【レビュー】Plaud Note Proは単なる録音機ではない。AIとの「対話」で思考を拡張する知的生産パートナーだ・【DogsorCaravan Creative & Productive】

【編者より・DogsorCaravanでは トレイルランニングのファンの皆さんが深い関心を持つ、創造的で生産性の高い仕事と生活について、情報を発信する試みを進めています。「DogsorCaravan Creative & Productive」はそうしたコンテンツのカテゴリーです。】

2024年10月14日にスマートボイスレコーダーの新製品「Plaud Note Pro」が発売されました。昨年からペンダント型の「Plaud NotePin」を日常的に愛用してきた筆者としては、この新製品の登場にワクワクしています。

Sponsored link


Plaudのこの新製品を「ボイスレコーダー」と説明すれば、「マイク性能が向上」「バッテリーが長持ちに」といったハードウェアの分かりやすい進化点が注目されるでしょう。

しかし、日々Plaud製品を使い込む筆者からすれば、その真価はハードウェアのスペック表だけでは到底語れません。

このデバイスの本当の価値は、単に音を録り、文字に起こすという直線的な作業を効率化することではありません。録音した音声データという「素材」を介してAIと「対話」し、混沌とした自分の思考や会話を再構築したり加速させたりする、まったく新しい知的生産の体験にあります。

この記事では、多くの人に見過ごされそうなPlaud Note Proの本質的な魅力と、私の仕事や思考のプロセスを劇的に変えた具体的なユースケースについて、一人のユーザーの視点から深く掘り下げていきたいと思います。

PLAUD、マルチモーダル対応の次世代AIボイスレコーダー「Plaud Note Pro」を発表。画像やテキスト、ハイライト指定でより高精度な要約作成が可能に【DogsorCaravan Creative & Productive】

2025.10.09

多くの人が誤解している3つのポイント

Plaud Note Proの真価を語る前に、まず多くの人が抱きがちな「誤解」を解いておきたいと思います。これは、カタログスペックを眺めるだけではイメージしにくいことで、実際に使ってみて初めて腑に落ちる部分かもしれません。

誤解1:録音音質が耳で聞いて最高というわけではない

「CD品質の録音」「高性能マイクを4つ搭載」といった言葉から、オーディオ機器のようなクリアでリッチな音質を期待するかもしれません。しかし、Plaud Note Proで録音した音声を後からイヤホンで聞き返すと、その期待は少し裏切られるかもしれません。その音質は、ビデオマイクで収録したような臨場感や滑らかさとは異なり、あくまで「ボイスレコーダー」の範疇にある、良くも悪くも実用的な音です。

ですが、これは決して欠点ではありません。むしろ、Plaudが目指すゴールへの最適解なのです。Plaudの音声録音は、人間が心地よく聞くためではなく、AIが文字起こしするために徹底的にチューニングされています

Plaud Note Pro で録音した音声は、文字起こしと対照しながらアプリから聴くことができる。

Plaud Note Pro で録音した音声は、文字起こしと対照しながらアプリから聴くことができる。

例えば、先日あるイベント会場で、周囲で多くの人が会話している中でインタビューを録音しました。後で聞き返すと、人の声以外の環境音はかなり抑制され、目的の相手の声が際立って聞こえるものの、音声全体の質感や滑らかさは失われているように感じました。しかし、その音声から生成された文字起こしの精度は驚くほど高かったのです。このようにAIが最も認識しやすい音声データ、言い換えれば「AIにとっての聞きやすい音」を生成することに特化しているからこそ、後述する驚異的なAI処理が可能になるのです。

誤解2:「完璧な文字起こし」がゴールではない

PlaudはOpenAI社の高精度な音声認識エンジン「Whisper」を採用しており、文字起こしの精度は他のサービスと比較しても非常に高いレベルにあります。話者を分離する機能や、業界特有の専門用語などを登録できるカスタム辞書機能もあり、専門的な会話でもかなりの精度を発揮します。

しかし、「ボタン一つで、手直しが一切不要な完璧なテキストが手に入る」と期待すると、少し違うと感じるでしょう。地名や製品名、会社名といった固有名詞、特に同音異異義語が多い日本語では、文脈によっては誤認識もゼロではありません。「あのー」「えー」といったフィラー(間投詞)はかなり自動で取り除かれますが、手作業の文字起こしなら修正してしまうような、言い間違えや同じ言葉の繰り返しは、そのまま文字になってしまうことが多いです。

