Amazfit PowerBuds Proレビュー スポーツと健康のための機能が付加された完全ワイヤレスイヤホン

数多くのメーカーがワイヤレスイヤホンを作っていますが、Amazfitが作るとやっぱりユニークな機能が加わります。

昨年、当サイトではAmazfitのスマートウォッチを次々にレビューして、日常生活で使いやすい上にランニングをはじめとするアクティビティのトラッキングや健康管理のための機能の充実ぶりに驚かされてきました。

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今回、同社から声をかけてもらって試したのは昨年9月に発売された「Amazfit PowerBuds Pro」。イヤホンの左右を繋ぐワイヤーがない完全ワイヤレスイヤホン(TWE)です。イヤプラグを外耳に差し込むカナル型で、機能としてはアクティブノイズキャンセル(ANC)や外部音取り込みといった、プレミアムな機能を備えています。

それに加えて、Amazfitらしくスポーツと健康のためのユニークな機能を備えているのが本製品の特徴。ランニングを始めるとその動作を検出して、左右のイヤホンに備えられたセンサーで心拍の計測を開始。設定した心拍数を上回ると音声で知らせます。さらに机に向かって座っている時も、首が圧迫された姿勢が続くとセンサーで検知してリラックスするようにお知らせ。イヤホンはIP55の防塵・防滴仕様です。

TWEとしてトレンドとなっている機能を備えた上で、スマートウォッチから機能を取り込んだといえる「Amazfit PowerBuds Pro」。身に着けるガジェットを絞り込みたいシンプル好きの方には注目のアイテムです。

コンパクトでそつなくまとめられたデザイン

「Amazfit PowerBuds Pro」をパッケージから取り出してみると、フロストホワイトの充電ケースは横長の丸みを帯びていて、蓋を開けると左右のイヤフォンがあらわれます。取り出すと、耳にはめるイヤーピース、そして下に白い軸が伸びています。これはまさに筆者が日頃使っているAppleのAirPods Proを意識したデザイン。シリコン製のイヤプラグは本体に取り付けてあるMサイズのほかSサイズ、Lサイズ、XLサイズの4種類。

製品パッケージにはイヤホンと充電ケース、シリコンのイヤプラグと充電用のUSB-C-USB-Aケーブル。

製品パッケージにはイヤホンと充電ケース、シリコンのイヤプラグと充電用のUSB-C-USB-Aケーブル。

イヤホンをよく観察すると、右側のみ耳に差し込むプラグの部分の根元に黒いパーツが。これがPPG光学式心拍センサーです。このセンサーから出る光で心拍を測るということなので、イヤプラグは半透明のシリコン製になっているのでしょう。ということは、フィット感を調整するためにイヤプラグを交換すると心拍は測れないでしょう。このほか、左右のイヤホンにはイヤホンが装着されていることを検出する近接センサーが一つづつ、軸の部分に音の再生・停止のコントロールやノイズキャンセリングの切り替えといった操作をする圧力センサーが一つづつ。さらに耳の穴に対して外、中、後ろとマイクが三つづつ。通話のほか、ANCや外部音取り込みを可能にしているとみられます。

右耳のイヤホンにはPPG光学式心拍センサーがついている(写真の黒い部分)。

右耳のイヤホンにはPPG光学式心拍センサーがついている(写真の黒い部分)。

ちなみに、AppleのAirPods Proとの比較では充電ケースを含めた全体では大きさ重さはほぼ同じ。ただ、イヤホンのみではPowerBuds Proが6.7gに対してAirPods Proは5.4g。手に取った感じでも、耳につけた感じではもPower Buds Proの方が少しだけ存在感が大きいと感じます。バッテリーの持続時間はイヤホンのみの音楽再生ではAirPods Proは最大4.5時間とされています。PowerBuds Proは持続時間は公表されていないようですが、 試用した印象ではAirPods Proを上回るようです。また防水性についてはPowerBudsが「IP55の防塵・防滴仕様」に対してAirPods Proは「耐汗耐水性能(IPX4)」となっています。

