スペイン・ピレネー山脈での熱戦が幕を閉じた2025年世界マウンテン&トレイルランニング選手権(WMTRC)は9月28日に最終日を迎えました。その閉幕に際し、次期2027年大会の開催地である南アフリカのケープタウン Cape Town (RSA) への引き継ぎが行われました。アフリカ大陸で初めて開催されるこの歴史的な大会は、象徴的なテーブルマウンテン Table Mountain を舞台に、世界のトップアスリートたちを迎えます。
カンフランク大会の成功からケープタウンへ、情熱のバトンが渡される
2025年大会の開催地、スペインのカンフランク Canfranc で行われた記者会見では、まずワールドアスレティックス(WA)のカウンシルメンバーであるラウル・チャパド Raúl Chapado 氏が登壇。「この競技の歴史上、最高レベルのアスリートたちの活躍を見ることができました。これはトレイルランニングとマウンテンランニングの発展における素晴らしい将来に向けたステップです」と述べ、大会の成功を称賛しました。
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カンフランク Canfranc 市長のフェルナンド・サンチェス Fernando Sánchez 氏も、次期開催地である南アフリカの代表団を温かく歓迎。これを受け、南アフリカの代表団は数日間にわたるカンフランク Canfranc での視察を振り返り、「ワールドクラスのイベント運営、特にセキュリティや地域との連携など、非常に多くのことを学びました。我々は2027年に向けて準備ができています」(南アフリカ陸連理事、西部地区陸協会長ファルーク・メイヤーFarouk MEYER氏)と力強く語りました。
アフリカ大陸初のWMTRC、舞台は「新・世界七不思議」テーブルマウンテン
2027年大会は、WMTRC史上初めてアフリカ大陸で開催されます。南アフリカのスポーツ・芸術・文化副大臣であるピース・マベ Peace Mabe 氏はこの歴史的意義を強調し、「これは単なる象徴的なマイルストーンではありません。アフリカの自然の美しさ、文化的な豊かさ、そして運動能力の卓越性が主役となる強力な瞬間です」と、大会への強い意気込みを示しました。

南アフリカのスポーツ・芸術・文化副大臣であるピース・マベ Peace Mabe 氏
開催都市であるケープタウン Cape Town は、「世界で最も美しい都市」として繰り返し選ばれてきた風光明媚な場所です。西ケープ州の代表者は「すべてのランナーと観客に、激しい競争だけでなく、自然の驚異、豊かな文化、そして温かいおもてなしが融合した忘れられない体験を約束します」とアピールしました。
大会のコースのハイライトとなるのは、ユネスコの世界自然遺産にも登録され、「新・世界七不思議」の一つにも数えられるテーブルマウンテン Table Mountain です。街を見下ろす雄大な平らな山頂と、そこから広がるライオンズヘッド Lion’s Head や12使徒などのテクニカルなトレイルが、世界中のランナーにとって忘れられない挑戦の舞台となることは間違いありません。
アフリカで高まる陸上競技熱、大陸全体のイベントとして
今回のWMTRC開催決定は、アフリカ大陸全体で高まる陸上競技への熱意を象徴する出来事です。2026年にはボツワナ Botswanaで世界リレーが開催予定であるほか、ケニア Kenya は2029年の世界陸上選手権の招致を目指しています。
マベ副大臣は、2025年大会で活躍したケニアやウガンダ Uganda の選手を称賛しつつ、「ケープタウンでの開催は、南アフリカ一国のものではなく、アフリカ54カ国を代表するイベントです」と述べ、大陸全体の連帯を強調しました。
この動きはワールドアスレティックスも後押ししています。ラウル・チャパド氏は「アフリカに主要大会の開催機会を提供することはWAの優先事項です。アフリカには世界最高の才能が集まっており、この機会を提供できることを誇りに思います」と語り、アフリカでのスポーツ振興を全面的に支持する姿勢を見せました。
会見の最後には、カンフランク Canfranc (ESP) からケープタウン Cape Town (ZAF) へ、大会の成功を祈念する記念品の交換が行われました。ピレネーの山々から、テーブルマウンテンへ。トレイルランニングの情熱のバトンは、確かに次なる舞台へと渡されました。2年後、アフリカ大陸で繰り広げられる新たな歴史の1ページに、今から期待が高まります。














