【編者より・DogsorCaravanでは トレイルランニングのファンの皆さんが深い関心を持つ、創造的で生産性の高い仕事と生活について、情報を発信する試みを進めています。「DogsorCaravan Creative & Productive」はそうしたコンテンツのカテゴリーです。】
株式会社ブーリスは2025年9月、日本市場への本格参入に伴い、同ブランドのフラッグシップモデルとなるワークチェア「Master Rex(マスターレックス)」を発売しました。「Master Rex」は、長時間のデスクワークにおける集中力を維持する「Work」モードと、最大165度のリクライニングと収納式オットマンで休息をとる「Relax」モードを一台で両立させる、新しいコンセプトのチェアです。
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DogsorCaravanではメーカーからレビューのために「Master Rex」をお借りし、筆者である岩佐が一週間にわたって自宅で使ってみました。
アクティブにトレイルランニングや旅を楽しむ人であっても、仕事や情報収集のために机に向かう時間は長くなりがちです。しかし、シューズやウェア、旅の装備の木を配るのと同じように、椅子のことを考えることは少ないかもしれません。
今回は「Work & Relax」を掲げるこの椅子が、アクティブなライフスタイルを支えるベースとなり得るのか。その仕様や実際に生活に取り入れた際の印象についてレポートします。
レビューのまとめ・Boulies Master Rex
ここが素晴らしい(Pros):
- 圧倒的な剛性感: 直径22mmのスチールフレームとアルミ合金ベースによる安定感は、この価格帯(6万円台)では出色の出来。
- 「ビジネスクラス」のリクライニング: 最大165度のリクライニングと収納式オットマンの組み合わせは、即座に仮眠が取れるレベルの快適性。
- モールドウレタンの絶妙な硬さ: 柔らかすぎず、長時間座っても底付き感のない座面は疲労軽減に寄与。
- インテリアに馴染むデザイン: ゲーミングチェア特有の派手さを抑えた、シックなファブリック素材とシルエット。
ここが惜しい(Cons):
- 組み立ての難易度: 総重量25kg超。一人での組み立ては、ある種のワークアウトと割り切る覚悟が必要。
- ランバーサポートの操作性: 内蔵型は優秀だが、座ったまま背面のノブを回して調整するプロセスには慣れが必要。
- リクライニングの操作感: 機構のバネが強力な分、戻す際の動作音や衝撃にはやや粗さを感じる。
Boulies Master Rex (Boulies公式サイト)
英国発のブランド「Boulies(ブーリス)」とは
多くの人にとってこの製品のブランドはまだ耳慣れないことでしょう。
「Boulies」は、2015年にロンドンで創業されたオフィス家具ブランドです。「長時間座っても疲れにくい、真に快適なチェア」を理念に掲げ、2017年に法人化されました。
特筆すべきはブランドとしての立ち位置です。多くのチェアの新興ブランドがeスポーツの隆盛と共に派手な配色の「ゲーミングチェア」に傾倒する中、Bouliesは人間工学に基づいた機能性と、リビングや書斎に置いても違和感のない「洗練された美学」の融合を目指してきたといいます。
このアプローチは欧州や北米ですでに高い評価を得ており、英国のテックメディア『T3』では、2025年のベスト・オフィスチェア部門のファイナリストに、あのハーマンミラーと並んで選出されています。
そして前述の通り2025年9月には福岡に日本法人を設立。満を持して日本市場への本格参入を果たしました。今回レビューする「Master Rex」は、そんな彼らが自信を持って送り出した、仕事と休息の境界線を越える「Work & Relax」というカテゴリの製品です。
剛性と耐久性へのこだわり:スペックに見る信頼の証
私がこの椅子に興味を持った最大の理由は、そのカタログスペックから読み取れる「剛性」へのこだわりでした。
1. クラスを超えた「金属の塊」
