SUUNTO RUN は軽量でカジュアルなランニングウォッチでありながら、スントらしい本格的なスポーツ機能を備える【先行レビュー】

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2025年5月13日にスントからGPSウォッチの新製品となる「SUUNTO RUN」が発表されました。DogsorCaravanでは東京都内で行われたこの新製品の発表会の模様をお伝えしています。

DogsorCaravanでは発売前に「SUUNTO RUN」をお借りして、実際に身につけて走り、その機能や使い心地を試すことができました。この記事は「SUUNTO RUN」の先行レビューとして、その魅力をお伝えします。

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トレイルランナーにはGPSウォッチの代名詞といえるSUUNTOから登場した、ランニング用に開発された36gのウォッチ

スントは筆者が日本でトレイルランニングを15年前に始めた時から、トレイルランナーの間ではGPSスポーツウォッチの代表的なブランドでした。その後、スマートウォッチが普及し、GPSスポーツウォッチの選択肢は増えましたが、スントは今もアウトドアスポーツで存在感のあるブランドです。最近では2023年にフルスペックといえるアドベンチャー向けの「SUUNTO VERTICAL」、AMOLEDディスプレイを搭載した「SUUNTO RACE」を発売。昨年は小型化・軽量化した「SUUNTO RACE S」を発売。この「RACE S」はコートニー・ドウォルター選手のシグナチャーモデルも発売されました。さらに昨年はスントがUTMBワールドシリーズの公式パートナーとなったことも話題となりました。

最近は高い耐久性や長時間のバッテリー持続を誇るハイエンドなアドベンチャー向け、レース向けのGPSウォッチを相次いで投入していたスントが、ランニング向けのウォッチとして発売するのが「SUUNTO RUN」です。Suunto Raceシリーズと並んで、視認性の高いAMOLEDディスプレイや、高度なトレーニング機能を備えつつも、より軽量性を追求し、ランニングにフォーカスしたモデルと位置付けられています。サイズ感は「RACE S」に近いですが、36gと大幅に軽量化されました。装着時の軽快感はカジュアルにランニングを楽しむ人にも、本格的にランニングに取り組むアスリートにも歓迎されるでしょう。しかし、スマートフォンアプリと連携したランニングなどのアクティビティのデータ分析や、トレーニングの提案など、ランニング初心者向けの入門モデルには止まらない高機能を備えています。

トレイルランナーには気になるバッテリー持続時間は高精度のGPSパフォーマンスモードで20時間、GPSセーブモード稼働時間が最大40時間、タイムモード稼働時間が最大12日間。オフラインマップ機能はありませんが、あらかじめ読み込んだGPXファイルなどの軌跡をフォローするナビゲーション機能を備えます。

週末にファンランを楽しむ方から、ストイックにトレーニングに励むシリアスなランナー、未知のトレイルを探索するトレイルランナーまで、「SUUNTO RUN」は幅広い層に向けたスントからの新しい提案と言えるでしょう。

SUUNTO RUN を手にした瞬間に感じる「軽さ」と「本気度」

SUUNTO RUNのパッケージはシンプルで、22mmのベルクロで留めるテキスタイルストラップはS/MとM/Lの長さ違いの2本が付属し、これも付属のクイックリリースピンを使って、自分でウォッチ本体に取り付けます。4本のピンがついたマグネットでウォッチに接着する充電器からはUSB-C端子のついたケーブルが延びています。

USB-C端子付きの専用充電バッドと、長さ違いの二つのストラップが付属する。このほか、クイックリリースピンも付属していた。

USB-C端子付きの専用充電バッドと、長さ違いの二つのストラップが付属する。このほか、クイックリリースピンも付属していた。

腕に着けてみて気づくのはその軽さです。ケースのサイズは46mmとディスプレイの見やすさを優先したサイズで、ベゼルはステンレス製であるにもかかわらず、ウォッチの厚さは11.5mmにとどまっていることが「約36g(ストラップ含む)」という軽さに繋がっているようです。ランニングで腕を振っても負荷は小さく、初めてランニングウォッチを身につける人にも違和感は少ないでしょう。

