世界的な知名度はまだ高くないものの、フランスのトレイルランニング界ではピレネー山脈の秘宝とされるビエル=オール Vielle-Aureで、7850人のランナーが参加して8月20-24日にグラン・レイド・デ・ピレネー(Grand Raid des Pyrenees、GRP)が開催されます。この大会はフランス全体のレースカレンダーでも最も権威のある大会の一つと位置付けられています。
(Photo © Linka Production-Christophe Angot-Grand Raid des Pyrenees – World Trail Majors)
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人口304人の村が1万人超のイベントを支える
ビエル=オール Vielle-Aureは人口わずか304人の村ですが、どのようにして1万人以上が関わる大会を開催できるのでしょうか。答えは近隣の村々の協力と地元の参画にあります。800人以上のボランティアがこの大会を忘れられない体験にし、ランナーは走ることだけに集中できる環境を作り上げています。
トレイルランニングが現在のように人気を集めるスポーツになる前の2008年、グラン・レイド・デ・ピレネーは小さなグループから誕生しました。当初は75kmと150kmの2レースで、総参加者数は420人、長距離レースには241人が参加し、完走者はわずか43人でした。2010年までに160kmの距離が確立され、参加者数は3倍に増加しました。
ビエル=オール Vielle-Aureをスタート・フィニッシュとする大会は大きな一周ループコースで、最高標高2502m、最低地点498mを通り、トゥールマレ Tourmalet、バレージュ Barèges、ピック・デュ・ミディ Pic du Midiなど、フランス・ピレネーで最も象徴的で有名な場所を通過または近くを通ります。トレイル、スキー場のゲレンデ、多くの岩場、急斜面、高山湖、山小屋といった純粋なピレネー体験が待っています。
関係者の間では、天候が許せば今年は男子が24-25時間、女子が30-32時間での完走が予想されます。これより速いフィニッシュタイムの100マイルレースが数多く存在することを考えると、GRPが困難な挑戦であることがよく分かります。
グラン・レイド・デ・ピレネーは、挑戦的なコース、美しい環境、フレンドリーな雰囲気、そして献身的でプロフェッショナルな運営という、多くの山岳ランナーが求める全てを兼ね備えています。7レース、40kmから160kmまでの距離、標高差2400mから9800mという魅力的なメニューが、純粋なトレイルランニングの一週間を演出し、7850人という驚異的な参加者数を集めています。
100マイルの「ウルトラ160」にエントリーしている注目選手
大会の目玉となる160km、標高差+9800mの「Ultra tour 160km」は、女子のレースにジュリエット・アルシャンボー Juliette Archambeau (FRA)、メラニー・フィナス Mélanie Finas (FRA)、ジュリー・プトース Julie Puthoste (FRA)といった注目選手がエントリーしています。男子ではマーク・ダービーシャー Mark Darbyshire (GBR)、ニコラ・ガイヨ Nicolas Gaillot (FRA)、ルノー・ドビー Renaud Doby (FRA)が上位争いに加わる有力候補です。
アルシャンボーは今年7月のルション・アネト・トレイル Luchon Aneto Trail の87kmで優勝し、6月のライド・アスポワ Raid Aspois 60kmでの2位、1月のウルトラ・デュ・ブー Ultra du Bout 101km で4位に続いて好調です。昨年はGRPでDNFとなっています。メラニー・フィナスは今年3月のトレイル・ド・フォンフロワド Trail de Fontfroide 55kmで優勝、2023年にはトランスマルティニーク Transmartinique 134kmを制した経験も持ちます。
男子の最有力候補、マーク・ダービーシャーは、今年の South Downs Way 100で優勝し、現在のワールド・トレイル・メジャーズの年間ランキングで4位につけています。イギリスの起伏のある丘陵地帯からピレネーの急峻で困難な斜面へ、走れるコースからポールを使った何時間ものハイクアップが必要なコースへと、大きくプロファイルの異なるレースに挑みます。

Photo ©Linka Production-Christophe Angot-Grand Raid des Pyrenees – World Trail Majors
43kmのツール・デュ・ネウヴィエルはショートシリーズレース
距離43km、標高差2,400mD+のツール・デュ・ネウヴィエル Tour du Néouvilleは、ワールド・トレイル・メジャーズのショートシリーズにラインナップしています。コースの最高標高は2495mに達し、湖、峠、技術的なセクション、急な登りが凝縮された美しく厳しいレースです。
女子では、フランス勢のアマイア・ブニオル Amaia Bouniol (FRA)、ソフィー・シャルロ Sophie Charlot (FRA)、そしてスペインのセリア・エスピノス Cèlia Espinós (ESP)が注目されます。
男子では、ポルトガルのティアゴ・ビエイラ Tiago Vieira (POR)が参戦します。ビエイラは今シーズンのワールド・トレイル・メジャーズのショートシリーズのレースで、Transgrancanariaでの3位とMadeira Island Ultra-Trailでの2位により、ショートシリーズの暫定ランキング2位につけています。
日本からは小笠原光研 Koken Ogasawara (JPN)が参戦します。ショートシリーズではHong Kong 100のHalf 57kmで17位、マウントフジ100のASUMI40kで2位となっています。甲斐大貴 Hiroki Kai (JPN)もエントリーしており、Half 57kmでは7位。6月のウェスタンステイツで10位となったのも記憶に新しいところです。
大会情報・配信
- ウェブサイト: www.grandraidpyrenees.com
- Facebook: https://www.facebook.com/GrandRaidDesPyrenees
- Instagram: https://www.instagram.com/grandraidpyrenees/
- YouTube配信: https://www.youtube.com/@grandraidpyrenees/streams
(Source: Gran Canaria World Trail Majors)














