2024年の HOKA UTMB Mont-Blanc のイベントの中で、日程の後半に開催されるOCC（50Kカテゴリ）、CCC（100Kカテゴリ）、UTMB（100Mカテゴリ）の三つのレースは2度目のシーズンとなる今年のUTMBワールドシリーズのファイナルとなっており、上位入賞選手には賞金も贈られます。
それぞれのレースのライブトラッキングはUTMB Liveでチェックできるほか、8月29日木曜日から9月1日日曜日にかけてライブ配信で視聴できます。
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(All photo by © UTMB)
驚きの選手層の厚さ、今年のOCCの見どころ
CCCのコースはモンブランのイタリア側の麓に位置するクールマイユール（Courmayeur）をスタートし、スイスのシャンペ（Champex）を経由して、シャモニー（Chamonix）でフィニッシュします。距離は101km、累積獲得高度が6,062mD+で、ほぼ100マイルのUTMBのコースの後半部に重なります。
2006年に100マイルのUTMBに並ぶ二つ目のレースとして登場した時には、UTMBの短縮版、入門編という位置付けだったかもしれませんが、近年ではUTMBや他の国際的な100マイルレースで上位になった経験を持つ選手やOCCをはじめとするミドルディスタンスのスピードスターたちが入り混じる、いわば異種格闘技のようなハイレベルなレースとなっています。
男子の有力選手
ペーター・エンダール Petter Engdahl (SWE)は2021年のOCCで3位となった翌年のCCCで優勝、9時間53分というタイムはコースレコードといえる圧倒的なタイムで話題になりました。昨年は100マイルのUTMBにスイッチしましたがDNFに終わっています。最近は2022年10月のTransvulcaniaで優勝、2023年Eiger by UTMB 50Kで優勝、今年4月のCanyons by UTMB 100Kで3位。ウェスタンステイツでは13位でした。実績からみれば今回のCCCの優勝候補の本命でしょう。
UTMB Mont-Blancへのデビューとなった2017年のCCCで優勝したのはヘイデン・ホークス Hayden Hawks (USA)でした。そのスピードで世界各地のレースで足跡を残しており、最近でも2023年Tarawera by UTMB TUM102で準優勝、同年のCanyons by UTMB 50Kで優勝。今年も2月のBlack Canyon 100Kで鮮やかな勝利ののち、6月のウェスタンステイツで3位に入っています。UTMBのレースでは2021年にOCCで5位のほかは2018年TDS、2019年UTMB、2022年CCCでは上位を走りながらもDNFとなっています。今回はウェスタンステイツの後は8月にKAT100 by UTMB 50Kで優勝しており、調整は万全のようです。
マヌエル・メリラス Manuel Merillas (ESP)はスカイランナーワールドシリーズやGTWSで活躍するアスリートで、とりわけレース終盤での逆転劇で観るものを魅了します。2022年のOCCのチャンピオンで今回はCCCを走ります。メリラスが100kmを超える距離を走った記録は10年以上見当たりませんが、どんな走りを見せるのか注目です。今シーズンはZegama-Aizkorriで5位ののち、6月にKaiserkrone Skyrace 25kで優勝しています。
2022年のウェスタンステイツでの鮮やかな勝利で話題となったアダム・ピーターマン Adam Peterman (USA) はUTMB Mont-Blancに初登場です。2022年のシーズンは他にもChukanut 50KやCanyons by UTMB 100Kでも圧勝、11月のチェンマイでのWMTRC世界選手権ロングでは欧州はじめ世界のトップ選手たちとのレースで金メダルを獲得しています。昨年はケガのためレースを走った記録は見当たりませんが、今年6月にはBroken Arrow 46Kで3位、7月のSpeedgoat by UTMB 50Kで6位。リカバリーが順調であれば今回のCCCの台風の目となるかもしれません。
ダニエル・ジョーンズ Daniel Jones (NZL)はウェスタンステイツで2023年の5位に続いて今年も4位となったことでその実力を世界に示しました。この他にも母国のTarawera by UTMB TUM102では2023年、2024年共に優勝、今年のCanyons by UTMB 50Kでは2位でした。昨年は100マイルのUTMBで12位となっており、CCCについてもコースの知識は十分でしょう。
日本からは2023年ITJ70kで2位の横内佑太朗 Yutaro Yokouchi、2023年Doi Inthanon by UTMB 100Kで9位の田村健人 Kento Tamuraや丸山将真 Shoma Maruyama、奥宮俊祐 Shunsuke Okunomiyaが参戦します。
このほか、次のような注目選手がエントリーリストには続いています。
- アンドレアス・ライテラー Andreas Reiterer (ITA) ：CCCで2021年4位、2022年3位。2024年Eiger by UTMB E101で優勝。
- ダミアン・ウンベール Damien Humbert (FRA)：2023年Transvulcaniaで2位。
- ダコタ・ジョーンズ Dakota Jones (USA)：2022年Hardrock 100で3位、Transvulcaniaで優勝、2023年CCCで3位。
- アンジェイ・ヴィテック Andrezej Witek (POL)：2023年OCCで18位、2024年Transgrancanaria 84k優勝。
- アンドレウ・シモン Andreu Simon Aymerich (ESP)：2019年OCCで準優勝、2024年KAI70kで優勝、2024ねrんVal d’Aran by UTMB 110kで準優勝。