ディスプレイは1.32インチのAMOLEDスクリーンで解像度は466x466。非常に鮮やかで精彩なだけでなく、晴れた日の屋外でも十分な視認性がある明るさでした。ポップでカジュアルな見た目にもかかわらず、風防には強度に定評のある「Corning Gorilla Glass」が採用されており、ステンレスのベゼルと合わせて高い質感を感じられます。トレイルランニングでのタフな使用にも十分耐えうる安心感もあります。

ウォッチの操作はタッチスクリーンに加えて、デジタルクラウンと上下のボタンを使うことができるのは、アウトドアで濡れた指やグローブをした手でも操作がしやすいので、トレイルランニングでも使いやすい仕様です。

ディスプレイの上下のスワイプでウィジェットをスクロールして選択できるのですが、それぞれのウィジェットに一番知りたいデータが表示されているのも直感的でわかりやすいと感じました。たとえば「歩数とカロリー」のウィジェットならその日の歩数とカロリー、「睡眠」のウィジェットならば前夜の睡眠時間がウィジェット自体に表示されています。

ウィジェットは単に機能を呼び出すだけでなく、リアルタイムのデータも表示されている。

ウィジェットは単に機能を呼び出すだけでなく、リアルタイムのデータも表示されている。

SUUNTO RUNの主なスペック

カテゴリー 仕様
ディスプレイ 1.32インチ AMOLED, Corning Gorilla Glass, 解像度 466 x 466
サイズ 直径 46 mm, 厚さ 11.5 mm
重量 約36g (ストラップ含む)
素材 ケース: 繊維強化ポリマー、ベゼル: ステンレススチール
防水性能 5ATM (50m防水)
測位システム デュアルバンドGNSS (GPS, GLONASS, Galileo, BeiDou, QZSS)
センサー 最新世代光学式心拍センサー, 気圧高度計, 加速度計, ジャイロスコープ, コンパス
バッテリー スマートウォッチモード: 最大12日間
GPS記録 (パフォーマンスモード): 最大20時間
スポーツモード 34種類以上
ナビゲーション ブレッドクラム(パンくず)表示、GPXファイルなどのインポートに対応
音楽再生 ウォッチ本体のメモリーに保存したmp3オーディオファイルをBluetooth接続したヘッドフォンで再生可能
主な機能 手首でのランニングパワー計測, HRV計測, 睡眠分析, ストレス・リソース管理, スマート通知, 音楽コントロール(*Suunto Plus Store & Appsに非対応、タッチ決済には中国本土でのみ対応)
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ランニングウォッチとしての機能が充実、スマホアプリの使いやすさとデータの分析に強み

SUUNTO RUNを実際にランニングで使ってみます。デジタルクラウンを押し込むとランニング、トレイルランニング、ハイキング、ウォーキングなどのアクティビティを選択することができ、一度選んだアクティビティがリストの最上部に表示されます。ユニークなところでは陸上競技場の400mトラックを走ることを前提にラップを正確に記録できる「トラックランニング」や、フルマラソンや5kmなどの距離を設定して想定されるフィニッシュタイムを走っている途中にリアルタイムで表示する「マラソン」といったアクティビティも用意されています。

一度アクティビティを選択しておけば、右上のボタンをプッシュするだけでそのアクティビティが立ち上がります。スクロールするといくつかのメニューを選択できます。デフォルトでは「フリートレーニング」となっているトレーニングモードの選択では、ランニングの場合であれば時間、距離、消費カロリーを設定したり、ゴーストランナーのペースを設定することができます。

スポーツモードはSUUNTOアプリでかなり細かくカスタマイズできる。ディスプレイの表示項目の変更もアプリ上でできる。

スポーツモードはSUUNTOアプリでかなり細かくカスタマイズできる。ディスプレイの表示項目の変更もアプリ上でできる。

トレイルランナーにとって気になるナビゲーション機能もここから設定できます。後述のようにSUUNTOアプリで自分で作ったルートやGPXファイルを読み込んでウォッチに転送しておくと、そのルートをウォッチで選択することができます。