ですが、重要なのはここからです。Plaudの凄さは、この「少し不完全な」テキストを完璧に近づけること自体が目的ではなく、それを素材としてAIがどう解釈し、処理するかにこそあります。

誤解3:会議の議事録作成「専用」ツールである

製品のプロモーションがビジネスシーンにフォーカスしているためか、Plaudの製品は「会議を録音して、面倒な議事録作りを自動化するためのツール」というイメージが強いかもしれません。もちろん、それはこのデバイスが非常に得意とするところです。しかし、その認識だけで終わってしまうのは、高性能なスポーツカーを近所の買い物にしか使わないのと同じくらい、もったいないことです。

私の経験では、このツールの真価は複数人が参加するフォーマルな会議よりも、個人の思考の整理やアイデア出し、あるいは学習といった、よりパーソナルでクリエイティブな活動においてこそ発揮されると思います。

自分の頭の中にある漠然としたアイデアを声に出して録音し、それをAIに構造化させる。セミナーや講演の内容を記録し、後から自分だけの学習ノートを作らせる。Plaudの「AIとの対話」能力は、他人の発言を整理する以上に、自分自身の混沌とした思考を客観視し、磨き上げるプロセスで最も輝くと感じるようになりました。

Plaudは単なる「議事録作成機」ではなく、あなたの「知的生産パートナー」となる可能性を秘めたアイテムなのです。

Plaudは会議の議事録を作成することもできるが、さらなる力を秘めている。画像はメーカーから提供されたイメージ。

Plaudは会議の議事録を作成することもできるが、さらなる力を秘めている。画像はメーカーから提供されたイメージ。

Plaud Note Proの真価:AIとの『対話』が情報を再構築する

では、Plaud Note Proは録音した音声データをどのように処理するのでしょうか。その核心は、進化した専用アプリが備える「Plaud Intelligence 3.0」が持つ、単なる「要約」という言葉では表現しきれない、情報の再構築能力にあります。

AIが文脈を理解し、テキストを「賢く」補正する

文字起こし直後のテキスト(トランスクリプト)では間違っていた固有名詞や専門用語が、AIに要約をさせると、不思議なことに正しい表記に修正されていることがあります。これはNote Pro登場前の旧Plaudアプリでも見られた、まるで魔法のような驚くべき挙動でした。

Note Pro発売とともに利用可能になったPlaud Intelligence 3.0では、この能力がさらに強化されました。録音中に撮影したホワイトボードの写真や、補足で打ち込んだテキスト情報などを音声データと組み合わせる「マルチモーダル入力」に対応したからです。これにより、AIは音声以外の情報(=文脈)も参照できるようになり、より正確で質の高いアウトプットを生成してくれます。例えば、会議の参加者名が書かれた会議資料の写真を撮っておけば、音声だけでは聞き分けにくかった「サイトウさん」が「斎藤さん」なのか「斉藤さん」なのかを、AIが写真の文字情報をヒントに判断してくれる、といったことが可能になります。

つまり、Plaudは単に音声を文字に変換するのではなく、音声、画像、テキストといった複数の情報源から文脈を深く理解し、最も確からしい形に情報を再構築しているのです。

「要約」は「プロンプト」であり、あなたの意図通りに情報を加工してくれる

Plaudアプリの「要約」機能は、言葉のイメージをはるかに超える力を持っています。これは実質的に、文字起こしされたテキストに対するプロンプト(指示)を受けて生成される、オーダーメイドの「アウトプット」と考えるべきです。

アプリには、Plaud公式に加えて世界中のユーザーが作成した3000以上もの「テンプレート(=プロンプト)」が用意されています。以下はほんの一例で、医療、法律、不動産、教育といったより専門的で実務を想定したテンプレートも豊富に選ぶことができます。

  • 会議の意思決定と担当者を抽出する
  • 会話に出てきた数値(価格、在庫数など)だけを抜き出して表形式にまとめる
  • 話し言葉の冗長な表現を削ぎ落とし、論理的で読みやすい文面に書き改める
  • インタビュー音声から、特定の発言を引用した記事の下書きを生成する
  • ブレインストーミングの会話から、アイデアをマインドマップ形式で整理する
PCで使えるPlaudのウェブアプリから。テンプレートはPlaud公式のものからユーザーコミュニティの投稿によるものも多数。自分でカスタムのテンプレートを作ることもできる。

