DC Weekly 2020年5月18日 – アンドラ・ウルトラトレイルが消える、ザック・ビターがトレッドミルの100マイル世界新記録

国内、海外の主なトレイルランニング、ウルトラマラソンの大会日程を網羅する当サイトのレースカレンダーでは今年の予定を随時アップデートしています。まだ掲載していない大会についての情報のご提供、掲載済みの大会についてのご指摘を歓迎いたします。

(写真・2017年のアンドラ・ウルトラトレイルの170kmのレースをリードするナウエル・パサラ Nahuel Passerat。Photo by Koichi Iwasa)

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トレイルランニング関連ニュース

アンドラ・ウルトラトレイル、来年以降の大会を開催しないことを発表

日本のトレイルランニング・ファンにも人気の高かったアンドラ・ウルトラトレイル Andorra Ultra Trailは、5月15日に発表した声明の中で「今後、大会を開催しない」ことを明らかにしました。目下の新型コロナウィルスの影響から今年7月7-12日に予定されていた2020年大会の中止を4月に発表していましたが、加えて2021年以降の大会を開催しないことで2009年から続くピレネー山脈の名大会は消滅することになります。

大会の声明では、大会の最大のスポンサーが撤退したこと、これに伴い主催者に6万ユーロの損失が発生すること、これに関連して主催者が非難や中傷、脅迫を受けたことで前向きな意欲を失ったこと、が今回の決定につながったとしています。

現地の報道によれば、4月に2020年大会の中止を決めた際に主催者は参加者にエントリー料の70%を返金すると発表。残りの30%についてはすでに発生している管理費、広報費に充てるとしていました。しかし、この7割返金についてアンドラ国会で野党から「全額の返金をしないことは観光地としてのイメージダウンにつながる」と批判の声が上がることに。これを受けて大会のメインスポンサーであるアンドラ観光省長官が、残る30%の返金をしないならば大会への協賛の打ち切りもありうると発言。開催地となる自治体であるオルディノとの間でも返金額をめぐって今後の大会開催に伴う契約の見直しが持ち上がっていた模様です。

コロナ禍をきっかけに持ち上がったのは経済的な問題だけでなく、政治的な思惑もあったのかもしれません。すばらしい大会が消えるのは残念ですが、地元に様々な事情があったことも確かなようです。

ザック・ビター、トレッドミルでの100マイル走と12時間走の世界記録を更新

コロナ禍の中でひときわ光る記録が生まれました。5月16日、ザック・ビター Zach Bitterがトレッドミルでの100マイル走の世界記録に挑戦しました。アリゾナ州フェニックスの自宅に設置された最新型のトレッドミルを午前7時にスタートした、ビターは12時間9分15秒で100マイルを完走。昨年5月25日にカナダ・カルガリーでのイベントでデイブ・プロクター Dave Proctorが記録した12時間32分26秒を13分上回って世界新記録を達成しました。途中の12時間走の距離は98.64マイル(158.75km)で、これも昨年のプロクターによる世界記録(95.5マイル<153.8km>)を更新する世界新記録となりました。ビターは昨年8月にトラックでの100マイル(11時間19分13秒)と12時間走(104.8マイル<168.66km>)で世界記録を更新しています。

 

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A history making day for @zachbitter as he continues to redefine what is possible for human athletic performance 🏃‍♂️🌎🥇 #treadmill100wr

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富士山、吉田ルートが通行止めに

前々週のDC weeklyで今年の富士山では吉田口登山道の山小屋が今夏シーズンの一斉休業を決めたことをお伝えしましたが、5月15日に山梨県は吉田ルートの登山道を7月1日から9月10日まで通行止めにすることを決めました。静岡県側でもすでに富士宮ルートの山小屋が休業を決めており、須走ルート、御殿場ルートもあわせて山小屋の休業、登山道の閉鎖となるかもしれません。

今週末開催のイベント

5月22日金曜日 – 24日日曜日

(中止)Maraton Alpina Zegama-Aizkorri (42.2k)

スペイン・バスクで開催。例年テクニカルでウェットなコンディションで行われる42kmのレースで有名な大会ですが、新型コロナウィルスの感染拡大のため大会は中止。3年目となるGolden Trail Seriesの開幕戦となっていましたが、同シリーズは続くMarathon du Mont-Blanc(6月)も中止となっており、現在のところ開幕戦は7月19日のDolomyths Run(イタリア)となる予定です。

5月23日土曜日 – 24日日曜日

(中止)トレニックワールド 100mile & 110km in 彩の国

埼玉県越生町など。ニューサンピアおごせを拠点に奥武蔵、秩父のトレイルのコースで行われる大会。首都圏では唯一の100マイルのトレイルランニングレースであり、完走へのハードルが高い大会として知られています。

(中止)美ヶ原トレイルラン(100k, 50k, 15k)

長野県長和町。美ヶ原の爽やかな高原エリアをコースとする大会はついに今年、100K(距離は105km)のレースが初開催される予定でした。

5月23日土曜日

(中止)経ヶ岳バーティカルリミット (21k, 12k)

長野県南箕輪村。中央アルプスの一角をなす経ヶ岳の山頂まで往復するコースで開催予定でした。

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DC Weekly 2023年1月24日 HK4TUC、千羽海崖、上五島トレイル

(中止)Mt.Hiei International Trail Running Race (23k, 50k, 50mile)

滋賀県大津市の比叡山で開催予定でしたが中止に。比叡山延暦寺の根本中堂をスタート、フィニッシュするコース。50マイルは制限時間が11時間30分とタイトな上級者向けレースです。

(延期)Vietnam Jungle Marathon (70k, 42k, 21k)

ベトナム・ハノイの南140kmにあるプーロン自然公園で開催予定の大会は現在のところ10月24日に延期して開催される予定です。観光客が訪れることのない昔ながらの農村をつなぐコース。Asia Trail Masterの大会です。

5月24日日曜日

(中止)カムイの杜トレイルラン(42k, 23k, 10k, 5k)

北海道旭川市神居富沢で開催。10回目の節目となる大会は新たなメイン会場で開催される予定でしたが中止となっています。

(中止)Kushigata Wind Trail (31k, 18k, 2.7k)

新潟県胎内市。日本一小さな山脈・櫛形山脈で開催、というキャッチフレーズからの想像を超えるタフなコースと評判の大会。当初予定されていた5月24日の大会開催は見送られますが、延期も含めた今後の予定について改めてアナウンスする予定としています。

(中止)奥四万十トレイルレース in 松葉川(35k, 4.5k)

高知県四万十町。一斗俵沈下橋や松葉川温泉のある松葉川地区をメイン会場とする大会で、今年は前日に4.5kmのバーティカルレースが新たに開催される予定でした。

(延期)宮崎鏡洲の森トレイル(26k, 13k)

宮崎市鏡洲の宮崎自然休養林で開催。現時点では8月16日に延期して開催される予定です。

前週末の主な大会のリザルトと、今週末の国内外のトレイルランニング大会の予定をお伝えしているニュース記事・DC Weeklyへ、皆様からの情報や写真の提供を歓迎します。下のコメント欄もぜひご活用ください。国内、海外の主なトレイルランニング、ウルトラマラソンの大会日程を網羅する当サイトのレースカレンダーにもぜひご利用ください。

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