引き続き絶賛筋肉痛&足指痛み中なのでランニングはお休み。信越五岳トレイルランの振り返りの最終回です。
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(第五エイドステーション<乙見湖、66.6km>から第六エイドステーション<大橋、81.0km>)
ドロップバッグでバックパックを取り替えるなどして気分を一新、80番目で走り始める。乙見湖を左にみながら階段にとりついて山道に入るしばらくはフラットなトレイルが続き、気持ちよく足を進める。やがて未舗装の林道に変わる。緩やかな登りに変わったのでまたGarminをみながらの歩きと走りを交互に繰り返すやり方で進んでいく。このあたりは前後に人が少なく、一人旅。林道の部分は迷う可能性もないからかスタッフの方もいないので、少々心細くなりながら、次のエイドステーションで休憩できることを楽しみに走る。
エイドのちょうど中間当たりで、林道から再びトレイルに入る。ここで給水だけのエイドがあり、水をいただく。これも助かった。
ここから古池に出るまでのトレイルは所々岩が転がっていたりするところもある。しかし、そういった箇所には必ずスタッフの方がいて注意を促してくれる。さらにこのレースのために立てた注意を促す表示も立てられている。これは大変なことだと思う。ここまでしてもらえれば怪我をすることもないだろう。地元の皆さんの行き届いた準備に頭が下がる。
古池の脇の水面ぎりぎりのトレイルは後ろを走ってくる人と競い合うようにして駆け抜けると、すぐに車道。数百メートルほど走って大橋の第六エイドステーションに駆け込むように到着。暖かいコンソメスープとゆでたジャガイモがおいしい。あまり長居せずに先に進む。午後4時20分頃、11時間20分経過。
(第六エイドステーションから第七エイドステーション<鏡池、87キロ>)
第六エイドステーションからは飯綱山への登りが始まるまでに2カ所エイドステーションがある。これもレース終盤でへとへとになっているランナーをサポートしようという配慮故と思われ、こうした思いやりに頭が下がる。大体、トレイルのレースで距離が長いとはいえ、これほどエイドステーションが充実しているレースはない(もっと数が少なく、水だけもらえるという感じ)。
第六エイドステーションからは1.5キロほど車道を走る。変化に乏しく路面の堅い車道は長距離を走ってきた足には辛い。しばらく歩いていたら、後ろから走ってきたイケメンの人が「ここまできたらがんばって走りましょう!」と声をかけてくれた。素直に「そうですね」と応じて後ろから追いかける。このあたりからランナー同士で声を掛け合うことが増えた気がする。
車道からさかさ川歩道へ入る。概ねフラットで木道も多い。木道だが濡れていないので滑る心配もなく、気持ちよく走れる。木の橋もあるので、そこは減速して歩く。
このあたりで少し暗くなってきた。向こうから歩いてくる人がいると思ったら、本レースのプロデューサーでイケメンプロトレイルランナーの石川さんだった。実はこんな感じで石川さんとはレース中に4度ほど遭遇しただろうか。そんな一人で声をかけるためにあちこち移動しなくても誰も文句は言わないのに、なんとランナー心理の壺を押さえているのか。「熊鈴ちゃんとつけてますか」なんて声をかけられながら走り抜ける。
戸隠神社奥社入口から随神門まではまだ観光客の人も多く、応援の声をかけてもらう。コースも平坦でどんどん押していって、第7ステーション到着。
(第七ステーションから第八ステーション<戸隠中社、89.7キロ>を経て飯綱山登り口)
第七ステーションから第8ステーションは3キロほどですぐなのだが、ここも駆け込むようにエイドにたどり着いたので、水やコーラ、バナナを貪る。トイレ。午後5時40分頃になっており、辺りも暗くなってきたので、ヘッドランプを点けて走り始める。
