ゴールデントレイルワールドシリーズ Golden Trail World Series は4月の神戸トレイル、四姑娘山トレイルを経て、ヨーロッパで今週末、第三戦を迎えます。舞台となるのは欧州の山岳ランニングシーンでは伝説的なイベントであるセガマ・アイスコリ Zegama-Aizkorriです。世界トップレベルのアスリートが5月最終週の日曜日にバスク地方のトレイルで激突するレースは、今年も42km、獲得標高2,736mD+のコースで行われます。地元バスクを中心に3万人の観衆が集まるという熱狂的な雰囲気の中で、サンクティ・スピリトの登りで先頭に立つのは誰か。誰が下りセクションで一気に順位を上げるのか。しばしば雨でトレイルはぬかるむことになるこの大会で、今年の天候は誰の味方、あるいは敵となるのか。 5月26日日曜日午前9時(日本時間午後4時)にレースがスタートします。
(Photo © Martina Valmassoi / Zegama Aizkorri / Golden Trail Series)
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有力選手の顔ぶれ
女子選手
昨年の覇者であるダニエラ・オームス Daniela Oemus (GER) は今年もゼガマのスタートラインに立ち、連覇を狙います。しかし、昨年僅差で2位となったケイトリン・フィールダー Caitlin Fielder (NZL) は昨シーズン終盤の体調不良を乗り越えて今回、レースに復帰します。前回3位で、今年は神戸での開幕戦で3位に入ったテレス・ルボフ Theres Leboeuf (SUI) はさらに上位を目指します。
サラ・アロンソ Sara Alonso (ESP) は一昨年2022年のゼガマで3位となったのを機にトレイルランニングシーンで存在感を示すようになりました。今回の優勝候補の一人です。アメリカからはダニ・モレノ Dani Moreno (USA) が登場します。さらにマレン・オサ Malen Osa (ESP)、ナイアラ・イリゴイエン Naiara Irigoyen (ESP)、シルビア・ノルドスカー Sylvia Nordskar (NOR) 、スンマヤ・ブッダ Sunmaya Budha (NEP)、ベイリー・コワルチック Bailey Kowalczyk (USA)といったエリート選手が揃います。
今年の話題:地元出身の若き二人の対決
男女ともに熾烈なレースが予想される今年のセガマ・アイスコリで、特に注目を集めているのが、サラ・アロンソとマレン・オサという2人の「地元の伝説」同士の対決です。
二人はともにバスク地方の出身です。サラはすでにこのレースで確かな結果を残していますが、マレンは今回が初出場となり、マラソンディスタンスのレースにも初挑戦です。GTWSでもしばしば対戦する二人の対決はもちろん、スポーツマンシップにも注目が集まります。
「勝利を狙うのは当然のこと」とサラは語ります。「ソフィア (ラウクリ) がケガのため欠場すると分かったので、マレン、ダニ、テレスとの争いになると思います。マレンはこのコースをよく知っていますが、今回が初のマラソンです。私が昨年のケガをした後は、どのレースでも彼女のほうが私より上でした。でも今年は日本で私が勝ち、中国では彼女が勝ちでした。競り合いになればレースをうまく走りきれた方が勝つでしょう。地元での対決となるので力が入ります。」
一方のマレンは「ゼガマでは思いっきり楽しみ、現在のベストの力を発揮することが目標。レース後に笑顔でフィニッシュできることを願っています」と語ります。「正直、練習は予想以上に上手くいっていて、4月のアジアでのレースの時よりずっと良い状態です。初マラソンではありますが、表彰台も夢じゃないと思っています。もし全てがうまくいけば、きっと可能でしょう。私にとってサラは最大のライバルだから、誰よりも彼女に勝ちたい。でも、彼女の良い結果も願っています。もし彼女に負けたら本当にガッカリするでしょうが、彼女が望む結果を出せたらそれは嬉しいです。」
男子選手
このセガマ・アイスコリでは11回の出場で10度の優勝経験を持つキリアン・ジョルネ Kilian Jornet (ESP) は今年も圧倒的な優勝候補です。昨年の過酷なコンディションで勝利を収めたマヌエル・メリージャス Manuel Merillas (ESP) がどんなレースを見せるかにも注目です。2020年にマデイラ島の悪天候の中で行われたゴールデントレイル世界選手権を制したバート・プシェドヴォイェフスキ Bart Przedwojewski (POL) もキリアンとの対決に挑みます。エルハウシン・エラザウイ Elhousine Elazzaoui (MAR) は昨年のこの大会でメリージャスに僅差で及ばず勝利を逃した借りを返したいところ。ロバート・プケモイ Robert Pkemoi (KEN) はセガマでは2022年と2023年に5位で入賞した経験を持ちます。
その他、ロビー・シンプソン Robbie Simpson (GBR) 、マルシン・クビカ Marcin Kubica (POL) 、ケビン・キベ Kevin Kibet (KEN) 、ヤン・マルガリット・ソレ Jan Margarit Sole (ESP) 、アリッツ・エゲア・カセレス Aritz Egea Caceres (ESP) らの活躍も見逃せません。
現在のコースレコードは男女とも2022年に記録されており、男子がキリアン・ジョルネの3時間36分40秒、女子がニアンケ・ブリンクマンによる4時間16分43秒となっています。
今回のセガマ・アイスコリは5月26日午前8時45分(日本時間同日午後3時45分)からEUROSPORTS、Golden Trail TVやYouTubeでライブ配信されます。