DC Weekly 2019年7月19日 – BUFF® Epic Trail、野沢温泉、Ontake、Mantra Summits、Badwater

週末から週の初めにかけて海外からは日本のアスリートの活躍のニュースが入ってきました。日本でもレースが相次ぎましたが、レース中の遭難事故というニュースがあり本稿執筆時点ではまだ消息が確認されていません。

今週末も海外では注目レースが相次いで開催されます。

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国内、海外の主なトレイルランニング、ウルトラマラソンの大会日程を網羅する当サイトのレースカレンダーも2019年中の予定を随時アップデートしています。まだ掲載していない大会についての情報のご提供、掲載済みの大会についてのご指摘を歓迎いたします。

(写真・Buff®︎ Epic Trailを走る上田瑠偉 Ruy Ueda。 Photo by © Sho Fujimaki)

トレイルランニング関連ニュース

  • グレートレース「嵐の富士山麓165km UTMF2019」の放送予定:NHKの「グレートレース」では今年のウルトラトレイル・マウントフジ(UTMF)を追った新作エピソードがついに完成!今週初めにはBS4Kですでに放送されましたが、BS1での放送はこれからです。今から準備してお見逃しなく!
    • 「嵐の富士山麓165km ウルトラトレイル・マウントフジ2019」
    • BS1 8月3日(土曜) 午後10時 ~ 午後11時49分 (10分間ニュースを挟んで放送します

先週末のイベント

7月12日金曜日 – 14日日曜日:BUFF® Epic Trail

  • BUFF® Epic Trail (68k, 42k, 26k, 11k): スペイン・ピレネー山脈のバル・デ・ボイ Vall de Boíで開催。レースがMIGU RUN Skyrunner World Seriesの第8戦でした。天候のリスクからコースは一部変更になりましたが、当初の42km 2,800mD+のプロファイルは大きく変わらなかった模様です。レース序盤は上田瑠偉 Ruy Uedaがリードし、オリオル・カルドナ Oriol Cardona(スペイン)が続くという展開。今年の粟ケ岳、そしてLivignoで二人は競り合いの末に上田が勝っています。しかし今回はコース後半の30km地点前後、大きな下りを終えて残るは最後の山を越えるだけとなった時に上田が失速。代わって先頭に立ったカルドナが4時間8分2秒で優勝。続いたのはポルトガルでのトレイル世界選手権で優勝したジョン・アルボン Jonathan Albon(イギリス)で4時間10分、3位はOlympus Marathonで優勝したザイト・アイト・マレク Zait Ait Malek(スペイン)で4時間11分。上田瑠偉は続く4位で優勝したオリオルからは5分差となりました。このレースの直後の上田瑠偉とのインタビューをDogsorCaravanのポッドキャスト “Run the World”でお聞きいただけます。女子のレースではワールドシリーズでは初登場のジョアンナ・アスロトム Johanna Åström(ノルウェー)がスタート直後からリード。しかし、最終盤で地元であるカタルーニャからの声援を受けたシェイラ・アビレス Sheila Avilés(スペイン)が猛烈な追い上げを見せて残り数キロ地点でリードを奪い、4時間37分で優勝。しかしアストロムも最後まで諦めず、5分差の4時間42分で2位を勝ち取りました。3位はイギリスのホーリー・ページ Holly Pageで4時間54分。年間ランキングの男子ではオリオルが首位となり上田瑠偉は2位。女子は今回4位のラグナ・デバッツ Ragna Debats(オランダ)が首位を守っていますが、2位のアビレスとのポイントの差はわずかです。リザルトはこちら

7月12日金曜日 – 13日土曜日:Ehunmilak, Sierra Nevada

  • Ehunmilak Ultra Trail (168k, 88k, 42k):スペイン・バスク自治州のベアサインを拠点に開催される100マイルのトレイルランニングレース。168kmの男子のレースはジョン・アイスプル Jon Aizpuru Larrañagaが22時間21分で制しました。この大会では優勝を重ねているハビエ・ドミンゲス Javier Dominguezは43分差で2位に。女子はエバ・マヘール Ewa Majerが27時間41分で優勝しています。リザルトはこちら
  • Ultra Sierra Nevada (100k, 62k, 40k): スペイン南部のアンダルシアにあるシエラネバダ山脈に登るトレイルランニングレース。リザルトはこちら
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DC Weekly 2024年3月18日 Dalat、Eco Trail Paris、Lantau

