[WS100] 極私的レースレポート

2011年のWestern States 100もいよいよ終わろうとしている。主な結果は先の記事でお伝えしたが、こちらではごく個人的なレースレポートを記す。

一度は出てみたいと応募した今年のWS100は見事に抽選で外れ。それでもやはりいつかは出てみたいと思っている。そんな経緯もあって、今年のWS100はインターネットを通じて得られる情報を元にスタートから上位選手のフィニッシュまで、推移をまとめ、twitterやfacebookでリアルタイムで書き続けた。その推移を今のうちにまとめておきたい。

Sponsored link


なお、主な情報は公式サイトからリンクされているultralive.netのウェブキャスト、レースをライブで現地からレポートし続けた米国のウルトララン・トレイルラン情報サイト、iRunFar.comtwitterフィードから得た。充実した情報に感謝。

(スタート)

現地時間土曜日午前5時にスコーバレーをスタート。気温は3℃。スタート時の動画はこちら

まもなく例年のLyon Ridgeではなく、雪のため変更されたコースへ。French Meadow Reservoir方面への谷を進む。

14マイル地点のTalbotあたりから順位情報が入り始める。スタートからの時間で1:59にDave Macky, 2:02にGeoff Roes、Nick Clark、Kilian Jornet、Hal Koener、Mike Wolfe、Adam Lintが集団で到着。2:11にハセツネ優勝者である韓国の沁さんが17位、2:15に奥宮さん22位、鏑木さん23位で一緒に到着。序盤はいつも通り抑えめという作戦か。

(31マイル、Mosquito Ridge)

手前でトップのランナー6人がコースを間違えた模様で、4:29にJez Braggがトップで到着。ロストしたのはMike Wolfe、Nick Clark、Kilian Jornet、Dave Macky、Tim Olsen、Geoff Roes、Hal Koerner、あたりではないかと思われる。雪により変更されたコースから例年のコースに戻るところで多少複雑になっていたためロストしたのではないか。それでもわずか数分の差しかないので大きなロストではなかったと思われる。4:44に18位で鏑木さん、19位で沁さん、4:46に20位で奥宮さんが通過。

このころスタート直後の3.5マイル地点Escarpmentで女性ランナーが滑落してヘリで搬送との情報(のちにランナーではなかったとの情報も)。

(38マイル、Dusty Corners)

山を越えて下りてきた38マイル地点では5:28でJez Braggがトップ。3分遅れてMike Wolfe、Mike Foote、Kilian Jornet、Hal Koerner、Nick Clarkが続く。11分ほど前から空いて5:43に11位で鏑木さん。5:47に16位で沁さん、5:53に20位で奥宮さん。Geoffは5:45で14位。最初からGeoffは調子がよくなかったとのこと。7年連続トップ10入りを目指すAndy Jones-Wilkins、AJWは15位で5:45、調子は頗るよさそうとのこと。

Kilianの装備はいつもの白の上下タイツではなく、パンツは赤色、シャツはメッシュ状の多少ゆとりのあるタンク。頭にはキャップで日よけが垂らしてある。両手にはソフトフラスクのようなボトル。

(47.8マイル、Devil’s Thumb)

さらに一度谷を下りて登り返した47.8マイル地点。43.8マイル地点のLast ChanceからでJezをかわしたKilianが7:00でトップ。2位Mike Wolfeは7:02、3位Jez Braggは7:04、4位Nick Clarkは7:04、5位Hal Koernerは7:05。鏑木さんが10位で7:19。11位にAJWで7:22、12位に沁さん7:23と続く。奥宮さんは18位で7:28。

(55.7マイル、Michigan Bluff)

深いEl Dorado Creekを下りて登り返した55.7マイル地点。Kilianが7:45でトップ通過、2位にMike Wolfeが続く。7:47に3位Hal、7:48に4位Nick、7:50に5位Jez。Kilianはこの後から最後までトップを維持。9位に8:02で鏑木さん、10位にAJW、11位に沁さん。15位奥宮さんは8:16。

ここでGeoff Roesがdrop/棄権。Kilianのペースは昨年に比べると10分ほど遅い。鏑木さんはじりじりと上げてきている

(62マイル、Foresthill)