- セス・ルーリン Seth Ruhling (USA)：2023年CCCで6位、同年のJFK 50 mileで優勝。今年のCanyons by UTMB 50Kで4位。
- メン・グアンフー Meng Guangfu (CHN)：2023年OCCで8位。2023年Doi Inthanon by UTMB 100Kで優勝、2024年Hong Kong 100優勝。
- ロッド・ファーバード Rod Farvard (USA)：2024年ウェスタンステイツ準優勝。2024年Canyons by UTMB 100Kで優勝。UTMBでは2022年に22位、2023年に17位。
- グアン・ユウシェン Yousheng Guan (CHN)：2023年OCCで4位。
- アンデシュ・キャラビック Anders Kjaerevik (NOR)：2023年KAT100 by UTMB 100Kで優勝。2022年CCCで17位。
女子の有力選手
昨年のOCCを5時間18分というコースレコードで制したトニ・マッキャン Toni Mccann (RSA)は今年はCCCに挑戦の舞台を移しました。OCCには2021年の14位、2022年の5位を経て頂点に立ちましたが、今回は自身にとって初めての100kmのレースへの挑戦となります。今シーズンはアメリカのBroken Arrow Skyrace 46kで優勝しており、CCCでどんなパフォーマンスを見せるか注目されます。
ヘザー・ジャクソン Heather Jackson (USA)はトライアスロンやグラベルバイクのプロアスリートとして世界的なタイトルを手にした経験を経て、ウルトラランニングに取り組んでいます。2023年のCanyons by UTMB 50Kで優勝、同年のJavelina Jun dred 100で優勝、今年のウェスタンステイツでは7位。シャモニーでは昨年のOCCに参戦し20位でフィニッシュしています。
ロザンナ・ブカウアー Rosanna Buchauer (GER)は2022年のCCCで5位、昨年はDNFでした。今シーズンはLaveredo by UTMB で優勝、Grossglockner Ultra-Trail 57Kで優勝しています。WMTRC世界選手権ではロングトレイルで2022年のチェンマイ、2023年のインスブルックでいずれも5位になっており、今年のCCCでも上位が期待されます。
カナダのジャズミン・ローサー Jazmine Lowther (CAN)は2022年のCCCで4位。その後も昨年のTransgrancanariaで2位、今年のSpeedgoat 50Kで優勝しています。
エムケイ・サリバン Emkay Sullivan (USA)はマラソンディスタンス以下のサブウルトラのトレイルレースを中心に取り組んできましたが、今年4月にはCanyons by UTMB の100Kで2位となっており、今回のCCCに焦点を合わせているのかもしれません。昨年はDNFとなったもののOCCに参加しています。
昨年のCCCで4位となったハウ・ハーティ Hau Ha Thi（VNM）は積極的なレース展開で話題を集めました。その後は昨年12月のDoi Inthanon by UTMB 100Kで優勝、今年5月のAmazean by UTMB 100Kで優勝とアジアのトップ選手として好調ぶりが伺えます。今回のCCCではトップ3の有力候補となります。
今年のZegama-Aizkorriでの勝利が記憶に新しいシルビア・ノルスカー Sylvia Nordskar (NOR) も今年のCCCに参戦です。ノルスカーもサブウルトラのレースに強い印象がありますが、最近は2023年11月のKullamannen by UTMB 100Kで優勝しています。2022年にCCCを走った際には12位でのフィニッシュでしたが、今回はさらに上位が期待されます。
日本の吉住友里 Yuri Yoshizumi (JPN) は2017年のOCCで4位の翌年のOCCでは3位となり、UTMBのレースでトップ3に入る快挙を成し遂げています。以来毎年UTMB Mont-Blancに参加していて、昨年は初めてCCCに挑戦の舞台を移して14位でフィニッシュしています。2度目のCCCとなる今年はどんなレースを見せるか注目です。最近では昨年9月にNice by UTMB 100Mで2位、12月のDoi Inthanon by UTMB 100Kで5位、今年2月のTransgrancanariaで6位。国内でも今年は比叡山50マイルや奥信濃100Kで総合トップ10圏内で優勝するなど、ウルトラディスタンスへの対応も順調な様子です。
マルセラ・バシノバ Marcela Vasinova (CZE) は2019年のシーズンのスカイランナーワールドシリーズで頭角を表し、2021年のスカイランニング世界選手権で金メダルを獲得しています。初めての100kmレースとして昨年のCCCに参加しましたが、その際はDNFでした。今回は再びモンブランで100kmへの挑戦となります。
日本の選手ではニュージーランド在住で今年2月のTarawera by UTMB 100Mで優勝の安曇樹香 Konoka Azumi (JPN) もCCCにエントリーしています。
このほか、次のような注目選手がエントリーリストには続いています。
- リリー・ブラディ Riley Brady (USA)：2023年Javelina Jundred 100で3位。
- エミリーズ・フォンアイビス Emmiliese VON AVIS (USA)：2023年CCCで8位、2024年Lavaredo by UTMB 80Kで優勝。
- アンナ・マッケンナ Anna McKenna (AUS)：2022年Ultra-Trail Australia by UTMB 100Kで優勝、Canyons by UTMB 100Kでは2023年に4位、2024年に5位。
- マルティナ・ムリナルチク Martyna MLYNARCZYK (POL) ：2024年Tenerife Bluetrail by UTMB 73kで優勝。
- カタルジーナ・ヴィルク Katarzyna Wilk (POL)：2022年WMTRC世界選手権ロングで17位。