7月13日土曜日 – 14日日曜日:野沢温泉、Ontake、OMM Lite、分水嶺、Mantra Summits

  • S-Mountain The4100D マウンテントレイルin野沢温泉(65k、23k、14k, VK): 長野県・野沢温泉村。
    • 13日土曜日のバーティカルキロメーターはスカイランニング中日本選手権でした。男子は永里剛城が41分59秒で優勝、2位に小幡利春が43分23秒、3位に今井太陽が44分24秒という結果に。女子は高村貴子が後続に大きく差をつけて50分33秒で優勝、2位の黒澤莉楠(55分39秒)、3位の高橋友理奈(58分48秒)が続きました。北信越および東海在住者を対象にした地域選手権のチャンピオンは小幡利春と高村貴子と決まりました。
    • 14日日曜日に行われた65kmのレースではソロの部に出場した62歳の男性ランナーがレース中に遭難するという事故がありました。大会当日から捜索本部による捜索が続けられていましたが、発見されずに17日水曜日に捜索本部は解散されました(大会ウェブサイトより)。本稿執筆時点では行方不明となった男性は発見されていない模様です。65kmのレースの結果についてもまだ大会ウェブサイトには掲載されていません(掲載され次第リクします)。
  • OSJ Ontake 100(100k, 100マイル): 長野県王滝村。100kmでは横内佑太朗が序盤からリードを守り、8時間41分で優勝。今シーズンはOSJ奄美で優勝、ハセツネ30kで2位、トレイル世界選手権出場とトレイルランニングでの活躍が増えていますが、100kmのレースでも好成績でデビューしました。2位は2015年ハセツネで6位で久々に関東でのトレイルレースとなった地下翔太が8時間58分でした。3位は三島康生で9時間26分。女子は浅原かおりが11時間23分で優勝、吉田千暁が11時間44分で2位、大石由美子が11時間46分で3位でした。2008年の第一回大会優勝の鏑木毅は12位(10時間17分)でフィニッシュしています。100マイルのレース男子は2017年の100km優勝の牧野公則が16時間56分で圧勝、続く選手には1時間以上の差をつけました。2位は三浦翔(18時間3分)、3位は新井亨(18時間7分)。100マイル女子は内山みちこが優勝(23時間41分)で、井上千鶴(23時間49分)、大濱侑季(23時間59分)が続きました。リザルトはこちら(100km100マイル
  • OMM LITE Hakuba/Otari: 長野県白馬村、小谷村。OMM JapanのScore形式となるロゲイニングのレースが二日間にわたって行われました。リザルトの速報はこちら
  • 分水嶺トレイル(84k, 120k):青梅または奥多摩・鴨沢から清里・獅子岩までの長距離の山岳縦走大会。リザルトはこちら(公開され次第リンクします)。
  • Asia_Trail_MasterMantra Summits Challenge (116k, 75k, 55k, 35k, 15k): インドネシア・東ジャワ州マラン県で開催。今回新たに加わった116kmのレースがAsia Trail Masterのレースでした。男子ではミルトン・アマト Milton Amat(マレーシア)が23時間23分で優勝、2位に喜多村久 Hisashi Kitamuraが27時間19分、3位にイバン・イスカンダル Ivan Iskandar(インドネシア)で28時間0分。女子ではなかじまあすか Asuka Nakajima(日本)が男女総合5位となる29時間31分で優勝。なかじまはATMのレースではTahura Trail 42kに続く今期二度目の優勝。シオク・ハー・リン Siok Har Lim(マレーシア)が2位、スリ・ワーユニ Sri Wahyuni(インドネシア)が3位でした。リザルトはこちら。Asia Trail Masterの次のレースは7月28日のBogd Khan Mountain Trail(モンゴル)となります。
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2022年スカイランニング世界選手権・スカイウルトラはトゥリーニ、ミノッジョとイタリアが男女とも金メダル、甲斐大貴11位、若林綾13位

7月13日土曜日:Audi Power of 4, Laugavegur

  • Audi Power of 4(50k, 25k, 10k): コロラド州アスペン。50kのレースがスカイランニング・USAシリーズのレースです。リザルトはこちら
  • Laugavegur Ultra Trail (55k): アイスランドで開催される55kmのP2P(Point to Point)形式のトレイルランニングレース。リザルトはこちら

