タイ・チェンマイで開催されるアジア最大級のトレイルランニングイベント「HOKA Chiang Mai Thailand by UTMB」。その50kmカテゴリー「Hmong 50」に、昨年の覇者である上田瑠偉 Ruy Ueda (JPN) が帰ってきました。世界的な強豪選手が顔を揃える中、ディフェンディングチャンピオンとしてどのようなレースを見せるのか。レース直前の上田選手に、現在のコンディションや今大会の展望を聞きました。
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オフ明けの「リラックス」と「野心」
チェンマイのインタビュールームに現れた上田瑠偉は、リラックスした表情を見せました。昨年の同大会「Hmong 50」で見事な優勝を果たし、良いイメージを持って現地入りしたようです。
しかし、今年の調整過程は昨年とは少し異なります。11月初旬に中国で開催された「Tsaigu Trail」で100kmのハードなレースを走り抜いた後、2週間半ほどのオフを取得。今回はそのオフ明け最初のレースとなります。
「正直、あまり仕上がってはいない感じです」と上田は笑いますが、その言葉とは裏腹に、直前の練習では手応えを感じている様子。「気楽に楽しめれば」と謙遜しつつも、最低限の目標としてトップ10入りによる来年のUTMB OCC(Orsières-Champex-Chamonix)の出場権獲得を見据えています。
スカイランニング世界王者らが集結、昨年以上の激戦必至
今年の「Hmong 50」のエントリーリストは、世界レベルの選手が名を連ねる豪華な顔ぶれとなりました。
特に注目されるのは、スカイランニング界のトップ選手たちです。今年の世界選手権で1位に輝いたアライン サンダーマリア Alain Santamaría (ESP) と、同2位のロベルト デロレンツィ Roberto Delorenzi (CHE) が参戦。同大会で3位だった上田にとっては、世界トップランナーとの再戦の舞台となります。
さらに、中国勢も侮れません。昨年、上田と激闘を繰り広げて2位に入ったモン ガンフー Meng Guangfu (CHN) も出場が見込まれています。「彼らは100kmが得意なイメージがありますが、50kmもしっかり走れるスピードを持っています」と上田も警戒を強めつつ、ハイレベルなレース展開を楽しみにしているようです。
コース変更と暑さ対策が鍵
今年のコースは、昨年からいくつかの変更が加えられています。最大の変更点はスタート時間です。昨年は暗い早朝のスタートでしたが、今年は朝7時、完全に日が昇ってからのスタートとなります。これにより、ランナーはより長い時間、タイの強い日差しと暑さにさらされることになります。
上田は日本で厚着をして走ったり、サウナに通ったりと暑熱対策を行ってきましたが、実際の気象条件にどう適応するかが鍵となりそうです。「昨日の到着時点では、体感として昨年より涼しい気もします」と語りますが、油断はできません。
コースレイアウト自体も、ロード区間が減り、山岳パートが増加。よりテクニカルな設定になっており、エイドステーションの間隔も変更されている可能性があるため、水分補給の戦略がシビアになります。
2026年シーズンへの弾みに
「山あり谷ありのハードな1年だった」と2025年を振り返る上田。このチェンマイでのレースは、今シーズンを締めくくり、次なるシーズンへ弾みをつける重要な一戦です。
レースプランについては「ペースは平均的に遅くなるかもしれないが、後半もしっかり走るなど内容を重視したい」と語り、補給ミスなどの細かいエラーをなくし、納得のいく走りでフィニッシュすることを目指します。
次戦は年明け1月に香港で開催される「Hong Kong 100」の50kmカテゴリー「The Half」への出場を予定しているとのこと。アジア、そして世界の舞台で輝き続ける「アジアの星」上田瑠偉の走りに、チェンマイのトレイルも熱く燃え上がりそうです。
「Hmong 50」は、現地時間の週末に開催されます。ライブ配信も予定されており、日本からの熱い応援が期待されます。














