トレイルランニングのコミュニティの中では、来る5月のUltra-Trail Mt. Fujiに向けて、週末は勢力的に長距離のトレーニングに励む方が増えてきた。
そんな今週末、当方はアートスポーツさん主催の石川弘樹さんのイベントのために富士五湖エリアへ。
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アートスポーツ ARTSPORTS ODBOX AQUAQU – 石川弘樹と走る Trail Running Weekend 「100マイルの世界」
トレーニングの時間や距離は限られるのでトレーニングの面では軽めかな、と思っていたが、全く当ては外れ。容赦なく強度を上げて行く石川さんを必死で追いかけてかなり追い込むことができたほか、自分の課題も自覚することができた。レースの準備や心構えでもいくつかヒントを得た。さらに協賛のメーカー各社の方からはいろいろ情報を得ることもできた。関係の皆様ありがとうございました。
(追記・4月10日)
アートスポーツさんのブログでもこのイベントの紹介が始まります。記事でも触れられているとおり、石川弘樹さんもUTMFに参加されるとのこと!
トレイルランニング アートスポーツODBOX : イベント報告 石川弘樹氏「100マイルの世界」
以下細かい振り返り。
(1日目、UTMF序盤の試走)
先週発表されたUTMFの須走までの50キロあまりのコースマップに沿って試走。コースの概要と印象は別の記事にまとめたとおり。
[seminar] UTMFコースで石川弘樹さんロングトレイルセミナー・試走速報 | Dogs or Caravan.com
当方はしばらく石川さんと一緒に走りながら、ニュージーランドでのTarawera Ultramarathonの様子を伺ったり、当方が6月にチャレンジするWestern States 100についてのアドバイス、アメリカの様々な100マイルレースの思い出などを伺った。日本のトレイルランナーでいち早く海外のレースにチャレンジされた経緯や試行錯誤など、興味深い話を伺えた。
さらに話題はミニマリストまたはベアフットランニングの話題に。この日の当方は短いランパンにハンドボトル、シューズはNew Balance/MT110というスタイル。Minimusで鍛えた?ふくらはぎを見て、「そんなソールの薄いシューズでそれくらい走れるとはかなり鍛えましたね」とお褒めの?お言葉を頂戴する。
今日のセミナーは、コースの概要とトレーニングの意味やポイントを伝えたあとは、石川さんがひたすら先頭を引っ張るというもの。協賛メーカー各社からサポートスタッフの方が付いてくださったせいか、強い負荷をかけてゼイゼイいいたい人から、ゆっくりついて行きたい人まで様々なニーズに合わせた感じ。途中の休憩ポイントなどでは、協賛メーカーの方から新しいウェアやシューズの情報やアドバイスなどもいろいろ教えていただいた。
夕方が近づいてくると、だんだん雲が広がり始め、1Aの富士吉田市工業団地から杓子山を目指す林道を登り始めると、雪が舞い始める。時間も遅くなってきたので、途中から不動湯方面へ下りてこの日のトレーニングは25キロほどで終了。UTMFの最初は長い林道上り2本で始まるわけで、どのランナーにも忍耐力を問うことになりそうだし、走れるランナーはここでがんばりすぎないように気をつける必要がありそうだ。
(夜の懇親会)
夜は西湖湖畔の西の海キャンプ場で食事の後、懇親会。それぞれ自己紹介の後、石川さんによる100マイルレースの心構え、準備など。自己紹介は皆様の様々な経緯を経てUTMFやSTYを目指すことになったいろいろな話が興味深い。当方は昨年出たWay Too Cool 50kのTシャツを着ていたところ、石川さんからは「Way Too Coolは僕が初めて出たアメリカのウルトラマラソンのレースなんですよ」とのお話で奇遇に驚く。
石川さんからの100マイルレースの心構え、準備で当方の印象に残ったのは次のようなこと。
・須走までは抑えて、足にダメージを残さずに到着して、須走から別のレースが始まるつもりで臨むこと(信越五岳の3Aまでと同様)。
・勢いでレースにエントリーして走るのは悪くないが、出る以上はベストを尽くしてほしい。