Master Rexの最大の特徴はその堅牢性です。推奨体重は110kgまでとされていますが、最大耐荷重は約180kgという驚異的な数値を誇ります。
これを支えているのが、直径22mm・厚さ2mmの極太鋼材を使用した「エクストラストロング・スチールフレーム」と、高強度のアルミ合金製5本足ベースです。安価なチェアではコストダウンの対象となりがちな「脚部(ベース)」に、ナイロン樹脂ではなくアルミ合金を採用している点は、長期的な耐久性を考える上で極めて重要なポイントです。
2. 安全の要となる「Class 4 ガスシリンダー」
座面の昇降を支える心臓部には、世界的な認証機関SGSの「Class 4」グレードのガスシリンダーが採用されています。これはBIFMA(北米の家具業界基準)の安全基準を満たす最高水準の部品であり、ガス漏れや昇降不良のリスクを極限まで抑えた仕様です。ここは日々の使用感に直接関係するのはもちろん、万一破損すれば命に関わるケガに繋がりかねません。毎日身体を預ける椅子には万全の信頼性が必要です。
個人的な「椅子遍歴」:なぜ耐久性が重要なのか
ここで筆者のワークチェアにまつわるこだわりの理由を紹介したいと思います。私がここまで「剛性」や「素材」にこだわるのにはこれまでの苦い経験があります。
かつて私の自宅オフィスには、20万円近い海外製の高級ワークチェアが鎮座していました。その座り心地は極上で、剛性感、リクライニングのスムーズさ、どれをとっても満足のいくものでした。ホイールをフローリング用に交換するなどして愛用していましたが、購入から約20年が経過したある日、背もたれを支えるシリコン製のボードが破断してしまったのです。20年はチェアの耐用年数としては十分なもので不満はありません。しかしメーカーはすでに日本から撤退しており、修理は不可能。泣く泣く廃棄することになりました。
コロナ禍の中で急遽、代替品を探すことになりましたが、再び20万円を投じる余裕はありませんでした。そこで量販店で見つけた、3万円台のワークチェアを購入。見た目は高級チェアに似ており、座面もメッシュ素材で夏場は快適でした。
「これで十分ではないか」最初はそう思いました。しかし、細部の粗はすぐに露呈します。リクライニング時の軋み音、固定できない角度、調整の効かないロッキング強度。それでも「座る」という機能は果たしていました。
しかし2年も経たないうちに、決定的なトラブルに見舞われます。ある日、床のチェアマットに傷がついていることに気づきました。調べてみると、座面を支えるガスシリンダーが突き抜け、シリンダーの底面が床に接触していたのです。原因は、脚部(ベース)の変形でした。ナイロン樹脂製の5本足が、私の体重と、近年の猛暑による室温上昇の影響か、徐々に歪んでしまったのです。
幸い保証期間内で交換対応となりましたが、送られてきた新品を見て私は思いました。「これもまた、数年で同じ運命を辿るのではないか?」と。
構造的な弱点を抱えたまま使い続けることへの不安。それが椅子選びにおいて「金属製のベース」と「高グレードのシリンダー」にこだわりたいと考えた理由です。
その点において、Boulies Master Rexの「アルミ合金ベース」と「スチールフレーム」という仕様は、私の抱えるトラウマを払拭してくれるものです。
実機検証:Master Rexを使ってみた
実際にMaster Rexを導入し、一週間にわたって使用してみた感想をレポートしましょう。
1. 組み立ては「儀式」
まず直面したのは、配送された箱の巨大さと重さです。総重量約25kg。玄関から部屋へ運ぶだけで一苦労でした。

かなりの重さと大きさの梱包箱が届いた。
組み立ては率直に言って「重労働」です。特に、座面と背もたれを結合し、重厚なアームレストを取り付ける工程は、パーツを手で支えながらネジを回す必要があり、かなりの力とコツを要します。

組み立てでは座面にアームをねじ止めする。
かつて購入した量販店の椅子には組み立てサービスがありましたが、Amazonなどの通販でこの製品を購入する場合、この作業はユーザーの手に委ねられます。週末のDIYとして楽しめる方なら問題ありませんが、十分に広いスペースと時間を確保して、二人以上で作業する必要があります。
