4月21日から三日間にわたって開催された今年のウルトラトレイルマウントフジ Ultra-Trail Mt. Fujiは、久々に海外からも選手が参加する国際的なトレイルランニング大会として開催されました。この大会に参加したTHE NORTH FACEアスリートの声を4回にわたって紹介します。
2回目となる今回は、FUJIに参加したパディ・オレアリー Paddy O’Learyさん。4年ぶりに走る100マイルで序盤は快調でしたが、胃のトラブルにより明け方近くの富士急ハイランドでレースを諦めることになりました。残念な結果にでしたが、笑顔で今回のレースを振り返ってくれました。
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(表題写真 © Doryu Takebe / The North Face)
胃が何も受け付けなくなり、初めてのDNFに
DogsorCaravan(以下DC):胃の調子が優れず、リタイアされたと聞きました。今は体調はいかがですか?
パディ・オレアリーさん(以下、パディ):何を口にしてもすぐに吐き出してしまう状態で100kmのエイドステーション(注・F5富士急ハイランド)にやってきて、そこで2時間近く水とカロリーを補給しようとがんばった。でもダメだった。僕にとって今回が初めてのDNFになる。変化に富んだマウントフジの100マイルのために、きちんとトレーニングを積んで脚はできていたから、とてつもなく残念だよ。宿に戻って2時間ほど横になったらようやく食事を摂ることができるようになったんだ。
天子山地の思わぬ暑さで脱水症状に
DC:レースの序盤、F1富士宮(23.8km)やF2麓(51km)では元気に上位の選手と並んで走っていましたね。どの辺りで調子を崩したんですか。
パディ:スタートした金曜日は思っていたより気温が高かった。アイルランド出身の僕は冷たい雨のなかを走る方が得意なんだ。それでも慎重にスタートして、最初の20マイルは先頭の選手から数分遅れの集団で走っていたと思う。
F1からの登りで山頂に着いたところで4位だった。このF1からF2の区間は僕が今まで経験した中で一番チャレンジングなトレイルだね。とにかく長い。他の選手は難なく走っているのに、僕は最初の山頂に着いたところで持っていた三つのボトルの水を全部飲み干していたんだ。F2でサポートに会うまでに脱水症状を起こしていたと思う。
F2を出ると、吐き気を催すようになった。100マイルのレースでまだ50kmしか走っていないのに。この後の50kmは途中のエイドでゆっくり休みながら、なんとか前に進んだけれど、順位はどんどん下がる。それに水も補給食も体が受け付けない。
80kmぐらいのところでアイルランドから参加している友達が追いついてきて、そこからはしばらく一緒に話しながら走った。彼はその後、26時間で完走したんだ。
DC:この季節の富士山麓の天気は暑い日もあれば寒い日もあって、日本の選手も今回は脱水症状で苦しんだ人が多かったです。
パディ:もし昨日(注・22日土曜日)レースが始まっていたら、もっと気温が低くて僕が得意とする天候だった。もちろん、配られたカードで勝負するしかないんだけどね。
もう一度マウントフジに挑戦したい
DC:今回、ウルトラトレイルマウントフジを走ってみて、大会についてはどう思いましたか。
パディ:美しいトレイルを楽しんだよ。金曜日はコース上から時々、富士山の姿を見ることもできた。ボランティアの皆さんも素晴らしくて、この大会は素敵なコミュニティを育んでいることがよくわかったよ。
ウルトラトレイルマウントフジにはまた参加する。たぶん100マイルではなくて、KAI(69km)にすると思う。でも二、三日したらやっぱり100マイルを完走したいと思うかもしれないな。いずれにせよ、必ずここに戻ってくるよ。
(協力・THE NORTH FACE)