2025年マウンテン&トレイルランニング世界選手権(WMTRC Canfranc-Pirineos)は、スペインのアラゴン・ピレネーに位置するカンフランク Canfranc で9月28日日曜日に最終日を迎えました。この日行われたマウンテンランニングの「クラシック Classic 」種目で、女子はニナ・エンゲルハート Nina Engelhard (GER)が、男子はフィレモン・キリアゴ Philemon Kiriago (KEN)がそれぞれ世界チャンピオンに輝きました。 これにより、4日間にわたる熱戦の幕が閉じられました。
大会最終日も素晴らしい天候に恵まれ、選手たちはアラゴン・ピレネーの美しいトレイルを駆け抜けました。 沿道には何千人もの観客が詰めかけ、選手たちに声援を送るなど、スポーツの祭典にふさわしい祝祭的な雰囲気のなか、カンフランク Canfranc はトレイルランニングの聖地としてその名を世界に知らしめました。 ピレネーの小さな村が舞台となったことで、選手とファンの間に親密な一体感が生まれたことも、今大会の大きな特徴となりました。
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(写真・クラシック女子のスタート。 Photo © WMTRC2025 Canfranc Pirineos)
女子クラシック:ニナ・エンゲルハートがアップヒルに続き圧巻の二冠達成
女子レースは、スタート直後から3人のウガンダ勢とケニアのジョイス・ムソニ・ニェル Joyce Muthoni (KEN)がレースを引っ張る展開となりました。しかし、最初の登りに入ると、ドイツのニナ・エンゲルハート Nina Engelhard (GER)が先頭に立ち、早くもリードを奪いにかかります。 最初のチェックポイントでは、2位のリスパ・チェロップ Rispa Cherop (UGA)に20秒の差をつけました。
エンゲルハートはその後も力強い走りを続け、2つ目のループの頂上では後続との差を2分以上にまで広げました。 彼女は終盤の急な下りで転倒するアクシデントに見舞われましたが、その勢いが衰えることはなく、象徴的なカンフランク国際駅のフィニッシュラインに1時間11分00秒で飛び込み、見事金メダルを獲得しました。 大会初日のアップヒル Uphill でも優勝しているエンゲルハートは、今大会で二冠を達成し、名実ともに今大会でもっとも輝いた選手となりました。
優勝したエンゲルハートは、「この3日間は、アイシングや休息とジョギングを組み合わせてアクティブレストに徹しました。それでも下りで大腿四頭筋にけいれんを感じましたが、なんとか持ちこたえて勝つことができました」とレースを振り返りました。
銀メダル争いは熾烈を極め、ケニアのルース・ギトンガ Ruth Gitonga (KEN)が1時間12分54秒で、銅メダルにはスイスのオリア・リアチ Oria Liaci (SUI)が1時間13分15秒で続きました。
女子の団体戦では、ケニアが金メダル、アメリカが銀メダル、スイスが銅メダルを獲得しました。

クラシック女子優勝のエンゲルハルト(中)、2位のギトンガ・ムイハキ(左)、3位のリアチ。Photo © WMTRC2025 Canfranc Pirineos
全体のリザルトはこちら。
Mountain Classic 女子
- ニナ・エンゲルハルト Nina ENGELHARD (DEU) 1:11:00
- ルース・ギトンガ・ムイハキ Ruth GITONGA MWIHAKI (KEN) 1:12:54
- オリア・リアチ Oria LIACI (CHE) 1:13:15
- ジョイス・ムソニ Joyce MUTHONI (KEN) 1:13:37
- ローレン・グレゴリー Lauren GREGORY (USA) 1:13:38
- リスパ・チェロップ Rispa CHEROP (UGA) 1:13:42
- ネリー・クレマン Nélie CLÉMENT (FRA) 1:14:09
- グロリア・チェベト Gloria CHEBET (KEN) 1:14:39
- サイビ・チェベト Saibi CHEBET (UGA) 1:15:03
- エリサ・モラン Elisa MORIN (CAN) 1:15:16
男子クラシック:フィレモン・キリアゴが巧みなレース運びで頂点に
男子では、ウガンダのマーティン・キプロティッチ Martin Kiprotich (UGA)がスタートから飛び出し、最初のピークを通過する時点で2位のフィレモン・キリアゴ Philemon Kiriago (KEN)に14秒の差をつける積極的なレースを見せました。
しかし、キリアゴは下りでその差をわずか2秒にまで縮めると、レースは再び緊迫した展開となります。 2度目の登りでの激しい攻防の末、最後の下りで勝負をかけたのはキリアゴでした。 「ハヤブサのように」森の中を駆け下りたキリアゴは、1時間00分38秒でフィニッシュし、悲願の世界タイトルを手にしました。
優勝したキリアゴは、「最後の下りでアタックしなければならないと分かっていましたが、好機を待ちました。仕掛けた時は、ライバルにチャンスを与えないよう全力を尽くしました。以前から知っていたこのカンフランクで優勝でき、夢が叶って本当に嬉しいです」と喜びを語りました。
銀メダルは1時間01分26秒でウガンダのマーティン・キプロティッチ Martin Kiprotich (UGA)、銅メダルは1時間01分31秒でケニアのポール・マチョカ Paul Machoka (KEN)が入りました。
男子の団体戦はケニアが金メダル、ウガンダが銀メダル、イタリアが銅メダルを獲得しました。
全体のリザルトはこちら。

クラシック男子優勝のキリアゴ(中)、2位のキプロティチ(左)、3位のマチョカ。Photo © WMTRC2025 Canfranc Pirineos
Mountain Classic 男子
- フィレモン・キリアゴ Philemon KIRIAGO (KEN) 1:02:30
- マーティン・キプロティチ Martin KIPROTICH (UGA) 1:03:14
- ポール・マチョカ Paul MACHOKA (KEN) 1:03:25
- ドミニク・ローリ Dominik ROLLI (CHE) 1:03:56
- ケン・コロス Ken KOROS (KEN) 1:04:08
- マイケル・セレロ Michael SELELO (KEN) 1:04:24
- アジズ・チェベト Aziz CHEBET (UGA) 1:04:30
- ブライアン・ロドリゲス Brayan RODRIGUEZ (MEX) 1:04:36
- ジョナタ・カミロ・カスティージョ Jonatha Camilo CASTILLO (COL) 1:04:38
- イサッコ・コスタ Isacco COSTA (ITA) 1:05:01
U20はウガンダ勢が席巻
U20(ジュニア)カテゴリーでは、ウガンダの若き才能が表彰台を席巻しました。個人メダル6つのうち5つを獲得し、男女ともに団体で金メダルに輝く圧倒的な強さを見せました。
男子はティトゥス・マサウ Titus Masau (UGA)が優勝。 女子はドイツのユリア・エールレ Julia Ehrle (GER)が金メダルを獲得しました。 ウガンダは、エノス・チェベ Enos Chebe (UGA)とナンシー・チャプクルイ Nancy Chapkwurui (UGA)がそれぞれ銀メダル、アブラハム・チェロティッチ Abraham Cherotich (UGA)とフェリスター・チェクウェモイ Felister Checkwemoi (UGA)が銅メダルを手にしています。

U20の女子トップ3。Photo © WMTRC2025 Canfranc Pirineos

U20の男子トップ3。Photo © WMTRC2025 Canfranc Pirineos
団体戦のポディウムは、女子がウガンダ、イタリア、スペイン、男子がウガンダ、イギリス、スイスという結果になりました。
(Text (c) Sergio Mayayo, WMTRC2025 Canfranc Pirineos)














