香港のロングトレイルを走る・298kmのHong Kong 4 Trails Ultra Challengeは29人が参加して2月6日に開幕 #HK4TUC

冬がトレイルランニングのハイシーズンとなる香港からは次々にトレイルランニングの話題が舞い込みます。春節(旧正月)の三が日の二日目となる2月6日水曜日にHong Kong 4 Trails Ultra(HK4TUC)がスタートします。香港の4つのロングトレイルを計298km、シングルステージで走り続け、60時間または75時間以内での完走を目指します。今年のイベントには経験豊富な選りすぐりの29人が参加。参加者の国籍は13ヶ国におよび、8回目の今回は最も国際色豊かな大会となります。日本からも井原知一 Tomokazu Iharaさんと仁科昌憲 Soken Nishinaさんが参加します。

(写真・昨年のHK4TUCを57時間54分で完走したファイラト・バラシン Phairat Varasin<タイ>。 Photo by Lloyd Belcher Visuals)

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計298kmの四つのロングトレイルを走り抜く

HK4TUCは香港のハイキングコースの中でも代表的な次の4つのロングトレイルを順に縦走していきます。いずれも標準的な方向とは逆に進むこととされていて、これはハイカーのために設置されている道標の表示を参考にしにくくするため。このイベントのためのコースマーキングはもちろんありません。

  • Maclehose Trail (100km)
  • Wilson Trail (78km)
  • Hong Kong Trail (50km)
  • Lantau Trail (70km)

HK4TUCのコースとなる4つのトレイル(大会ウェブサイトより)

トレイル上ではペーサーやサポートクルーはもちろん事前に物資を用意しておくことも認められません。それぞれのトレイルの終点から次のトレイルの起点まではサポートを受けることができますが、その移動の間も時計が止まることはありません。さらに3番目のHong Kong Trailから4番目のLantau Trailへの移動には公共交通機関であるフェリーを使うのがルール。

昨年の大会より。Photo by Lloyd Belcher Visuals

昨年の大会ではリタイアしたSarah Pemberton(イギリス、インドネシア在住)は再びHK4TUCに挑戦します。Photo by Lloyd Belcher Visuals

さらに今回から「大会本来の精神に戻るため」トレッキングポールの使用も禁止となっています。

昨年の大会より。Photo by Lloyd Belcher Visuals

長い石段を登るメレディス・クインラン Meredith Quinlan。Photo by Lloyd Belcher Visuals

4つのロングトレイルの計298kmをトレイルの間の移動も含めて60時間以内で完走し、Lantau Trailの起終点・Mui Woの郵便ポストにキスしたランナーには「フィニッシャー」として讃えられます。そして最終締め切り時間となる75時間以内に完走したランナーも「サバイバー」として讃えられます。2012年の第一回以来これまでの7回の大会で「フィニッシャー」となったのは6人。女性で完走したのは「サバイバー」のわずかに3人にすぎません。昨年は28人が参加し60時間以内のフィニッシャーは二人、75時間以内のサバイバーが5人でした。

大会ファウンダー、アンドレ・ブルームバーグが目指すのは「ローキーだけど厳しく難しいイベント」

このHK4UTCを主催するのは、香港在住のウルトラランナー、アンドレ・ブルムバーグ Andre Blumberg。当サイトの中の人、岩佐も2012年のUTMF、2013年のWestern Statesで一緒に走ったことがあります。しかしアンドレの挑戦は2013年にアメリカのグランド・スラムを達成、2014年にBadwater、Tahoe 200を完走と続き、昨年は2度目のHardrock 100、Spartathlonを完走しています。

大会ファウンダーのアンドレ・ブルムバーグ Andre Blumbergが完走者を迎える。Photo by Lloyd Belcher Visuals

大会ファウンダーのアンドレ・ブルムバーグ Andre Blumbergが完走者を迎える。Photo by Lloyd Belcher Visuals

そのアンドレが自身のホームグラウンドである香港でHK4TUCをはじめて開催したのは2012年。「このイベントはあまり形式ばらないけれど、高いレベルの困難を受け入れて耐える力が求められる究極の難易度を誇る大会にしたいと思っています」とアンドレ。「自律の力とナビゲーション力、そして睡魔といかにして闘うか、がこのイベントでは問われます。長い距離、長い時間を自分自身と向き合って過ごすことがHK4TUCの本質。競走ではないので表彰やメダル、順位といったものはありません。」と説明してくれました。