PowerBuds Proを耳に入れてみたところ。筆者の場合はAirPods Proと同様にフィット感は高いと感じた。

PowerBuds Proを耳に入れてみたところ。筆者の場合はAirPods Proと同様にフィット感は高いと感じた。

ケースから取り出す際にイヤホンの丸みのために少々つまみにくく感じる。

ケースから取り出す際にイヤホンの丸みのために少々つまみにくく感じる。

設定はスマホのZeppアプリから

今回はiPhoneで「Amazfit PowerBuds Pro」で使ってみました。Zeppアプリから新しいデバイスとして追加する操作をすると、ケースを開けるよう促され、次いでBluetoothの設定をすると、これだけでまずはTWEとして使用可能になります。

Zeppアプリを立ち上げて充電ケースを開けたところ(左)。Bluetoothでのペアリングを促され(中)、その後は使い方のインストラクション(左)とスムーズに使い始められた。

Zeppアプリを立ち上げて充電ケースを開けたところ(左)。Bluetoothでのペアリングを促され(中)、その後は使い方のインストラクション(左)とスムーズに使い始められた。

機能を引き出すための設定はZeppアプリで設定します。ノイズキャンセリングについては、シーンに応じて「旅行」、「運動」、「屋内」と周囲にあわせて自動的に調整する「適応」の4つのモードがあります。

ノイズキャンセリングの4つのモード。

ノイズキャンセリングの4つのモード。

「ジェスチャーの設定」ではイヤホンの軸の部分を押した時の動作を設定できます。デフォルトでは長押しでノイズキャンセリング、外部音取り込み、オフを切り替え。一回押しで再生・一時停止、2回押しで次の曲、3回押しでSiriを呼び出し。それぞれに割り当てられる機能はこれらの他は「前の曲」と「無効にする」のみ。左右のイヤホンで割り当てる機能を変えることも可能です。軸の押し込みは圧力センサーが感知していて物理的なスイッチはないのですが、小さくクリック音がイヤホンから聞こえるので操作感はスムーズです。

イヤホンの軸を押した時の動作の設定は「ジェスチャーの設定」から。

イヤホンの軸を押した時の動作の設定は「ジェスチャーの設定」から。

ランニング中は自動的に運動時間と心拍数を計測

スペックを確認してZeppアプリでランニング関係の機能をオンにしたら、早速「Amazfit PowerBuds Pro」を耳に入れます。耳に入れると確認音が聞こえてスマートフォンに自動的に接続します。

Zeppアプリ上でランニング関係の機能を「オン」に。初期状態では全てオフになっている。

Zeppアプリ上でランニング関係の機能を「オン」に。初期状態では全てオフになっている。

走り始めると、すぐにランニングの動きを自動的に検知して記録を開始したことを知らせる確認音。ランニング中の心拍数などのデータがイヤホンに記録され始めます。

走りながらポッドキャストを聞きます。走っている間は外部音取り込みモードにしますが、自然に周りの音が聞こえるので安全。あまりに自然なのでノイズキャンセルオフと聞き比べないとこの機能を実感できないほどです。

心拍数が上がってくると、ポッドキャストの音量が下がって「どっくんどっくん」とアラート音が鳴ります。今回はZeppアプリで心拍数を135にセットしたので、これを超えるたびにアラートが鳴ります。

ランニングを終えると何の操作もしなくても、すぐに心拍数などデータがZeppアプリに吸い上げられ、設定しておけばさらにStravaなどのサードパーティアプリにもデータがアップロードされます。

ランニングの記録を見てみると運動時間や心拍数だけでなく、走行距離や平均ペースといったデータも計測されています。これはイヤホンの中の加速度センサーに基づいて算出されたデータなのでしょう。さすがに位置情報は取れないようで、地図上のコースを記録することはできていません。

ただAmazfit PowerBuds Proを耳につけて走っただけで、何の操作もしていないのに、イヤホンのセンサーで自動的にランニングが記録される。

ただAmazfit PowerBuds Proを耳につけて走っただけで、何の操作もしていないのに、イヤホンのセンサーで自動的にランニングが記録される。

あと、GPSセンサーを備えたAmazfitのGTS 3やGarminといったスマートウォッチで記録したデータと比べると、運動時間や走行距離といったデータはやや短めに記録されていました。あと、心拍数もイヤホンの記録の方がやや高い数字でした。

こちらは同じランニングをGarminのGPSウォッチで記録したところ。加速度センサーのみで記録するPowerBuds Proとは距離や時間に差がある。ただ、心拍数にも差があるのはちょっと気になるところ。

