最高のフィット感を求めて・Boa®︎フィットシステムがトレイルランニングシューズに搭載されるまで【PR】


ダイアルをカチカチッと回すだけでフィット感をコントロールする「Boa®︎フィットシステム」。当サイトでは今年4月にUTMFに参加するためにオーストリアから来日した「Boaランニングチーム」のミハエル・カビヒャーさんとレティシア・ピビさんに河口湖でお話を伺いました。それから2ヶ月、今度は当サイトが大会取材のためオーストリアに行くことに。この機会にオーストリアにあるBoaテクノロジー社の欧州オフィスを訪ね、Boaフィットシステムについてもっと詳しくお話を聞いてきました。

STYで4位入賞!Boaランニングチームのミハエルとレティシアに聞きました。【PR】

2018.05.10

パートナーと一緒になって製品開発を進める

大作曲家・モーツアルトが生まれ育ち、夏の音楽祭に世界中から音楽ファンを集めるオーストリア・ザルツブルク。その市内から車で約30分、周囲を山に囲まれた湖のほとりの町・モントゼーにBoaテクノロジー社の欧州オフィスがあります。

オーストリア・モントゼーにあるBoaテクノロジー社のオフィスを訪ねました。

オーストリア・モントゼーにあるBoaテクノロジー社の欧州オフィスを訪ねました。

オフィスに到着するとマーケティング担当のトビー・マクデルさん、クラウディア・エギンガーさん、そして4月にSTYで4位になったミハエル・カビヒャーさんが出迎えてくれました(Boaランニングチームのアスリートであるミハエルさんは、Boaテクノロジーの社員なのです)。

マーケティング・マネージャーのトビー・マクデルさん

マーケティング・マネージャーのトビー・マクデルさん

クラウディア・エギンガーさん

クラウディア・エギンガーさん

4月に日本で会ったばかりのミハエル・カビヒャーさん

4月に日本で会ったばかりのミハエル・カビヒャーさん

スノーボードのブーツの靴ひもをもっと楽にしっかり締められないか。そう考えて普通の靴ひもの代わりに金属のワイヤーを試したのが創業者のゲイリー・ハンマースラグさん。「ゲイリーはコロラドの地元、スチームボートスプリングスのスノーボードショップでブーツを買っては手作業で改造して、口コミで集まったお客さんに売っていたそうです」(クラウディアさん)。試行錯誤の末にダイヤル、レース、ガイドを組み合わせたBoaのシステムを搭載したスノーボード・ブーツが既製品として最初に発売されたのは2001年のこと。この年に、アメリカ・コロラド州スチームボートスプリングスにBoaテクノロジー社が設立されました(その後移転して、現在はコロラド州デンバーに本社があります)。

会議室にはBoa®︎フィットシステムを搭載した製品がずらりと並んでいました。

会議室にはBoaフィットシステムを搭載した製品がずらりと並ぶ。

その後、Boaのシステムはハイキング、ゴルフ、自転車といったスポーツ用だけでなく、2008年には消防士のようなプロフェッショナル向けの制服や装備品、2011年には骨折した際の固定用具をはじめとする医療用製品へと、進出していきます。

Boaの歴史を振り返る。2001年の創業時のスノーボードから始まって、様々な分野に採用されていきます。

Boaの歴史を振り返る。2001年の創業時のスノーボードから始まって、様々な分野に採用されていきます。

現在Boaを採用しているメーカの例。スポーツだけでなく、専門職のためのワークウェアや医療用器具にも導入されています。

現在Boaを採用しているメーカの例。スポーツだけでなく、専門職のためのワークウェアや医療用器具にも導入されています。

現在では「Boaフィットシステム」として様々な用途に向けたシステムを開発していますが、ダイヤル、レース、ガイドといったパーツだけをメーカーに販売したり単純にライセンスを与えたりすることはしていないとのこと。とはいえ、ダイヤルで簡単、正確にフィットさせるというBoaのアイディアを取り入れたい、という問い合わせは次々に舞い込んできます。どんな場合にBoaを使った製品の開発に取りかかるのでしょうか。「Boaフィットシステムを導入することによってその製品のクオリティが圧倒的によくなるか。その分野でトップクラスの開発力を持つメーカーとパートナーシップを築けるか。パートナーと検討を重ね、試作とテストを繰り返して、これらの問いにイエスと答えられた場合に、はじめてBoaを使ったアイテムの製品化にゴーサインが出ます」(トビーさん)。

