【レース前インタビュー】「走ることはライフワーク」徳本順子 Junko Tokumoto (JPN) が挑む / HOKA Chiang Mai Thailand by UTMB 2025

タイ北部の古都、チェンマイ Chiang Mai。今週末、この地で開催されるアジア最大級のトレイルランニングイベント「HOKA Chiang Mai Thailand by UTMB」の会場に、日本のウルトラトレイルシーンを牽引する一人のランナーの姿がありました。今年の「トルデジアン Tor des Géants」での女子7位入賞など、長距離山岳レースで輝かしい実績を残し続ける徳本順子 Junko Tokumoto Junko (JPN) です。

DogsorCaravanは、レース開幕を控えた徳本選手にインタビューを行い、今回のレースにかける思いや、彼女のランニングに対する独自の哲学について話を聞きました。

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レースはあくまで「ライフワーク」の一部

徳本選手にとって、100マイルを超えるような過酷なレースへの出場は、特別なイベントであると同時に、日常の延長線上にあるようです。今年出場したトレイルレースはこれが4本目とのことですが、それ以外にも自主的なランニング企画や、いわゆる「草レース」を含め、長く走ることを楽しんでいるといいます。「レースにこだわらず、トレイルやロードを含めて長く走ることを楽しむのがライフワーク」と語るその表情は、非常にリラックスしていました。

今回のチェンマイへの参戦を決めた理由は、友人たちからの評判だったそうです。「コースの変化が面白い」「ご飯が美味しい」「厳しくも楽しそう」といった、過去に参加した友人たちの声に惹かれ、以前からいつか参加したいと考えていたといいます。

順位よりも「今のベスト」を求めて

UTMBワールドシリーズのメジャーイベントである今大会は、完走することでシャモニーで開催されるUTMBファイナルへの抽選権(ランニングストーン)を獲得できるほか、上位に入ればダイレクトエントリーの可能性も開けます。しかし、徳本選手のアプローチは自然体です。「取るぞ、と気負うと楽しめなくなる。今はタイムを楽しみ、今のベストを出せたらいい」と語り、結果としての出場権獲得よりも、自身のパフォーマンスの発揮に重きを置いています。

来年の夏の計画については、UTMBモンブランへの挑戦も視野に入れつつ、よりアドベンチャー要素の強い「PTL (Petite Trotte à Léon)」や、再び「トルデジアン Tor des Géants」に挑むことなど、様々な可能性を模索している段階だといいます。

楽しみながら強くなる、独自のスタイル

今シーズンの徳本選手は、「東京グランドトレイル Tokyo Grand Trail」での3度目の優勝や、イタリアの巨人を巡る旅「トルデジアン Tor des Géants」での女子7位など、目覚ましい結果を残しています。しかし彼女は、これらを「順位を狙った結果」とは捉えていません。

「現状持てる力を出して、どれくらいのタイムで走れるかに毎回チャレンジしている。その結果として順位がついてきたら嬉しい」と彼女は話します。トルデジアンでも、自身が設定していた目標タイムを上回ることができ、結果として満足のいく順位がついたとのこと。楽しみながら自身の限界に挑戦するその姿勢が、近年の好成績に繋がっているようです。

アジアの強豪が集う舞台で

リラックスした姿勢の一方で、アスリートとしての静かな闘志も垣間見えます。今年は石川県で開催された「KAGA SPA TRAIL ENDURANCE 100」に出場し女子7位となりましたが、UTMBワールドシリーズへの参戦は今回が2回目となります。

「海外の強い選手が集まる場で走る機会はこれまであまりなかった。自分の力がどれくらい通用するのか試してみたい」と語る徳本選手。友人たちから勧められたレースを楽しむことを第一としつつも、アジアのトップランナーたちと同じフィールドで競い合うことに、確かな意欲を燃やしています。

独自のランニングコミュニティや、OMMのようなオリエンテーリング要素のあるイベントを好む仲間たちからの情報で、ユニークな大会に出会うことが多いという徳本選手。気に入った大会には毎年出たくなるという義理堅い一面も持ち合わせています。初めて踏むチェンマイのトレイルが、彼女にとって「また来たい」と思える場所になるのか、そして世界の強豪を相手にどのような走りを見せるのか。

100マイルの長い旅路の果てにどのようなフィニッシュを迎えるのか、徳本順子の走りに注目です。

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