【編者より：来月9月25-28日にスペイン・ピレネー山脈のカンフランクで開催されるマウンテン＆トレイルランニング世界選手権（WMTRC 2025 Canfranc Pirineos）の開催が近づいています。レース主催者（LOC）から提供される情報をもとに、今年の世界選手権の話題を紹介します。】
今年のカンフランクで開催されるWMTRCのロングトレイル種目ではジム・ウォルムズレー Jim Walmsley (USA) とフランチェスコ・プッピ Francesco Puppi (ITA) という二人の世界トップクラスのアスリートの対決に注目が集まります。両選手はWMTRCが始まる以前の2019年にアルゼンチン・パタゴニアで開催されたWMRAのマウンテンランニング・ロングディスタンス世界選手権（40km）でそれぞれ金メダル、銀メダルを獲得。その後もそれぞれの舞台で活躍してきました。その両選手が今回は80kmの距離で再びスタートラインに揃うこととなります。
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そのフランチェスコ・プッピがコースの試走のため、カンフランを訪れました。
（Photo © Sergio Mayayo）
2度の銀メダルを経て頂点をねらう
パタゴニアの森を駆け抜けた2019年のWMRA世界選手権、そして東南アジアの熱気の中で戦った2021年のタイ・チェンマイでのWMTRC世界選手権（開催は2022年）。フランチェスコ・プッピ Francesco Puppi は大陸をまたぎ、世界の頂点を決めるハードなレースに挑んできました。2019年のパタゴニアでは、ジム・ワルムズリー Jim Walmsley の圧巻の走りに屈しつつも、1分差でフィニッシュして銀メダルを獲得。続く2021年のチェンマイでは、40kmのショートトレイル種目に挑戦します。スティアン・アンゲルムンド Stian Angermund (NOR)がリードするレースとなり、気温30℃を超える過酷な条件に苦しみながらも、アンゲルムンドに続く2位という成績をおさめました。
「パタゴニアのビジャ・ラ・アングストゥラではジムと二人ですぐに集団から抜け出し、山のピークまでは自分が先行する場面もありました。しかしラストの下りで彼の強さに屈することになって、3時間12分16秒で彼が優勝、私が3時間13分16秒で続きました」とプッピは振り返ります。
2022年に開催されたタイ・チェンマイでのWMTRC世界選手権はパンデミックによる延期が重なり、自身もシーズン中に肘を2度骨折して3度の手術を受けるなど苦しいシーズンでした。それでもシーズン終盤に開催された世界選手権では調子を取り戻し、2位を死守しています。「戦いの中で体力だけでなく、精神力、戦略も大きなカギになった」とこのレースについて話します。
2025年のWMTRCの舞台、カンフランクの下見を終えて
「イタリア代表の仲間とともにカンフランクのコースを実際に歩いて感じたのは、極めて山岳要素が強くて技術的に難しいコースだということでした。累積標高も大きく、優勝タイムは9時間近くを要するタフなレースになるでしょう。これまでの世界選手権のマラソンディスタンス（40km前後）に比べて3倍近い時間になり、体も心も限界まで追い込まれる戦いになるはずです」と語るプッピは、今大会への意気込みを新たにしています。
アメリカ、アジアに続き、ヨーロッパでもう一つメダルを手にすることができるか。世界の頂点を目指すプッピがどのような走りを見せるか、目が離せません。
日本代表の活躍にも注目
今回、フランチェスコ・プッピが参加するWMTRCのロングトレイル種目・男子のレースには日本から川崎雄哉 Yuya Kawasaki、吉野大和 Yamato Yoshino、甲斐大貴 Hiroki Kai、西村広和 Hirokazu Nishimura、田村健人 Kento Tamura の5人が代表選手として出場します。
WMRTC 2025のロングトレイル競技は9月27日土曜日午前7時（日本時間同日午後2時）にスタートします。レースの模様はライブ配信が予定されているほか、一般財団法人日本トレイルランニング協会のソーシャルメディアでは日本代表選手の表情やレースについて発信する予定です。
一般財団法人日本トレイルランニング協会では日本代表選手を支援する「日本代表応援プロジェクト」を開催しています。支援プラン付き商品をすることで世界選手権に参加する日本代表選手の渡航費などを支援することができます。
（Source: WMTRC 2025 Canfranc Pirineos）
