CCC女子優勝、マルティナ・ムリナルチク Martyna MLYNARCZYK が語る、ダンスからトレイルランニングへの転身と勝利への道【UTMB 2025 Champions Walk】

【編者より・UTMBウィーク最終日の8月31日日曜日、シャモニー Chamonix の空は快晴に恵まれました。レースの興奮が冷めやらぬ中、恒例の「チャンピオンズウォーク Champions Walk」が開催されました。ライブ配信のMCの一人として今年のHOKA UTMB Mont-Blancを見届けたマルタン・ガフリ Martin Gaffuri 氏が聞き手となって、UTMBワールドシリーズファイナルの三つのレースのチャンピオンたちとともに、ここまでの歩みと今回の経験を振り返りました。そのチャンピオンたちとの会話を紹介します。】

2025年のUTMBワールドシリーズ・ファイナル、CCCでポーランド出身のマルティナ・ムリナルチク Martyna Mlynarczyk (POL)が女子の部門で見事優勝を果たしました。レース後のインタビューから彼女のこれまでの歩みと勝利の背景に迫ります。

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(Photo © UTMB® / Marta Baccardit)

ダンサーからトレイルランナーへ

マルティナ・ムリナルチク Martyna Mlynarczyk は、幼少期からダンスに親しみ、6歳で競技ダンスを始めました。高校卒業後はダンスと振付を専門的に学び、バレエ劇場やコンテンポラリー劇場でプロとして活動。その後はバレエ教師としてもキャリアを積みました。ダンス一筋の生活は、朝6時からバレエクラス、昼は別の仕事(2〜3年間にわたって、店で働いて追加収入を得ていたといいます)、夜は劇場での練習と、毎日が多忙を極め、夜10時頃まで続いたと語ります。

そんな彼女がランニングに出会ったのは約10年前。心身のリフレッシュを求めて、インターネット上のブログやInstagramの投稿で「ランニングは心に良い」と知り、マラソンを走る女性をフォローし始めたことがきっかけで、初めて走ったことでその魅力に惹かれ、山でのランニングにも挑戦するようになりました。

初の国際大会から頂点へ

2024年、マルティナはCCCで初の大規模なトレイルランニングの国際レースに挑戦し、2位でフィニッシュ。ポーランドの観客の声援を受け、ポーランド国旗を掲げてゴールした瞬間は「本当に美しい瞬間だった」と振り返ります。しかし、レース後には「もっと良くできたはず」と感じ、特にエイドステーションでの対応など、翌年に向けて改善点を模索しました。

今年のCCCでは、夫でありクルーのマルティンのサポートもあり、エイドステーションでの対応をより迅速にしたとのこと。レース序盤は女子選手たちのハイペースに苦しみ、最初の4〜5kmは「太ももが燃えるように痛く、体が疲れていて、100kmを走り切れるか不安だった」と明かします。しかし、ペースを落として自分のリズムを取り戻し、冷静にレースを進めたことで、徐々に調子を上げていきました。

ダンスの経験が生きる「痛みへの耐性」

ダンス時代の厳しいトレーニングや長時間の練習が、トレイルランニングでの「痛みへの耐性」に役立っているとマルティナは語ります。「長年のダンス経験で、痛みを受け入れる力がついたのかもしれません。より長く大きな痛みに耐えることができる」と自己分析。バレエシューズの痛みと、トレイルランの下りでの足の痛みは「種類は異なるが、どちらも耐える力が必要」と述べました。

ポーランドからの熱い応援

レース中はポーランドのファンからの応援メッセージがスマートウォッチに届き続け、「通知をオフにしていなかったので、すべてのコメントや応援を時計で見ていた。レース中ずっと応援が届いていた」と感謝の気持ちを語ります。近年、ポーランドではトレイルランニング人気が急上昇し、観客層も選手層も厚くなっていることを実感しているそうです。また、ポーランドのランナーが活躍する際にチャットでよく見られる「Polska Gurum」という言葉について、これは「Go Polska(ポーランド行け)」という意味で、「góra」は「山」を意味すると説明しました。

次なる目標は世界選手権とウェスタンステイツ

今後の目標については「数週間後に世界選手権(WMTRC)のロングディスタンスに出場予定」と語り、さらに「来年はウェスタンステイツ Western Statesに再挑戦したい」と意欲を見せます。昨年はCCC2位の結果でWestern Statesのゴールデンチケットを獲得したものの、今年は途中棄権となりました。「精神的に辛かったが、最終的にはメンタルスキルの向上や、栄養、水分補給などランニングを取り巻くあらゆることへの準備につながり、次へのレースに役立った」と振り返ります。

また、将来的には100マイルのUTMBへの挑戦も視野に入れているとのこと。「CCCはUTMBに比べれば短い距離。いつか必ずUTMBのスタートラインに立ちたいが、いつになるかはまだ分からない」と語りました。

まとめ

ダンスで培った情熱と忍耐力を武器に、トレイルランニングの世界で急成長を遂げるマルティナ・ムリナルチク Martyna Mlynarczyk (POL)。彼女の挑戦は、ポーランドのみならず世界中のトレイルランナーに勇気と希望を与えています。今後の活躍にも注目です。

https://www.youtube.com/live/tmqTlOaSkkg

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