7月15日月曜日 – 17日水曜日:Badwater

  • Badwater 135: アメリカ・カリフォルニア州のデスバレーからマウントホイットニーまでの135マイル(217km)で行われるロードのウルトラマラソン。気温が50℃に達する厳しいコンディションで知られる過酷なレースです。男子のレースに今回初めて出場した石川佳彦 Yoshihiko Ishikawaが21時間33分1秒の大会新記録で優勝しました(これまでの記録は21時間56分32秒、ピート・コステルニック Pete Kostelnick(アメリカ)、2016年)。石川はこれで2017年のIAU24時間世界選手権(ベルファスト)、昨年のSpartathlon (246km)に続いて立て続けに世界の超長距離ウルトラマラソンを制したことになります。当サイトではポッドキャスト “Run the World”でレースを終えた翌朝の石川さんとのインタビューをお届けしています。さらに今年のレースで2位になったのは女子優勝のパトリシア・ベレズノスカ Patrycja Bereznowska(ポーランド) で24時間13分24秒。これも大会新記録でした(これまでの記録は25時間53分7秒、アリソン・ベンティ Alison Venti(アメリカ)、2016年)。ベレズノスカもBadwaterには初参戦ですが、2017年のIAU24時間世界選手権(ベルファスト)、同年の昨年のSpartathlon (246km)で優勝しています。このほか、男子2位はハーベイ・ルイス Harvey Lewis(アメリカ)が26時間11分、男子3位に木曽哲男 Tetsuo Kisoが28時間2分。女子は2017年24時間世界選手権で4位のジーナ・スラビィ Gina Slaby(アメリカ)が29時間26分で2位、リサ・デボナ Lisa DeVona(アメリカ)が32時間36分で3位。リザルトはこちら
Badwater 135で優勝した石川佳彦 Yoshihiko Ishikawa。Photo by AdventureCORPS

Badwater 135で優勝した石川佳彦 Yoshihiko Ishikawa。Photo by AdventureCORPS

今週末開催のイベント

7月16日火曜日 – 21日日曜日:Andorra

  • Andorra Ultra Trail (233k, 170k, 112k, 83k, 42.5k, 10k):ピレネー山脈のアンドラ公国で開催。
    • イベントの開幕となる233km 20,000mD+を二人一組で走破するユーフォリア Eufòriaは今回で3回目の開催。すでに17日水曜日午前7時(日本時間同日午後2時)にスタートしており、本稿執筆のスタートから47時間が経過した時点では日本の丹羽薫 Kaori Niwaいいのわたる Wataru Iinoのペアが約140km地点を4番手のペアで通過。この他日本からの参加では小畑剣士 Kenshi Obata若岡拓也 Takuya Wakaokaのペア、野間陽子 Yoko Noma星野緑 Midori Hoshinoのペアが約100kmの地点を通過しているのが確認できます。昨年のトップのフィニッシュタイムは男子が67時間13分、女子は75時間57分となっており、日本時間では20日土曜日の午前には最初の完走者がオルディノの町に到着する見込みです。制限時間は110時間。通過速報はこちらから見ることができます。
    • 170km 13,500mD+のRonda dels Cimsは19日金曜日午前7時(日本時間同日午後2時)にスタートしました。続いて金曜日の午後10時にはMitic(112km 9,700mD+)、20日土曜日の0時にCelestrail(83km 5,000mD+)、土曜日午前8時にMarato(42km 3,000mD+)と次々にスタートします。
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DC Weekly 2023年5月1日 Canyons、Calamorro、Korea 50K