Boaを搭載したランニングシューズが並ぶ。手前は今シーズン発売のadidas Terrex Boa 2。奥にみえる使い込んだシューズは試作品でミハエル・カビヒャーが今年4位となったSTYで履いたもの。

Boaを搭載したランニングシューズが並ぶ。手前は今シーズン発売のadidas Terrex Boa 2。奥の使い込んだシューズは試作品でミハエル・カビヒャーさんが今年4位となったSTYで実際に使用したもの。

実際にBoaフィットシステムを製品に導入することが決まると、Boaテクノロジーとメーカーの関係は多岐にわたります。製品のスペックやデザインが決まり、いよいよ生産工程に入るとBoaではメーカーの工場での技術指導やサポートを行うほか、営業やアフターサービスまで支援します。「アウトドア、ランニング、プロフェッショナル向け、医療用とどんな分野でも、Boaを使った製品の価値を最大限高めることが私たちの使命」だとクラウディアさんは会社のポリシーを説明してくれました。

Boa®︎フィットシステムのサンプル。いずれもダイヤルとレース、ガイドの3点からなっているが、求められる機能に応じてそれぞれ異なる特性を持つという。

Boaフィットシステムのサンプル。いずれもダイヤルとレース、ガイドの3点からなっているが、求められる機能に応じてそれぞれ異なる特性を持つという。

Boa®︎フィットシステムを構成するパーツのサンプルを展示用にまとめたもの。求められるフィット感や必要とされる強度などにより最適なパーツを組み合わせる。この作業はアイテムごとに行われる。

Boaフィットシステムを構成するパーツのサンプルを展示用にまとめたもの。求められるフィット感や必要とされる強度などにより最適なパーツを組み合わせる。この作業はアイテムごとに行われる。

adidas Terrex Boa 2に搭載されたBoaはレース(ひも)に初めて繊維素材のダイニーマを採用。一定以上の力が加わった場合にはダイヤルが破損するまでに外れるようになっているのもこのシューズが初めて。ダイヤルが外れただけならすぐに手ではめ込むことができるようになっている。

adidas Terrex Boa 2に搭載されたBoaはレース(ひも)にダイニーマ®︎などからなる軽量で高強度の特殊繊維を採用。ダイヤルは一定以上の力が加わった場合にはシューズから外れることで破損しないようになっていて、外れたダイヤルはすぐに手でだけではめ込むことができる。

アイディアを形にするのはこの工房から

Boaテクノロジーではアメリカ・コロラド州の本社で様々な用途に向けた製品開発を行う一方、ここオーストリア・モントゼーの欧州オフィスではBoaフィットシステムをパートナーの製品向けにカスタマイズする役割を担っています。お話を伺った後は、Boaを使ったプロトタイプを製作する工房を見学です。

プロトタイプを手作業で作る工房を訪ねた。左からプロトタイパーのステファン・アングルさん、ステファン・スポーラーさん、アプリケーションエンジニアのエミリアーノ・エスカンドンさん。

プロトタイプを手作業で作る工房を訪ねた。左からプロトタイパーのステファン・アングルさん、ステファン・スポーラーさん、アプリケーションエンジニアのエミリアーノ・エスカンドンさん。

伺った時にはちょうど既製品のシューズにBoaを載せるプロトタイプを作成中でした。工房にはミシンやグラインダー、レーザーカッターといった機械や工具、レザーやラバーなど様々な素材が並びます。

