韓国・蔚山広域市の蔚州(ウルジュ)郡に広がる嶺南(ヨンナム)アルプスで開催中のアジアパシフィック・トレイルランニング選手権(Asia Pacific Trail Running Championships, APTRC)は25日金曜日に最初のレースとなるショートトレイルレース(41km、標高差2,783mD+)が開催されました。日本代表チームでは女子の髙村貴子 Takako Takamuraが優勝し、初代アジアパシフィック・チャンピオンのタイトルを獲得しました。秋山穂乃果 Honoka Akiyamaは3位に入って銅メダルを獲得。男子のレースでは小笠原光研 Koken Ogasawaraが首位のジョン・レイ ”スティングレイ” オニファ John Ray “Stinglay” Onifa (PHI)に1分半差に迫って銀メダルを獲得。午後に行われたU23カテゴリー(15.9km、標高差1,182mD)では渡部春雅 Kasuga Watabeが銀メダルに輝きました。
(写真 ショート女子で金メダルを獲得した髙村貴子。All Photo © Asia Pacific Trail Running Championships)
Sponsored link
ショート女子は髙村貴子が完璧な勝利
女子のレースでは髙村貴子 Takako Takamura (JPN) が圧倒的な強さを発揮し、4時間36分で優勝。この日の高村は終始落ち着いた走りでリードをキープし、2位のプリヤ・ライ Priya Rai (NEP) に5分の差をつけてフィニッシュしています。
高村は優勝後のコメントで「信じられません。素晴らしい気分です。この大会での優勝をとても望んでいました。とても幸せですが、同時にとても疲れました。最後の登りでは常に後ろを気にしていました。」と話しました。
会場では2位に入ったネパールのプリヤ・ライにも注目が集まりました。23歳で銀メダルを獲得するという快挙は今後の活躍を予見させる結果です。
3位は秋山穂乃果 Honoka Akiyama (JPN) で4時間53分でフィニッシュ。ロングディスタンスに強い秋山は今回敢えてショートを選択し、前半には出遅れるシーンがあったものの、後半にかけて順位を上げて銅メダルを獲得しました。
日本代表チームからは山内菜摘 Natsumi Yamauchi が8位、福田恵里佳 Erika Fukuda が15位でフィニッシュ。楠田涼葉 Suzuha Kusuda は後半にコースをロストするなどのトラブルからDNFとなりました。
2024 APTRC SHORT TRAIL (40K) 女子リザルト
- 高村貴子 TAKAMURA Takako (JPN) 04:36:25
- プリヤ・ライ RAI Priya (NPL) 04:41:23
- 秋山穂乃果 AKIYAMA Honoka (JPN) 04:53:08
- チョー ユー ラム LAM Cho Yu (HKG) 05:00:29
- パトリシア マッキビン MCKIBBIN Patricia (AUS) 05:00:52
- シオン・ビンビン XIONG Binbin (CHN) 05:02:41
- ジェシカ・ジェイソン JASON Jessica (AUS) 05:10:44
- 山内菜摘 YAMAUCHI Natsumi (JPN) 05:20:44
- サラ・ルドウィチ LUDOWICI Sarah (AUS) 05:23:28
- ローレン・ルーク ROOKE Lauren (AUS) 05:38:34
15 福田恵里佳 FUKUDA Erika (JPN) 05:55:15
ショート男子は小笠原光研が銀メダルを獲得
男子のレースはオーストラリアのチャーリー・ハミルトン Charlie Hamilton (AUS) と日本の笠木肇 Hajime Kasagi (JPN)、小笠原光研 Koken Ogasawara (JPN) の3人が先頭集団を形成して序盤を進みます。。
しかしコースの最高地点で18km地点付近に位置するチョンワンサン(天皇山、標高1200m)からの急峻な岩場の下りでフィリピンのジョン・レイ・”スティングレイ”・オニファ John Ray “Stingray” Onifa (PHL) が追い上げ、トップに立ちます。オニファは事前のコース試走をした際に「他の選手はテクニカルで難しいセクションだと感じるかもしれないが自分は大好きだ」と語っていたといい、その自信通りの走りを見せました。オニファは3時間47分で初開催のAPTRCの初代チャンピオンとのタイトルを手にしました。今年から日本に住んでおり、今後は日本のトレイルレースでその姿を見る機会が増えるかもしれません。
2位にはオニファから1分半後となる3時間49分で小笠原がフィニッシュ。2週前のハセツネCUPでの3位に続く快走で銀メダルを獲得しました。3位はオーストラリアのブレイク・ターナー Blake Turner (AUS) が激しい競り合いの末、中国のウー・アーチン Wu Erqing (CHN) をわずか12秒差で押さえて獲得しました。
