.8km地点のCP4はラシッド、トーマス、アブデルカデルの3人が僅差で通過しますが、ここから後半に加速するラシッドのレースが始まって単独リードを奪います。CP5(56km)では2位のトーマスとは8分以上の差。一方、アブデルカデルはCP5まであとわずかのところで脱水症状に陥り、CP5を前にしてヘリコプターで搬送されてリタイアという展開に。アブデルカデルは1999年と2001年のロンドンマラソンで優勝、マラソンのPRが2時間6分というエリートランナーでMdSでも2位になったことがあります。結局、ラシッドはそのままリードを維持して8時間16分でステージ4をトップでフィニッシュし、王者の貫禄をみせました。2番手はトーマスとラシッドの弟、モハメド・エルモラビティ Mohamed El MORABITYが76km地点となるCP7まで併走する展開。最後にモハメドを振り切ったトーマスがラシッドから11分後の8時間27分で2位、3位のモハメドはトーマスとはわずか47秒差でした。

この日も後半に入ってリードを広げる走りをみせたラシッド・エルモラビティ。

兄・ラシッドを追い、この日は3位でフィニッシュしたモハメド・エルモラビティ。

女子のレースはナタリー・マクレア Nathalie Maclairがリード、エリザベト・バーンズ Elisabet Barnes、フェルナンダ・マシェール Fernanda Macielが続くという展開が最後まで続きました。ナタリーは男女総合でも9位となる9時間38分でフィニッシュ。ここまでの3ステージをトップでフィニッシュしていたエリザベトは前日のステージ3で転倒して膝をケガしていたのが懸念されましたが、終盤にはナタリーとの差を1分半まで縮める堅調な走りをみせました。3位にはフェルナンダ、4位には今回がMDS初挑戦で、ここまで暑さに苦しんでいるエミリー・ルコント Emilie Lecomteが続きました。

ここまでの4つのステージの合計で見ると、女子はエリザベト・バーンズがトップで2位のナタリー・マクレアとは22分以上の差。3位のフェルナンダ・マシェールはトップから70分差です。男子ではラシッドがトップですが、ステージ3までラシッドを追っていたアブデルカデル・ムアジズがリタイア。2番手にはモハメド・エルモラビティが22分差、3番手はトーマス・エバンスでラシッドから28分差となっています。上位選手は丸一日をキャンプサイトで休養に充てたのち、14日金曜日にレースの順位が決まる42kmのステージ5に挑みます。

フィニッシュ後のインタビューで笑顔をみせるラシッド・エルモラビティ。

ステージ4 86.2km・男子リザルト

  1. ラシッド・エルモラビティ Rachid EL MORABITY (モロッコ)  8:16:14
  2. トーマス・エバンス Thomas Evans(イギリス) 8:27:46
  3. モハメド・エルモラビティ Mohamed El MORABITY(モロッコ) 8:28:33
  4. アブデラジズ・バグハーザ Abdelaziz BAGHAZZA (モロッコ)8:41:42
  5. レミギオ・フアマン Remigio HUAMAN QUISPE(ペルー) 8:43:39

ステージ4 86.2km・女子リザルト

  1. ナタリー・マクレア Nathalie MAUCLAIR(フランス) 9:39:58
  2. エリザベト・バーンズ Elisabet BARNES(スウェーデン) 9:41:16
  3. フェルナンダ・マシェール Fernanda MACIEL(ブラジル) 10:00:58
  4. エミリー・ルコント Emilie LECOMTE(フランス)11:10:17
  5. メラニー・ルセ Melanie ROUSSET(フランス)11:27:03

日本から参加の皆さんの様子

今回のサハラマラソンに日本から参加している約50人の皆さんもそれぞれのペースでステージ4を終えました。これまでのところ、ステージ3で一人、ステージ4のスタート前に一人、ステージ4の途中で三人のあわせて5人がリタイアしています。

明日4月14日金曜日に行われるステージ5は42.2km。午前7時にスタート(上位200人のエリート選手は午前8時30分にスタート)し、制限時間は12時間。この日を完走すると完走者メダルが贈られます。この日までのタイムでレースの順位が決まり表彰式も行われる予定です。

この日の皆さんの様子を伝える写真が続きます。

スタート

島脇伴行さんと森栄樹さん

毎日給水を受けるためのチェックのためのカード。12日朝まで進んできています。

黒沢完治さんはサハラマラソンではベテランの75歳。

横山義三さんは地元のマラソンを牛のコスチュームで走ったのがきっかけで、以来10年間「牛さん」として走り続ける。サハラマラソンも3度目。

ステージ4のスタートを前に。

スタートの前にはレース・ディレクターであるパトリック・バウアーさんのブリーフィング。最後に今日誕生日を迎えるランナーの選手を紹介。

寺田心平(中)さんと三明隆(右)さん

中田博喜さん、蕗子さんのご夫妻

CP1(13.6km)まで

スタート直後に宿泊施設もあるオアシスの横を通り抜ける。

砂漠にもいろんな表情。ここは砂も岩もないほぼフラットな乾いた泥の上を走る。

CP2(23.7km)を出て

こうした砂の上の登りが沢山現れる。

砂混じりの山を登りきるとテクニカルな岩場の下りに。約200mほどの標高差を降りる。

今回ひときわ元気な表情の川端道子さん。

しばし眼下に広がる砂漠の眺めを楽しむ。

福山眞弘さん(右)

奥野道明さん

はぎわらとしゆきさん

今井紀明さん

羽隅順子さん

浅井久美子さん(右)

みやぎかずあきさん

中西速都さん

CP2で給水を受けて笑顔の森栄樹さん

今日のランチを楽しむ寺田心平さん

やまもとさこんさん(左)とトーマス・チカレリさん(右)

ほりかずともさん

牛のコスチュームで横山義三さん。

浦田光章さん

島脇伴行さん

CP6(65km)の手前で

今回、初挑戦ながら上位を走るモハメド・エルモラビティ。

CP6の手前でみた放牧の様子。

二日目の朝、CP6(65km)で

しみずゆうさん

ステージ4、二日目の日が昇る。

朝日を浴びて砂漠を進む。

長い砂丘が続いている。

ラクダの群れの脇を通って走る。

チェックポイントで選手と談笑するレース・ディレクターのパトリック・バウアーさん。

ひなたたかみつさん

故郷の山形の花笠をかぶって走るのは小野ちはるさん。

忍者姿の三明隆さん

小野ちはるさんは仲間の寄せ書きの入った手ぬぐいを手にしながらコースを進みます。

チェックポイントで休憩する小野ちはるさん

ステージ4を完走したさがわなおひこさん

高々と日の丸を掲げてステージ4を終えたさがわなおひこさん

銀婚式の記念に参加している福山清美さん。このレポートでは夫の眞弘さんを紹介することが多かったですが、奥様も紹介することができました。

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