スペイン・バスク地方の100マイルなどのトレイルランニング・イベントであるエウンミラック Ehunmilak は先週末に開催され、競技に加えて、ボランティアやファンの間でも多くの素晴らしいストーリーを残して閉幕しました。
(Photo © Ehunmilak)
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2010年に始まった大会は、171km 10,500mD+の「Ehunmilak Ultra-Trail」、90km 5,500mD+の「G2Haundiak Goierri Trail」、42km 2,300mD+の「Marimurumendi Marathon」の三つのレースを開催するようになりました。2024年大会にはあわせて1,313人のランナーが参加し、150人以上の専門家で構成される医療チームを含む1,650人のボランティアがサポートしました。
大会は7月12日金曜日18時に171kmの「Ehunmilak エウンミラック」に続いて、23時に90kmの「ゴイエリコ・ビ・ハウンディアク G2Haundiak」がスタート。14日日曜日8時には42kmの「マリムルメンディ Marimurumendi」のスタートしました。その日の午後、入賞した選手にバスクの伝統的な帽子であるチャペラを贈る表彰式のセレモニーが行われました。バスクの山間地エリアから世界中にこの高いの魅力を発信する週末となりました。
171kmの男子のレースではフィデル・フェルナンデス・バレラ Fidel Fernández Varela が完璧なレース運びで観衆の心をつかみました。カンタブリア州エルゲラ・デ・レオシンから参加したこの選手はこれまでにいくつかの大会で優勝した経験を持ち、今回はエウンミラックの100マイルで優勝することを目標にしていました。2022年のVal d’Aran by UTMB を走ったあとに体調に異変を感じ、難病である多発性硬化症と診断されました。その後も医師に相談しながら走ることを諦めず、バスクのこのレースで優勝することを目標に努力を続けてきました。
しかし簡単な挑戦ではありませんでした。レースの序盤ではマーク・ヤング Mark Young、その後は2023年に準優勝のイゴール・マンシシドール Igor Mancisidor やダビド・クラベロ David Clavero といった選手がフィデルのリードを脅かしますが、決して先を譲ることはありませんでした。スタートから17時間が経過した最後の重要なエイドステーション、エチェガラテ峠では腰を下ろしてマカロニ一皿を平らげる余裕を見せました。
フィニッシュとなるベアサインの街の通りをファンに囲まれながら最後の1kmを走り、23時間26分7秒でフィニッシュ。フィデルの戦略は見事に成功しました。続いてイゴール・マンシシドールが23時間45分48秒で2位で完走。3位は23時間54分47秒でダビド・クラベロが勝ち取りました。
エウンミラックの100マイル女子のレースは、チェロ・ベラスコ Chelo Velasco が制しました。レース序盤にはクリスティーナ・コンスタンティン Cristina Constantin やマリア・セメリアン María Semerjian と先頭を争う姿が見られましたが、コース前半のトロサを9時間で通過した後は、後続に約30分のリードを保ち、チンドキ山とアイツゴリ山へと進んでいきます。リードはさらに広がっていきます。
ベアサインのフィニッシュゲートに29時間19分53秒でチェロ・ベラスコが到着して優勝を手にしました。2位はエバ・マリア・リコ Eva María Rico で33時間41分17秒、3位はマリア・セメリアンで36時間07分52秒でした。
この他、90kmのゴイエリコ・ビ・ハウンディアク G2Haundiak では、イオセバ・エスクデロ Ioseba Eskudero (ESP) が2年連続で男子優勝、女子はマイ・ムヒカ Mayi Mujika (ESP) が12時間00分40秒の新記録で優勝しました。42kmのマリムルメンディでは、男子でサムエル・ダビラ Samuel Dávila (VEN) が激しい競り合いの末に優勝。女子ではアイノア・インチャウスティ Ainhoa Intxausti (ESP) が優勝しました。
エウンミラクは「一人で走ることはない」をモットーに1,300人以上のランナーと1,700人のスタッフが一体となって作り上げる特別な大会です。今年も世界30カ国近くから参加者が集まり、バスク地方の山々を舞台に熱い戦いが繰り広げられました。この大会は単なるレースを超えて、人間の可能性と挑戦の精神を称える場となっています。100マイルでのフィデルの勝利は、困難を乗り越える人間の強さを象徴する、まさにエウンミラクの精神そのものでした。
(Source: Ehunmilak)