2024年4月20日、神戸市で開催されたGolden Trail World Series(ゴールデントレイル・ワールドシリーズ、GTWS)の開幕戦、Kobe Trail 神戸トレイルで、パトリック・キプンゲノ Patrick Kipngeno(KEN)とモード・マティス Maude Mathys (SUI)が四つのループからなる距離21.3km、累積獲得高度2,109mのレースで男子、女子それぞれのレースで勝利を収めました。
(Photo @colinolivero @GoldenTrailSeries @KobeTrail)
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テクニカルは苦手と思いきや、パトリック・キプンゲノが快勝
昨年のGTWS年間ランキング2位のキプンゲノについては、レース前の記者会見でテクニカルな神戸トレイルのコースに「走りにくくてびっくりした」と話していたことから、今回は勝利することはないのでは、と思われていました。しかしレース後には「レースは非常に厳しかったが、勝つことができて本当に嬉しい。16キロ地点で初めて勝利が可能だと感じた」と語りました。意外なことながら、パトリック・キプンゲノがGTWSのシリーズ戦で優勝するのは今回が初めてです。
モード・マティスが復帰戦で見事な勝利
2021年のGTWS年間ランキングチャンピオンのモード・マティスは懸案としていたアキレス腱について昨年手術を受けました。そこからの復帰戦に選んだのが神戸トレイルでした。マティスもレース前の記者会見では控えめに今回の目標はトップ5入りすることとしていましたが、レース後半に入り、第三ループを終えた時には首位に立っていました。結局最後は2位に6分以上の差をつけて、復帰戦を見事な優勝で飾りました。この日のレースについて「慎重にスタートし、徐々にペースを上げていった。下り坂は苦手だが、誰にも追いつかれなかった」とコメント。見事な勝利で今シーズンへの意気込みを示しました。
ジョーイ・ハドーンとエルハウシン・エラザウイの戦い
今回のサプライズとなったのは男子2位となったジョーイ・ハドーン Joey Hadorn (SUI) でした。27歳のハドーンはオリエンテーリングでジュニア時代から世界選手権でメダルを獲得しており、その後もワールドカップのイベントで何度もメダルを手にしています。トレイルランニングでも2021年のWMTRC世界選手権のアップヒル競技で4位となっています。今回は序盤からレースをリードし、キプンゲノには敗れたものの2位でシリーズ初戦を終えました。「今日2位になれたことをとても嬉しく思う」とコメントしています。昨年の年間ランキング4位でグランドファイナルでは鮮やかな逆転劇で勝利を勝ち取ったエルハウシン・エラザウイ Elhousine Elazzaoui (MAR) は第三ループで転倒したことがきっかけでペースを落としたもののレースを完走し、シーズン初戦の表彰台に立ちました。
日本の選手では近江竜之介 Ryunosuke Omiの12位が最高位でした。2022年GTWS年間4位の上田瑠偉 Ruy Uedaは昨年の転倒事故でのケガ以来のGTWSへの参戦で、今回は17位。小笠原光研 Koken Ogasawaraが19位、吉野大和 Yamato Yoshinoが21位でした。
サラ・アロンソ、テレーズ・ルボフも初戦で手応えをつかむ
女子2位にはサラ・アロンソ Sara Alonso (ESP) が入りました。疲労骨折で昨年夏からしばらくレースを控えていましたが、今シーズンに入ってからはレースで結果を残しており、今回の神戸でも2位となりました。「今回のエントリーリストを見て、5位以内に入れれば十分と思っていた。2位になれたのは想定以上の嬉しい結果です」と話しました。3位のテレーズ・ルボフ Theres Leboeuf (SUI) は兄嫁が日本人でご母堂が東京から応援に駆けつけていたとのこと。「今回のようなアップダウンを繰り返すコースは私の強みに合っていて、今回のような結果を出せてうれしい」と話しました。
日本の選手では髙村貴子 Takako TakamuraがGTWSのレースに初参戦で9位に入り、表彰台に立ちました。萩谷楓 Kaede Hagitaniは16位、楠田涼葉 Suzuha Kusudaは21位でのフィニッシュでした。
次は来週の中国・四川省での第二戦へ
日本でシーズン開幕戦を迎えたGTWSは翌週の4月27日に中国・四川省での「Four Sisters Mountain Trail」で第二戦を迎えます。エリート選手たちは日本から中国へと転戦することになります。
Kobe Trail 神戸トレイル 21K リザルト
リザルト速報はこちら。
女子 Women
- モード・マティス Maude Mathys (SUI) 2:52:08
- サラ・アロンソ Sara Alonso (ESP) 2:58:34
- テレーズ・ルボフ Theres Leboeuf (SUI) 2:58:38
- ジョイス・ニエル Joyce Muthoni Njeru (KEN) 2:59:41
- マレン・オサ Malen Osa Ansa (ESP) 3:00:01 16:05:01
- ダニエラ・オーマス Daniela Oemus (GER) 3:00:35
- マルタ・マルチネス Marta Martinez Abellan (ESP) 3:03:05
- ロサ・ラーラ Rosa Lara Feliu (ESP) 3:04:29
- 髙村貴子 Takako Takamura (JPN) 3:05:15
- ジュリア・フォン Julia Font Gomez (ESP) 3:06:21
16 萩谷楓 Kaede Hagitani (JPN) 3:22:43
21 楠田涼葉 Suzuha Kusuda (JPN) 3:28:32
男子 Men
- パトリック・キプンゲノ Patrick Kipngeno (KEN) 2:22:17
- ジョーイ・ハドーン Joey Hadorn (SUI) 2:23:26
- エルハウシン・エラザウィ Elhousine Elazzaoui (MAR) 2:28:43
- バート・プシェドボエフスキ Bart Przedwojewski (POL) 2:28:49
- ダニエル・パティス Daniel Pattis (ITA) 2:30:45 16:05:45
- マルチン・クビカ Marcin Kubica (POL) 2:31:05
- ロベルト・デロレンツィ Roberto Delorenzi (SUI) 2:32:41
- ボグダン・ダミアン Bogdan Damian (ROU) 2:32:45
- チェーザレ・マエストリ Cesare Maestri (ITA) 2:33:40
- アレックス・ガルシア Alex Garcia Carrillo (ESP) 2:34:56
12 近江竜之介 Ryunosuke Omi (JPN) 2:35:07
17 上田瑠偉 Ruy Ueda (JPN) 2:42:33
19 小笠原光研 Koken Ogasawara (JPN) 2:45:22
21 吉野大和 Yamato Yoshino (JPN) 2:47:40
24 宮川朋史 Tomofumi Miyagawa (JPN) 2:51:53
25 藤飛翔 Tsubasa Fuji (JPN) 2:52:22
26 松本祥汰 Shota Matsumoto (JPN) 2:53:38
27 市毛富士雄 Fujio Ichige (JPN) 2:54:24
30 竹村直太 Naota Takemira (JPN) 3:02:49