7月19日金曜日 – 21日日曜日:Eiger Ultra-Trail, DoloMyths, Vermont

  • Eiger Ultra Trail (101k, 51k, 35k, 16k):スイス・グリンデルワルトを拠点にアイガー山麓のトレイルを走る大会で、101kのレースがUltra Trail World Tourの第13戦です。101km 6,700mD+のE101のスタートは20日土曜日の午前4時(日本時間同日午前11時)。女子で昨年優勝のキャサリン・ゲッツ Katharin Götz、男子は6月のmozart 100で2位のアンドリス・ロニモイス Andris Ronimoissの他、エリック・クラバリー Erik Claveryが有力選手としてリストアップされています。ライブ速報はこちらから。
  • DoloMyths Run Skyrace:イタリア北部・カナゼイで開催。例年スカイランニングのシリーズとなっていますが、今年はスカイランナー・ワールドシリーズのレースではなく、22kmのレースがGolden Trail Seriesの第3戦となっています。男子ではシリーズ第二戦のMarathon du Mont-Blancで優勝した21歳、ダビデ・マニーニ Davide Magnini(イタリア)が参戦。マニーニは昨年のこの大会で4位でした。モンブランでマニーニに次いで2位で昨年のこの大会では3位のナディル・マグエ Nadir Maguet(イタリア)、昨年のこの大会の優勝者のスティアン・アンゲルムント=ビク Stian Angermund=Vik(ノルウェー)といったメンバーが優勝候補をして注目されます。さらにレミ・ボネ Remi Bonnet(スイス)、スティアン・アービック Stian Aarvik(ノルウェー)、バルトロミ・プレゼドボジェスキ Bartromiej Przedwojewski(ポーランド)、アリツ・アヘア Aritz Egea(スペイン)、オリオル・カルドナ Oriol Cardona(スペイン)と欧州のトップ選手が集結といった様相です。女子もサッカー選手から転じてゼガマで今年優勝したエリ・アン・ドベルスダール Eli Anne Dvergsdal(ノルウェー)のほか、ルース・クロフト Ruth Croft(ニュージーランド)、シルビア・ランパッソ Silvia Rampazzo(イタリア)、アマンディーヌ・フェラート Amandine Ferrato(フランス)、エリサ・デスコ Elisa Desco(イタリア)、ホーリー・ページ Holly Page(イギリス)といったメンバーが揃います。スタートは21日日曜日午前8時30分(日本時間同日午後3時30分)です。
  • Vermont 100:アメリカ北東部、バーモント州で開催される100マイル、100kmのトレイルランニングレース。
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小学生、中学生を対象にした全日本スカイランニングジュニア交流大会、西日本は2月11日に香川県三木町で開催

7月20日土曜日:Speedgoat

  • Speedgoat (50k, 28k):アメリカ・ユタ州のスノーバード・スキーリゾートで開催。アメリカのウルトラランニング界のレジェンド、カール・メルツァー Karl Meltzerがプロデュースする大会です。

7月20日土曜日 – 21日日曜日:Tahoe, Whiteface

  • Tahoe Rim Trail 100:アメリカのカリフォルニア州とネバダ州にまたがるタホ湖のネバダ州側、スプーナーレーク州立公園をスタート、フィニッシュとするループ状のコースで行われ、100マイルは50マイルのループコースを2周します。
  • Whiteface Skyrace(27k):アメリカ・ニューヨーク州ウィルミントンで開催。アメリカのスカイランニング・ナショナルシリーズの大会です。

7月21日日曜日:Gran Paradiso

  • Royal Ultra SkyMarathon Gran Paradiso (52k):イタリアのグランパラディーソ国立公園で2年に一度開催される大会は52kmで、標高3000mを超える山岳エリアをコースとする累積獲得高度4,287mD+のコースとなります。MIGU RUN Skyrunner World Seriesの第9戦で、レースがカテゴリー分けされていた昨年までは難度の高い”Sky Extreme”に位置付けれられていたレースです。今年は積雪の状況からランニング用のクランポンが必携装備とされています。男子では前週のBuff®︎ Epic Trailに続いて上田瑠偉 Ruy Uedaが参戦。ダニエル・ユング Daniel Jung(イタリア)、アンドレ・ジョンソン Andre Jonsson(スウェーデン)、ペレ・オーレル Pere Aurell(スペイン)、女子ではラグナ・デバッツ Ragna Debats(オランダ)、高村貴子 Takako Takamuraが当サイトの注目選手です。スタートは21日日曜日午前6時30分(日本時間同日午後1時30分)。
  • 霧島・えびの高原エクストリームトレイル(63k, 37k):宮崎県えびの市・鹿児島県霧島市、湧水町。台風5号・ダナスが九州に接近していますが、大会開催の21日日曜日までには通過する見込みであることから、現在のところ予定通りの開催が見込まれています。

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