TDSは中盤以降の波乱で名勝負に。木曜日はいよいよOCCがスタート。【 #UTMB 2025 Day 3】

開催中のHOKA UTMB Mont-Blancでは8月27日水曜日にTDSに参加したランナーたちが続々とシャモニーにフィニッシュしました。レースはユース世代のアスリートたちのためのYCCの二日目や、未来のトレイルランナーのためのキッズレース、UTMB Miniが行われる一方、シャモニーでは様々なイベントが開催されました。8月28日木曜日にUTMBワールドシリーズファイナルのレース、OCCのスタートを控え、大会はさらにボルテージが上がります。

(Photo © UTMB / Paul Brechu)

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TDS:女子は米国人選手が初優勝の快挙、男子はフランス勢がトップ3を独占

153kmの過酷な山岳レース、TDS(Sur les Traces des Ducs de Savoie)は、例年のコースが複数箇所で土砂崩れや天候により変更して開催されました。

8月25日月曜日の深夜、1,934人の選手がイタリア・クールマイユール Courmayeur をスタートしました。女子のレースでは序盤からケアレス・アーノルド Careth ARNOLD (USA)、イーダ=ソフィー・ヘーゲマン Ida-Sophie HEGEMANN (GER)、そして7月のHardrock100を2位でフィニッシュしたばかりのマノン・ボアール・カイエ Manon Bohard-Cailler (FRA)の3選手が先頭集団として抜け出しました。しかし中盤に入り、先頭にいたボアール・カイエがリタイア、さらにヘーゲマン選手も2番手を走る中で無念のDNFとなります。波乱の展開の中、最終盤はケアレス・アーノルドが独走し22時間58分52秒でフィニッシュ。TDSで男女を通じて初のアメリカ人優勝者となりました。

2位は安定した走りで順位を上げたエレーヌ・ダッシー Hélène DASSY (BEL)が24時間23分23秒でフィニッシュ。3位は終盤になって一気に前に出たシャン・シュエル Xueer SHANG (CHN)が25時間9分52秒で続きました。

TDS®︎の表彰式より。Photo © UTMB / Marta Baccardit

TDS®︎の表彰式より。Photo © UTMB / Marta Baccardit

TDS女子トップ10

  1. ケアレス・アーノルド Careth ARNOLD (USA)(USA) 22:58:52
  2. エレーヌ・ダッシー Hélène DASSY (BEL)(BEL) 24:23:23
  3. シュエア・シャン Xueer SHANG (CHN)(CHN) 25:09:52
  4. エリーズ・ドラノワ Elise DELANNOY (FRA)(FRA) 25:18:45
  5. ルイーザ・デマッテイス Luisa DEMATTEIS (ITA)(ITA) 25:26:45
  6. エミリー・ヴォーダン Emily VAUDAN (SUI)(SUI) 25:40:35
  7. マグダレナ・クラスプルスカ Magdalena KRASZPULSKA (POL)(POL) 26:19:18
  8. ジュリアン・ディッカーソン Julianne DICKERSON (USA)(USA) 27:26:07
  9. カロリナ・ヴィエシュホヴィアク Karolina WIERZCHOWIAK (POL)(POL) 27:43:28
  10. ヤスミナ・カストロ・チャコン Yasmina CASTRO CHACÓN (ESP)(ESP) 28:43:16
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男子はスタートから11名の選手からなるグループが深夜の登りに挑見ます。序盤をリードしたベニャ・マルミソル Beñat MARMISSOLLE (FRA)はスタートから18時間が経過した火曜日の夕方になってリタイアします。レース中盤で先頭に立ったのはアントワーヌ・シャルヴォラン Antoine CHARVOLIN (FRA)でした。そのままシャルヴォランがレースを独走し、18時間22分17秒でTDS®︎のチャンピオンのタイトルを手にしました。ゴーティエ・エリヨー Gautier AIRIAU (FRA)は後半に怒涛の追い上げで2位(18:28:04)、3位にレオ・ロゴーム Leo ROGAUME (FRA)が18時間39分21秒で、トップ3入りとなりました。続く4位のマティス・ルレ Matis LERAY (FRA)までをフランス勢が占めることになりました。

TDS男子トップ10

  1. アントワーヌ・シャルヴォラン Antoine CHARVOLIN (FRA)(FRA) 18:22:17
  2. ゴーティエ・エリヨー Gautier AIRIAU (FRA)(FRA) 18:28:04
  3. レオ・ロゴーム Leo ROGAUME (FRA)(FRA) 18:39:21
  4. マティス・ルレ Matis LERAY (FRA)(FRA) 19:41:58
  5. ダニエル・クラッセン Daniel CLAASSEN (RSA)(RSA) 19:51:19
  6. パウ・カペル Pau CAPELL (ESP)(ESP) 20:02:15
  7. ティボー・アタンヌ Thibault ATHANE (FRA)(FRA) 20:13:47
  8. パトリック・ブランジェ Patrick BRINGER (FRA)(FRA) 20:13:47
  9. ピエール=アドリアン・イヴェール Pierre-Adrien HIVERT (FRA)(FRA) 20:40:28
  10. マルタン・フランクー Martin FRANCOU (FRA)(FRA) 21:02:31

TDSの全体のリザルトはこちら。

YCCは次代を担うユースの熱き戦い、家族で楽しむMini UTMBも開催

この大会では未来のトレイルランナーたちのためのイベントも開催され、あわせて1,400人が参加しました。火曜日のクールマイユールでのトレイルレースと、水曜日のシャモニーの街と駆けるクロスカントリーレースで競うのがユース世代のためのYCCです。3歳から年齢別に設定されたコースを走るMini-UTMBと併せて、子どもたちも家族と共にアルプスの麓を走る経験を楽しみました。親子ペアでレースを楽しむ光景も見られました。

Photo © UTMB / Christophe Boillon

Photo © UTMB / Christophe Boillon

8月28日木曜日はOCCがスタート、ライブ配信で応援できる

28日からはUTMBワールドシリーズファイナルの第一弾として、OCCがスタートします。28日水曜日は天候が崩れる見込みのため、大会では前日の朝にコースを代替コースに変更することを発表。距離と累積高度は元の57km 3500mD+に対して代替コースは61km 3400mD+と変化は大きくないように見えます。コース前半に標高2000m近くのボビーヌ Bovine の放牧地へと登る代わりに、標高500mのマルティニー Martigny の街の近くまで下ってから登り返すことになります。コース中盤にはレ・グランズ小屋 Refuge Les Grands 前後のテクニカルな岩場のセクションの代わりに、急な登りでバルム峠への登ります。そしてアルジャンティエール Argentière からの終盤はフレジエール La Flégère に登らず、谷の東側のラバンシェール Le Lavancher やル・ボワ Les Bois を経由する、起伏の小さいコースを通ります。全体に代替コースではテクニカルなセクションが少ない反面、登り下りがいずれも長く、雨によるぬかるみもあって忍耐が試されるレースとなりそうです。

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OCCはスタート時刻も変更され、第一ウェーブは2時間繰り下げて8月28日木曜日午前10時15分(日本時間同日午後5時15分)にオルシエールをスタートします。OCCのライブ配信は日本時間午後4時45分からUTMB LIVEで視聴することができます。

HOKA UTMB Mont-Blanc 2025 プレビュー:TDS、OCC、CCC、UTMB

2025.08.24
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