トニ・マッキャン Toni MCCANNとスティアン・アンゲルムンド Stian ANGERMUND が55kmのOCCで優勝 Dacia UTMB Mont-Blanc 四日目

Dacia UTMB Mont-Blancは四日目の9月31日に最初のUTMBワールドシリーズファイナルのレースとなる50Kカテゴリーのレース、OCCが開催されました。

午前8時15分にランナーはスイスのオルシエール Orsièresをスタートしてシャンペ Champex-Lacへと登り、ボビーヌ Bovineを経由してトリアン Trient (23km) へ。ここからは昨年から新たにコル・デ・バルム Col de Balme (30km)を経由するコースとなリます(一昨年以前のコースからはやや距離が短くなっています)。

Sponsored link


スタート直後から先頭集団の中で選手の順位は激しく入れ替わりますが、トリアンを経てコル・デ・バルムまでの6.7kmで標高差で1000m近くを登るセクションでノルウェーのスティアン・アンゲルムンド Stian ANGERMUND(UTMBインデックス935)が先頭に立ちます。まさに2019年で見せたのと同じようなレース中盤からレースをリードする展開をみせてからは続く選手に追いつく隙を与えることはなく、4時間42分40秒でフィニッシュ。WMTRCを二連覇した金メダリストがこのOCCでも2019年に続いて2度目の優勝を果たしました。

(写真 OCC女子3位のヤオ・ミャオ<中>を迎える優勝のトニ・マッキャン<左>、準優勝のケイティ・シャイド<右>。Photo © UTMB)

序盤からリードした中国のグアン・ユウシェン Yousheng GUANはマラソンのPRが2:13というスピードの持ち主。積極的にレースをリードしていましたがアルジャンティエール Argentière (41km) からの登りセクションでFrancesco PUPPI フランチェスコ・プッピ (ITA) の追走を受け、 フレジェール La Flégère (46km) ではプッピが1分のリードで2位に。プッピはそのまま2位をキープして4時間44分58秒でシャモニーにフィニッシュしました。さらにフレジェールではグアンに2分遅れの4位だったアントニオ・マルティネス・ペレス Antonio MARTÍNEZ PÉREZ (ESP) がプッピの30秒後に3位でフィニッシュ。マルティネスは昨年の2位に続いて再びトップ3に食い込む快挙です。4位となったグアンもトレイルのレースでは今回が初の海外レースとなるOCCでその力を世界に印象づけました。

2023年OCC男子トップ3。優勝のスティアン・アンゲルムンド(中)、2位のフランチェスコ・プッピ(左)、3位のアントニオ・マルチネス。Photo © UTMB

2023年OCC男子トップ3。優勝のスティアン・アンゲルムンド(中)、2位のフランチェスコ・プッピ(左)、3位のアントニオ・マルチネス。Photo © UTMB

優勝したスティアン・アンゲルムンドは完走後に自分のレースについてコメントしました。「スタート地点で選手たちを見た瞬間、これは厳しいレースになるだろうと思いました。勝ちたい、それは願望であって確信はできませんでしたが、何よりも全力を尽くしたかった。フランチェスコとアントニオを相手に勝つことができて、夢が叶いました。彼らも素晴らしいチャンピオンです。このコースでこんなに速く走れるとは思っていませんでした。(前回優勝した) 2019年のものとは違いますから。」

スティアン・アンゲルムンド。Photo © UTMB

スティアン・アンゲルムンド。Photo © UTMB

女子のレースでもトリアンからの長い登りでトニ・マッキャン Toni MCCANN(RSA, UTMBインデックス765)が先頭を走っていたヤオ・ミャオ Miao YAO (CHN, UTMBインデックス782)をとらえました。マッキャンはそのままリードを広げて5時間18分21秒で優勝。シャモニーのフィニッシュでは続く選手たちに8分まで差を広げていました。2位をめぐってはフレジェールまでの最後の登りでケイティ・シャイド Katie SCHIDE (USA, UTMBインデックス796)がヤオ・ミャオをかわして前に出ます。昨年のUTMBチャンピオンのシャイドが5時間26分25秒で今年のOCCの銀メダルを獲得しました。42秒差で続いたミャオ・ヤオが3位でした。

2023年OCCの女子トップ3。Photo © UTMB

2023年OCCの女子トップ3。Photo © UTMB

UTMBワールドシリーズファイナルを制したトニ・マッキャンは感極まって語りました。「正直、言葉が出ません。フィニッシュアーチを最初に通過するのは、皆が夢見ることです。信じられない、夢が叶いました。フレジェールで本当にこのレースに勝てると感じました。下り坂では飛んでいるような感覚ががしましたが、このような距離では何が起こるかわかりません。とても嬉しいです!」

トニ・マッキャン。Photo © UTMB

トニ・マッキャン。Photo © UTMB

ケイティ・シャイドは次のように語りました。「これが私の5回目のUTMBレースであり、シャモニーでゴールするのは、信じられないほどの観衆と特別な雰囲気に包まれて、いつも素晴らしいです。」

9月1日金曜日はUTMBワールドシリーズファイナルの100KカテゴリーのCCC、100MカテゴリーのUTMBがそれぞれ午前9時(日本時間午後4時)、午後6時(日本時間土曜日午前1時)にスタートします。

