「Amazfit Helio Ring」はチタン合金製の外装で4g未満のリング状のデバイスで、BioTracker PPG心拍センサーや温度センサーに加えて皮膚電気活動(EDA)センサーを搭載しています。EDAセンサーは手汗からのストレスレベルを測定します。これらのセンサーが取得する心拍数、血中酸素レベル、ストレスレベル、睡眠の状態などのデータはスマートフォンのZeppアプリで分析され、メンタルとフィジカルの両面から身体のコンディションや回復を数値で把握することができます。
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これらのデータはAmazfitのスマートウォッチを併用することで統合され、より精度の高い健康データの分析が可能になるとしています。
当サイトでは発売の前週にAmazfit Helio Ringをレビュー用に提供していただき、短期間ですが試用しています。
日々の生活の質を高めることで仕事もプライベートも最大限楽しみたいという方や、トレーニングやレースからのリカバリーを詳しく分析してパフォーマンスを高めたいというアスリート志向の方にとっては、軽量でコンパクトなリングに多彩な健康モニタリング機能を備えた注目の製品です。
そこまで意識が高くないという方にとっても、睡眠時やデスクワーク時には手首からスマートウォッチを外して、健康モニタリングはHelio Ringに任せられるのが魅力的です。
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Amazfit公式Yahoo!店 https://store.shopping.yahoo.co.jp/trend-labo/su170070.html
チタンの光沢が美しいデザイン
Amazfit Helio Ringはの外観はチタン合金製のシンプルなデザインですが、艶消しの鈍い光沢のほか、指につけた時に見える外側に小さなドット模様があります。身につけた時に満足感が得られるスタイリッシュなデザインだと感じます。
リングの内側には光学センサーなどが配置され、全体は透明な樹脂で覆われていて、肌への当たりも穏やかで快適なつけ心地です。リングの幅は8mm、厚さは2.7mmで重量は4g未満。概ね競合するスマートリング製品とサイズ感は似ているようです。

10ATMの防水性を備えていて、運動中の汗はもちろん、水泳にもそのままつけていられます。
充電は付属のワイヤレス充電器に載せるだけで始まり、充電器のLEDで充電の状況を知ることもできます。充電器にはUSB-Cの凹型端子があるので、手持ちのUSB-Cケーブルを活用して荷物が減らせるのも好印象です。フル充電に約1時間40分となっており、1回の充電で4日間の使用が可能となっています。

スマートウォッチとの連携で健康、睡眠、アクティビティをトラッキング
Helio Ringはスマートリングとして、健康関係と睡眠をモニタリングし、そのデータをどのように解釈するか、生活の質を高めたりフィジカルのパフォーマンスを上げたりするのにどう利用すればいか、示唆を与えてくれます。ランニングなどのアクティビティのトラッキング機能も備えます。そしてAmazfitの強みとなるのが、Amazfitのスマートウォッチと併用することでリングから得られるデータと統合されて、漏れのない正確なデータが利用できることです。
まず、リングの本体には心拍数、血中酸素レベルなどを計測するBioTracker PPG心拍センサーや、後で紹介する「レディネス」スコアのベースとなる温度センサーや手汗を検知するEDAセンサー、そして身体の動きを検知する3軸加速度センサーや3軸ジャイロスコープといったセンサー類が搭載されています。