裏を返せば、この重さは「剛性の証」でもあります。ペラペラのプラスチックパーツの軽さとは違う、金属の塊を組み上げる手応えは、完成後の信頼感へとつながります。
2. 座り心地:硬めだが、それがいい
座面は、ゲーミングチェアによくあるバケットシート形状(左右が盛り上がった形)ではなく、比較的フラットなデザイン。座った瞬間の第一印象は「硬いな」でした。
高級ソファのような包み込まれる柔らかさを想像していると、裏切られるかもしれません。しかし、これは「モールドウレタン(コールドフォーム)」という高密度素材の特性です。
2〜3日使い続けてみると、印象は変わってきました。長時間座り続けても、お尻が沈み込みすぎず、骨盤が安定する感じがします。
それまで使っていたワークチェアは座面に弾力性があって最初は快適ですが、徐々に姿勢が崩れ、腰への負担が増します。Master Rexが持つ「適度な反発力」は、長時間のデスクワークにおいて、疲れを最小限に抑えるための計算された硬さだと感じました。
この疲れにくさこそが、「質の高い休息」につながるのでしょう。
3. ランバーサポートの「スイートスポット」を探す
本製品の特徴の一つが、背もたれ内部に組み込まれた「4方向調整式ランバーサポート」です。ゲーミングチェアでよくある別添えのクッションではなく、側面のノブを回すことで、背もたれの一部が隆起し、腰を押してくれる仕組みです。
腰を押す「深さ(強さ)」と押す位置の「高さ」を無段階で調整できるのですが、この調整には少々慣れが必要だと感じました。座った状態で背中の後ろにあるノブを回す必要があるのですが、どの位置がベストなのか、最初は試行錯誤することになります。

ランバーサポートの調整のためのノブは背面の側部についている。
座りながら腕を座面の横のノブに回すか、誰かにノブを操作してもらうことになりますが、「ここだ」というスイートスポットを見つけると、その効果は絶大です。背骨のS字カーブが強制的に保たれ、猫背になるのを防いでくれます。安価なクッション式と違い、座るたびに位置がズレることがないのも大きなメリットです。
4. 「ビジネスクラス」のリラクゼーション体験
私が最も感動し、この椅子の真骨頂だと感じたのが「リクライニング機能」です。
右側のレバーを引くと、背もたれは最大165度まで倒れます。さらに座面下のオットマン(フットレスト)を引き出せば、ほぼ水平に近い状態で寝ることができます。
特筆すべきは、リクライニングに合わせて座面全体が傾くロッキング機能(15度、オン・オフ切替可能)も追従するため、身体が不自然に反ることなく、まるでゆりかごの中にいるような感覚になれることです。
仕事に行き詰まった時、レバーを引いて一瞬で「無重力」に近い姿勢になり、目を閉じる。この「仕事場」から「寝室」へのシームレスな移行は、まさに飛行機のビジネスクラスのシートのようです。
オットマンの支柱がやや細く、見た目に不安を感じましたが、実際に足を乗せてもガタつきはなく、実用上は問題ありませんでした。
心臓と同じ高さまで脚を上げることで、下肢に滞留した血液の還流を助けることになるので、脚のむくみの解消にも繋がりそうです。
ただ、腰の右側にあるレバーで行うリクライニングのレバーの操作はやや固く、倒す際のガチッという感覚はあまり快適でないことは確かです。
5. 素材の選択:ファブリックの快適性
今回試用したのは「撥水ファブリック」モデルです。もう一方の選択肢である「Ultraflex PUレザー」も質感が高いと評判ですが、個人的にはファブリックを選んで正解でした。
肌触りがナチュラルで、何より通気性が良いため、長時間座っていても蒸れにくいのが特徴です。コーヒーをこぼしても弾いてくれる撥水加工が施されているため、汚れに対する不安も軽減されています。耐久性については長期的な検証が必要ですが、現時点では摩耗の兆候も見られません。
ワークチェアとしての市場での立ち位置は独自のもの