ディスプレイのスタートボタンをタップするか、デジタルクラウンを押し込むとアクティビティがスタートします。最初に「GPS信号が見つかりません」と表示されますが、「了解」を選択してそのまま走り続けることができます。GPSで走ったログを全て残したいなら「停止して待機」を選び、GPSの受信を待ってから再開することになります。GPSの受信にかかる時間は初めての場所では15秒から20秒くらい待ちますが、一度受信した場所であればあっという間に受信を始めました。

なお、この後に何度か試しているうちにスタートボタンを押さずに待っていると、GPSの矢印アイコンが白点滅からグリーンに変わる(GPS信号を受信)ことに気づきました。この後にスタートボタンを押せばスタートからフィニッシュまでGPSログが取れます。このあたりはGSPウォッチを使い慣れていればおなじみの流れでしょうが、使い慣れていない場合もとにかくボタンを押せばスタートできるようになっているのでしょう。

スタートボタンの上の矢印マークが緑色になればGPS信号を受信している(左)。ナビゲーションのルートの設定はスタート前でも、スタートボタンを押した後でも可能だった。

スタートボタンの上の矢印マークが緑色になればGPS信号を受信している(左)。ナビゲーションのルートの設定はスタート前でも、スタートボタンを押した後でも可能だった。

ランニング中のナビゲーションは、オフラインマップ機能は持たないので、設定したルートと自分の現在地をディスプレイで確認することになります。しかし、自分がたどってきた経路がドットで表示される「ブレッドクラム」機能を備えています。さらに設定したルートを外れた場合にはアラートで通知してくれます。全く知らない街の中やトレイルをウォッチのナビゲーションだけで走るとなると心許ないかもしれませんが、ある程度下調べをしてある場合であれば街の中のランニングでもトレイルランニングでも、実用的なナビゲーション機能だと感じました。

ダウンロードしたマップの上にコースを表示する機能は持たないが、ブレッドクラム(これまでの自分の辿った軌跡を点線で表示)で実用的なナビゲーションができる。

ダウンロードしたマップの上にコースを表示する機能は持たないが、ブレッドクラム(これまでの自分の辿った軌跡を点線で表示)で実用的なナビゲーションができる。

ウォッチの詳細な設定やランニングなどのアクティビティの記録の確認はスマホのSUUNTOアプリでできますが、このアプリもランナーが求める機能にアクセスがしやすく作られていると感じます。ホーム画面は自分のアクティビティがフィードとして新しい順に並んでいます。StravaのようにSUUNTOのアカウントを持っている他のランナーをフォローする機能も備えており、自分のアクティビティにタイトルや説明を書き加えたり、フォローしているランナーのアクティビティにコメントを投稿することもできるようになっています。

アクティビティのデータも非常に詳細で、運動の強度を示すパワーやPTE(ピークトレーニング効果)といった数値も表示されます。アクティビティはSUUNTOアプリ経由でStravaなどのサードパーティのアプリとも連携可能です。

アプリの「トレーニングゾーン」のタブからは週単位でトレーニングの評価を知ることができます。これはランニングなどのアクティビティに加え、トレーニング後の心拍数の変化や睡眠の状況を踏まえて、トレーニング負荷やリカバリーの状況、長期的な体力の変化といった項目について客観的に評価するもの。このあたりは、スポーツウォッチ作りの経験が豊富なSUUNTOの強みがよく現れていると感じます。

さらにマップのタブでは、他のランナーのアクティビティに基づくヒートマップが見られます。GPX形式やKML形式のファイルでルートを読み込んだり、アプリ上で地図上の経由地を順にタップして一からルートを作成することもできます。もちろん自分が記録したアクティビティをルートとして保存することもできます(このほかにも自分のアクティビティのエクスポートはGPXやFITのワークアウト、GPXやKMLのルートとして書き出し可能です)。