デザインや設計ではコンピューターを駆使するが、プロトタイプの作成は一種の職人技。きちんと手入れして整理された工具がずらりと並んでいた。

デザインや設計ではコンピューターを駆使するが、プロトタイプの作成は一種の職人技。きちんと手入れして整理された工具がずらりと並んでいた。

同じメーカーのシューズであっても、Boaフィットシステムを載せる場合にはモデルごとに毎回プロトタイプを作ります。ミハエルさんによれば「プロトタイプを実際に試してみて、どんなメリットが得られるか、どこを改善すればいいか、シューズメーカーの担当者と徹底的に議論します」。さらに、実際に製品となるまでにはいくつものチェックポイントがあり、例えば「ガイドからレースが出てくる角度が小さいとフィット感が下がってしまう」として、角度を一定の範囲に収めることを求めているとのこと。これはプロトタイプをデザインする段階はもちろんのこと、実際に製品としてメーカーの工場で生産する段階でもきちんと基準に収まっているかを確認するそうです。

レース(靴ひも)がガイドから出てくる角度を図っているところ。緑の範囲に収まる程度に角度をつけてあるかどうかをチェックしている。

レース(靴ひも)がガイドから出てくる角度を図っているところ。緑の範囲に収まる角度になっているかをチェックしている。

工房にはレザーやファブリックのサンプルがたくさん並んでいた。

工房にはレザーやファブリックのサンプルがたくさん並んでいた。

Boaランニングチームがモーツアルト100でも大活躍

取材中に、翌日に開催されるトレイルランニングの大会、「モーツアルト100」に出場するBoaランニングチームの皆さんにお目にかかりました。モーツアルト100ではミハエルさんと一緒にBoaランニングチームを立ち上げたフロリアン・グラーゼル Florian Graselさんが見事優勝。フロリアンさんは昨年末に生まれたばかりの双子の赤ちゃんにフィニッシュで迎えられていました。

取材翌日に開催の「モーツアルト100」に出場するBoaランニングチームの皆さんと。左から二人目のフロリアン・グラーゼルさんは翌日のレースで優勝。左端はこのモントゼー・オフィスが統括するEMEA(欧州中東アジア)地域のゼネラルマネージャー、アロイス・バーデグルーバーさん。

Boaランニングチームの皆さんと。左から二人目のフロリアン・グラーゼルさんは翌日の「モーツアルト100」で優勝。左端はモントゼーの欧州オフィスが統括するEMEA(欧州・中東・アフリカ)地域のゼネラルマネージャー、アロイス・バーデグルーバーさん。

イノベーションはシンプルなアイディアを突き詰めたところから生まれる

創業者のゲイリー・ハンマースラグさんのアイディアはとてもシンプルで、今日私たちがランニングシューズでダイヤルを回して即座にシューズの締め具合を調整できるのも当たり前のように思えます。しかし、それは壊れないダイヤルの開発、用途に応じたダイヤル・レース・ガイドの組み合わせの追求、そしてプロトタイプの作成から生産、アフターサービスまで一貫したメーカーとパートナーシップ、というきめ細かい努力を重ねた結果だった、というわけです。

今回のモントゼー訪問で自由でリラックスしたオフィスの雰囲気が印象に残りました。オフィスは小高い丘の上にある3階建ての建物にあります。元々は修道院の施設だったというオフィスからは山と湖が見渡せて眺めは最高、駐車場の隣には羊が牧草を食べているというなんとものどかな雰囲気。オフィスには男女それぞれの更衣室とシャワーがあって、出勤の前後にランニングや自転車で汗を流す社員も多いとのこと。これからもシューズだけでなくトレイルランニングのギアのフィッティングにBoaはイノベーションをもたらしてくれるに違いありません。

取材の合間に休憩室をのぞいたところ、社員の皆さんが一緒にランチをとっていた。オーブンやエスプレッソマシンが備え付けられたキッチンもあった。

取材の合間に休憩室をのぞいたところ、社員の皆さんが一緒にランチをとっていた。オーブンやエスプレッソマシンが備え付けられたキッチンもあった。

オフィスの窓からの眺め。駐車場の奥では羊が放牧されていて、グローバル企業の欧州拠点とは思えないのどかな雰囲気。

オフィスの窓からの眺め。駐車場の奥では羊が放牧されていて、グローバル企業の欧州拠点とは思えないのどかな雰囲気。

(協力:Boa Technology Japan株式会社