エルハウシン・エラザウイが戦略的なレース展開でGTWSグランドファイナルを制覇、昨年に続いて年間チャンピオンに

先週末にイタリア北部のガルダ・トレンティーノ Garda Trentino でGTWS(ゴールデントレイルワールドシリーズ)のグランドフィナーレが開催されました。最終日の12日日曜日の男子のメインレース(21km、獲得標高1,600mD+)では、スリリングなレースの末にエルハウシン・エラザウイ Elhousine Elazzaoui (MAR) が優勝。金曜日のプロローグでの勝利に続き、今シーズンを象徴する強さを見せつけ、2年連続となるGTWS年間チャンピオンの栄冠に輝きました。

(写真 GTWSで2年連続のチャンピオンとなったエルハウシン・エラザウイ Elhousine Elazzaoui (MAR)。Photo (c) rising.story / Justin Galant / Ledro Sky)

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序盤から動いたレース、ケニア勢が積極的なペースを刻む

現地時間正午にスタートした選手たちは、ターコイズブルーの水をたたえるレドロ湖 Lago di Ledro の湖畔を駆け抜ける最初の1kmを経て、本格的な登りへと突入しました。ここでレースを動かしたのは、ケニアのポール・マチョカ Paul Machoka (KEN)でした。他の追随を許さない力強いペースで集団を抜け出し、単独でレースをリードします。

その後方では、年間タイトルを争うパトリック・キプンゲノ Patrick Kipngeno (KEN)とエルハウシン・エラザウイ Elhousine Elazzaoui (MAR) を中心に、テイラー・スタック Taylor Stack (USA)、フィレモン・キリアゴ Philemon Kiriago (KEN) を含む追走集団が形成され、マチョカを追いかけました。

山岳区間で先頭集団は三つ巴の戦いへ

レースが9km地点のチーマ・パリ Cima Pari に差し掛かる頃、単独リードをしていたマチョカは追っていた二人に追いつかれます。マチョカ、キプンゲノ、エラザウイの3人が一体となってコース最高地点に到達。この時点で後続のスタックとキリアゴは1分以上の差をつけられ、レースの主導権は完全に先頭の3人に絞られました。

勝負を分けた下りでの駆け引きと、エラザウイの冷静な判断

コース最高峰を越えて下りに入ると、再びマチョカがアタックを仕掛け、前に出ます。しかし、エラザウイは冷静でした。年間ランキングにおいて最大のライバルであるキプンゲノに先行を許しながらも、慌てず追走。彼の走りからは、3番手でも年間タイトルは獲得できるという計算があるかのようにうかがえました。

しかし、実際には王者の走りは守りだけではありませんでした。その後まもなく、エラザウイはキプンゲノを追い越し、先頭を走るマチョカの追撃を開始します。チーマ・パリからの稜線では二人の差は縮まらず、勝負は最後の長い下りに持ち越されました。

リードするマチョカ(右)を追撃するエラザウィ。Photo (c) rising.story / Anthony.Dx / Ledro Sky

リードするマチョカ(右)を追撃するエラザウィ。Photo (c) rising.story / Anthony.Dx / Ledro Sky

フィニッシュまで残り5km。湖畔へと戻る起伏に富んだセクションで、ついにエラザウイが動きます。マチョカを捉えて前に出ると、そのまま差を広げて、単独でフィニッシュへ。レースの勝者、そしてシリーズチャンピオンの座をその手に掴み取りました。

フィニッシュラインでは、後方から驚異的な追い上げを見せたキプンゲノがマチョカをかわし、トップに20秒差で2位に。レース序盤を沸かせたマチョカが3位で表彰台を確保しました。

2位のパトリック・キプンゲノと迎えるエルハウシン・エラザウイ。Photo (c) rising.story / Justin Galant / Ledro Sky

2位のパトリック・キプンゲノと迎えるエルハウシン・エラザウイ。Photo (c) rising.story / Justin Galant / Ledro Sky

「歴史的な日」、完璧なシーズンを勝利で締めくくる

優勝したエラザウイはフィニッシュ後、「今日は僕にとって歴史的な日です。今シーズンの目標は、ゴールデントレイル・ワールドシリーズで2度目の優勝を果たすことでした。とても、とても嬉しいです。今日はスマートなレースを心がけました。下りで足に少し問題がありましたが、やり遂げました。サポートしてくれたすべての人に心から感謝しています」と語りました。

エラザウイは今シーズン、ゼガマ Zegama-Aizkorri(スペイン)、ブロークンアロー・スカイレース Broken Arrow Skyrace(アメリカ)、テペック・トレイル Tepec Trail(メキシコ)、そして今回のグランドフィナーレと出場した4レース全てで勝利。獲得可能な最大ポイントである1,000ポイントを獲得するという、完璧なシーズンを達成しました。

大会リザルト

全体のリザルトはこちら

Ledro Sky Trentino Grand Finale 男子

  1. エルハウシン・エラザウイ Elhousine Elazzaoui (MAR) – 1:58:30
  2. パトリック・キプンゲノ Patrick Kipngeno (KEN) – 1:58:50
  3. ポール・マチョカ Paul Machoka (KEN) – 1:59:32
  4. テイラー・スタック Taylor Stack (USA) – 1:59:42
  5. フィレモン・キリアゴ Philemon Kiriago (KEN) – 2:00:15
  6. マイケル・セレロ・サオリ Michael Selelo Saoli (KEN) – 2:00:18
  7. ジョーイ・ハドルン Joey Hadorn (SUI) – 2:02:08
  8. ファビアン・ベネロ Fabián Venero (ESP) – 2:03:07
  9. ダニエル・パティス Daniel Pattis (ITA) – 2:03:27
  10. イウ・ネット Ïu Net (ESP) – 2:05:24
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27 山口大河 Taiga Yamaguchi (JPN) – 2:13:50
39 上正原真人 Masato Kamishohara (JPN) – 2:18:53
52 牛田美樹 Miki Ushida (JPN) – 2:30:55

Golden Trail World Series 2025 年間ランキング 男子

  1. エルハウシン・エラザウイ Elhousine Elazzaoui (MAR) – 1,000 ポイント
  2. パトリック・キプンゲノ Patrick Kipngeno (KEN) – 953 ポイント
  3. フィレモン・キリアゴ Philemon Kiriago (KEN) – 892 ポイント
  4. テイラー・スタック Taylor Stack (USA) – 790 ポイント
  5. マイケル・セレロ・サオリ Michael Selelo Saoli (KEN) – 785 ポイント
  6. ダニエル・パティス Daniel Pattis (ITA) – 741 ポイント
  7. ジョーイ・ハドーン Joey Hadorn (SUI) – 704 ポイント
  8. ドミニク・ロリ Dominik Rolli (SUI) – 686 ポイント
  9. チェーザレ・マエストリ Cesare Maestri (ITA) – 685 ポイント
  10. ポール・マチョカ Paul Machoka (KEN) – 671 ポイント

(Source: GTWS)

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