日本代表チームは笠木が後半にコースを200mほどロストしたことから順位を落とすこととなったものの、5位でフィニッシュ。森本幸司 Koji Morimotoが10位となりました。2週前のハセツネCUPの覇者、吉野大和 Yamato Yoshinoはこの日は15位での完走となりました。
2024 APTRC SHORT TRAIL (40K) 男子リザルト
- ジョン レイ ”スティングレイ” オニファ ONIFA John Ray (PHL) 03:47:44
- 小笠原光研 OGASAWARA Koken (JPN) 03:49:13
- ブレイク・ターナー TURNER Blake (AUS) 04:00:58
- ウー・アーチン WU Erqing (CHN) 04:01:09
- 笠木肇 KASAGI Hajime (JPN) 04:04:00
- ランドルフ ゴンザレス GONZALES Randolf (PHL) 04:04:32
- ティラク バハドゥル スヌワル SUNUWAR Tilak Bahadur (NPL) 04:04:38
- チャールズ ハミルトン HAMILTON Charles (AUS) 04:06:37
- ビリー カーティス CURTIS Billy (AUS) 04:15:24
- 森本幸司 MORIMOTO Koji (JPN) 04:22:19
15 吉野大和 YOSHINO Yamato (JPN) 04:29:35
U23レースで渡部春雅がメダルを獲得
15.9kmのU23カテゴリーのレースでは、オーストラリアのゾーイ・マニング Zoe Manning (AUS) が2位に20分差をつけて女子のレースを制しました。マニング選手は「コースはとても楽しかったです。素晴らしい景色を楽しみながら走れて最高でした」と話しました。
2位には日本の渡部春雅 Kasuga Watabe (JPN) 選手が入りました。コース最終盤のフィニッシュ会場の歓声が聞こえる最後の舗装路でティン・チン・ラム Tin Ching Lam (HKG) の背中を見つけて一気に抜き去ったといいます。わずか14秒差で銀メダルを獲得しました。
男子の部では、香港のロー・ロクイン Rex Lo Lok Yin (HKG) が1時間32分という好タイムで優勝しました。ローは「最初は2位か3位でしたが、8〜9km地点で追い抜いて、下りで加速してフィニッシュしました。コースは難しかったですが、このレースが大好きです」とフィニッシュ後に話しています。
2024 APTRC U23 女子
- ゾーイ・マニング MANNING Zoe (AUS) 01:52:40
- 渡部春雅 WATABE Kasuga (JPN) 02:12:05
- ラム ティン チン LAM Tin Ching (HKG) 02:12:19
- マン ウィン MAN Wing (HKG) 02:17:34
- レイ ツー チン LEI Tsz Ching (HKG) 02:45:41
- エイミー ストックウェル STOCKWELL Amy (AUS) 02:49:41
- ウー オン ケイ フィービー WOO On Kei Phoebe (HKG) 02:51:06
2024 APTRC U23 男子
- ロー ロク イン LO Lok Yin (HKG) 01:32:13
- イーサン ペンク PENCK Ethan (AUS) 01:35:12
- トビー ラング LANG Toby (AUS) 01:36:58
- キム ジンミョン KIM Jinmyeong (KOR) 01:40:40
- ダーラネスワララン シム SIM Daaraneswararan (MYS) 01:42:56
- オ ヒョソン OH Hyeseong (KOR) 01:43:41
- チャン チュク ハン CHAN Cheuk Hang (HKG) 01:46:06
- クォック チュン ヒン KWOK Chung Hin (HKG) 01:47:23
- ウォン ウー イン WONG Wu Yin (HKG) 01:51:03
- ツァイ ボー CAI Bo (CHN) 01:52:49
国別団体は男女ともに日本が金メダル獲得
国・地域ごとにチームの上位三選手のタイムの合計で競う団体戦では男子、女子ともに日本代表チームが金メダルを獲得し、好発進の初日となりました。
二日目の土曜日はロングトレイル、日本代表に期待
10月26日土曜日の午前5時30分(日本時間も同じ)からロングトレイル(74km、標高差4,787m)のレースがスタートします。大会の模様はライブ配信が行われるほか、GPSトラッカーによるリアルタイムのトラッキング、リーダボード公開されます。