これらのセンサーから得られたデータはBluetoothでスマホのZeppアプリに転送され、Zeppアプリではそれらをわかりやすくまとめて表示してくれます。心拍や睡眠、手汗からのストレスレベルをもとにZeppアプリが表示してくれるのが「レディネス」スコアです。これは次のアクションに向けて精神的、肉体的にどれだけ自分が回復しているか、を示す指標です。アプリではこのレディネスを理解する内訳として、身体の回復、メンタルの回復、安静時心拍数、心拍数の変動、睡眠時無呼吸症候群リスク、皮膚温度の変動といったデータを確認することができます。
レディネススコアの大きな要素となる睡眠については、日々の睡眠スコアにより睡眠が身体の回復にどれほどつながったかを質的に理解できます。その元となる睡眠時間や睡眠中の睡眠ステージの変移(深い眠り、浅い眠り、REM、覚醒)を確認することもでき、週単位から月単位での傾向を見ることもできます。
加えて、Helio Ringの大きな強みとなるのがAmazfitのスマートウォッチとのデータ統合機能です。上に挙げたHelio Ringの機能はリング単体でも使えますが、同等あるいは一部の機能はAmazfitのスマートウォッチも備えています。リングとウォッチのどちらかのみを身につけている場合はそれぞれのデータをZeppアプリが一つのデータとして分析し、リングとウォッチを同時に身につけている場合はそれぞれのデータをもとにさらに正確な分析を行うことができます。
スポーツアクティビティについては、ランニング、ウォーキング、サイクリング、トレッドミルの4つのスポーツモードを備えており、ワークアウト中のステップ数、距離、ペース、心拍数などのデータを取得できます。ただ、スマートウォッチのように本体だけでアクティビティの開始を認識して記録する機能はありません。スマホのZeppアプリからアクティビティをスタートすると、Helio Ringから受け取る心拍やステップ数などのデータを一緒に記録してくれる、という使い方になります。スマホのZeppアプリのデータを補完する役割をしてくれることになります。

Zeppアプリの「ワークアウト」の中ほどにアプリでアクティビティを記録できるアイコンが並んでいる(左)。ランニングを選ぶと、心拍については左上にHelio Ringからデータを取得することが示されている(背景の地図は別途合成している)。
リングだけで睡眠をトラッキングできた
実際にHelio RingをAmazfitのスマートウォッチでライフスタイル向けのフラッグシップである「Amazfit Balance」と一緒に使ってみました。スマホのZeppアプリではHelio RingとBalanceを同時にペアリングできます。Helio Ringをペアリングすると、ファームウェアのアップデートを促されました。
ZeppアプリでHelio Ringのデバイス設定画面を開きます。心拍数の測定間隔を変更したり、睡眠のモニター、ストレスモニター、血中酸素モニターの設定を変えることができます。デフォルトではバッテリーを消費することからオフになっている項目がありますが、できるだけ多くの機能を使えるようにオンに変更して使ってみます。その後、変更したまま使いましたが、4日目の最後にバッテリーレベルが10%程度となっていました。

Zeppアプリの中のHelio Ringの設定画面

非接触型の充電器は台座にUSB-Cケーブルを差し込む。USBケーブルはスマホ充電用と兼用できる。
この画面から製品のマニュアルを見ることができ、正確なデータを測定するにはHelio Ringは人差し指に着け、リング外側のI字の目印が手のひら側に向けるように着けるように、と書かれています。ただ、筆者の場合は人差し指だと手にするものがリングとぶつかるのが気になったので、あえて中指に着けます。

人差し指にHelio Ringをつけたところ。細かいドットの模様がついている。

I字の印がついている方を手のひら側に向けることでセンサーの精度が上がる。
スマートウォッチのBalanceと一緒に使うと、レディネススコアも睡眠時間や睡眠のステージ変化の推移もZeppアプリで確認できますが、一見するとBalanceだけを使っているのと何も変わりません。心拍数などのデータもウォッチとリングのデータが統合された後の数字になっています。
そこで今度は夜の就寝前にウォッチを外し、Helio Ringだけを身につけてみました。翌朝、Zeppアプリをチェックすると確かに何も操作していないのに自動で就寝時間と起床時間、その間の睡眠ステージの変化も記録しています。睡眠スコアは85で「良好」という評価ですが「就寝時刻と起床時刻を毎晩一定にすることを考えましょう」というアドバイスが表示されました。

睡眠のトラッキングデータが確認できる。

一晩のうちの睡眠のステージの推移も細かく記録されている。
レディネススコアは「85」でオプティマルという評価。睡眠のおかげで身体の回復、メンタルの回復とも「良好」という表示がされています。

レディネスの詳細。スコアの推移をリアルタイムで確認しようとしても一日の間の推移は表示できない。右端はZepp AuraのAIチャットでのアドバイス。
スポーツやトレーニングについての評価は「努力」というタブにまとめられています。今回はAmazfitのウォッチをつけてランニングをした機会が一回しかなかったので十分なデータが集計できていません。継続的に運動を続けていけば、疲労レベルとフィットネスレベル、トレーニング・ステータスの推移を追うことができます。
これらの機能はHelio Ringを買うだけでサブスク不要で利用でき、競合のOura Ringが主な機能の利用に月額999円のサブスク加入が必要としているのとは料金モデルが大きく異なります。

