海外レースで初勝利・上田瑠偉さんのゴージ・ウォーターフォールズ / Gorge Waterfalls 100K 参加レポート

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【編者より・ / さんは2014年のハセツネ・カップを大会新記録で優勝するなど日本を代表するトレイルランナーの一人です。その上田さんが4月2日にアメリカ・オレゴン州のポートランド近郊で開催されたゴージ・ウォーターフォールズ / Gorge Waterfalls 100Kで優勝しました。上位入賞者にはアメリカの伝統ある100マイルトレイルレース、ウェスタン・ステイツ / Western Statesへの出場権が与えらえるGolden Ticket Raceとして注目を集めていたイベントです。この春、早稲田大学を卒業して新社会人となった上田さんに幸先のよいスタートとなった今回のレースについてレポートを寄稿していただきました。なお、ウェスタン・ステイツへの出場権については熟慮の結果、今回は辞退することにしたとのことです。】

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今回、アメリカ・オレゴン州で開催されたゴージ・ウォーターフォールズ / Gorge Waterfalls 100Kに出場してきました。このレースで上位2位までに入るとウェスタン・ステイツに出場できるgolden ticketを獲得できます。

現地入りしたのは3月26日。レース前にアメリカでF.K.T.(編者注・Fastest Known Timeの略で、あるコースについての最速踏破記録、またはその記録への挑戦を意味する)をしようと早めに渡米しました。F.K.T.では29日に約23kmの距離に挑戦。この挑戦については後日紹介する予定です。このF.K.T.のコース前半はレース本番以上に厳しい傾斜の登りでしたが、よい刺激になったと思います。

Ruy_Ueda_GorgeWaterfalls100k-start早めに現地に入ったおかげで時差の調整はばっちりでレース当日を迎えました。夜明け前の朝6時にBenson State Parkをスタートしました。スタートしてから40分程はヘッドランプを頼りにコースを進みます。

ゴージ・ウォーターフォールズ 100kのコースはコロンビア川に沿ったトレイルがメインの往復コースとなっていて、一部はPCT(編者注・パシフィック・クレスト・トレイル / Pacific Crest Trail、アメリカ西部を縦断する著名なロングトレイル)のルートも走ります。PCTを歩くハイカーや滝の近くには観光客も多く、その都度歩きます。また、シングルトラックの往復コースなので折り返してからは前方から来る選手とすれ違うために歩いて避けます。このようにコース上で追い抜くのは難しいので、折り返しのエイドのドロップバックでしっかり補充して、その後二つのエイドに寄らないことで先頭に立とう、という作戦を立てます。

レース序盤はライアン・スミス / Ryan Smith選手にくっついて、二人で先頭を走ります。コースはいくつもの滝の側を走り、橋を渡るのが特徴です。滝の裏側を走る場所もありました。水しぶきが気持ちよく、アップダウンもそれほどなくとにかく走れるコースでしたが、ガレていたり九十九折になっているトレイルも多く、やはり思うほどスピードは出せません。

レースが動いたのは折り返し手前の約45km地点。ライアン選手がトイレで立ち止まったので、「ここで一度ギアを上げて見えなくなるまで引き離し、相手の気持ちを折る」作戦に出ました。その結果、折り返しのエイドでは2位のライアン選手と2分差。作戦通りここでしっかり補給しますが、前日から気温が高くてこの日の予想最高気温は22℃だったので、2リットルのハイドレーションを背負ってエイドをスタートします。やはりこれでは背中の荷物が重くて、次のエイドまででだいぶ疲弊してしまいました。とはいえ、結局最後は脱水気味で目眩がするほどだったので、これでも足りないくらいでした、

Ruy_Ueda_GorgeWaterfalls100k-aid折り返してから最初の第5エイドでも2位とは2分差と知らされます。ただ2位の選手はライアン選手ではなく、クリス・モッコ / Chris Mocko選手に代わっていました。続く第6エイドでは2位との差を10分まで広げましたが、ラスト10kmから4kmほど続く最後のスイッチバックの登りでは数段下にクリス選手の姿が見えて焦ります。ギアを入れ換えて残りの登りを一気に駆け上がり、そこからの下りも攻めに攻めました。

しかし、平地に降りた途端に目眩を感じます。エネルギーも水分も補給せずにラストスパートに必死だったのが祟りました。ゴールまで残り1マイルもないのに座り込んで、うとうとしてしまいます。10秒程して起き上がり、「アメリカまできて最後に刺されて悔しい思いをするのは嫌だ」と思い直し、ゆっくりと走り出しました。そしてなんとかトップでゴール。タイムは9時間9分37秒で大会記録を更新です。2位のクリス選手がゴールしたのはわずか27秒後でした。

今回のレース中に何度もハイカーとすれ違いましたが、みなさんが快く避けてくださり、その度にお礼をいいながら走りました。改めてこちらではアウトドアスポーツがライフスタイルに溶け込むよう深く根付いており、山に入る全員にトレイルを共有するという思いがあるんだ、と感じました。

昨年9月に捻挫して以来、約半年ぶりとなる復帰レースでこのような結果を残すことができてよかったです。応援ありがとうございました!

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