先日の3月5日の鎌倉市議会本会議において、「トレイルラン規制の条倒化についての陳情」が可決されたことが、トレイルランニングを楽しむ人たちの間で大きな波紋となって広がっています。この記事ではトレイルランニングの現状を考える材料として、その陳情の全文をご紹介します。
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陳情を提出された鎌倉市のボランティア団体「ハイキングクリーン」は鎌倉のハイキングコースの見回りや整備について1977年から取り組んでおられる団体です。陳情書文中にもあるように「武家の古都・鎌倉」見守り事業として鎌倉市から市内の歴史的遺産を日常的に「見守る」ことを依頼されている市民団体の一つでもあります。
この陳情は2月25日の鎌倉市議会観光厚生常任委員会で審査された後、3月5日の本会議で可決されています。
この陳情について、観光厚生常任委員の長嶋たつひろ市議が自身のブログで陳情書の画像を公開されています。以下のご紹介はこれを当サイトが書き起こしたものです。陳情書の下にある画像や「私見」などは長嶋市議のもとに寄せられた意見のようです。
陳情第134号
トレイルラン規制の条例化についての陳情
1. 陳情の要旨
全山稜部及び隣接市街地でのトレイルランが、道路交通法第七十六条 4 二 及び 四 またその他法令に抵触するかどうかお調べいただき、抵触する場合それ相当の対応をお願いすると共に、抵触しない場合、規制する条例制定を議会として市に働き掛けていただき、市民、観光来訪者によるハイカー、歩行者の安全確保と自然環境保護をお願いしたい。
2. 陳情の理由
鎌倉市はハイキングコースも含めた全山稜部及び隣後市街地のアップダウンも激しく、しかも道幅が狭く、1人がやっと通れる部分も多い。一方、利用者は幼児から高齢者まで幅広く、市民、観光者の多くの方が日常的に活用している。
また、健康志向の高まりで高齢者は早朝散歩を、幼稚園児、小中学生当は野外活動を楽しんでいる。時には高齢者の滑落事故もあり、私共の団体で偶々助け上げた事も何度かある。
一方で、最近の急激なトレイルラン・ブームで盛んに個人或いは団体で、時には300〜1,000人規模のレース競争も開催している。即ち市中マラソンが山稜部で実施され、歩道に歩行者とマラソンランナーが混在する状態に等しい。そのためハイカー、歩行者は常に接触による滑落、転倒事故等の危険に晒されているのが現状です。
また1人がやっと通れるほどの箇所では、一般のハイカー、歩行者がランナーに出会うとすれ違いが出来ず、一方通行で長時間待たされる状況です。なおランナーはハイカー、歩行者に出会った場合に待つ、歩くルールらしいが現実には殆ど守られていない。
特に最近は1部マスコミでもトレイルランが大いに持て囃され、課題が提起されない状況下では益々その危険性が急憎している。さらに団体でマラソンをするため樹木の根元の痛みが激しく倒木の要因になりつつあり、山稜部の崩落、落木による人的事故の危険性、折角整備した階段等の破損も孕んでいる(ママ)。
其処で市担当部署から“トレイルランのレース(競走)については開催しないよう”通知が出され、1部は中止等の対応がなされております。また“個人によるトレイルランについても、すれ違いの際には減速し、他の利用者と譲り合うなど、事故防止に十分配慮していただくよう”お願いがなされ、一定の効果は出ていると思われますが、周知には至っておりません。
一方で今後、益々トレイルランが増大する状況下にあっては危険も増大し人身事故が起こるのではないかと懸念しております。
これらの事をよく調査していただき、条例制定などによるそれなりの対応をはかっていただけるよう、議員の皆様に強くお願いするものであります。
条例制定をご検討いただく場合、(1)タイム・レースの禁止、(2)団体走行の繁止、(3)個人も含む全面禁止、(4)ランナー専用道の新設・整備等をど考慮いただきご検討いただけたらと思います。
なお私共は、市内の山稜部および隣接市街地の清掃や整備をしておりますので、殆どの危険箇所は把握して、市にも「見守り事業」として報告しております。しかしコース整備は、予算上から現在重点的に手入れせざるを得ず、まだまだ多くの崖・崩落、倒木/落木等の危険箇所が残っているので、人身事故が起こるのではないかと懸念しております。
平成26年2月5日
提出者 ボランティア団体 ハイキングクリーン 代表 御法川 齊 (住所)
鎌倉市議会議長 中村聡一郎 様
今後のこの陳情の先行きは現時点で明らかにはなっていませんが、一般的には条例化の陳情が可決されたら条例化されるとのことで、今後何らかの条例案が市議会に提出されることになると思われます。