世界トップレベルの選手も加わって、2024年の日本のトレイルランニングシーズン最終盤を盛り上げます。
12月8日日曜日は IZU TRAIL Journey 伊豆トレイルジャーニー(ITJ)の日です。今年も松崎新港(松崎町)から伊豆半島を縦断して修善寺総合会館(伊豆市)を目指すトレイルランニングレース「ITJ70k」が行われます。今回のITJ70kは来年2025年9月にスペイン・カンフランクで開催されるマウンテンランニング・トレイルランニング世界選手権(WMTRC)の日本代表選手選考レースの一つとなっていることから、国内のトップ選手が集まるハイレベルなレースとなりそうです。加えて、今年もITJは9月に新シーズンが始まったAsia Trail Masterのシリーズ戦の一つとなっています。
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あわせて仁科峠から修善寺をエイドでの補給なしで目指す「Around Alone 28k」も今回で5回目となるレースが開催されます。レースのコースは昨年から変更はありません。
今年もITJのレースの模様は大会公式YouTubeチャンネルでライブ配信が行われます。当サイト編集人の岩佐がコメンテイターとして出演予定です。
今回のITJ70kで当サイトの注目する有力選手
今回もITJ70kのエントリーリストから今年のレースの有力選手をご紹介します。
ITJ70k 女子 Women
女子のエントリーリストにはシャン・フージャオ Fuzhao XIANG (CHN) の名前があります。当サイトで確認したところ、今年のITJ70kにはITRAパフォーマンスインデックスで世界トップ5に入る中国のトップ選手、シャン・フージャオが参戦します。2023年のUTMBで4位、今年のウェスタンステイツで準優勝という活躍で世界でその名を知られる彼女にとって、2019年、2023年にいずれも優勝したUTMFに続いて、日本で走るのは今回で3回目となります。中国や香港でトレイルランナーとして頭角を表し、富士山で世界の舞台で活躍するきっかけを得たと話すシャン・フージャオにとって、今回はみのり多かったシーズンの終盤に思い入れのある日本のトレイルを楽しもうということかも知れません。最近も10月のUltra-Trail Ninghai by UTMB 105kmを大会新記録で優勝し、翌週の韓国でのアジアパシフィック選手権(APTRC)・ロングで金メダルを獲得しています。
女子のレースでシャン・フージャオに続くのは誰か。秋山穂乃果 Honoka AKIYAMA は2020年、2022年のITJ70kで優勝しており、今シーズンはKAI70kで3位、日本代表選考レースとなった比叡山50マイルで2位となったのち、9月のスペインでのスカイランニング世界選手権・スカイウルトラで銀メダル、10月のAPTRC・ショートで銅メダルを獲得しています。日本のアスリートをリードし、シャンにどこまで迫れるか。昨年のITJ70kで準優勝ののち、今年のMt. FUJI 100 FUJI100miで24時間切りで準優勝という快挙を成し遂げた清宮由香里 Yukari Semiya も今年のITJのスタートラインに立ちます。今年は6月に奥信濃100 50km、9月に信越五岳100マイルで優勝。先月のFTR100では総合6位で女子優勝。今年のITJでも注目の存在です。今シーズン、KAI70Kで2位、阿蘇ボルケーノ109kmと志賀高原100kmでの優勝に続いて、日本代表選考レースであるハセツネCUPで2位の岩井絵美 Emi IWAI は最近メキメキと頭角を表している選手の一人です。今回のITJ70kでも上位のレース展開の中で話題となることでしょう。
次の選手の皆さんにも注目です。
- 相原千尋 Chihiro AIBARA:ITJ70kで2022年に4位、2023年5位。2023年KAI68k優勝、2023年ハセツネCUP準優勝。2024年広島湾岸109k優勝、スカイランニング世界選手権・スカイウルトラで7位。
- 小谷奈穂 Naho KOTANI:2024年KAI70kで9位、スカライントレイル菅平30k優勝、信越五岳110kmで5位、志賀高原エクストリーム55km(全日本スカイランニング選手権)で3位。
- ウェン・ファンユアン Fangyuan WEN (CHN):2022年Tsaigu 85kmで6位、2023年UTMF164kmで5位。2024年TNF100 Beijing 100kmで4位。
- 冨井菜月 Natsuki TOMII:2023年ITJ70kで3位。2023年白馬国際28k優勝、2024年KAI70kで10位。
- 中野沙知 Sachi NAKANO:2023年志賀高原100で準優勝、2023年ハセツネCUPで3位、2024年彩の国100マイル優勝、甲州アルプスクレーシャ108で2位。
ITJ70k 男子 Men
男子のレースは実力が伯仲する日本のトレイルランニング界のトップ選手が集まり、激しいレース展開となりそうな予感です。