改めてワークチェアの市場を見渡してみると、このMaster Rexは競合製品と比較して独自の位置にあることがわかります。
私も以前使用していた15万円超えクラスのチェアは、オールメッシュによる通気性とスムースで微細な調整機能で勝ります。しかし、Master Rexは「半額以下の価格」でありながら、「オットマンを標準装備」し、「165度の深いリクライニング」が可能です。仕事専用ならメッシュチェアに分がありますが、仮眠や映画鑑賞といったリラックス用途を含めるなら、Master Rexの守備範囲の広さが光ります。
多くのゲーミングチェアもリクライニング機能を備えていますが、ランバーサポートが「置くだけのクッション」であることが大半です。Master Rexの「内蔵型4方向調整ランバー」は、より本格的な姿勢サポートを提供します。また、デザイン面でも「いかにもゲーミング」なロゴや配色を抑えているため、落ち着いた書斎にもマッチしやすいのが強みです。
今日では、3万円台で座面、背面がメッシュ素材のオフィスチェアが販売されています。しかし前述の私の体験通り、こうした格安チェアの最大の弱点は「耐久性」と「ベースの剛性」です。数年での買い替えリスクを考慮すれば、アルミ合金ベースを持つMaster Rexへの投資は、中長期的にはコストパフォーマンスに優れています。
導入ガイド:購入前に確認すべきこと
Master Rexの購入を検討する場合には、次のポイントを確認することをお勧めします。
まずは設置スペースの確保です。リクライニングをフルに活用するには、椅子の前後に十分なスペースが必要です。特にオットマン展開時は全長が長くなるため、デスク下の奥行きも確認すべきでしょう。
次に搬入経路の確認です。梱包箱はかなり大きいので、マンションの廊下や階段を通れるか、室内に運び込めるか、確認した方が良さそうです。
そして組み立ての人手です。二人以上での組み立てが推奨されています。筆者は床を保護する敷物やクッションを用意して、試行錯誤しながら独りで組み立てましたが、作業は少々難度が高いと感じました。ケガや家財の損傷を防ぐため、二人以上で広い場所で時間をかけて作業することをお勧めします。
結論:Master Rexは「買い」か?
総評として、Boulies Master Rexは、6万円台という価格帯において、極めて高いコストパフォーマンスを実現しているといえます。
20万円クラスの高級オフィスチェアと比較すれば、リクライニングを戻す際のバネの反動が強かったり、ランバーサポートの操作感に若干の粗さは感じます。しかし、3〜4万円台の量販店チェアとは、剛性感と座り心地の次元が明らかに異なります。特に「アルミ合金ベース」と「モールドウレタン」の採用は、数年で買い替えることで結果的に高くつくのを防げそうです。
この製品は次のような方にはおすすめしたいと思います。
- 在宅ワークとリラックスを同じ場所で行いたい人: 仕事中は集中し、休憩時はオットマンを出して仮眠を取りたいというニーズに完璧に応えてくれます。
- アクティブな活動後のリカバリーを重視する人: 脚を上げてリラックスできる環境を、デスクワークの合間に作りたい人。
- 耐久性を重視する人: 過去に椅子の故障を経験し、長く使えるタフな相棒を探している人。
- インテリアにこだわりたい人: いかにもな「ゲーミングチェア」を部屋に置くことに抵抗がある人。
Boulies Master Rexは、ストイックかつアクティブなライフスタイルを、快適かつ強力に支えてくれる信頼すべきギアとなるでしょう。
製品情報
- 製品名: Boulies Master Rex (ブーリス マスターレックス)
- 価格: 65,798円 (税込・記事執筆時点)
- カラー: Black, Brown, Charcoal Grey, Ash Grey, Como
- サイズ: 高さ 128-137cm / 座面幅 53cm / 座面奥行 48cm
- 重量: 25kg
- 保証: 2年
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