【レース前インタビュー】中谷亮太 Ryota NAKATANI「走り続けることで強くなる」トル・デ・ジアン制覇とUTMBへの挑戦を見据えて / HOKA Chiang Mai Thailand by UTMB 2025

タイ・チェンマイで開催されるアジア・パシフィックのメジャー大会、「Doi Inthanon Thailand by UTMB」。100マイルカテゴリーのスタートを前にした、中谷亮太 Ryota NAKATANI 選手にお話を聞きました。

9月のトルデジアン(Tor des Géants)、そしてそのわずか数週間後に行われた「Lake Biwa 100」での大会新記録による3度目の優勝という今シーズンの振り返りと今大会への抱負、そして来年へ向けた野望について話を聞きました。

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「走っていないと調子が狂う」驚のリカバリー能力

中谷亮太の今シーズンを語る上で外せないのが、イタリアの巨人「トルデジアン(330km)」と、その直後の「Lake Biwa 100」での快走でしょう。トルデジアンでは思うような結果が出せず悔しい思いをしたといいますが、その鬱憤を晴らすかのように、帰国後わずか2週間強で臨んだLake Biwaでは見事なコースレコードを叩き出しました。

常人であれば疲労困憊で動けないようなスケジュールですが、彼は「走っている方が調子が良い」と笑います。

「僕は走っていると疲れよりも体のコンディションが良くなっていくタイプなんです。逆に走れない期間が続くとパフォーマンスが下がってしまう。だからトルデジアンの後も、レースに出ることでうまくコンディションを持っていけたのだと思います」

今回のチェンマイまでは少し期間が空いてしまったため、「逆に不安がある」と語るほど、彼にとって「走り続けること」は強さを維持するためのライフラインのようです。

世界で戦うための意識改革と、今回の戦略

これまでのレースでは、後半に追い上げるスマートな展開を得意としてきた中谷ですが、世界の舞台を経験し、その意識は大きく変わりつつあります。

「今のUTMBでトップ10に入ろうと思ったら、最初から突っ込んでいかないと届かない。トルデジアンでさえ、前半から潰し合いが始まっています」

その気付きから、今年のLake Biwaでは「前半からぶっ飛ばす」レースを展開。200マイルレースでの経験が活き、後半もなんとかまとめることができたといいます。世界と戦うためには、リスクを負ってでも攻める走りが必要だと痛感しているのです。

しかし、今回のChiang Maiに関しては、直近の練習量が十分に積めていないこともあり、本来の「後半追い上げ型」で臨むプランも示唆しました。冷静に自身の現状を分析し、最適なカードを切ろうとする勝負師の一面が垣間見えます。

急登は歓迎、目指すはUTMBへの切符

今年のChiang Maiのコースについて、彼は自身が主催に関わる「TAMBA100」との類似点に期待を寄せています。

「つづら折りではなく、直登が多いと聞いています。そこが一番の楽しみですね。以前の180km近くあった過酷なコースにも惹かれていたので、個人的にはもっと厳しくてもいいくらいです(笑)」

中国をはじめとするアジア各国の強豪が集う今大会。最大の目標は、来年のUTMBモンブラン(UTMB Mont-Blanc)への出場権「ダイレクト・エントリー」を獲得できるトップ10に入ることです。

「練習が完璧ではない中でも、やはりUTMBの権利を獲ることが一番の目的。必然的にトップ10が目標になります」

2026年の野望:UTMBとトルデジアンのダブル挑戦

インタビューの最後、彼は来シーズンに向けた驚くべき構想を明かしてくれました。それは、8月末のUTMBに出場し、そのわずか2週間後のトルデジアンで優勝を狙うというものです。

「来年の一番の目標は、トルデジアンでの優勝です。ただ、僕は走っている方が調子が良いので、その直前のUTMBにも出場します。UTMBではトップ20、23時間切りを目指してスピードを磨き、そのいい流れのままトルデジアンの頂点を獲りに行きたい」

100マイルの世界最高峰と、330kmの巨人を連続で走破する。しかも、ただ完走するのではなく、片方で上位を争い、もう片方で優勝を狙うという壮大なチャレンジです。

進化を続ける日本のウルトラトレイルランナー、中谷亮太。まずは今週末、チェンマイでのトップ10入り、そして挑戦はその先に見据えるモンブランへと続きます。

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