ITJ70kで2019年と昨年2023年に優勝、2020年に準優勝の経験を持つ西村広和 Hirokazu NISHIMURA が今年のITJ70kで連覇をねらいます。今シーズンは5月の日本代表選考レースの一戦だった比叡山50マイルで2位のほか、4月のスペインのPenyagolosa 105kや10月の中国のUltra-Trail Ninghai 105kで20位以内となっています。ITJの優勝経験者では川崎雄哉 Yuya KAWASAKI も今年のスタートラインに立ちます。2020年には西村を8分差で制して優勝しているほか、2017年に2位、2021年に3位。昨年はハセツネCUPで2度目の優勝を果たしたのちに11月のTranslantau by UTMBで負傷。今年後半にはハセツネCUPで4位、APTRC・ロングで4位と復活ぶりが伺えます。
経験豊富な西村、川崎に対して、勢いに乗る若手選手の活躍も今回のITJ70kの注目ポイントとなります。甲斐大貴 Hiroki KAI は今年は国内外の多くのトレイルレースを転戦しましたが、10月のAPTRC・ロングでは終盤のチャンスを活かして銀メダルを獲得する快挙となったことが記憶に新しいところです。勢いに乗って、今回のITJ70kを制することができるか。2021年には準優勝して以来のITJ参戦です。小笠原光研 Koken OGASAWARA はITJ70kでは2021年に5位、2022年に2位となっており今回が3回目の参戦。今シーズンはハセツネCUPで昨年の2位に続いて今年は3位でトップ3に入ったほか、9月のスカイランニング世界選手権・スカイウルトラで4位。そして10月のAPTRC・ショートでは銀メダルとなっています。3度目の挑戦でITJの頂点を目指します。最近の勢いでは田村健人 Kento TAMURA も注目の存在です。今年秋のハセツネCUPで手堅いレース展開で準優勝となり、注目されました。ITJ70kでは2022年に4位となっており、今回は2度目の伊豆でのレースとなります。
さらに注目の選手のリストは続きます。笠木肇 Hajime KASAGI は今年は奥信濃100-50k、霧島えびの高原エクストリーム33kで優勝、APTRC・ショートでは5位と善戦しています。ITJ70kは2022年に12位でフィニッシュした経験を持ちます。須賀暁 Satoru SUGA は2020年に3位となるなどITJ70kのコースは熟知しています。最近は昨年のハセツネCUPで3位、今年のハセツネ30Kで3位、ハセツネCUPで7位でした。今回がITJに初挑戦の松本祥汰 Shota MATSUMOTO は野沢温泉37Kで昨年、今年のいずれも2位、白馬国際28Kで今年の2位。スカイランニングでは日本選手権バーティカルのチャンピオン、ジャパンシリーズで年間ランキング2位。ウルトラディスタンスのトレイルレースは初挑戦となります。オーストラリアから参加のビリー・カーチス Billy CURTIS (AUS) が日本の選手と上位を争うかも知れません。昨年12月のKosciuszko by UTMB 50kで2位、今年3月のBuffalo Stampede 42kで優勝。10月のAPTRC・ショートに参戦していて9位となっています。
このほか、注目選手のリストは次のように続きます。
- 矢部達也 Tatsuya Yabe:2020年ITJ70kで4位、2023年奥信濃100で2位、2023年信越五岳110k優勝。
- 喜多村久 Hisashi KITAMURA :2023年ITJ70kで6位。2024年The Most Beautiful Thing 85Kで2位。
- 鬼塚智徳 Tomonori ONITSUKA :2023年UTMFで3位、ITJ70kで8位、2024年奥信濃100で3位。
- 岩井竜太 Ryuta IWAI :2023年ハセツネCUPで6位、FTR100で3位。2024年OSJ新城ダブル64kで2位。
- 宮川朋史 Tomofumi MIYAGAWA :2024年野沢温泉37kmで3位、白馬国際28kmで5位。スカイランナージャパンシリーズ年間3位。
- 佐谷尚紀 Naoki SATANI :2024年白馬国際50k優勝、ハセツネCUPで9位。
- 下家悟 Satoru GEYA :2023年 Deep Japan Ultra 80k優勝、2024年広島湾岸109kで5位。
- 上正原真人 Masato KAMISHOHARA :2022年Hochkönigman Skyrace 32k で16位。
- 野坂伸吾 Shingo NOSAKA :2024年OSJ Ontake 100kmで2位。
- 板垣辰矢 Tatsuya ITAGAKI :2022年ITJ70kで3位、2023年白馬国際28kmで3位。
- 藤岡学 Manabu FUJIOKA :2023年志賀高原100で3位、2024年信越五岳100マイルで3位。
- 青木純 Jun AOKI :2024年ハセツネ30kで8位、奥信濃100-50kで2位。
- 丸山将真 Shoma MARUYAMA :2024年志賀高原エクストリーム55km(全日本スカイランニング選手権)で優勝。
- 古賀聖 Sei KOGA :2024年比叡山50マイル優勝。
- 松山優太 Yuta MATSUYAMA :2023年上州武尊山スカイビュートレイル80kで3位、2024年Deep Japan Ultra 100マイルで4位。