ANTA Hong Kong 100 2024 プレビュー

今年のANTA Hong Kong 100は1月18日木曜日に開幕し、21日日曜日まで四日間にわたって開催されます。1月の香港で開催される国際的なトレイルランニングイベントとして注目を集める大会は、コロナ禍の間もバーチャル大会として開催され、リアル大会は昨年復活しました。今回は初日に33kmの「The Third」、二日目に56kmの「The Half」、三日目に106kmの「Hong Kong 100」が行われます。

(All photos by ANTA Hong Kong 100)

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「Hong Kong 100」は今シーズンから始まる World Trail Majors の開幕戦となります。距離103km、累積高度 5,300mD+のコースは香港の西部、Sai Kung 西貢にあるPak Tam Chung 北潭涌をスタートしてからユネスコのジオパークとなっている樹林帯や砂浜を走り、香港の最高峰であるタイモーシャン Tai Mo Shan 大帽山へ向かったのち、中腹にあるロータリークラブパークにフィニッシュします。現在のコースとなってからのコースレコードは男子が10時間0分17秒(ユウ・ペイチャン、2000年)、女子が11時間28分21秒(シャン・フージャオ、2000年)となっています。

今回の大会では昨年に続いてこの大会の三つのレースに連日挑戦して完走を目指すチャレンジ「Grand Sam」も行われます。昨年始まったこのチャレンジには10人が三つのレースの完走を果たしました。今回は114人のランナーが「Grand Sam」に挑みます。

大会期間中は大会公式SNSでの発信に加えて、HK100が行われる21日土曜日には午前7時30分(日本時間午前8時30分)からライブ配信も行われる予定です。

HK100 の有力選手

HK100の男子のレースは今回も中国のトップ選手たちによるハイレベルなレースとなりそうです。昨年のトップ3であるユウ・ペイチャン Peiquan Youチョウ・ジアジュ Jiaju Zhaoデン・グオミン Guomin Deng が揃って今年の大会にも参戦します。ユウ・ペイチャンは前述の通りこのコースのレコードホルダーであり、コロナ禍を経て3年ぶりにリアル開催された昨年の大会で連覇しており、今回は三連覇を狙うことになります。チョウ・ジアジュは昨年のこの大会でユウに7分差で準優勝。昨年は日本でウルトラトレイルマウントフジのFUJIで鮮やかな勝利をおさめたのも記憶に新しいところです。デン・グオミンはHK100には2016年から欠かさず参戦していて、2019年に4位、2020年に3位と表彰台に立っています。

ユウ・ペイチャン Peiquan You

ユウ・ペイチャン Peiquan You

チョウ・ジアジュ Jiaju Zhao

チョウ・ジアジュ Jiaju Zhao

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デン・グオミン Guomin Deng

デン・グオミン Guomin Deng

中国からはこれら三選手と肩を並べる有力選手が揃います。25歳のチャン・ホオホア Huohua Zhang は2022年のDoi Inthanon Thailand by UTMBの104kmで男子優勝に続いて昨年はChongli 132kmやTsaigu 115kといった中国のレースで優勝しています。シン・グイドゥ Guidu Qin は昨年のこの大会のハーフ 56kmで2位ののち、TransJeju by UTMB 100kで2位、Mt. Yun by UTMB 100kmで優勝。メン・グアンフー Guangfu Mengは2022年Doi Inthanon by UTMB 50kで優勝し、昨年はHK100で5位、OCCで8位、Tsaigu Trail 85kで優勝。先月のDoi Inthanon by UTMB 175kmで圧勝したばかりのドー・ジー Ji Duo は昨年のこの大会では6位、UTMBで13位となっています。さらにバートゥ・メンカイ Mengkai Bateチョウ・フー Hu Zhao 、(876), チャン・ジアオ Jiao Zhang といった選手も中国国内のレースで好成績を挙げているアスリートです。

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中国以外の選手では昨年のWestern Statesで準優勝のタイラー・グリーン Tyler Green (USA) が登場します。昨年はTransgrancanariaで3位、UTMBで7位といった結果を残しています。このほか、昨年11月のUltra-Trail Cape Town 100kで9位のリカルド・チェルタ Ricardo Cherta (ESP) (867)、香港在住で11月のTranslantau by UTMB 50k、12月のTNF100 Hong Kong 100kを相次いで制したジョン・レイ・オニファ John Ray “Stingray” Onifa (PHL)にも注目です。

タイラー・グリーン Tyler Green Photo © Mike McMonagle

タイラー・グリーン Tyler Green Photo © Mike McMonagle

ジョン・レイ・オニファ John Ray "Stingray" Onifa

ジョン・レイ・オニファ John Ray “Stingray” Onifa

このほか、これまでのHong Kong 100で表彰台に立った選手たちも今回のHK100にエントリーしています。2014年に優勝のティルサ・タマン Tirtha Tamang (NEP) と準優勝のベド・スヌワル Bed Sunuwar (NEP) 、2015年優勝で2016年準優勝のヤン・ロンフェイ Longfei Yan (CHN)が今年のHK100でどんな走りを見せるか。

女子のレースでは地元となる香港在住のエスター・シラー Eszter Csillag (HUN) が今年の優勝候補に挙がります。昨年はWMTRC世界選手権での4位に続いてWestern Statesで3位になる快挙で世界のトップ選手に仲間入りしました。昨年12月に来日し、ITJ70kで優勝したのも記憶に新しいところです。HK100では2020年に13時間34分で6位になっています。