昨年、56時間14分で最初のフィニッシャーとなったサロモン・ベトスタイン Salomon Wettstein(スイス)。Photo by Lloyd Belcher Visuals

昨年、56時間14分で最初のフィニッシャーとなったサロモン・ベトスタイン Salomon Wettstein(スイス)。Photo by Lloyd Belcher Visuals

ちなみにHK4TUCに参加するには、ウルトラマラソンやトレイルランニングなどの経験とこのイベントになぜ参加したいかをまとめたエッセイをアンドレに提出します。アンドレによれば厳格なエントリー資格は設けていないものの、最近は申し込みが増えていることから「少なくとも1回は100マイルのレースを制限時間以内で完走していること、を目安にしている」そうです。加えて重視しているのがエッセイの内容で、ランナーとしての経験や実績は十分であってもHK4TUCに挑戦する強い動機が認められない場合には参加を認めないこともある、とのことでした。

日本からの注目の二人を含む29人が参加

今年のHK4TUCには日本から井原知一 Tomokazu Iharaさんと仁科昌憲 Soken Nishinaさんの二人が挑戦。

井原さんは日本のトレイルランニングコミュニティでは長距離、とりわけ100マイルのレースに数多く挑戦していることで知られた存在で、これまでに100マイル以上のレースを47回完走、その多くでトップ10入りを果たしています。今年も1月にハワイで開催されたHURT 100で4位となり6回目の完走を果たしています。

Soken_Nishina_2016_TransLantau

仁科昌憲 Soken Nishina

仁科さんは国内のトレイルランニングレースはもちろんのこと、アメリカ、ヨーロッパ、アジアと世界中のレースに参戦。まだあまり日本で知られていないレースにも果敢に挑む冒険心の持ち主です。昨年はHardrock 100に出場を果たして完走、11月にはインドネシアのBTS Ultra 100kで2位になっています。

このほかにも今年の参加者には昨年、75時間以内で完走した「サバイバー」で今年は60時間以内の完走で「フィニッシャー」を目指すメレディス・クインラン Meredith Quinlan(オーストラリア)、アビマンユ・シュンムガン Abimanyu Shunmugam(シンガポール)など、これまで挑戦した経験を持つ11人が再びスタートラインに立ちます。

昨年は66時間50分で完走したメレディス・クインラン Meredith Quinlan。Photo by Lloyd Belcher Visuals

昨年は66時間50分で完走したメレディス・クインラン Meredith Quinlan。Photo by Lloyd Belcher Visuals

2月6日水曜日スタート、最初の完走者は8日夜に現れるか

第8回目となる今年のHK4TUCは2月6日水曜日の午前9時(日本時間同日午前10時)にMaclehose Trailの起点となるTuen Munをスタート。Maclehoseの終点の制限時間が18時間、最後のLantau Trailの起点の制限時間が56時間。フィニッシュはLantau Trailの起点・終点となるMui Woのフェリー埠頭にある緑色の郵便ポストで、60時間以内の「フィニッシャー」は8日金曜日午後9時(日本時間同日午後10時)、75時間以内の「サバイバー」は9日土曜日正午(日本時間同日午後1時)までにフィニッシュすることを目指します。

昨年のHK4TUCのスタート。Photo by Lloyd Belcher Visuals

昨年のHK4TUCのスタート。Photo by Lloyd Belcher Visuals

大会開催中は、GPS端末による各選手の現在地が表示されるライブマップ(http://bit.ly/19HK4TUC)が公開されます。さらにフォトグラファー・Lloyd Belcherが撮影する写真とともに、大会のアップデートが大会のオフィシャルサイト(www.HK4TUC.com)に投稿される予定です。このほかFacebookInstagramTwitter、Youtubeでも様々な写真や情報が投稿される予定です。また、2017年の大会をテーマにしたドキュメンタリー映像作品、Breaking 60も公開されています。

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予告編はこちらから。

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