早春の瀬戸内を快走で制した一日。東徹さんのくだまつ笠戸島アイランドトレイル・レースレポート

【編者より:2月14日に開催されたくだまつ笠戸島アイランドトレイルは、山口県下松市の沖合に浮かぶ笠戸島で今年初めて開催された28kmなどの新しいトレイルランニング・レースです。この大会に参加して、初代チャンピオンとなった東徹 / Toru Higashiさんにレポートを寄稿していただきました。

東さんは2013年ハセツネCUP優勝などトレイルランニングでの活躍のほか、ロードマラソンにも積極的に参加して記録を残しているスピードランナー。今年2016年は7月にスペインで開催されるスカイランニング世界選手権に日本代表として出場を予定しています。】

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Toru-Higashi-2016Kasadojima-prerace

スタート前に挨拶する東徹さん

(写真:大漁旗に見守られて走る宮崎喜美乃は招待選手として参加。写真提供はくだまつ笠戸島アイランドトレイル実行委員会<以下同じ>)

2月14日に開催されたくだまつ笠戸島アイランドトレイルに招待選手として参加させてもらいました。私の地元で開催する三原・白竜湖トレイルランレースでお世話になっている奥宮俊祐選手、木原さん、豊饒さんが中心になって今回初めて開催され、運営スタッフや出場選手にもたくさん知り合いがいる大会です。初開催とは思えない雰囲気で私も楽しませてもらいました。

大会前日の土曜日は予報通りの雨。私は屋内の座学となった奥宮選手のトレイルランセミナーに参加させてもらいました。奥宮選手の豊富な経験に基づくお話や、国内外の映像で楽しいセミナーを体験させてもらいました。

くだまつ笠戸島アイランドトレイルのコースは約28km、累積標高1,758mで海岸から標高255mの間でピークは30個ほどあります。全体的に走れる部分が多く、適度の間隔で激坂が現れるため上りは歩きで休める、というコースでした。集落内では地域の方が庭先で応援してくれたり、エイドでは瀬戸内の島らしい大漁旗や太鼓のにぎやかな応援で力をもらえました。コースの多くはシングルトラックできれいに整備されています。木に囲まれた森の中や海岸線、海を見下ろしながらのトレイルなど、景色が次々に変わっていくのが楽しく、気持ちよく走れる部分がたくさんあるのが印象的です。

私自身はこの大会で、マラソンシーズン最後となる3週間後のびわ湖毎日マラソンに向けたポイントとして追い込んで走ること、昨年の美ヶ原以来7ヵ月ぶりの久々の山のレースの感覚を確かめること、をテーマにしてレースに臨みました。

Start-2016Kasadojima

初開催のくだまつ笠戸島アイランドトレイルのスタート。

大会当日は雨が上がり気温も10度を超え、この時期としては絶好のコンディションでレースが始まります。スタートから1.5kmはロードを走り、いよいよトレイルへ。最初は抑えていくつもりでしたが、この時期は駅伝やロードレースを走っているせいかペースが上がり、スタート直後から一人に。結局最後まで一人旅でした。ただ5km地点の第1エイドで応援の声から二番手とは1分差と分かり、そこから頑張ったつもりが14㎞の第2エイドでも約1分差。さらに最後の第4エイドで折り返しで差を確認しても1分差のまま、と最後まで気を抜けないレースとなり、おかげで十分追い込むことができました。後ろに続いていたのはよく知っている福岡県の別府浩司選手。最後に彼が得意とする下りで追いついてくるのではないかと気にしながらフィニッシュを目指しました。昨年秋以来、久しぶりの山のレースの感覚としては足首などの関節の柔軟性が悪くて体の使い方もぎごちなく,特に下りと激坂がダメで山を走る練習も必要だと気付くことができました。

山口県の公式キャラクター「ちょるる」と記念写真に収まる東徹(左)、宮崎喜美乃(右)。

山口県の公式キャラクター「ちょるる」と記念写真に収まる東徹(左)、宮崎喜美乃(右)。

Aid-2016Kasadojima

エイドステーションには地元からたくさんのボランティアスタッフの皆さんの姿。

Toru-Higashi-2016Kasadojima-podium

第一回くだまつ笠戸島アイランドトレイルで表彰された男子選手のみなさん。

くだまつ笠戸島アイランドトレイルは山口県では初めての本格的なトレイルレースではないでしょうか。下松商工会議所が中心となり、下松市を挙げて盛り上げようという意気込みを感じる大会です。地元の応援や会場でのフグ汁など地元の味覚や特産品も最高です。コースもトレイルの魅力が十分感じられ、きっとこれから西日本で人気の大会になると思いました。

今回のタイム

  • 第1エイド 31分35秒
  • 10km地点 1時間03分55秒
  • 第2エイド 1時間23分41秒(前エイドからのラップ・52分06秒)
  • 第3エイド 1時間47分45秒(24分03秒)
  • 20km地点 2時間04分32秒
  • 第4エイド 2時間17分04秒(29分19秒)
  • ゴール  2時間48分51秒(31分47秒)

今回の装備

  • パンツ:FT Woven Short 6 in(アシックス)
  • シャツ:FT Sleeveless Top(アシックス)
  • シューズ:GEL-FujiRacer 3(アシックス)
  • 補給食:
    • バワージェル 1個(使用せず)
    • アミノバリュー顆粒 1本(使用せず)
    • 塩熱サプリ 3粒(使用せず)
    • このほか、各エイドで100mlぐらい水またはスポーツドリンクを補給、第2エイドで饅頭を1個いただきました。

Toru-Higashi-Square東徹(ひがし・とおる):1975年生まれ。Team ASICS、大和走友会、GGRCに所属。トレイルランニングでは2013年にハセツネCUPで優勝し、大会記録を更新したことで広くその名を知られる。トレイルと並行してロードレースにも積極的に参加しており、マラソンPRは2:19:12(2009年福岡国際)というスピード。昨年はスカイランニング日本選手権・ウルトラの部(美ヶ原80k)で優勝、今年は日本代表としてスペインで行われる世界選手権に出場の予定。アスリートとしての活躍のほか、地元である広島県三原市で三原・白竜湖トレイルランレースの実行委員を務めるなど、西日本でトレイルランニングの楽しさを伝える活動にも取り組んでいる。

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