PCで使えるPlaudのウェブアプリから。テンプレートはPlaud公式のものからユーザーコミュニティの投稿によるものも多数。自分でカスタムのテンプレートを作ることもできる。

これらのテンプレートを選ぶだけで、録音データが自分の望む形のアウトプットに一瞬で姿を変えます。もちろん、自分でカスタムテンプレートを作成することも可能です。ChatGPTやGeminiのようなチャット型生成AIで、自分の目的に合わせて「あなたはプロの編集者です。以下の文章を校正してください」といったカスタムプロンプト(指示)を使っている人なら、この機能の強力さがすぐに理解できるでしょう。これにより、音声データを起点とした知的生産の可能性は無限に広がります。

Plaud Note ProとともにアップデートされたPlaudアプリでは、これまで一つのテンプレートによる「要約」(アウトプット)しか保存できなかったのが、複数保存できるようになりました。一つの音声データについて異なる切り口で整理、加工して見比べることができるのは大きな進歩です。

さらに「Ask Cloud」機能を使えば、生成されたアウトプットに対して「この部分についてもっと詳しく説明して」「このトピックを別の視点から分析して」といった追加の指示をチャット形式で与え、AIと対話しながらアウトプットを磨き上げていくことまでできるのです。

私の仕事と日常を変えた、具体的なユースケース

この「AIとの対話による思考の再構築」という能力は、具体的にどのような場面で役立つのでしょうか。私が実際に活用し、もはや手放せなくなったシーンをいくつか紹介します。

1. アイデアの壁打ち:思考を垂れ流し、AIに構造化させる

頭に浮かんだアイデアや、これから書く記事の構想などを、構造を考えずにひたすら一人で(あるいは話し相手になってくれる家族に向かって)喋り続けます。話しているうちに内容が矛盾したり、話題から脱線してしまっても構いません。それをPlaud Note Proで録音し、後から「要点を3つにまとめて」「論理的な文章の構成案にして」とAIに指示します。

真っ白なページを前にして筆が止まってしまう、という経験は誰にでもあるでしょう。しかし、話すだけであればハードルはぐっと下がります。一人ではまとまりきらなかった思考の断片が、AIとの対話を通じて客観的に整理され、構造化されていきます。これは、まさに24時間いつでも付き合ってくれる、思考の外部ブレインストーミングパートナーです

資料やデータを見ながら気づいたこと、思いついたことを話してそれを録音する。画像はメーカーから提供されたイメージ。

資料やデータを見ながら気づいたこと、思いついたことを話してそれを録音する。画像はメーカーから提供されたイメージ。

2. インタビューやイベント取材:メモから解放され、対話に100%集中できる

インタビュー中、必死にメモを取ることに気を取られて、相手の話の機微や表情の変化を見逃す、といった経験はないでしょうか。Plaud Note Proがあれば、録音という『作業』から解放され、目の前の相手との対話に100%『没入』できます。相槌を打つだけでなく、より深い質問をその場で投げかける余裕が生まれます。

これも読む
Dangbeiがポータブルプロジェクター「Dangbei Freedo」を発表、バッテリー内蔵で自由な視聴体験を提供【DogsorCaravan Creative & Productive】

取材後、アプリが自動で生成した議事録や要約を叩き台にすれば、記事作成の時間も劇的に短縮されます。内容によっては、取材を終えて帰宅する電車の中で(筆者の場合はおよそ1時間ちょっとの時間であることが多いです)、スマートフォンのアプリで文字起こしを確認し、要約テンプレートを適用して記事の骨子を作成。それをテキストエディタにコピー&ペーストして手直しを加え、公開まで済ませてしまうことすらあります。これはPlaudを手にする前は考えられなかった圧倒的なスピード感です。

対面での打ち合わせやインタビューでも、メモに気を取られずに話に集中できる。画像はメーカーから提供されたイメージ。

対面での打ち合わせやインタビューでも、メモに気を取られずに話に集中できる。画像はメーカーから提供されたイメージ。

3. 移動中や出張先でのチーム連携もスムーズに

数人で旅行や出張に行った際、「明日どうする?」「どこで食事にする?」といった車内での何気ない会話や、突発的な打ち合わせをすることがあります。それを録音しておき、Plaudを使って決まったことや各自の役割分担を要約します。

記憶しておけないほど複雑な決定ではないかもしれません。しかし、話したことがAIによる客観的なまとめとして残っているという事実は、後から「あれ、どう決まったんだっけ?」と思い出すための精神的な負担を大きく減してくれます。