CCCでは、女子と男子の両カテゴリーで国際的な顔ぶれがスタートラインに揃います。トップランクの女性には、スペインのアサラ・ガルシア Azara GARCIA(UTMBインデックス784)とマルタ・モリスト Marta MOLIST(UTMBインデックス772)、スウェーデンのイーダ・ニルソン Ida NILSSON(UTMBインデックス772)とエミリー・フォシュベリ Emelie FORSBERG(UTMBインデックス743)、フランスのオードレー・タンギー Audrey TANGUY(UTMBインデックス760)、そしてアメリカのアディ・ブレイシー Addie BRACY(UTMBインデックス762)がいます。男性ではジョナサン・アルボン Jonathan ALBON(イギリス – UTMBインデックス938)、アンドレアス・ライテラー Andreas REITERER(イタリア – UTMBインデックス911)、ダコタ・ジョーンズ Dakota JONES(アメリカ – UTMBインデックス904)、シェン・ジアシェン Jiasheng SHEN(中国 – UTMBインデックス907)といった高い実力を持つ選手たちがそろい、エキサイティングなレースとなるでしょう。

これも読む
雨の中のタフな100マイルをクリスチャン・スターン、エスター・フェルホファーが勝利、オーストリアでKAT100 by UTMBが開催

夜を前にしたシャモニーをスタートするのがUTMB。シャモニーの街は雰囲気と期待感が最高潮に達します。スタートラインに立つアスリートのうち、男子カテゴリーで特に注目されるのは、UTMBでの優勝を悲願とするアメリカのジム・ウォルムズレイ Jim WALMSLEY(UTMBインデックス934)、昨年CCCを大会新記録で優勝したスウェーデンのペッター・エングダール Petter ENGDHAL(UTMBインデックス929)、そして2022年UTMBで3位のトム・エバンス Tom EVANS(GBR, UTMBインデックス916)です。そしてこのレースで一昨年に3位でデビューし、昨年は2位のフランスのマチュー・ブランシャール Mathieu BLANCHARD(UTMBインデックス909)は表彰台の最上位を目指します。

UTMBの女子カテゴリーは、2019年と2021年の二度のチャンピオンであるコートニー・ドウォルター Courtney DAUWALTER(USA, UTMBインデックス850)が注目されます。今回優勝すればDacia UTMB Mont-Blancにおいてハットトリックを達成し、スポーツ史に名を刻むこととなります。ニュージーランドのルース・クロフト Ruth CROFT(UTMBインデックス785)、フランスのブランディーヌ・リロンデル Blandine L’HIRONDEL(UTMBインデックス809)がドウォルターにチャレンジします。この他にも、2021年のTDS優勝者であるマノン・ボアール Manon BOHARD CAILLER (FRA) や、2022年UTMBで5位のエスター・チーラグ Eszter CSILLAG(HUN, UTMBインデックス765)も優勝をねらいます。

CCC、UTMBのレースの模様はlive.utmb.worldからライブ配信で観ることができます。すべてのレースの結果と通過状況は、live.utmb.worldと大会のSNSで大会開催期間中を通してフォローすることができます。

OCC女子・リザルト

  1. トニ・マッキャン Toni MCCANN (RSA, adidas) 05:18:21
  2. ケイティ・シャイド Katie SCHIDE (USA, The North Face) 05:26:25
  3. ヤオ・ミャオ Miao YAO (CHN, Salomon) 05:27:07
  4. ケイトリン・フィールダー Caitlin FIELDER (NZL, Salomon) 05:36:25
  5. ダニエラ・オイムス Daniela OEMUS (GER, Salomon) 05:38:22
  6. レイチェル・ドレイク Rachel DRAKE (USA, NIKE) 05:40:27
  7. キャンディス・フェルタン Candice FERTIN (FRA, DYNAFIT) 05:41:39
  8. ルイーズ・セルバン=ペノア Louise SERBAN-PENHOAT (FRA, SCOTT) 05:44:41
  9. ヌリア・ヒル・クラペラ Nuria GIL CLAPERA (ESP, ASICS) 05:44:58
  10. アンナ=スティーナ・エルキラ Anna-Stiina ERKKILÄ (FIN) 05:45:16
これも読む
イギリス・コーンウォールの伝説的なトレイルランニングイベント「Arc of Attrition」が来年のUTMBワールドシリーズに加わる、1月24-26日開催

56 山内菜摘 Natsumi YAMAUCHI (JPN, La Sportiva / Paagoworks) )7:18:21
74 福田恵里佳 Erika FUKUDA (JPN) 07:46:24

OCC男子・リザルト

  1. スティアン・アンゲルムンド Stian ANGERMUND (NOR, ASICS) 04:42:40
  2. フランチェスコ・プッピ Francesco PUPPI (ITA, Nike) 04:44:58
  3. アントニオ・マルティネス・ペレス Antonio MARTÍNEZ PÉREZ (ESP, SCARPA) 04:45:19
  4. グアン・ユウシェン Yousheng GUAN (CHN, 凯乐石KAILAS) 04:45:49
  5. ジェシュラン・スモール Jeshurun SMALL (USA, adidas) 04:48:18
  6. ロビー・シンプソン Robbie SIMPSON (GBR, adidas) 04:55:33
  7. アントニー・フェルバー Anthony FELBER (FRA, Team Sidas X Matryx) 04:55:50
  8. メン・ガンフー Guangfu MENG (CHN, HOKA) 04:56:14
  9. ルオ・タオ Tao LUO (CHN, adidas) 04:57:54
  10. ヤン・マルガリット・ソレ Jan MARGARIT SOLÉ (ESP, La Sportiva) 05:00:28

35 甲斐大貴 HIroki KAI (JPN) 05:28:34
92 横内佑太朗 Yutato YOKOUCHI (JPN, ASICS) 06:04:28

この記事が気に入ったらDogsorCaravanをBuy Me a Coffeeで直接サポートできます!

Buy Me a Coffee

Sponsored link