世界最高峰のトレイルランニングイベントであるHOKA UTMB Mont-Blancでは、20年以上にわたり大会が開催される地域における環境への影響を最小限に抑えるための努力を続けてきました。
来週末の2025年8月25-31日に開催される2025年大会では、その取り組みがさらに強化されます。持続可能な移動手段の推進、エイドステーションの改善、先進的な廃棄物管理、そしてコースとなるトレイルの保全といった多角的なアプローチの施策が実施されます。
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UTMBワールドシリーズを開催する、UTMBグループ・CEOのフレデリック・レナール Frederic Lénart 氏、UTMBフランスイベントおよびHOKA UTMB Mont-Blanc ディレクターのイザベル・ポレッティ Isabelle Poletti 氏、そしてスポーツ&サステナビリティディレクターのファブリス・ペラン Fabrice Perrin 氏は連名で次のように述べています。「2003年の創設以来、HOKA UTMB Mont-Blanc は、このイベントが環境にもたらす影響を十分に認識し、包括的で体系的な持続可能性に関する方針をとってきました。これには、環境に対する意識の向上、廃棄物管理の改善、エイドステーションでの地産地消とベジタリアンメニューの優先、トレイルの保護と修復、使い捨てプラスチックの排除、イベント期間中の公共交通手段利用の促進、憲章を通じたコミットメントの表明、開催地域のコミュニティへの支援、そして長期的な交通手段の計画と実行が含まれます。これらの約束は、イベントと開催地域のすべてのステークホルダーによって年間を通じて守られています。」
(All photo © UTMB)
最優先課題は「移動手段」の改革
大会のカーボンフットプリントの88%を占める交通・輸送(2024年調査に基づく、主催者、ランナー、サポーター、関係者を対象)は、依然として最大の環境課題となっています。この影響を軽減するための取り組みは大会の最優先事項となっているといい、シャモニーをはじめとする開催地への移動や、大会開催中の各地への移動において、より持続可能な手段を選択することを奨励、支援するための新しい措置が毎年導入されています。
2025年には自家用車の利用を削減するため、約58万ユーロを投じて大会開催中の交通手段となるシャトルバスなどで構成される「UTMBモビリティ」という交通システムが新たに設けられます。大会開催中の主要な地点のうち、6割以上はこのUTMBモビリティにより運行されるバスでのみアクセス可能となります。これにより、自然地域の静寂を守り、交通渋滞が緩和されることが期待されています。選手はは無料のシャトルバスでスタート地点へ移動でき、サポーターはチケットを購入することで自家用車を使わずにレースを観戦、応援することができます。
2025年の新たな試みとして、シャモニーの谷の下流域エリアからシャモニーへアクセスする選手専用シャトルサービスが導入されます。これにより町の内外の混雑を緩和することが狙いです。大会によれば、すでに1,000件以上の利用希望があり、こうした取り組みへの強い関心がうかがえます。
またレースのうち、MCCとOCCでは、スイス永住者を除き、スタート地点(マルティニーとオルシエール、いずれもスイス領内にある)への移動はUTMBモビリティの利用が義務付けられます。スイスに滞在する非居住者のランナーは、UTMBモビリティの利用を免除されるためにウェブ上で宿泊証明をアップロードする必要があり、遵守しない場合はペナルティが科される可能性がある、という徹底ぶりです。
廃棄物削減と先進的な管理
HOKA UTMB Mont-Blanc は環境に配慮した大会運営の先駆者として、廃棄物削減とエイドステーション管理の革新にも取り組み続けています。
2006年には使い捨てカップを廃止し、再利用可能なカップを必携装備とすることで、毎年5万個以上のプラスチックごみを削減しました。この取り組みは2018年の「BYOU(Bring Your Own Utensils)」という取り組みへと発展し、エイドステーションでの食事をする選手は自身のスープボウルやスプーンなどを携行することが求められました。さらに2019年にはソーダストリームが導入され、エイドから炭酸飲料のペットボトルが姿を消しました。2024年からは、大会パートナーのNäak社がエイドで提供するエネルギーバーを個包装ではなくバルクで提供するようになり、包装ごみの削減に貢献しています。
2023年以降はすべてのエイドステーションでペットボトルを使用しない運営が実現しているといいます。この措置だけで2024年には18,000本以上のボトルが削減され、ボトル入りの飲料水を運ぶための運送も削減されました。この取り組みは2025年も継続・強化されます。
食べカスなど生ゴミの回収にも力を入れており、シャモニーを拠点とする団体「EcoTriVélo」と協力し、6つの回収拠点で約700kgの生ごみを収集。堆肥化されたのち、アルヴ渓谷の農家に販売されています。
このように「足跡を残さない(leave no trace)」という、大会創設者の一人であるジャン・クロード・マルミエ Jean-Claude Marmier が提唱した原則は今も受け継がれています。ランナーが自身のゴミを責任を持って管理できるよう、参加者全員にゴミ袋が配布され、この規則に違反した場合は1時間のペナルティが科されます。参加する選手にも高い意識が求められています。
地産地消とベジタリアンを推進するエイドステーション
肉製品の代わりに、フォカッチャなど地元の食材を使ったベジタリアンメニューを用意する取り組みも進んでいます。2025年大会ではコル・デ・バルム Col de Balme(MCC、OCC)とアルヌーヴァ Arnouvaz(CCC、UTMB)のエイドステーションでは、100%ベジタリアンのメニューが提供されます。
エイドで提供される食材の責任ある調達も積極的に進められています。地産地消型のサプライチェーンと認証を受けた地域産製品(オーガニック、ラベル・ルージュ、AOP、AOC)を優先しているといいます。2024年大会ではすでに、食料品の80%が開催国であるフランス、スイス、イタリアの3カ国から調達され、輸送に伴う排出量を削減するとともに、地元の生産者との連携を強化しています。
生物多様性とトレイルを守るための積極的な活動
大会では選手がレースを楽しみながら環境保護に貢献できるよう、明確なガイドラインを導入しています。コース全域に設置された専用の標識は、家畜の周りでは騒音を最小限に抑えること、繊細なエリアではポールの使用を控えること、放牧地を通過する際は必ずゲートを閉めること、そして指定されたコースから外れないことを参加者に呼びかけています。
イベント期間中、20名の「環境アンバサダー」が教育、啓発、支援において重要な役割を果たします。ナンバーカードを受け取る会場の専用ブースから各レースの合計で800km以上にわたるトレイルまで、彼らはこの大会の環境へのコミットメントを現場で体現することとなります。
2006年に設立された「環境委員会 Environmental Commission」も、大会の持続可能性戦略の要となる存在です。ボランティア、地元自治体、環境団体代表者で構成されるこの委員会は、年間を通じてトレイルの利用状況や気象の影響を監視し、地方自治体と緊密に連携しながら、トレイルを保護し、生態系への影響を軽減するための具体的な措置を実施しています。
(Source: HOKA UTMB Mont-Blanc)