トレイルランナーには気になるルートのインポート、エクスポート機能ももちろん備えている。

トレイルランナーには気になるルートのインポート、エクスポート機能ももちろん備えている。

バッテリー持続時間も実用的

トレイルランニングやウルトラマラソンのアスリートにとっては、バッテリーの持続時間が気になるところです。SUUNTO RUNのスペック上ではGPSセーブモード稼働時間が最大40時間。高精度のパフォーマンスモードでは20時間、中間のエンデュランスモードは30時間となっていますとなったいます。パフォーマンスモードの20時間は多くのランナーにとっては100マイルのトレイルランニングレースには足りないでしょうが、50kmから70kmのレースであれば十分だという人も多いでしょう。

今回のレビューでは、週に4回程度のペースで一回1時間ちょっとのランニングと24時間の心拍計測、スマート通知オン、常時ディスプレイ表示オンという使い方をしましたが、5日目に残り10%となりました。

充電は4本のピンがついた充電パッドをマグネットでウォッチに接着します。USB-C端子を充電器やモバイルバッテリーに繋いでそのまま置いておけば安定して充電できるのですが、ウォッチを手に取ったり、バッグの中に入れて持ち歩いたりすると充電端子がすぐに外れるようで充電が止まります。これはちょっと不便な気もしますが、充電パッドやウォッチ本体の破損を防いだり、回路のショートによる事故を防ぐためにあえてこうした作りにしているのかもしれません。

SUUNTO RUNは初めてのランニングウォッチとしても使いやすく、しっかりトレーニングに活用したいランナーのニーズにも応えるGPSランニングウォッチ

SUUNTO RUNはスペックや機能のリストから考えると、軽量なエントリークラスのランニングウォッチと言えるでしょう。あえていえば、同じような機能を備えた製品は、他のブランドからも(しばしばより安価で)発売されていいます。

しかし、SUUNTO RUNのウォッチ本体のデジタルクラウンと二つのボタンとわかりやすいメニューの構成は、直感的で操作がしやすく、この点は長年アウトドアスポーツのための製品を手掛けてきたスントの強みが現れていると感じました。加えて、スマホのSUUNTOアプリもターゲットをスポーツの愛好家に絞り込んだことでわかりやすく、細かい機能の作り込みもしっかりしています。SUUNTOアプリの高いクオリティによって、SUUNTO RUNの価値も高まっているのは間違いありません。

インターバルワークアウトのメニューをカスタマイズすることもできる。

インターバルワークアウトのメニューをカスタマイズすることもできる。

SUUNTO RUNはSuuntoのスポーツウォッチの中で空白になっていた、軽量で手頃な価格のランニングウォッチというピースを埋める新製品となります。36gという軽さと明るくてみやすいAMOLEDディスプレイを備えたこのモデルは、初めてのスポーツウォッチを選ぶ、カジュアルなランナーの人気を集めるでしょう。

しかし、デュアルGNSSによる精度の高い測位とナビゲーションや、アクティビティを詳細に分析し、トレーニングの効果や進捗を評価してくれるランナーのニーズに的確に応えるSUUNTOアプリは、自分の記録にこだわるシリアスなアスリートや、トレイルランナー、ウルトラランナーにも魅力的です。もちろん、Suunto VerticalやSuunto Raceのような上位モデルが大事なレースには必要かもしれませんが、日々のトレーニングには、ケース厚11.5mmと36gの軽快さは魅力的です。二つのウォッチを使い分けるのが便利に違いありません。

SUUNTO RUNは、トレイルランニングも含めたランニングのためのGPSウォッチの核心的な機能を高いレベルでまとめ上げ、そこに圧倒的な軽量性とスントならではの信頼性を融合させた、完成度の高いモデルだと感じました。

どのようなランナーにおすすめか:

  • 何よりも軽さと快適性を重視するトレイルランナー、ウルトラランナー。
  • 高精度なGPSと信頼性の高い心拍計測を求めるシリアスランナー。
  • シンプルで確実なナビゲーション機能を好む方。
  • 初めて本格的なGPSウォッチを購入する方で、信頼性と実績のあるブランドを選びたい方。
  • すでに高機能なフラッグシップモデルを所有しているが、日常のトレーニングやロードレース用に軽量なセカンドウォッチを探している方。


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