シューズレビュー On Cloudultra・極上の快適さをトレイルでも楽しめる

【追記・Onが最初のシューズをリリースした年について誤りを訂正したほか、CloudTec®︎とHelion™スーパーフォームに関する記述について修正しました。2021.03.02】

On(オン)の快適さをトレイルでも楽しめるようになりました。

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スイス・チューリッヒ発のパフォーマンス・ブランド「On」は最初の製品をリリースしたのが2010年という、新しいランニングシューズのメーカーです。自社の特許技術で、アウトソールに中空の部分を設けるというCloudTec®︎を導入した斬新なシューズは注目を集めてブランドは急成長。着地時のクッション性に優れ、しっかりとした蹴り出しを可能にするというコンセプトを基に展開されるOnのランニングシューズは日本でもファンを増やしています。

2016年にはトレイルランニングシューズのラインナップがスタート。「Cloudventure」は軽量でグリップ力のあるアウトソールとフィット感の高い足形で、スイスアルプスのダウンヒルを快適に駆け降りることができるシューズでした。

そのOnから今シーズン、新たに登場するのが「Cloudultra(クラウドウルトラ)」です。100kmや100マイルといった長距離、長時間のウルトラトレイルでそのパフォーマンスを最大限に発揮するというトレイルランニングシューズは、多くのトレイルランナーにとってレースからトレーニングまで幅広いシーンで活用できるシューズです。

3月4日の発売開始(2月18日から好日山荘で先行発売)を前に行われたメディア向け体験会に筆者も参加させていただき、提供された製品を身近なトレイルで試してみました。

メディア向け体験会では青梅三山の一つ、惣岳山まで登って下りてきました。

メディア向け体験会では青梅三山の一つ、惣岳山まで登って下りてきました。

クッションが心地よく反発力が軽快、これがOnのランニング体験

体験会が開催されたのはJR青梅線沢井駅から近い沢井マウンテンカフェ。こちらから高水三山の一つである惣岳山まで登って下りてくる、距離6km、累積獲得高度560mD+のトレイルをCloudultraで走りました。さらに後日、自宅の近くの公園のゆるい起伏のトレイルでも試してみました。

今回がOnのランニングシューズの初体験となる筆者にとっては、履いて走り出した時の心地よさが新鮮です。ソールに中空状のパーツを設けるCloudTec®︎はOnの特許技術ですが、Cloudultraにもミッドソールにこの機構が配置され、かかと側は上下互い違いの二重構造となっています。そしてCloudTec®︎の機能を最大限発揮するのが、2019年に登場したOn独自開発の「Helion™スーパーフォーム」。ミッドソールに軽さと反発力、耐久性という従来相反していた機能を両立するこの素材がウルトラトレイルでは威力を発揮します。

On Cloudultra

On Cloudultra

ミッドソールは独自開発の「Helion™スーパーフォーム」。中空の「穴」は着地時には潰れて衝撃を吸収するせいか、小石やゴミが入ることは少ない。

ミッドソールは独自開発の「Helion™スーパーフォーム」。中空の「穴」は着地時には潰れて衝撃を吸収するせいか、小石やゴミが入ることは少ない。

実際に履いてみると、トレイルに入るまでのロードでその特徴ある履き心地をすぐに実感しました。着地した時にブレずに足を受け止められる感じ、そしてその直後に足を押し返されて前へ進む感じ。スピード重視のアスリートにはもしかすると物足りないかもしれませんが、長時間、長距離を走り抜くトレイルランニングにはこのライド感が快適なはず。ソールとアッパーの間には熱可塑性ポリマー製のスピードボードが配置されていて、これも蹴り出した時の推進力につながっているようです。

着地時の衝撃を吸収し、推進力に変えていく。

着地時の衝撃を吸収し、推進力に変えていく。

ソールのかかとと前足部の高さの差(ドロップ)は8mmとなっています。

アッパーは薄手なのにフィット感が高い

CloudultraはメンズのEU42(26.5cm)で295グラムとなっていますが、手に取るともっと軽く感じます。おそらくその理由はアッパーや履き口が薄手なせいでしょう。しかし、よくみるとアッパーは外側と内側にそれぞれ大小のメッシュを組み合わせた素材の二重構造となっていて、内側はシュータンに当たる部分まで適度な伸縮性のある素材で一体となっています。

アッパーはメッシュ素材が二重になっていて、内側はシュータンのない一体構造。

アッパーはメッシュ素材が二重になっていて、内側はシュータンのない一体構造。

ソックスを履くようなフィット感が得られる。

ソックスを履くようなフィット感が得られる。

まるでソックスを履くような感じで内側のアッパーが足の動きに追従するので、薄手なのにフィット感が高い。足を入れる履き口もかかとのアキレス腱に当たる部分のクッションが薄いのに、シュータンがなくて内側のアッパーと一体となっているのでフィット感は損なわれていません。

薄手なうえにメッシュで通気性も高いので、夏の暑さや雨でウェットなコンディションにも向いていそうです。

このほか、シューレースにもフィット感を高めるためのギミックがあります。シューレースについているつまみ「FlipRelease(フリップリリース)」を反転させることで簡単にフィット感を調整し、長時間のランニングで浮腫んだ足の圧迫感を和らげるというもの。調整は2段階だけですがランニング中に調整することを考えれば調整幅が大きすぎない方が好都合でしょう。

「FlipRelease(フリップリリース)」でシューズのフィット感を切り替えることができる。

「FlipRelease(フリップリリース)」でシューズのフィット感を切り替えることができる。

足形については、広すぎず狭すぎず、つま先のトゥボックスは適度な余裕。先行して発売されている、ダウンヒルでのグリップを強みとする「Cloudventure」とは目的に応じて足形が変更されている模様です。

アウトソールにはMissiongrip™を使用、クッション性にも貢献

アウトソールにはラバー素材のMissiongrip™が使用され、つま先からかかとまでパターンの異なるラグが配置されています。トレイルの登り・下りともに十分なトラクションを感じます。

アウトソールにはMissiongrip™が使われているが、ソール全てを覆っていない。

アウトソールにはMissiongrip™が使われているが、ソール全てを覆っていない。

これらのラグはHelion™スーパーフォームでできたミッドソールに分散して配置されていて、アウトソールを埋め尽くしていないのもCloudultraの特徴。トレイルランニングシューズに求められる耐久性を確保しながらも、軽量化を実現しています。アウトソールのパターンは足の内側と外側に大きく分かれていますが、これも着地時のクッション性につながっています。

まとめ:Onが提案する快適さをウルトラトレイルで体験できる一足

Onが長距離、長時間のウルトラトレイルにフォーカスしたトレイルランニングシューズとして初めて発売するのが「Cloudultra(クラウドウルトラ)」。

お値段はややプレミアムですが、「Cloudultra」は今年のISPOでランニング&フィットネス部門の「Winner」を受賞する評価の高いシューズです。さらにOnには今年からUTMB®︎を3度制したトップアスリートであるグザビエ・テベナールがサポート選手として加わるなど、トレイルランニングへの取り組みに力が入ります。

過酷なコンディションのレースのための勝負のための一足となるのはもちろん、トレーニングやレクリエーションで山を走るための快適な一足としてもおすすめです。

動画版のレビューはこちら。

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