GTWSが2026年に大規模アップデートを発表:賞金総額は45%増の43.5万ユーロへ、競技のプロ化を加速させる「4つの変革」

GTWS(ゴールデントレイル・ワールドシリーズ Golden Trail World Series)が、2026年シーズンに向けた大規模なアップグレードを発表しました。賞金総額の大幅な増額、戦略性を高める新たなランキングシステム、そして競技の誠実さを守るアンチ・ドーピングプログラムの強化など、その内容はトレイルランニングを真のプロフェッショナルスポーツへと昇華させようとする強い意志に満ちています。

トレイルランニングの世界最高峰の舞台は、これからどこへ向かおうとしているのか。公開されたプレスリリースから、2026年シーズンの注目すべき変革を紐解きます。

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賞金総額は45%増の435,000ユーロへ、勝者には3万ユーロの栄誉

GTWSは、エリートトレイルランニングの基準を満たす近代的かつグローバルなイベントを目指し、2026年シーズンの賞金総額を劇的に引き上げます。

総額は2025年比で45%増となる435,000ユーロ(約7,100万円)に達し、男女それぞれの総合優勝者には30,000ユーロ(約490万円)が授与されることになりました。

この増額は単なる金額の積み上げではなく、競技のステータスそのものを引き上げるための戦略的な投資といえます。アスリートがプロフェッショナルとして活動できる環境を整えることは、競技レベルのさらなる向上と、次世代の才能を惹きつけるために不可欠なステップだからです。

走力だけではない「戦略」が鍵を握る新ランキングシステム

2026年シーズンの総合順位は、従来通り「上位3レースの結果 + グランドファイナルの結果」に基づいて決定されますが、ここに新たなスパイスが加わります。それは、コース内の特定のセクション(下り、登り、スプリント)でのパフォーマンスに応じてボーナスポイントが付与される仕組みです。

「この革新は、コース上での競争力を高め、テレビ中継としてのエンターテインメント性を向上させるため」に設計したといいます。

また、グランドファイナルにおけるプロローグ(前日計時予選)が廃止されることも大きな変更点です。これにより、最終戦は一発勝負の決戦となり、最後まで誰が勝つかわからないドラマチックな展開が期待されます。純粋な走力だけでなく、どの区間で勝負を仕掛けるかという「戦術」が、これまで以上に順位を左右することになるでしょう。

ブランドの誇りをかけた「チームランキング」の導入

2026年から導入されるもう一つの目玉が、初の「チームランキング」です。これは、各レースにおいて同一チームに所属する上位2名の男性と上位2名の女性が獲得したポイントの合計で競われるものです。

レースごとに選手のラインナップを変更することも可能で、チームとしての層の厚さが試されることになります。この試みは、スポンサーブランドの露出を高めるだけでなく、個人競技としての側面が強かったトレイルランニングに、チームとしての団結力や戦略的な駆け引きという新しい物語(ストーリーテリング)をもたらすでしょう。

競技の誠実さを守る、徹底したアンチ・ドーピング体制

GTWSは、スポーツとしての健全性とアスリートの誠実さを守るため、完全なアンチ・ドーピングプログラムをさらに拡大します。2026年には、各レースでの検査数が増加し、EPO(エリスロポエチン)スクリーニングを含む多角的な検査が実施されるほか、シーズンを通じて競技外での事前検査も強化されます。

公平な競争が保証されてこそ、勝利の価値は輝きます。トップカテゴリーのシリーズとして、不正を許さない厳格な姿勢を明確に打ち出すことは、スポーツとしての信頼性を世界に示すために避けては通れない道です。

GTWSが掲げるこれらのアップデートは、トレイルランニングを単なるアウトドアアクティビティから、より高度に組織化されたプロスポーツへと進化させるためのロードマップのように見えます。放映技術の革新やデジタルプラットフォームでのコンテンツ充実も予定されており、ファンはこれまで以上に没入感のある体験を味わえるはずです。

プロ志向の最前線をいくGTWS

競技のプロフェッショナル化が進む一方で、私たちはトレイルランニングが持つ「自由」や「自然との共生」といった本質をどう守り続けていくべきか。進化を続けるこのスポーツの未来をGTWSは映しているのでしょう。

ところで注目の2026年シーズンカレンダーの発表は、新年へ持ち越されました。おなじみの伝統の一戦、そして初お目見えのレースと、どのトレイルが新たな伝説の舞台となるのか、今から目が離せません。

(Source: GTWS)

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