・レース途中に飲物、食べ物を受け付けなくなることへのアドバイスとしては、どんなものなら食べたいと思うか、頭に思い浮かぶものをいろいろ事前に試してみること。石川さんの場合はラーメンが思い浮かんだので、ラーメンのスープだけを少し温めにして保温ボトルに入れてドロップバッグへ。スープを飲むと味覚がリフレッシュされて、また甘いジェルを摂ることができるようになったとのこと。
さらに、協賛各社の皆様にいろいろなお話を伺ったが、エイアンドエフの方からUltrAspireのバックパック、ウェストパックなどのサンプルをみせていただいたのが大きな収穫。思っていた以上に軽量でこれはよさそう。
(二日目、竜ヶ岳と樹海トレイル)
二日目は、UTMF/STYのコース最終盤にあたる本栖湖−鳴沢風穴あたりのトレイルへ。ただ、コース詳細は未発表なのでトレーニングの効果もねらって、本日のルートは根原の県境から工事で通行止めのトレイルを回避してA沢貯水池へ回り、端足峠、竜ヶ岳、本栖湖スポーツセンター、樹海トレイルを精進湖民宿村経由で鳴沢風穴駐車場までの21キロほど。
この日は、天気はよいが朝の風は冷たく、当方はおとなしくロングタイツにバックパックというスタイル。
端足峠、竜ヶ岳への登りはかなり急で、走るというよりも早足で登るスピードハイクの力が求められるところ。しかし当方は石川さんはもちろん力のある参加者の皆様にも遅れを取り始め、スピードハイクの力不足を実感した次第。スピードハイクはそれなりにできるつもりだったのだが、そういえば最近長く急なトレイルの登りを歩いて登っていない。少し練習しておこうと思った。石川さんによれば、急な登りのスピードハイクは振り子のようなリズムでテンポよく前に進むといい、というアドバイスをいただくが、ただ足が重いばかりでうまく感覚がつかめない。アメリカの女子有力ランナー、Niki Kimballの登りはまるでスキップするように軽いリズムだという話も。
竜ヶ岳に上ると雲もなく、富士山、天子山塊、南アルプスを一望できる360度のすばらしい眺望。山頂にはハイカーの皆さんも多数。皆さんでしばらく写真を取ったりして休息。
竜ヶ岳からは本栖湖畔へ一気に下るが、下りも石川さんが容赦なくすっ飛んでいく。当方もがんばって下りるがだんだん石川さんの姿が見えなくなる。スピードを意識しすぎて、霜が解けたトレイルがぬかるんでいたせいもあって派手に転んだり。下りについて石川さんにポイントをうかがうと、スイッチバックでは大きな衝撃が脚にかからないよう減速して入る、とのことで、スピードを優先しすぎないというのが鉄則と理解した。
本栖湖畔からは鳴沢風穴まで10キロちょっとの樹海トレイル。ここは精進湖民宿村をはさんでハイペースで追い込んでいくとのこと。
当方は前半4キロほどの精進湖民宿村までは必死で石川さんを追い、途中でアメリカでのレースデビューの思い出話を聞けるほどの余裕もあり。大体キロ5分くらいのペース。後半の7キロほども、石川さんのペースは落ちないが、当方は次第に先頭集団から脱落。石川さんからは「ペーサーについていくつもりで追い込んで!」と激が飛ぶが、背中は遠くなるばかり。それでもとにかく心拍数が落ちないように追い込んで、キロ5分20秒前後で小さなアップダウンを繰り返して必死の思いで風穴との分岐に到着。この日のセッションは終了。
(まとめ)
というわけでどんなセミナーになるかと思っていたが、さすが「100マイルレースの世界」と銘打つだけあって、容赦ない石川さんの追い込みにプッシュの連続。石川さんのセミナーといえば、女性が多くて華やかな雰囲気というイメージだが、そういえば今回は当方と同様の40代以上男性が多く、女性は少なめ。イベントの趣旨にもよるだろうが、石川さんのセミナーに食らいついていくのはトレーニングやレースに向けて「ベストを尽くす」姿勢を知るためにとても刺激になると思った。
いろいろサポートしていただいた主催のアートスポーツの皆様、協賛メーカーの皆様、ありがとうございました。
Ultra-Trail Mt. Fujiの開催まであと7週間。当方も、今回受けた刺激を胸に、トレーニングや装備の検討・確認に力をいれた。またUTMF/STYには国内外とも有力選手がかなり集まりそうで、そうした面でも楽しみなイベントになりそうだ。