エスター・シラー Eszter Csillag

エスター・シラー Eszter Csillag

ポーランドのドミニカ・ステルマッハ Dominika Stelmach は2020年に100kmウルトラマラソンで欧州新記録となる7:04:36を出したほか、昨年は12時間走の世界記録を更新(152.633km)するなど、ロードウルトラでの活躍で話題になりました。トレイルでも2022年にBlack Canyon Ultra 100kで2位となっており、今回のHK100でもシラーとともに優勝候補と考えてよいでしょう。

ドミニカ・ステルマッハ Dominika Stelmach

ドミニカ・ステルマッハ Dominika Stelmach

中国勢では昨年のこの大会でサードで優勝、ハーフで準優勝、HK100で7位でトリプルをコンプリートしたウー・ユアンユアン Wu Yuanyuanが今年はHK100にターゲットを絞って挑みます。昨年はTrail 100 Andorra by UTMB 105kで2位、Doi Inthanon by UTMB 175kmで3位のほか、中国だけでなく世界の大会に精力的に参戦しています。昨年のHK100で2位のイ・アンア Li Anna は10月のTsaigu Trail 115kで優勝、12月のDoi Inthanon by UTMB 175kで2位と勢いに乗っています。昨年のHK100で3位のルー・チン Qin Luも今年の大会にエントリーしています。

ウー・ユアンユアン Wu Yuanyuan

ウー・ユアンユアン Wu Yuanyuan

イ・アンア Li Anna

イ・アンア Li Anna

ルー・チン Qin Lu

ルー・チン Qin Lu

さらに昨年12月のDoi Inthanon by UTMB 175kで優勝したリン・チェン Chen Lin、10月のTransJeju by UTMB 100k優勝のチェン・ウェンロン Zheng Wenrongも今回のHK100の注目株です。

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このほかではタイからはWMTRC世界選手権のタイ代表選手の経験を持つフィッチャナン・マハチョット Phitchanan Mahachotニサチョン・モーガン Nisachon Morganが参戦。昨シーズンのAsia Trail Masterシリーズチャンピオンのラシラ・タマン Rashila Tamang (NEP) もスタートラインに立ちます。

地元香港からは昨年のTranslantau by UTMB 100kで2位のウォン・キチュン Ki Chun Wong、 昨年のHK100で6位のレン・ホンキウ Hong Kiu Kimmy Leung、昨年12月のTNF100 Hong Kong 100kで3位のアンジー・ヤン Angie Yanといった選手の活躍が期待されます。

Half の有力選手

56kmのHalfには日本から上田瑠偉 Ruy Uedaが参戦します。2022年のMarathon du Mont-Blancでの3位をはじめGolden Trail Seriesで活躍した一昨年に対し、昨年はケガからのリカバリーに多くの時間を割くことになりましたが、12月にはオーストラリアのKosciuszko by UTMB 100kで圧勝しています。香港でのレースは今回が初めてとなります。

上田瑠偉 Ruy Ueda

上田瑠偉 Ruy Ueda

上田に挑むことになりそうなのは若い中国のアスリートとなりそうです。18歳のシー・カイジン Kaijin Shi、19歳のファン・バンリン Banglin Fan はいずれも昨年からトレイルを走るようになったばかりですが、中国国内の50km前後のレースでは表彰台に立つ活躍を見せています。

女子のレースにはヌリア・ピカス Núria Picas (ESP) が登場します。2017年のHK100で優勝しており、同じ年にUTMBのチャンピオンとなっているレジェンドです。昨年はVal d’Aran by UTMB 110kで3位、Ultra Pirineu 100kで5位でした。

ヌリア・ピカス Núria Picas

ヌリア・ピカス Núria Picas

昨年のHalf優勝のチョウ・ルイファン Ruifang Zhou (CHN)や2022年Tsaigu Trail 85k優勝のタン・ジンヤン Jingyan Tang (CHN) も上位入賞が期待されます。

Third の有力選手

33kmのThirdの男子のレースでは昨年のMadeira Island Ultra Trail 42k優勝のティアゴ・ビエイラ Tiago Vieira (POL)、昨年のウルトラトレイルマウントフジ・KAI 68kで3位のキム・ジソプ Jisub Kim (KOR)、そして昨年のMMTF 25kで優勝しているブラド・イクセル Vlad Ixel (AUS) が上位を争うことになりそうです。

キム・ジソプ Jisub Kim

キム・ジソプ Jisub Kim

女子のレースにはアメリカからレイチェル・ドレイク Rachel Drakeがエントリーしています。2021年にBlack Canyon Ultra 60kで優勝したのちに出産を経て、最近スポーツに復帰しており、香港でその力を発揮することになります。2014年のHK100準優勝で、翌年に優勝を果たしたワイアン・チャウ Wyan Chow (HKG) は久々にこの大会に戻ってきます。中国のショートディスタンスのトレイルで好成績を挙げているジン・ユアン Yuan Jin (CHN)にも注目です。

レイチェル・ドレイク Rachel Drake Photo © Martina Valmassoi

レイチェル・ドレイク Rachel Drake Photo © Martina Valmassoi

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