こちらは同じランニングをGarminのGPSウォッチで記録したところ。加速度センサーのみで記録するPowerBuds Proとは距離や時間に差がある。ただ、心拍数にも差があるのはちょっと気になるところ。

とはいうものの、小さなイヤホンを身につけて走るだけで、何の操作もしなくてもこれだけのデータが記録されるというのは驚きです。

ちなみに、このランニングの記録については、AmazfitのスマートウォッチともスマホのZeppアプリともPowerBuds Proは連動しません。同時にランニングを記録した場合には別々のアクティビティとして記録されます。この点は何かの連動があってもよさそうな気がします。

外出先でのデスクワークはノイズキャンセリング機能で集中力を高める

ランニング以外では強力なノイズキャンセリング機能が威力を発揮します。周りの雑音をさっと消してくれるアクティブノイズキャンセリング機能が個人的に一番役立つと感じるのは、電車や飛行機での移動中や外出先のカフェなどでテキストを書いたり資料を読んだりするのに集中したい時。

初期設定では Zeppアプリではオフになっている「聴覚の健康」と「頸部保護」の機能も使ってみました。前者は長時間の大音量でのリスニングによる聴覚へのリスクについて、WHOの推奨基準をもとに「1週間に音量80dBで最大40時間」に対してどれだけ進捗したかを示す機能。筆者はイヤホンで大音量の音楽を聴くことはあまりないですが、そういった習慣のある人には役立つでしょう。

Zeppアプリの「聴覚の健康」では大音量のリスニングが長時間にならないよう、意識づけができる。

Zeppアプリの「聴覚の健康」では大音量のリスニングが長時間にならないよう、意識づけができる。

後者の「頸部保護」はイヤホンのセンサーにより首の傾き具合と圧迫度合いを計測し、首へのストレスが続くと音声によりリラックスするよう促す機能。初期設定では実際にイヤホンを装着して背筋を伸ばした状態をイヤホンにセットします。Zeppアプリでは頭の下がる角度を計測して、首の頚椎にかかる重さが「猫に相当する」とか「スイカ2個に相当する」とか知らせてくれます。首周りの肩こりを防ぐことができそうです。

頸部の保護、とは平たくいえば肩こりの予防ということか。自分のデスクでの姿勢を客観的に把握できる。

頸部の保護、とは平たくいえば肩こりの予防ということか。自分のデスクでの姿勢を客観的に把握できる。

スマートウォッチを身につけない派にはランニングの記録を簡単に取れる新しい選択肢だが、、

アクティブノイズキャンセリング機能つきのイヤホンとしては優秀な「Amazfit PowerBuds Pro」。肝心の音質についてはよくある低音が強調された感じですが、Zeppアプリはイコライザー機能も備えているのである程度は調整可能です。

初期設定をしてしまえば、全自動でイヤホンだけで心拍数をはじめランニングの記録を取ることができるのは、他にはないユニークな機能です。ただ、スマートウォッチやスマホアプリであればGPSを使ってより正確に距離やペースが残せ、スマートウォッチなら心拍数も計測できます。そういう中であえてこの製品でランニングの記録を取るのはどんな場合だろうか、と考えてしまいます。例えば、クラシックな腕時計を着けることにこだわっているとか、アレルギーなどで腕に何かを着けておきたくない、というようは場合には「Amazfit PowerBuds Pro」は新しい選択肢となりそうです。

スポーツ以外のシーンでは肩こりを予防する「頚部保護」機能がユニークですが、この機能を活用するにはカナル型イヤホンのこの製品をずっと耳に入れておくことが前提になります。ただ筆者の個人的な好みをいえば、音声を聞くとかANC機能で静寂の中で集中したい、といった積極的な目的がない場合に、カナル型イヤホンを耳にずっと入れておくのは圧迫感でちょっと辛いというのが本音です。

このほか、iPhoneだけでなくiPadやMacといった機器との間でBluetooth接続をスムーズに切り替えるというようなマルチ接続ポイント機能を備えていません。これも一度使うと便利な機能なので、Amazfitがまだ備えていないのは残念。公式サイトで23,800円(税込)という販売価格を考えると、この機能も欲しかったところ。

とはいうものの、アクティブノイズキャンセリング機能つきのイヤホンとして優秀、加えてスポーツと健康に関する機能がプラスアルファでついてくるのは唯一無二の存在。ハマる人にはハマりそうな製品です。

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