2025年9月11日、歴史と革新が共存する街、東京・京橋に「パタゴニア 東京・京橋」がグランドオープンします。オープン前日に開催された内覧会に参加し、プレスリリースだけでは伝わらない、新店舗に込められた情熱と哲学に触れる機会を得ました。本レポートでは、現地で伺ったスタッフの方々の言葉を織り交ぜながら、その魅力をお伝えします。
丸の内から京橋へ受け継がれるコミュニティの灯
新店舗は、多くのランナーに愛された「パタゴニア 東京・丸の内」の移転という側面も持ち合わせています。丸の内店は皇居に近く、ランニング好きのスタッフが集まることで、自然とコミュニティのハブとして機能していました。
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「丸の内店は皇居が近く、ランニング好きのスタッフが多く、コミュニティづくりの起点でした」(パタゴニア東京・京橋の伊藤さん)
丸の内では、2013年のオープンから約100回ものグループランを開催し、10代から70代まで幅広い世代が共に走る場を育んできたといいます。この温かいコミュニティの灯を京橋でも継続し、さらに発展させていくことが、新店舗の大きなミッションの一つです。グループランの運営は「最もゆっくりの方に合わせる」ことを基本としているそうです。
京橋の歴史と接続する店舗デザイン — 「地域のギフト」を目指す
白と黒を基調とした洗練された店内は、かつてこの地が江戸の鍛冶職人たちの街であった歴史に敬意を表し、創業者イヴォン・シュイナードが鍛冶屋であったルーツと重ね合わせてデザインされています。竹や鉄をイメージした意匠、漆塗りのミッション・ステートメントなど、随所に日本の伝統的な職人技とパタゴニアのクラフトマンシップが融合しています。

かつては鍛冶屋の町だった京橋の歴史を紹介するパネルも

パタゴニアのミッションステートメントも、漆塗りとなっている
単に商品を売るだけでなく、地元の歴史や文化、そこから生まれる体験や価値までも伝えていく、いわば「地域のギフト」となることを目指しているのがこの東京・京橋ストアだとのことです。都心とアウトドアカルチャーを繋ぐとともに、地域に根差した価値を提供したいという強い意志が感じられます。

店舗二階の一角にはエルキャピタンを見ながら寛げる、温もりを感じるコーナーも
Worn Wear — 循環型ビジネスへの責任
1階のウィメンズ・キッズフロアの奥に常設された「Worn Wear」のコーナーは、この店舗の思想を象徴する空間です。修理、買取、中古販売を通じて、一着の製品を可能な限り長く使い続ける「循環」のサイクルを提案しています。

パタゴニア製品を買取り、中古販売する「Worn Wear」を展開するのは国内で二店舗目となる
「衣類は環境フットプリントが大きく、循環型の責任あるビジネスが必要です。1着を9カ月延長着用するだけで水使用や廃棄が20-30%減とされます」(マーケティング・小林さん)と循環のサイクルがもたらす効果は大きいものです。「サイズアウトや未使用化した衣類は私たちが責任を持って買い取り、次の方へ橋渡しします」とこの取り組みの意図を説明していただきました。
アパレルの買取りや中古販売は珍しくありませんが、ブランドが自社の製品を買い取り、販売するのは珍しいことです。直営店でスタッフの方が、新品と中古品を並べながら、年代による仕様の違いやその価値を丁寧に説明できること。これこそが、消費者が製品の価格合理性を理解し、長く大切に使う文化を育む上で大きな力になると感じました。
パタゴニアの「Worn Wear」はオンラインでの買取サービスも開始され、誰もがこの循環のサイクルに参加しやすくなりました。
アクティビズム — 地球を救うための事業活動
店内には、パタゴニアのもう一つの重要な側面である「アクティビズム」を紹介するコーナーも設けられています。特に印象的だったのは、食の分野「パタゴニア プロビジョンズ」におけるリジェネラティブ・オーガニック(環境再生型有機農業)への具体的な取り組みを紹介したパネルです。取り組み自体は長年続けられていますが、ストアの中で紹介するパネルを掲示するのは初めてのことだそうです。
福島県でのソーラーシェアリング下での大豆栽培や、北海道大学と共同で進める多年生穀物「カーンザ」の研究など、その活動は具体的かつ先進的です。こうした日本での食品事業はパタゴニア日本支社内に内包し、責任あるビジネスの実例として指針を提示する役割を担っている、とのことでした。
こうした自社の取り組みをアパレル事業の最前線で発信することには、パタゴニアの人類の故郷としての地球を救うための道を切り拓くという、強い覚悟を改めて感じます。
東京・京橋から始まる新しいストーリー、9月から10月にかけてオープニングイベントも
パタゴニア 東京・京橋は、単なる製品の販売拠点ではありません。人と人、街と自然をつなぐコミュニティのハブであり、循環型社会への具体的な道筋を示し、ブランドが掲げる哲学を体現する場所を目指しています。この新拠点から、どのような新しい物語が紡がれていくのか、大いに期待したいと思います。
オープニングイベントとして京橋の店舗を拠点としたグループラン(10月1日)、高尾山でのトレイルランニング(10月11日)、南圭介さんによるトークイベント『自分の核心に出会うために走る』(10月24日)も開催されます。詳しくは、Instagramのアカウントからご確認を。
【店舗概要】
- 名称: パタゴニア 東京・京橋
- 住所:〒104-0031 東京都中央区京橋2丁目4番12号 京橋キノテラス
- Tel:03-3214-2101 ※9月11日(木)より開通
- 公式インスタグラムアカウント:https://www.instagram.com/patagonia.kyobashi
- 営業時間:11:00 – 19:00
- 定休日:年末年始 毎月第三水曜日
(協力・パタゴニア日本支社)