もちろん、その場で即座にメンバー全員に共有すれば、「言った、言わない」の齟齬がなくなり、チームの意思決定が速くなるでしょう。(ただ、プライベートな場面であまりにビジネスライクに仕事の作法を持ち込むと、楽しい雰囲気に水を差すかもしれませんね。)

ちょっとした打ち合わせで実は大事なことを相談していることもよくある。画像はメーカーから提供されたイメージ。

ちょっとした打ち合わせで実は大事なことを相談していることもよくある。画像はメーカーから提供されたイメージ。

ハードウェアとしての進化と「どのモデルを選ぶべきか」

Plaud Note Proの真価はソフトウェアにあると強調してきましたが、もちろんハードウェアとしての洗練されていることも所有する喜びを大きく左右する要素です。

新製品とは大きさ、重さが同じの初代「Plaud Note」、アクセサリー感覚の「Plaud NotePin」と比べて、次の点で「Plaud Note Pro」は進化しました。

  • 最大5mの収音範囲: 広い会議室の端に置いても、話者の声をしっかりと捉えます。
  • 最大50時間の連続録音: 1日がかりのカンファレンスやセミナーでも、バッテリー残量を気にせず使える安心感です。
  • スマートデュアルモード録音:対面録音と通話録音を自動で切り替えます。
  • ワンタッチ・ハイライト: 録音中にボタンを押すだけで、後から聞き返したい重要なポイントにタイムスタンプ付きのマークを付けられます。
  • AMOLEDディスプレイ: 鮮やかで見やすいディスプレイは、ステータスの確認がしやすいだけでなく、ガジェットとしての所有欲を十分に満してくれます。

では「Plaud Note」、「Plaud NotePin」、そして最新の「Plaud Note Pro」の3つからどれを選ぶべきでしょうか。私の考えはこうです。

Plaud Note Pro(左)とPlaud NotePin。

Plaud Note Pro(左)とPlaud NotePin。

  • Plaud Note Proがおすすめな人:
  • クライアントとの打ち合わせなど、ビジネスシーンでの利用がメインで、相手に失礼のないプロフェッショナルなデバイスを使いたい方。
  • 広い会議室での録音性能や、少しでも長いバッテリー駆動時間といった信頼性を重視する方。
  • 常に最新・最高の機能を使いたいガジェット好きの方。
  • Plaud NotePinがおすすめな人:
  • 移動しながらの取材や、アクティブな現場でハンズフリー録音の恩恵を最大限に受けたい方。
  • ガジェットを目立たせることなく、アクセサリーのようにスマートに身につけておきたい方。
  • Plaud Note(初代)がおすすめな人:
  • まずはPlaudの強力なAI機能を試してみたいという方。基本的なAI処理はProと同じアプリで利用できるため、コストを抑えたいなら今もなお非常に価値の高い選択肢です。

私自身は、デスクやテーブルに向かっての打ち合わせやインタビュー、集中したアイデア出しには「Plaud Note Pro」を、会場内を歩き回る取材やイベント参加時には「Plaud NotePin」を、という形で使い分けていこうと考えています。

まとめ:これはあなたの思考を拡張するパートナーだ

Plaud Note Proは、単に音声を記録し、文字に起こすだけの便利なデバイスではありません。それは、私たちの曖明で整理されていない思考や発話を客観的に捉え、AIとの対話を通じて明確な知見や具体的なアクションへと再構築してくれる、まさに知的生産のパートナーです

会議のメモ、顧客との対話、ふとした瞬間に浮かんだアイデア。これまでは見返されることなく、記憶から消えていたかもしれないあらゆる「声」を、再利用可能な知的資産に変え、次の創造へと繋げてくれます。

もしあなたが、日々の溢れるほどの情報処理に追われ、じっくりと自分の思考を整理する時間を十分に取れていないと感じているなら、Plaud Note Proはあなたの日常を、そして働き方を根底から変えるほどの力を持っているかもしれません。

これは、単なるボイスレコーダーの再発明ではありません。AIが私たちの思考を拡張する、そんな未来の入り口に、私たちは立っているのかもしれないのです。

アマゾンで販売中

アマゾンではPlaud Note Proの販売が始まっており、本稿執筆時点では10%オフのクーポンコードも利用できます。

【お知らせ】DogsorCaravanはAmazonのアソシエイトとして適格販売により収入を得ています。
Sponsored link