フラットなのだがトレイルなので、岩や木の根が出っ張っているところもある。しかしヘッドランプだけではこれらを確認するのが難しく、足が上がらなくなっていることもあって、何度もつま先を引っかけてしまう。鏑木さんをまねてヘッドランプだけで夜を走ってみようとしたのだが、やはり鏑木さんが持っているようなプロ仕様の強力なライト(ペツルのウルトラというものらしい。今回使ったミオXPの2倍以上明るいらしい)でないとそういう使い方はできないようだ。ハンドライトも持っていたのだが、途中で立ち止まるのも嫌だったので、だましだまし進んでいく。
まもなく最後のエイドステーション、戸隠中社に到着、ここで暖かい戸隠そばをいただく。ここで暖かいそばをいただくのは本当にほっとする。バナナなども食べる。辺りは既に真っ暗。時刻は午後6時過ぎ。ここのエイドは第三関門の制限時間まではやるはずだから、これから11時半までここでそばなどのサービスをすることになる。これもまた頭が下がる。スタッフの皆さんに御礼申し上げ、最後のステーションを後にする。戸隠中社の鳥居を抜け、昼間は賑わっているであろう門前町を抜けて林道に入っていく。辺りは完全に真っ暗。しかしハンドライトも取り出したので、辺りの様子はわかりやすくなった。
(飯綱山登り口からフィニッシュへ)
93キロ地点のあたりでいよいよ飯綱山への登り口に到着。最後の難関。登り始めると、後ろから呼びかけられる。第5ステーションで入れ違いになったNさんだった!ぺーサーと一緒に走ってこられて、いいペースでここまでこられたようだ。しばらく一緒に山登りをするが、こちらはもう山登りの脚は残っておらず、先に行ってもらう。
ああ、もう少し山登りのスタミナがあれば。どんなに嘆いても登りは険しくなるばかり。上るにつれて岩場、ガレ場がふえ、さらにガスが出てきてランプを使っても先が見えない。それでも要所要所にスタッフの方が控えてくれている。これも大変なお仕事だ。これから明け方までここにいることになる。
どんどん抜かれていく。悔しいが仕方ない。何とか必死で距離にして2キロ、高度で400メートルほどを上って登山道の分岐に到着。ここから3キロほどの下りになるのだが、これも岩場、ガレ場の連続。怪我をしないように慎重に降りるのだが、後ろから来る人がたまってくるので、時々止まって先に行ってもらう。ああ、これがなければもっといい順位でゴールで来たるかもしれないのに、などと考えるが、降りる脚も既に売れ尽くしている。
まもなく降りきるというところで、一人ずんずん上ってくる人がいる。なんと石川さんだった。こんな暗い中を一人上ってこなくても誰も文句は言わないだろうに。一番苦しいところで励ましの声をかけてくれた石川さんに全俺が惚れた。聞くところでは、石川さんはこのあと登りが下りに転じる分岐のところまで上がって、やってくるランナーを励ましていたとか。
結局2時間20分もかけて飯綱山を上り下りした。こんなに時間がかかるとは想定してなかった。登山道を降りると、ここからは後2キロの林道を走るのみ。走りやすい林道を思い切り駆け抜ける。2,3人は抜いただろうか。真っ暗な林道を一人駆け抜けて、ようやく飯綱高原スキー場のゴールに到着。Garminもちょうど100キロを指している。午後9時11分。15時間41分21秒、総合95位、男子89位でゴール。最後の登山がたたって、目標の9時は過ぎてしまった。
(最後に)
もう何もいうまい。100キロのレースはこれまでのどんなレースとも違う。すばらしい経験だった。そして何よりもこうした経験を与えてくれた、スタッフの皆さん、地元の皆さん、ともに走ったランナーやぺーサーの皆さんに深く感謝。特にスタッフや地元の皆さんにとってこれほど充実したサービスを長距離長時間、多数の地点で提供するのは容易でなかったと思う。もう少し手抜きをしてもいいのでこういうすばらしいレースを続けてもらいたいと思った。
ありがとうございました。