「概要」に続いて「レディネス」、「睡眠」、ワークアウト関連の「努力」のタブが続く。右端はZepp Auraのプレミアムプランへのサブスクへの申し込みページ。
ただ、AmazfitにもZeppアプリからアクセスできる「Zepp Aura」というAIベースの睡眠マネジメントサービスがあり、これは月額1,350円または年額9,600円(本稿執筆時には年額2,200円のキャンペーン価格となっていました)の有料サブスクサービスです。このZepp AuraはAIを活用した睡眠習慣の評価と改善のためのツールを提供する、とされています。
今後の作り込みに期待したいところもあるが、スマートウォッチとの連携はウォッチを外す自由をもたらしてくれる
控えめな指輪という外見ながら、心拍やストレスレベル、睡眠を自動でトラッキングしてくれるスマートリングという製品分野に、Amazfitが初めて参入するのがこのHelio Ringです。製品のスペックや機能としては、先行しているOura RingやGalaxy Ring(日本国内では未発売)といった競合製品にしっかりキャッチアップしています。
ただ実際に使ってみると、あと一歩の改善に期待したいところもありました。Helio Ringのハードウェアについては、8号、10号、12号の三つのサイズが用意されていますが、競合ブランドではサイズがより小刻みに展開されています。今回はサイズ確認用のサンプルで試してから12号を選んでレビューしましたが、11号があったらもっと快適だったかな、と感じました。

Amazfit 公式のHelio Ringのサイズ一覧。
健康、リカバリー、睡眠について確認するZeppアプリについては、最近大きなアップデートがありデザインが大きく変わりました。以前は心拍数や睡眠などの健康関連のデータと、直近のランニングなどのアクティビティのデータがトップ画面に並んでいた記憶がありますが、現在は「ホーム」のタブにレディネススコアや睡眠などのヘルスケアデータが集約され、アクティビティの情報は「ワークアウト」というタブにまとめられました。
ただこの「ホーム」の画面ではレディネススコアと睡眠スコアがトップに表示されて、その下にはさまざまなデータのスコアが示されているのですが、一日の間でそれらがどのように推移しているか知るにはその項目をタップする必要があります。レディネススコアはフィジカル、メンタル両面のストレスで一日の間に減少していくイメージなので、今日一日のスコアの推移を確かめたいというニーズがあると思いますが、現時点では一日の間の変化は追えないようです。このほかにも心拍数やステップ数、消費カロリー数といったシンプルな指標の推移を見たいというニーズもあるでしょうが、リンクをたどっていく必要があります。

「ハートヘルス」から辿ることで心拍数や心拍変動の推移を見ることができる。生データはあまり表に出さずに、それを解釈したレディネススコアを注目してほしい、ということなのだろう。
Zepp AuraについてはZeppアプリのトップページにタブが設けられています。チャットで睡眠について質問するとAIアシスタントが答えてくれたり、睡眠障害のリスクを教えてくれたり、前週の睡眠の傾向を分析して改善方法をアドバイスしてくれる、ということなのですが、現状では無料で利用できるZeppアプリの機能をどのように上回っているのかイメージしにくいと感じました。この辺りは、Zepp Auraに今後新たに大きな有料機能の追加という可能性もあるのかも知れません。
このようにハードとソフトの両面でさらなる作り込みを期待したい点はありますが、スマートウォッチとHelio Ringを連携して使える点はAmazfitの強みを活かしたセールスポイントです。Helio Ringが持つ機能はほぼAmazfitのスマートウォッチ製品がカバーしていますが、仕事中や睡眠中は腕からスマートウォッチを外したいと感じる時があります。そんな時でもHelio Ringを身につけておけばトラッキングが途切れることはありません。
スマートウォッチを身に着けずに健康や睡眠のトラッキングをしたいという方にも、スマートウォッチは便利に活用しながらも時々外したいという方にも、Amazfit Helio Ringは新しい選択肢となるでしょう。