また登り返して62マイル地点。Kilianが先頭だがばらけてくることもなく進んでいる。1位Kilian 9:27、2位Jez 9:27、3位Nick 9:31、4位Hal 9:34、5位Mike Wolfe 9:39、6位Dave Macky 9:41、7位Tim Olson 9:42、8位鏑木さん 9:43。11位にAJW、12位に沁さん、14位に奥宮さん。鏑木さんは順位を上げたが、Kilianからの時間差は16分でほとんど変わっていない。15位のIan SharmanはMichigan Bluffからのコースで少しミスをして時間をロスした模様。

(70.7マイル、 Peachstone)

鏑木さんはForesthillからの下りの途中、70.7マイル地点のPeachstoneでDave MackyとTim Olsenをかわして5位につけた模様。この時点で4位Mikeとの差は7分。トップのKilianからは14分。Kilian、Nick、Jez、Mikeがかなり下りで加速し、同じくらいのペースで鏑木さんも後を追ったことが窺える。

ここでHal Koernerがdrop/棄権。

(79.8マイル、Green Gate)

Rucky ChuckyでAmerican riverをわたって少し登り返して79.8マイル地点。このあたりから93.5マイル地点のHighway49までは3月に当方が参加したWay Too Cool 50Kともコースが重なっている。

これも読む
DC Weekly 2022年8月29日 IAU100km世界選手権で岡山春紀 Haruki OKAYAMA が優勝

1位はKilian 12:13。4分遅れで2位にNick 12:17、3位Mike Wolfe 12:19、4位Jez 12:20、5位Tim Olsen 12:34、6位鏑木さん 12:36。Kilianが引き離し始めているほか、Nick、Mike、Jezが続いた後が空いてきている。

鏑木さんは後を追ってきたTimにかわされたが、上位4人の加速は相当だった模様で、鏑木さんのKilianからの時間差は70.7マイルPeachstoneでは14分差だったのが23分差まで広がっている。あるいはRucky Chuckyでの川渡りで手間取ったか。

9位にAJW、12位に奥宮さん、14位に沁さん。

(89.9マイル Brown’s Bar)

比較的フラットな走りやすいトレイル。1位Kilian 13:54、2位Mike 13:57、3位Nick 13:58、4位Jez 14:04、5位鏑木さん14:18、6位Tim Olson 14:22。Timを抜き返して鏑木さんが5位に戻る。4位Jezとの差は14分、1位Kilianとの差は24分なのでGreen Gateからあまり変わっていない。

9位にAJW、13位に奥宮さん、14位に沁さん。

(93.5マイル Highway 49 Crossing)

トレイルを一旦下りて、舗装路を渡るポイント。1位Kilian 14:31、2位Mike 13:35、3位Nick 14:39、4位Jez 14:45、5位鏑木さん 14:57。Brown’s Barからは鏑木さんはKilianとの差を少し広げられた(26分)がJezとの差(12分)は少し縮めている。

(100.2マイル Placer High School / Finish)

フィニッシュは1位Kilian 15:34、2位Mike 15:38、3位Nick 15:50、4位Jez 15:55、5位鏑木さん 16:04。9位にAJW、12位に沁さん、13位に奥宮さん。鏑木さんはKilianとの差は30分、Jezとの差は9分。

フィニッシュ後のMikeのインタビューでは、Highway 49からNo Hands Bridgeへの下りでほとんどKilianに追いついたが、フィニッシュへの登りで離されてしまったとのこと。最終盤のKilianとMikeのデッドヒートの激しさは鏑木さんとのKilianの時間差、トップ2人と3位Nickとの差が開いたことからも窺える。一方鏑木さんとJezの差も最終版の7マイルで縮んでおり、鏑木さんの追い上げも激しかったことが窺える。

(まとめ)

こうしてまとめてみると、トップ選手の強さが改めて理解できる。少々のコースのロストに動じず、的確に取り返す。中盤ではライバルに対して退かずに接戦を長く維持することに耐える。そして終盤にライバルが追従できないような勝負を挑む。そんなスタイルにトップ選手の身体と心の強さを窺うことができる。

この記事が気に入ったらDogsorCaravanをBuy Me a Coffeeで直接サポートできます!

Buy Me a Coffee

Sponsored link